つながる・ささえる・つくりだす
在宅現場の地域包括ケア
現場発! 今日からできる地域包括ケア
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現場の訪問看護師であり、地域包括ケアの先駆者として知られる著者が、日々の実践を積み重ねて地域包括ケアを実現した事例や、そのためにつくった「地域をささえ、つなぐ場所」を、ナラティブなエピソードをとおして紹介する。地域包括ケアシステムのなかで、在宅ケアの最前線にいる実践者が果たす役割がひしひしと伝わる。
著 | 秋山 正子 |
---|---|
発行 | 2016年10月判型:A5頁:164 |
ISBN | 978-4-260-02821-9 |
定価 | 2,200円 (本体2,000円+税) |
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- 序文
- 目次
- 書評
序文
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プロローグ——私の考える「地域包括ケア」
地域包括ケアは訪問看護・介護がめざしてきたことそのもの
「地域包括ケア」というと,2014年に厚生労働省が示した「地域包括ケアシステムの姿」という図(図1)をよく目にするようになりました。この図の内容は,私たちがこれまで在宅ケアとして行ってきたこと——時に医療を利用し,時に介護を利用しながら,最期まで住みなれたところで暮らし続けるまちをつくる——に合致するものです。それは,訪問看護・介護がめざしてきたことそのもの。「暮らし続ける人をささえて最期まで」という思いで実践を続け,ねばり強く主張してきたことがかたちになったと,地域で地道に仕事をしてきた私には思えました。 これからの地域包括ケアで大事なのは,本人が暮らし続けたいと希望する居場所としての「住まい」に戻って来られる地域にすることだと考えています。この図(図1)では,「住まい」と「医療」「介護」が行ったり来たりしています。しかし,現実は,一方通行で「住まい」に帰れない。「住まい」は自宅に限りません。その人がどこに暮らし続けたいかという希望を大事にしながら,どうするのがよいのかと,組み立てていくのが,地域包括ケアだと思います。
基本理念「尊厳の保持」「自立生活の支援」
地域包括ケアシステムの基本理念として,「尊厳の保持」「自立生活の支援」と「規範的統合」ということばが示されています(図2)。
図2 地域包括ケアシステムの基本理念
——「尊厳の保持」「自立生活の支援」と「規範的統合」 「尊厳の保持」と「自立生活の支援」が,最も根本的な理念です。そして「規範的統合」は,関係者みんなの共通認識の醸成です。「行政,受け手側の住民,サービスを提供する側の三者が同じ方向を向くことが大事ですよ,いろいろ話し合って地域でのケアを組み立てていきましょう」と言っているのだと思います。「尊厳の保持」と「自立生活の支援」の理念からみて,“あれ,おかしいな”と思うことがあれば,行政にも「これはおかしいので,ここをなんとか仕組みのなかに入れよう」とか「組織を変える必要があるのではないか」など前向きな提言をして,話し合って進んでいきましょう,ということです。
求められる医療・介護・予防の一体的提供
「地域包括ケアシステムの構成要素の具体的な姿」(図3)の右下の「医療・介護・予防の一体的な提供」のなかに,「介護職は,『医療的マインド』をもって」とあります。「医療側は,『生活をささえる視点』をもって,介護側から提供された生活情報をもとに病態を把握,臨床経過の予測を介護側に伝え,必要となる介護やリハビリテーション等の介入を見通す」と示されています。
介護側が“あれ,ちょっとおかしい。この状態を医療の視点で診てもらいたい”と感じ取ったことや提案を,医療側がしっかり受け止める。そして医療の専門性で解釈し,先を読んで推論して,「今これが大事だから,こういうふうにしましょう」と,介護側に返していく。そうすることで,予防になるわけです。つまりは,関係職種と連携し一体的に考え,目標を組み立てていくことが求められています。
このような連携が求められる場面として,「介護予防」や「重度化予防」「急性疾患への対応」などが挙げられています。これらは看護が意識してかかわっていかなければならない大事な場面です。介護側からの情報をしっかり受け止めて一緒にやりましょうということです。
