授業方法の基礎
授業をよりよくするために、授業方法の「いろは」を学ぶ
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効果的な学びをもたらすためにはどのように授業を行えばよいのか。さまざまある教材をどのように活用すればよいのか。授業方法に頭を悩ます教員は少なくない。本書は、授業方法の改善を通して自身の授業をよりよくしたいと願う教員に向けて、授業にまつわる基礎知識や具体的な方法を示し、陥りがちな課題とその解決策を紹介。初めて教壇に立つ教員からベテラン教員まで、すべての看護教員にとって心強い1冊。
*「看護教育実践シリーズ」は株式会社医学書院の登録商標です。
シリーズ | 看護教育実践シリーズ 3 |
---|---|
シリーズ編集 | 中井 俊樹 |
編集 | 中井 俊樹 / 小林 忠資 |
発行 | 2017年08月判型:A5頁:200 |
ISBN | 978-4-260-03202-5 |
定価 | 2,640円 (本体2,400円+税) |
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- 目次
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序文
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「看護教育実践シリーズ」刊行にあたって(中井俊樹)/はじめに(中井俊樹・小林忠資)
「看護教育実践シリーズ」刊行にあたって
看護教員を対象とした研修を担当すると,参加者の教育に対する情熱に圧倒されることがあります。学生が就職してからも困らないように,教室の内外においてさまざまな試行錯誤をしていることがわかります。教育に対する思いや情熱は最も重要なのかもしれません。しかし,思いや情熱だけでは効果的に教育することはできません。
「看護教育実践シリーズ」は,看護教育に求められる知識と技能を教育学を専門とする教員が中心となって体系的に提示することで,よりよい授業をしたいと考える看護教員を総合的に支援しようとするものです。つまり,教育学という観点から,看護教員の情熱をどのように学生に注げばよいのかを具体的にまとめたものです。
読者として想定しているのは,第一に看護学生を指導する教員です。加えて,看護教員を目指す方,看護教員の研修を担当する方,病院で看護学生を指導する方にも役立つと考えています。看護分野の授業文脈で内容はまとめられていますが,他分野の医療職教育などにかかわる方にとっても役立つ内容が含まれています。
看護教育のシリーズ本はこれまでにも刊行されてきました。医学書院で刊行された「わかる授業をつくる看護教育技法」や「看護教育講座」のように看護教育の方法を体系的にまとめたシリーズ本です。これらは,看護教員の教育実践の質を高めることに大きく寄与しました。本シリーズは,これらの貴重な成果を踏まえ,近年の教育学や看護教育学の理論と実践の進展に対応することで,新たな形にまとめたものです。
本シリーズは全5巻で構成されています。『1 看護教育の原理』『2 授業設計と教育評価』『3 授業方法の基礎』『4 アクティブラーニングの活用』『5 体験学習の展開』です。それぞれが,1冊の書籍としても読めるようになっていますが,全5巻を通して読むことによって看護教育の重要な内容を総合的に理解できます。
本シリーズを作成するにあたって,各巻の全執筆者との間で執筆の指針として共有したことが3点あります。第一に,内容が実践に役立つことです。読んだ後に授業で試してみたいと思うような具体的な内容を多数盛り込むようにしました。第二に,内容が体系的であることです。シリーズ全体において,看護教育にかかわる重要な内容を整理してまとめました。第三に,内容が読みやすいことです。広い読者層を念頭に,できるだけわかりやすく書くことを心がけました。つまり,役立つという点では良質な実用書であり,網羅するという点では良質な事典であり,読みやすいという点では良質な物語であるようなシリーズを提供したいと考えて作成しました。
本シリーズが幅広い読者に読まれ,読者のもつさまざまな課題を解決し,看護教育の質を向上させる取り組みが広がっていくことを願っています。
「看護教育実践シリーズ」編集 中井俊樹
はじめに