医療と介護・予防を一体的に提供しなければならないことはすでに明らかです。予防の視点がないために,いったん介護状態に陥るとどんどん重度化していった例をたくさんみてきました。常に予防の視点をもたないと,重度化が防げないということです。
図3 地域包括ケアシステムの構成要素の具体的な姿 (クリックで拡大します)
支援やサービス利用による効果の「成功体験の蓄積」は伝播する
また,予防という概念は,図3の「本人・家族の選択と心構え」にある「養生」に努めようというところにつながります。そのためにはしっかりと情報提供されることが必要です。「自己決定に対する支援」のところに「わかりやすい情報の提示」と書かかれていて,そこには専門職の支援が必要となります。
次に強調したいのは,支援やサービスの利用による効果として「成功体験の蓄積」があります。このよい例が第3章で紹介するノブさんです(p.88参照)。
ノブさんは,前立腺がんが骨転移した僧職のご主人を自宅で看取った家族としての成功体験から「私も絶対病院へは行かないわ」と意思表示をしていました。娘さんも,「父と同じように母も家で看取りたい」と願っていました。ノブさんの介護にあたっては,本人の意思を尊重するために,治療とケアをどう組み合わせていけばよいかを,私たち在宅ケアチームは考え,要介護3で脱水症状を起こしたときも救急車を呼ばずに,家で治療をしました。そこから6年経ってノブさんが亡くなったあと,娘さんが「終わりよければすべてよし。楽しかったわ」と言われたことが大事で,これが成功体験の蓄積です。
在宅ケアチームが言わなくても,利用したそのご家族が在宅ケアのよさを伝える人になってくださいます。「在宅でよかった」と言う人が増えることで,最期まで自宅で,地域で,ということが進んでいくと思うのです。
よい看取りの体験は「よい思い出」につながります。「いろんな苦労があったけれど,最期,よかったよね」と,かかわったみなの共通の思い出となって語られます。看取りのときは幼かった孫が,数年たって改めてお礼に来たりして,「そんなこと,あったよね」とその物語を語り継げるようになるのです。
地域包括ケアは訪問看護・介護がめざしてきたことそのもの
「地域包括ケア」というと,2014年に厚生労働省が示した「地域包括ケアシステムの姿」という図(図1)をよく目にするようになりました。この図の内容は,私たちがこれまで在宅ケアとして行ってきたこと——時に医療を利用し,時に介護を利用しながら,最期まで住みなれたところで暮らし続けるまちをつくる——に合致するものです。それは,訪問看護・介護がめざしてきたことそのもの。「暮らし続ける人をささえて最期まで」という思いで実践を続け,ねばり強く主張してきたことがかたちになったと,地域で地道に仕事をしてきた私には思えました。
※地域包括ケアシステムは,おおむね30分以内に必要なサービスが提供される日常生活圏域(具体的には中学校区)を単位として想定
図1 地域包括ケアシステムの姿〔厚生労働省Webサイト「地域包括ケアシステム」 http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/chiiki-houkatsu/ を一部改変〕
基本理念「尊厳の保持」「自立生活の支援」
地域包括ケアシステムの基本理念として,「尊厳の保持」「自立生活の支援」と「規範的統合」ということばが示されています(図2)。
図2 地域包括ケアシステムの基本理念
——「尊厳の保持」「自立生活の支援」と「規範的統合」
〔地域包括ケア研究会(2014).地域包括ケアシステムを構築するための制度論等に関する調査研究事業報告書─概要版.平成25年度厚生労働省老人保健事業推進費等補助金(老人保健健康増進等事業)より〕
求められる医療・介護・予防の一体的提供
「地域包括ケアシステムの構成要素の具体的な姿」(図3)の右下の「医療・介護・予防の一体的な提供」のなかに,「介護職は,『医療的マインド』をもって」とあります。「医療側は,『生活をささえる視点』をもって,介護側から提供された生活情報をもとに病態を把握,臨床経過の予測を介護側に伝え,必要となる介護やリハビリテーション等の介入を見通す」と示されています。
介護側が“あれ,ちょっとおかしい。この状態を医療の視点で診てもらいたい”と感じ取ったことや提案を,医療側がしっかり受け止める。そして医療の専門性で解釈し,先を読んで推論して,「今これが大事だから,こういうふうにしましょう」と,介護側に返していく。そうすることで,予防になるわけです。つまりは,関係職種と連携し一体的に考え,目標を組み立てていくことが求められています。