熱心に教えているのに,学生の理解が悪いのはどうしてだろう。このような悩みをもっている人はいませんか。もしかしたら,それは学生の努力不足が原因なのではなく,教員の授業方法に原因があるのかもしれません。
看護教育における授業方法には工夫の余地があります。とりわけ看護教育は,看護師国家試験の合格という目標があるため,学生に身につけさせたい内容が多く,詰め込み型の教育になってしまう傾向にあります。しかし,豊かな人間性と幅広い視野をもった学生を育成するために,教員には,学生が主体的に深く理解していく学習を促す工夫が求められているのです。
各回の授業をどのように構成したらよいのか。どのようにしたら学生にわかりやすく説明できるのか。学生の関心を向けるにはどのように発問したらよいのか。スライドをどのように作成したらよいのか。教材はどのように活用すればよいのか。学生が快適に学習できる環境をつくるにはどのような行動をとったらよいのか。これらは,すべて授業方法によって解決できることです。
本書は,上記の問いを抱えながら,授業方法の改善を通して自身の授業をよりよくしたいと考える教員に向けて,効果的な授業方法の指針と具体例を提供するものです。特に,1回の授業をどのように進めたら学生の学習がよりよいものになるのかという観点から内容をまとめました。また,実践に役立つように,看護分野の授業の具体例を組み込み,陥りがちな課題やその解決策について記しました。
また,授業方法に関するさまざまな工夫を提案しています。しかし,すべてを一度に授業に取り入れる必要はありません。まずは自分の授業で試してみたいと思う内容から少しずつ取り入れてください。そして,その効果を授業のなかで確認してください。このような試行錯誤をするなかで授業は改善されるものです。
本書の刊行にあたり,多くの方々からご協力をいただきました。吾郷美奈恵氏(島根県立大学),大串晃弘氏(宝塚大学),大場良子氏(埼玉県立大学),香川暁美氏(松山看護専門学校),片上貴久美氏(愛媛大学),小林直人氏(愛媛大学),近藤麻理氏(東邦大学),齋藤希望氏(愛媛大学),嶋崎和代氏(中部大学),高橋平徳氏(愛媛大学),寺尾奈歩子氏(愛媛大学),常盤文枝氏(埼玉県立大学),中島英博氏(名古屋大学),西野毅朗氏(京都橘大学),野本ひさ氏(愛媛大学),水方智子氏(松下看護専門学校),横山千津子氏(松山看護専門学校)には,本書の草稿段階において貴重なアドバイスをいただきました。また,坂口博紀氏(みんなのかかりつけ訪問看護ステーション名古屋,前愛媛大学医学部看護学科学生),宮崎裕子氏(愛媛大学医学部看護学科学生)には,資料の作成や書式の統一などにご協力いただきました。そして,医学書院の藤居尚子氏,木下和治氏,大野学氏には,本書の企画のきっかけをいただいただけでなく,何度も松山まで足を運んでいただき,多岐にわたる有益なアドバイスを伺うことができました。この場をお借りして,ご協力いただいた皆さまに御礼申し上げます。
2017年7月
編者 中井俊樹・小林忠資
「看護教育実践シリーズ」刊行にあたって
看護教員を対象とした研修を担当すると,参加者の教育に対する情熱に圧倒されることがあります。学生が就職してからも困らないように,教室の内外においてさまざまな試行錯誤をしていることがわかります。教育に対する思いや情熱は最も重要なのかもしれません。しかし,思いや情熱だけでは効果的に教育することはできません。
「看護教育実践シリーズ」は,看護教育に求められる知識と技能を教育学を専門とする教員が中心となって体系的に提示することで,よりよい授業をしたいと考える看護教員を総合的に支援しようとするものです。つまり,教育学という観点から,看護教員の情熱をどのように学生に注げばよいのかを具体的にまとめたものです。
読者として想定しているのは,第一に看護学生を指導する教員です。加えて,看護教員を目指す方,看護教員の研修を担当する方,病院で看護学生を指導する方にも役立つと考えています。看護分野の授業文脈で内容はまとめられていますが,他分野の医療職教育などにかかわる方にとっても役立つ内容が含まれています。
看護教育のシリーズ本はこれまでにも刊行されてきました。医学書院で刊行された「わかる授業をつくる看護教育技法」や「看護教育講座」のように看護教育の方法を体系的にまとめたシリーズ本です。これらは,看護教員の教育実践の質を高めることに大きく寄与しました。本シリーズは,これらの貴重な成果を踏まえ,近年の教育学や看護教育学の理論と実践の進展に対応することで,新たな形にまとめたものです。
本シリーズは全5巻で構成されています。『1 看護教育の原理』『2 授業設計と教育評価』『3 授業方法の基礎』『4 アクティブラーニングの活用』『5 体験学習の展開』です。それぞれが,1冊の書籍としても読めるようになっていますが,全5巻を通して読むことによって看護教育の重要な内容を総合的に理解できます。
本シリーズを作成するにあたって,各巻の全執筆者との間で執筆の指針として共有したことが3点あります。第一に,内容が実践に役立つことです。読んだ後に授業で試してみたいと思うような具体的な内容を多数盛り込むようにしました。第二に,内容が体系的であることです。シリーズ全体において,看護教育にかかわる重要な内容を整理してまとめました。第三に,内容が読みやすいことです。広い読者層を念頭に,できるだけわかりやすく書くことを心がけました。つまり,役立つという点では良質な実用書であり,網羅するという点では良質な事典であり,読みやすいという点では良質な物語であるようなシリーズを提供したいと考えて作成しました。
本シリーズが幅広い読者に読まれ,読者のもつさまざまな課題を解決し,看護教育の質を向上させる取り組みが広がっていくことを願っています。
「看護教育実践シリーズ」編集 中井俊樹
はじめに
熱心に教えているのに,学生の理解が悪いのはどうしてだろう。このような悩みをもっている人はいませんか。もしかしたら,それは学生の努力不足が原因なのではなく,教員の授業方法に原因があるのかもしれません。
看護教育における授業方法には工夫の余地があります。とりわけ看護教育は,看護師国家試験の合格という目標があるため,学生に身につけさせたい内容が多く,詰め込み型の教育になってしまう傾向にあります。しかし,豊かな人間性と幅広い視野をもった学生を育成するために,教員には,学生が主体的に深く理解していく学習を促す工夫が求められているのです。
各回の授業をどのように構成したらよいのか。どのようにしたら学生にわかりやすく説明できるのか。学生の関心を向けるにはどのように発問したらよいのか。スライドをどのように作成したらよいのか。教材はどのように活用すればよいのか。学生が快適に学習できる環境をつくるにはどのような行動をとったらよいのか。これらは,すべて授業方法によって解決できることです。
本書は,上記の問いを抱えながら,授業方法の改善を通して自身の授業をよりよくしたいと考える教員に向けて,効果的な授業方法の指針と具体例を提供するものです。特に,1回の授業をどのように進めたら学生の学習がよりよいものになるのかという観点から内容をまとめました。また,実践に役立つように,看護分野の授業の具体例を組み込み,陥りがちな課題やその解決策について記しました。
また,授業方法に関するさまざまな工夫を提案しています。しかし,すべてを一度に授業に取り入れる必要はありません。まずは自分の授業で試してみたいと思う内容から少しずつ取り入れてください。そして,その効果を授業のなかで確認してください。このような試行錯誤をするなかで授業は改善されるものです。
本書の刊行にあたり,多くの方々からご協力をいただきました。吾郷美奈恵氏(島根県立大学),大串晃弘氏(宝塚大学),大場良子氏(埼玉県立大学),香川暁美氏(松山看護専門学校),片上貴久美氏(愛媛大学),小林直人氏(愛媛大学),近藤麻理氏(東邦大学),齋藤希望氏(愛媛大学),嶋崎和代氏(中部大学),高橋平徳氏(愛媛大学),寺尾奈歩子氏(愛媛大学),常盤文枝氏(埼玉県立大学),中島英博氏(名古屋大学),西野毅朗氏(京都橘大学),野本ひさ氏(愛媛大学),水方智子氏(松下看護専門学校),横山千津子氏(松山看護専門学校)には,本書の草稿段階において貴重なアドバイスをいただきました。また,坂口博紀氏(みんなのかかりつけ訪問看護ステーション名古屋,前愛媛大学医学部看護学科学生),宮崎裕子氏(愛媛大学医学部看護学科学生)には,資料の作成や書式の統一などにご協力いただきました。そして,医学書院の藤居尚子氏,木下和治氏,大野学氏には,本書の企画のきっかけをいただいただけでなく,何度も松山まで足を運んでいただき,多岐にわたる有益なアドバイスを伺うことができました。この場をお借りして,ご協力いただいた皆さまに御礼申し上げます。
2017年7月
編者 中井俊樹・小林忠資
目次
開く
「看護教育実践シリーズ」刊行にあたって
はじめに
本書の構成と使い方
第1部 授業方法の意義と指針