このような連携が求められる場面として,「介護予防」や「重度化予防」「急性疾患への対応」などが挙げられています。これらは看護が意識してかかわっていかなければならない大事な場面です。介護側からの情報をしっかり受け止めて一緒にやりましょうということです。
医療と介護・予防を一体的に提供しなければならないことはすでに明らかです。予防の視点がないために,いったん介護状態に陥るとどんどん重度化していった例をたくさんみてきました。常に予防の視点をもたないと,重度化が防げないということです。
図3 地域包括ケアシステムの構成要素の具体的な姿 (クリックで拡大します)
〔地域包括ケア研究会(2014).地域包括ケアシステムを構築するための制度論等に関する調査研究事業報告書─概要版.平成25年度厚生労働省老人保健事業推進費等補助金(老人保健健康増進等事業)より〕
支援やサービス利用による効果の「成功体験の蓄積」は伝播する
また,予防という概念は,図3の「本人・家族の選択と心構え」にある「養生」に努めようというところにつながります。そのためにはしっかりと情報提供されることが必要です。「自己決定に対する支援」のところに「わかりやすい情報の提示」と書かかれていて,そこには専門職の支援が必要となります。
次に強調したいのは,支援やサービスの利用による効果として「成功体験の蓄積」があります。このよい例が第3章で紹介するノブさんです(p.88参照)。
ノブさんは,前立腺がんが骨転移した僧職のご主人を自宅で看取った家族としての成功体験から「私も絶対病院へは行かないわ」と意思表示をしていました。娘さんも,「父と同じように母も家で看取りたい」と願っていました。ノブさんの介護にあたっては,本人の意思を尊重するために,治療とケアをどう組み合わせていけばよいかを,私たち在宅ケアチームは考え,要介護3で脱水症状を起こしたときも救急車を呼ばずに,家で治療をしました。そこから6年経ってノブさんが亡くなったあと,娘さんが「終わりよければすべてよし。楽しかったわ」と言われたことが大事で,これが成功体験の蓄積です。
在宅ケアチームが言わなくても,利用したそのご家族が在宅ケアのよさを伝える人になってくださいます。「在宅でよかった」と言う人が増えることで,最期まで自宅で,地域で,ということが進んでいくと思うのです。
よい看取りの体験は「よい思い出」につながります。「いろんな苦労があったけれど,最期,よかったよね」と,かかわったみなの共通の思い出となって語られます。看取りのときは幼かった孫が,数年たって改めてお礼に来たりして,「そんなこと,あったよね」とその物語を語り継げるようになるのです。
参考文献
・厚生労働省Webサイト「地域包括ケアシステム」 http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/chiiki-houkatsu/
・地域包括ケア研究会:地域包括ケアシステムを構築するための制度論等に関する調査研究事業報告書.平成25年度厚生労働省老人保健事業推進費等補助金(老人保健健康増進等事業).2014
・厚生労働省Webサイト「地域包括ケアシステム」 http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/chiiki-houkatsu/
・地域包括ケア研究会:地域包括ケアシステムを構築するための制度論等に関する調査研究事業報告書.平成25年度厚生労働省老人保健事業推進費等補助金(老人保健健康増進等事業).2014
目次
開く
プロローグ-私の考える「地域包括ケア」
第1章 事例からみえる地域包括ケア
地域のなかで,家族まるごとを継続的にみるためには?
「包括」が指し示すのは「まるごと」と「継続性」
生きづらさを抱えた一家4人
ご近所のかかわりで,暮らしの保健室へ
地域ケア会議をきっかけに,職域を越えて自分にできることを考える
この事例の成功要因は? 多職種で検討
視点(1)さまざまなサポートでも,足りないもの
視点(2)トオルさんに本当に必要なサポートとは?
視点(3)地域ケア会議で,さまざまな支援がつながり,補い合う
視点(4)障がいによる生きづらさを抱える人をどうささえるか
◎…Current Topics 看護小規模多機能型居宅介護(看多機)
退院後,望む療養生活のために必要なものは?
「特養に戻るには胃ろうを造設しなければ」?