1章 授業方法で学生の学習を促す
1 授業方法は重要だ
1 高級な食材でも残念な料理になる
2 授業方法は軽視されがち
3 看護を教えるための知識を身につける
4 教員の裁量が大きい
2 さまざまな授業方法を理解する
1 適切な授業方法を活用する
2 講義法の特徴を理解する
3 アクティブラーニングの特徴を理解する
4 体験学習の特徴を理解する
3 授業方法の罠に陥らない
1 教員自身が気づきにくい失敗がある
2 網羅したいという思いが逆効果
3 活動自体が目的になってしまう
4 授業方法の技能を高める
1 授業方法には型がある
2 授業の実践を通して身につける
3 自分の教育観にあわせていく
2章 すべての学生の学習を支援する
1 多様な学生の学習を尊重する
1 多様な学生が存在している
2 2つの多様性を理解する
3 多様性を尊重する理由を理解する
2 すべての学生を支援する指針を理解する
1 少数派の学生がもつ不安を理解する
2 個人の学生として尊重する
3 自分自身がもつ偏見に敏感になる
4 学習に要する時間に配慮する
5 適切な教材を選択する
6 学生に多様性を尊重させる
3 さまざまな学生の学習を支援する
1 成人学生の学習を支援する
2 男性学生の学習を支援する
3 障害のある学生の学習を支援する
3章 授業の型を理解する
1 1回の授業を組み立てる
1 授業を3つのパートで構成する
2 各パートの役割を理解する
2 導入で学習の準備を整える
1 快適な学習環境をつくる
2 学生の準備状況を把握する
3 学生の興味や関心を喚起する
4 学習目標と意義を伝える
5 授業の全体構成を提示する
3 展開で学習内容を深める
1 学習内容を精選する
2 順序よく学習内容を並べる
3 説明を工夫する
4 さまざまな学習活動を組み込む
5 学生の理解度を確認する
4 まとめで学習を評価する
1 学習内容を要約する
2 学習成果の振り返りを促す
3 学習の手引きを与える
第2部 授業の基本的な技法
4章 わかりやすく説明する
1 説明は工夫次第
1 説明の工夫は重要である
2 授業における説明は難しい
2 学生の理解を促す構成にする
1 学生に伝わるように構造化する
2 代表的な構成の型を理解する
3 学生の理解を促すように説明する
1 学生の関心を高める
2 説明の構成を伝える
3 繰り返し説明する
4 比喩や置き換えを活用する
5 学生の知識や経験に関連づける
6 教員自身の具体的な経験を話す
4 話し方の技能を高める
1 声の出し方を工夫する
2 話す速度に気をつける
3 適切に間をとる
4 アイコンタクトを使う
5 ボディランゲージを活用する
5章 発問を取り入れる
1 問いがもつ力を活用する
1 問いには力がある
2 発問と呼ばれる技法
3 説明・発問・指示の割合を考える
4 看護教育において発問は重要
2 発問の機能を理解する
1 学習意欲を喚起する
2 思考を焦点化する
3 思考を拡張する
4 思考をゆさぶる
5 学習の状況を把握する
3 発問を効果的に活用する
1 多様な種類の発問を準備する
2 発問を明確に与える
3 考えるための時間を与える
4 適切な指示を与える
4 枠組みに沿って発問する
1 発問で問題解決につなげる
2 発問で体験を学習につなげる
3 発問で目標を行動につなげる
6章 スライドを活用する
1 スライドの特徴を理解する
1 スライドの強みを知る
2 スライドを活用する際の課題を理解する
3 授業は研究発表とは異なる
4 マルチメディア教材の原理を理解する
2 スライド作成の基本を身につける
1 学習目標に沿って全体の構成を考える
2 提示する情報を厳選する
3 視覚的に理解できるようにする
3 わかりやすいスライドを作成する
1 みやすいフォントを選択する
2 フォントのサイズと行間に注意する
3 適切な配色を選択する
4 無意味な視覚情報は学習を妨げる
5 レイアウトを工夫する
4 スライドを活用した授業の工夫
1 学生の参加を促す
2 ショートカットキーを活用する
3 配付資料を工夫する
7章 板書で学習を促す
1 現代の板書の意義を理解する
1 板書を工夫しよう
2 板書の強みを知る
3 スライドと併用する
2 板書の基本を理解する
1 板書に計画性をもつ
2 板書の配置を工夫する
3 文字の大きさと色に配慮する
4 ノートをとる学生を意識する
5 自分の板書を振り返る
3 板書で学生の学習を促す
1 学生の理解を補完する
2 学生の思考を整理する
3 内容を整理して図示する
4 学生と板書をつくる
1 学生の意見を板書する
2 学生が板書をする
8章 さまざまな教材を活用する
1 適切な教材を選択する
1 授業に活用できる教材は多い
2 3つの観点から教材を選択する
3 著作権に配慮する
2 教科書を活用する
1 教科書の特徴を理解する
2 教科書の活用方法を定める
3 主教材として活用する
4 補助教材として活用する
3 配付資料で学習を促す
1 不足する情報を配付資料で補う
2 わかりやすい配付資料をつくる
3 ワークシートで学習を促進する
4 配付方法を工夫する
4 リアリティのある教材を活用する
1 実物や模型を活用する
2 映像教材を活用する
3 臨床での事例を活用する
4 学生の成果物を活用する
9章 フィードバックを与える
1 優れたフィードバックの効果を理解する
1 フィードバックは学習を促す
2 フィードバックの効果を理解する
2 フィードバックの方法を理解する
1 フィードバックの主体を決める
2 フィードバックの対象を決める
3 フィードバックのタイミングを決める
4 フィードバックの形態を決める
5 代表的なフィードバックの方法を理解する
3 フィードバックの内容を理解する
1 フィードバックの基準を理解する
2 フィードバックの段階を理解する
3 学習目標の達成以外にもフィードバックを与える
4 フィードバックを学習につなげる
1 学習目標を共有する
2 学生が理解できる情報にする
3 学生の学習意欲に配慮する
4 対話的なフィードバックを行う
第3部 さまざまな場面での授業の工夫
10章 初回と最終回の授業をつくる
1 授業全体の構成を理解する
1 授業全体を3つのパートで構成する
2 初回と最終回の授業は特別である
2 初回の授業で期待を高める
1 自己紹介で熱意を伝える
2 学生が理解できる言葉で学習目標を示す
3 学習内容と学習方法を明示する
4 成績評価の方法を伝える
3 初回の授業を工夫する
1 学生の基礎知識を確認する
2 学生の汎用的能力を把握する
3 学生の好奇心を喚起する
4 学習する雰囲気をつくる
4 最終回の授業を工夫する
1 振り返りを通して指針を立てさせる
2 学習内容につながりをもたせる
3 教員自身が振り返る
4 試験に向けた準備をする
5 授業に対するコメントを求める
11章 授業時間外の学習を促す
1 授業時間外の学習の重要性を伝える
1 学習習慣を身につけさせる
2 単位制度の前提を理解する
3 成績不振は学習時間不足が原因?
4 学生に繰り返し伝える
2 授業時間外の課題を作成する
1 授業のなかの位置づけを明確にする
2 課題の内容を明確にする
3 達成可能な量と難易度にする
4 さまざまな課題を与える
3 課題に取り組ませる工夫
1 課題への取り組みを可視化する
2 グループへの責任感を高める
3 授業で課題の成果を活用する
4 適切なフィードバックを与える
4 授業時間外の学習を支援する
1 教員に相談できる機会を与える
2 オフィスアワーの利用を奨励する
3 学習を支援する施設を紹介する
12章 教室をマネジメントする
1 教室マネジメントで学習を促す
1 2つのアプローチを理解する
2 組織の方針を理解する
2 快適な学習環境をつくる
1 学生との信頼関係を築く
2 ルールを明確に定める
3 望ましい行動を伝える
4 知的に誠実な姿勢を教える
5 自らが模範を示す
3 問題が起きた後に対応する
1 問題行動を放置しない
2 さりげなく注意する
3 問題行動を制止する
4 個別に対応する
5 授業方法を見直す機会とする
付録 授業に役立つ資料
文献
執筆者プロフィール
索引
はじめに
本書の構成と使い方
第1部 授業方法の意義と指針
1章 授業方法で学生の学習を促す
1 授業方法は重要だ
1 高級な食材でも残念な料理になる
2 授業方法は軽視されがち
3 看護を教えるための知識を身につける
4 教員の裁量が大きい
2 さまざまな授業方法を理解する
1 適切な授業方法を活用する
2 講義法の特徴を理解する
3 アクティブラーニングの特徴を理解する
4 体験学習の特徴を理解する
3 授業方法の罠に陥らない
1 教員自身が気づきにくい失敗がある
2 網羅したいという思いが逆効果
3 活動自体が目的になってしまう
4 授業方法の技能を高める