夫婦の5年間の経緯
看多機の泊まり,通い,訪問で自宅退院を準備
看護師の気づきで発熱原因が判明,薬の見直しから発語も
通いと泊まりで夫婦の在宅生活は順調
この事例の成功要因は? 多職種で検討
視点(1)家族が判断できるよう選択肢を増やす-特養・在宅・看多機
視点(2)関係者が「退院しても大丈夫」と思える準備は?
視点(3)何がタケオさんの劇的な回復につながったのか?
視点(4)条件さえ整えば家で過ごせる人が,もっといるのでは?
◎…Current Topics 地域包括ケアの土壌をつくる「フラットな事例検討会」の開き方
第2章 地域をつなぎ,ささえる居場所
人をつなぐ地域包括ケアの入り口「暮らしの保健室」
-予約なし・無料の医療よろず相談所
高齢化する団地の一角,商店街の空き店舗をお借りして
敷居の低い,身近な相談所が必須
いつでもふらりと来てほしいから,ボランティアが常駐
住民のそばにあるからこそ聞こえてくる声
地域包括ケアの土台である養生や予防のために
暮らしのなかのつながりから広がる「互助」の世界
道に迷ったキクヨさん,ご近所の力で身元判明
大都会にも地域の力が生きている
つながりを強めるちょっとした「おせっかい」を
オープン5周年を迎え,多くの人を迎える場所に
相談者が自分で考え,決める力を取り戻せるサポート
-マギーズ・キャンサー・ケアリング・センター
がん治療が変化して,患者さんは忙しい
マギーズと出会い,「日本にも!」と活動を続けて
対話によって自己決定をささえるマギーズ流サポート
がんを経験した鈴木美穂さんとの出会い
「マギーズ東京」実現へキックオフ
地域包括ケアの基本理念に通底するサポーティブケア
◎…Current Topics 英国のマギーズ・キャンサー・ケアリング・センター
(Maggie's Cancer Caring Centre)
訪問介護+訪問看護+ショートステイ+デイサービスを組み合わせた地域包括ケア
「坂町ミモザの家の物語」の始まり-高齢となった母姉妹と暮らす娘さん
2人一緒に家でみる,想定外のケアプラン
リハビリと訪問歯科でモトさん,前向きに
認知症・日中独居のミホさんの生活を改善
主治医意見書のための受診に訪問看護として同行
デイサービス探し,最初の見学
デイサービス,次の見学先はお琴が糸口
訪問介護中心に切り替え-受け入れには時間をかけて
住宅改修-要介護者2人分の改修費を合算して
退院後すぐにデイサービスに通ったモトさん
介護離職はしないで,自宅で2人をささえるケアプラン
「閉じられた窓が外に向かって開くように」
自宅を活用して一緒に「看多機」ができたら
訪問看護と並行しての新規事業準備にサポートを
訪問看護・くらしの保健室のご縁が看多機に
資金融資の依頼は,地域での実績と理念を伝え
対談 地域包括ケアはもっとやさしく,もっと自由に
「坂町ミモザの家」で中島紀惠子氏と語り合う
地域包括ケアに必要なハブ-看多機づくりを例に
要介護が2人なら一緒に在宅で「みる」という手も
本人が何をめざしているか? そこに向かって
気持ちを引き出し,ささえ続けた10年
退院直後の密なケアで,必ず落ち着く経験則
病院の事情を察しつつ,退院前カンファレンスを依頼
自分がしたい看護を自分の言葉で自由に表現できること
高齢者の「回復」は,穏やかで緩やかなカーブ
「ねばならない」の枠を外すと見えてくる
地域包括ケアに必要な「自由人」の発想
第3章 住み慣れた場所で最期まで暮らす-地域包括ケアのささえ
穏やかな老化の過程に寄り添う
在宅看取りのバトンタッチ-訪問介護・看護・診療でささえたノブさんの14年間
デイサービスよりも,「お寺の留守番が私の仕事」
風邪からの脱水症で点滴-医療を重装備にしないケア
「救急車は絶対呼ばないで」とあちこちに書いて迎えたその日
落ち着いたお別れの場面をつくる,看取りケアの技