1 授業方法には型がある
2 授業の実践を通して身につける
3 自分の教育観にあわせていく
2章 すべての学生の学習を支援する
1 多様な学生の学習を尊重する
1 多様な学生が存在している
2 2つの多様性を理解する
3 多様性を尊重する理由を理解する
2 すべての学生を支援する指針を理解する
1 少数派の学生がもつ不安を理解する
2 個人の学生として尊重する
3 自分自身がもつ偏見に敏感になる
4 学習に要する時間に配慮する
5 適切な教材を選択する
6 学生に多様性を尊重させる
3 さまざまな学生の学習を支援する
1 成人学生の学習を支援する
2 男性学生の学習を支援する
3 障害のある学生の学習を支援する
3章 授業の型を理解する
1 1回の授業を組み立てる
1 授業を3つのパートで構成する
2 各パートの役割を理解する
2 導入で学習の準備を整える
1 快適な学習環境をつくる
2 学生の準備状況を把握する
3 学生の興味や関心を喚起する
4 学習目標と意義を伝える
5 授業の全体構成を提示する
3 展開で学習内容を深める
1 学習内容を精選する
2 順序よく学習内容を並べる
3 説明を工夫する
4 さまざまな学習活動を組み込む
5 学生の理解度を確認する
4 まとめで学習を評価する
1 学習内容を要約する
2 学習成果の振り返りを促す
3 学習の手引きを与える
第2部 授業の基本的な技法
4章 わかりやすく説明する
1 説明は工夫次第
1 説明の工夫は重要である
2 授業における説明は難しい
2 学生の理解を促す構成にする
1 学生に伝わるように構造化する
2 代表的な構成の型を理解する
3 学生の理解を促すように説明する
1 学生の関心を高める
2 説明の構成を伝える
3 繰り返し説明する
4 比喩や置き換えを活用する
5 学生の知識や経験に関連づける
6 教員自身の具体的な経験を話す
4 話し方の技能を高める
1 声の出し方を工夫する
2 話す速度に気をつける
3 適切に間をとる
4 アイコンタクトを使う
5 ボディランゲージを活用する
5章 発問を取り入れる
1 問いがもつ力を活用する
1 問いには力がある
2 発問と呼ばれる技法
3 説明・発問・指示の割合を考える
4 看護教育において発問は重要
2 発問の機能を理解する
1 学習意欲を喚起する
2 思考を焦点化する
3 思考を拡張する
4 思考をゆさぶる
5 学習の状況を把握する
3 発問を効果的に活用する
1 多様な種類の発問を準備する
2 発問を明確に与える
3 考えるための時間を与える
4 適切な指示を与える
4 枠組みに沿って発問する
1 発問で問題解決につなげる
2 発問で体験を学習につなげる
3 発問で目標を行動につなげる
6章 スライドを活用する
1 スライドの特徴を理解する
1 スライドの強みを知る
2 スライドを活用する際の課題を理解する
3 授業は研究発表とは異なる
4 マルチメディア教材の原理を理解する
2 スライド作成の基本を身につける
1 学習目標に沿って全体の構成を考える
2 提示する情報を厳選する
3 視覚的に理解できるようにする
3 わかりやすいスライドを作成する
1 みやすいフォントを選択する
2 フォントのサイズと行間に注意する
3 適切な配色を選択する
4 無意味な視覚情報は学習を妨げる
5 レイアウトを工夫する
4 スライドを活用した授業の工夫
1 学生の参加を促す
2 ショートカットキーを活用する
3 配付資料を工夫する
7章 板書で学習を促す
1 現代の板書の意義を理解する
1 板書を工夫しよう
2 板書の強みを知る
3 スライドと併用する
2 板書の基本を理解する
1 板書に計画性をもつ
2 板書の配置を工夫する
3 文字の大きさと色に配慮する
4 ノートをとる学生を意識する
5 自分の板書を振り返る
3 板書で学生の学習を促す
1 学生の理解を補完する
2 学生の思考を整理する
3 内容を整理して図示する
4 学生と板書をつくる
1 学生の意見を板書する
2 学生が板書をする
8章 さまざまな教材を活用する
1 適切な教材を選択する
1 授業に活用できる教材は多い
2 3つの観点から教材を選択する
3 著作権に配慮する
2 教科書を活用する
1 教科書の特徴を理解する
2 教科書の活用方法を定める
3 主教材として活用する
4 補助教材として活用する
3 配付資料で学習を促す
1 不足する情報を配付資料で補う
2 わかりやすい配付資料をつくる
3 ワークシートで学習を促進する
4 配付方法を工夫する
4 リアリティのある教材を活用する
1 実物や模型を活用する
2 映像教材を活用する
3 臨床での事例を活用する
4 学生の成果物を活用する
9章 フィードバックを与える
1 優れたフィードバックの効果を理解する
1 フィードバックは学習を促す
2 フィードバックの効果を理解する
2 フィードバックの方法を理解する
1 フィードバックの主体を決める
2 フィードバックの対象を決める
3 フィードバックのタイミングを決める
4 フィードバックの形態を決める
5 代表的なフィードバックの方法を理解する
3 フィードバックの内容を理解する
1 フィードバックの基準を理解する
2 フィードバックの段階を理解する
3 学習目標の達成以外にもフィードバックを与える
4 フィードバックを学習につなげる
1 学習目標を共有する
2 学生が理解できる情報にする
3 学生の学習意欲に配慮する
4 対話的なフィードバックを行う
第3部 さまざまな場面での授業の工夫
10章 初回と最終回の授業をつくる
1 授業全体の構成を理解する
1 授業全体を3つのパートで構成する
2 初回と最終回の授業は特別である
2 初回の授業で期待を高める
1 自己紹介で熱意を伝える
2 学生が理解できる言葉で学習目標を示す
3 学習内容と学習方法を明示する
4 成績評価の方法を伝える
3 初回の授業を工夫する
1 学生の基礎知識を確認する
2 学生の汎用的能力を把握する
3 学生の好奇心を喚起する
4 学習する雰囲気をつくる
4 最終回の授業を工夫する
1 振り返りを通して指針を立てさせる
2 学習内容につながりをもたせる
3 教員自身が振り返る
4 試験に向けた準備をする
5 授業に対するコメントを求める
11章 授業時間外の学習を促す
1 授業時間外の学習の重要性を伝える
1 学習習慣を身につけさせる
2 単位制度の前提を理解する
3 成績不振は学習時間不足が原因?
4 学生に繰り返し伝える
2 授業時間外の課題を作成する
1 授業のなかの位置づけを明確にする
2 課題の内容を明確にする
3 達成可能な量と難易度にする
4 さまざまな課題を与える
3 課題に取り組ませる工夫
1 課題への取り組みを可視化する
2 グループへの責任感を高める
3 授業で課題の成果を活用する
4 適切なフィードバックを与える
4 授業時間外の学習を支援する
1 教員に相談できる機会を与える
2 オフィスアワーの利用を奨励する
3 学習を支援する施設を紹介する
12章 教室をマネジメントする
1 教室マネジメントで学習を促す
1 2つのアプローチを理解する
2 組織の方針を理解する
2 快適な学習環境をつくる
1 学生との信頼関係を築く
2 ルールを明確に定める
3 望ましい行動を伝える
4 知的に誠実な姿勢を教える
5 自らが模範を示す
3 問題が起きた後に対応する
1 問題行動を放置しない
2 さりげなく注意する
3 問題行動を制止する
4 個別に対応する
5 授業方法を見直す機会とする
付録 授業に役立つ資料
文献
執筆者プロフィール
索引
書評
開く
教育学と看護教育とのコラボによる「看護授業論」
書評者: 網野 寛子 (帝京平成大学教授/看護学科学科長)
文部科学省は,看護教育をレベルアップするための切り札「看護学教育モデル・コア・カリキュラム(案)」において,看護系人材として求められる基本的な資質・能力は9つと明言した。今後,各大学はカリキュラムの改正準備を行う中で,これらの資質・能力をどの科目でどのように教えて獲得させるか考えなければならない。変革を迫られたこの時期に,タイミングよく本書が上梓された。
本書は,教育学の視点から看護教育について幅広く解説する「看護教育実践シリーズ」(全5冊)の中の1冊である。授業方法に焦点を当てたのが本書であり,シリーズの第一弾として発刊された。
内容は3部から構成されている。第1部は授業方法の意義と指針の総論。看護教員は,看護学の専門知識と教育学の知識の両方を身につけることが肝心であると論ずる。学生は高卒の伝統的学生のみならず職業経験のある者がおり,学習意欲や学習習慣に差があるなど多様性に富んでいる。教員は自身の偏見に敏感になり,全ての学生の学習を素直に尊重する姿勢を持つ必要を述べている。また,授業は授業の型(導入・展開・まとめ)の各パートの持つ役割を認識し,学生の興味や関心を喚起するような展開をして,学習を評価することが大事と説く。