看取られる人,看取る人,別れを意識するきっかけを
お別れができるうちにコミュニケーションの場面を
救急搬送,死亡,警察の検死となると……
つらい場面でも,思い出話のグリーフケアで現実を受け止める
病院に行ったあとも,在宅ケアの手は離さないで協働を
在宅看取りの経験は,病院での看取りも変えていく
看病にかかわる人のことを認め,ねぎらう
家族はどうすればよいのか-看取りの指南役は訪問看護師
“看取りの文化”を取り戻し,引き継ぐ
夫婦をささえ続けた地域包括ケア
自宅でリハビリ,経鼻栄養から経口摂取へ
主介護者の妻が緊急入院,自宅で案じる要介護の夫
家族と訪問看護・介護で最後のお見舞い決行,その日に
妻の入院・手術を見守った「あたたかい人魂」
寝たきりでも「家でみたい」-退院準備
人それぞれの亡くなり方に向き合えるチームを
人との交流で新たな力を引き出す-フォーマル・インフォーマルサポートの協働
末期がんの元ホームレス・ヨシオさんの退院支援
デイサービス,ヘルパー,訪問看護と訪問診療
頑なな態度を変えたのは,デイサービス仲間との交流
困難ケースも,それぞれの力を引き出す交流がささえに
軽費老人ホームでの20人の共同生活が新たな地縁に
迷惑をかけつつも,愛される存在として逝く
地域に種を蒔く人になろう
人を好まず気難しいオサムさん
公園での保育園児との交流が笑顔のリハビリ
大好きなあんぱんを話題に
「あれから5年経ちました」という手紙
日々の訪問が,地域を耕し種を蒔く
心身がどんな状態でも,尊重されて暮らしていける地域を
既存の資源を活かすアプローチを
認知症になっても,尊重されて暮らしていけるまちをつくりたい
対談 地域でともに老い,看取る-まるごとケアを花戸貴司医師と語り合う
きっかけは最初の在宅看取り
「老衰」をどうみていくか
不可逆性の判断は困難だが,医療は本人の希望に沿って
家族だって確信がもてない
「ごはんが食べられなくなったらどうしますか?」
医療者としての意識転換
医療を「何もしない」ことは「ケアに集中」の積極的な選択
「何かする」ほうが医療者は楽
家族と向き合う
元気なときと比べて変化を伝える
自分や家族で抱え込まずに地域全体で
まず医療者が「地域の人」になる
「専門職にしかできないこと」と「地域の誰かにやってもらえること」がある
都市でも地方でも「看取れるコミュニティ」はつくれる
人は看取り看取られ
エピローグ-つながる・ささえる・つくりだす
初出一覧
著者プロフィール
第1章 事例からみえる地域包括ケア
地域のなかで,家族まるごとを継続的にみるためには?
「包括」が指し示すのは「まるごと」と「継続性」
生きづらさを抱えた一家4人
ご近所のかかわりで,暮らしの保健室へ
地域ケア会議をきっかけに,職域を越えて自分にできることを考える
この事例の成功要因は? 多職種で検討
視点(1)さまざまなサポートでも,足りないもの
視点(2)トオルさんに本当に必要なサポートとは?
視点(3)地域ケア会議で,さまざまな支援がつながり,補い合う
視点(4)障がいによる生きづらさを抱える人をどうささえるか
◎…Current Topics 看護小規模多機能型居宅介護(看多機)
退院後,望む療養生活のために必要なものは?
「特養に戻るには胃ろうを造設しなければ」?
夫婦の5年間の経緯
看多機の泊まり,通い,訪問で自宅退院を準備
看護師の気づきで発熱原因が判明,薬の見直しから発語も
通いと泊まりで夫婦の在宅生活は順調
この事例の成功要因は? 多職種で検討
視点(1)家族が判断できるよう選択肢を増やす-特養・在宅・看多機
視点(2)関係者が「退院しても大丈夫」と思える準備は?
視点(3)何がタケオさんの劇的な回復につながったのか?
視点(4)条件さえ整えば家で過ごせる人が,もっといるのでは?