第2部は授業の技法について紙面が多く割かれている。授業の技法には,説明,発問,スライド,板書,教材などがある。技法を適切にチョイスすることが授業の成功の要素であるとして,それぞれについて詳しい解説がある。発問を例にとると,例えば看護教育の目標「人間の生命と権利を尊重する態度」を学ばせようとするとき,これは教員が一方的に押し付けて身につくものではない。発問を工夫することで学生は深く考えたり,自分なりの答えを見つけたりできる。発問は学習意欲を喚起したり,思考を焦点化したり拡散したり,揺さぶったりと学習を促進する機能を持っているのだ。
第3部はさまざまな場面での授業の工夫を述べている。1回の授業の構成は,前述の授業の型と同じであるが,15回のコマも同様である。初回の授業では,学生のレディネスやアクティブラーニングが可能かどうかの学生の汎用的能力を確認してからスタートするのが肝心で,最終回は習得できた知識や技術,習得できていない内容についても列挙させ,振り返りを通して学生自身に今後の学習の指針を立てさせる。また学生に高等教育機関に属する者としての知的誠実性を求めることも忘れてはならないと,きめ細かい対応を説く。
付録に授業に役立つ資料と用語集があり,著者らの優しい配慮を感じる。一読して感動するのは,教育学の専門家が体系的に授業の基本を押さえた上で,看護教育のオーソリティーたちとコラボして具体を展開しているため,身近で説得性があることだ。近年の理論を踏まえた「看護授業論」であり,活用すればその価値にも気づくはずである。
書評者: 網野 寛子 (帝京平成大学教授/看護学科学科長)
文部科学省は,看護教育をレベルアップするための切り札「看護学教育モデル・コア・カリキュラム(案)」において,看護系人材として求められる基本的な資質・能力は9つと明言した。今後,各大学はカリキュラムの改正準備を行う中で,これらの資質・能力をどの科目でどのように教えて獲得させるか考えなければならない。変革を迫られたこの時期に,タイミングよく本書が上梓された。
本書は,教育学の視点から看護教育について幅広く解説する「看護教育実践シリーズ」(全5冊)の中の1冊である。授業方法に焦点を当てたのが本書であり,シリーズの第一弾として発刊された。
内容は3部から構成されている。第1部は授業方法の意義と指針の総論。看護教員は,看護学の専門知識と教育学の知識の両方を身につけることが肝心であると論ずる。学生は高卒の伝統的学生のみならず職業経験のある者がおり,学習意欲や学習習慣に差があるなど多様性に富んでいる。教員は自身の偏見に敏感になり,全ての学生の学習を素直に尊重する姿勢を持つ必要を述べている。また,授業は授業の型(導入・展開・まとめ)の各パートの持つ役割を認識し,学生の興味や関心を喚起するような展開をして,学習を評価することが大事と説く。
第2部は授業の技法について紙面が多く割かれている。授業の技法には,説明,発問,スライド,板書,教材などがある。技法を適切にチョイスすることが授業の成功の要素であるとして,それぞれについて詳しい解説がある。発問を例にとると,例えば看護教育の目標「人間の生命と権利を尊重する態度」を学ばせようとするとき,これは教員が一方的に押し付けて身につくものではない。発問を工夫することで学生は深く考えたり,自分なりの答えを見つけたりできる。発問は学習意欲を喚起したり,思考を焦点化したり拡散したり,揺さぶったりと学習を促進する機能を持っているのだ。
第3部はさまざまな場面での授業の工夫を述べている。1回の授業の構成は,前述の授業の型と同じであるが,15回のコマも同様である。初回の授業では,学生のレディネスやアクティブラーニングが可能かどうかの学生の汎用的能力を確認してからスタートするのが肝心で,最終回は習得できた知識や技術,習得できていない内容についても列挙させ,振り返りを通して学生自身に今後の学習の指針を立てさせる。また学生に高等教育機関に属する者としての知的誠実性を求めることも忘れてはならないと,きめ細かい対応を説く。
付録に授業に役立つ資料と用語集があり,著者らの優しい配慮を感じる。一読して感動するのは,教育学の専門家が体系的に授業の基本を押さえた上で,看護教育のオーソリティーたちとコラボして具体を展開しているため,身近で説得性があることだ。近年の理論を踏まえた「看護授業論」であり,活用すればその価値にも気づくはずである。