◎…Current Topics 地域包括ケアの土壌をつくる「フラットな事例検討会」の開き方
第2章 地域をつなぎ,ささえる居場所
人をつなぐ地域包括ケアの入り口「暮らしの保健室」
-予約なし・無料の医療よろず相談所
高齢化する団地の一角,商店街の空き店舗をお借りして
敷居の低い,身近な相談所が必須
いつでもふらりと来てほしいから,ボランティアが常駐
住民のそばにあるからこそ聞こえてくる声
地域包括ケアの土台である養生や予防のために
暮らしのなかのつながりから広がる「互助」の世界
道に迷ったキクヨさん,ご近所の力で身元判明
大都会にも地域の力が生きている
つながりを強めるちょっとした「おせっかい」を
オープン5周年を迎え,多くの人を迎える場所に
相談者が自分で考え,決める力を取り戻せるサポート
-マギーズ・キャンサー・ケアリング・センター
がん治療が変化して,患者さんは忙しい
マギーズと出会い,「日本にも!」と活動を続けて
対話によって自己決定をささえるマギーズ流サポート
がんを経験した鈴木美穂さんとの出会い
「マギーズ東京」実現へキックオフ
地域包括ケアの基本理念に通底するサポーティブケア
◎…Current Topics 英国のマギーズ・キャンサー・ケアリング・センター
(Maggie's Cancer Caring Centre)
訪問介護+訪問看護+ショートステイ+デイサービスを組み合わせた地域包括ケア
「坂町ミモザの家の物語」の始まり-高齢となった母姉妹と暮らす娘さん
2人一緒に家でみる,想定外のケアプラン
リハビリと訪問歯科でモトさん,前向きに
認知症・日中独居のミホさんの生活を改善
主治医意見書のための受診に訪問看護として同行
デイサービス探し,最初の見学
デイサービス,次の見学先はお琴が糸口
訪問介護中心に切り替え-受け入れには時間をかけて
住宅改修-要介護者2人分の改修費を合算して
退院後すぐにデイサービスに通ったモトさん
介護離職はしないで,自宅で2人をささえるケアプラン
「閉じられた窓が外に向かって開くように」
自宅を活用して一緒に「看多機」ができたら
訪問看護と並行しての新規事業準備にサポートを
訪問看護・くらしの保健室のご縁が看多機に
資金融資の依頼は,地域での実績と理念を伝え
対談 地域包括ケアはもっとやさしく,もっと自由に
「坂町ミモザの家」で中島紀惠子氏と語り合う
地域包括ケアに必要なハブ-看多機づくりを例に
要介護が2人なら一緒に在宅で「みる」という手も
本人が何をめざしているか? そこに向かって
気持ちを引き出し,ささえ続けた10年
退院直後の密なケアで,必ず落ち着く経験則
病院の事情を察しつつ,退院前カンファレンスを依頼
自分がしたい看護を自分の言葉で自由に表現できること
高齢者の「回復」は,穏やかで緩やかなカーブ
「ねばならない」の枠を外すと見えてくる
地域包括ケアに必要な「自由人」の発想
第3章 住み慣れた場所で最期まで暮らす-地域包括ケアのささえ
穏やかな老化の過程に寄り添う
在宅看取りのバトンタッチ-訪問介護・看護・診療でささえたノブさんの14年間
デイサービスよりも,「お寺の留守番が私の仕事」
風邪からの脱水症で点滴-医療を重装備にしないケア
「救急車は絶対呼ばないで」とあちこちに書いて迎えたその日
落ち着いたお別れの場面をつくる,看取りケアの技
看取られる人,看取る人,別れを意識するきっかけを
お別れができるうちにコミュニケーションの場面を
救急搬送,死亡,警察の検死となると……
つらい場面でも,思い出話のグリーフケアで現実を受け止める
病院に行ったあとも,在宅ケアの手は離さないで協働を
在宅看取りの経験は,病院での看取りも変えていく
看病にかかわる人のことを認め,ねぎらう
家族はどうすればよいのか-看取りの指南役は訪問看護師
“看取りの文化”を取り戻し,引き継ぐ
夫婦をささえ続けた地域包括ケア
自宅でリハビリ,経鼻栄養から経口摂取へ
主介護者の妻が緊急入院,自宅で案じる要介護の夫
家族と訪問看護・介護で最後のお見舞い決行,その日に
妻の入院・手術を見守った「あたたかい人魂」
寝たきりでも「家でみたい」-退院準備
人それぞれの亡くなり方に向き合えるチームを
人との交流で新たな力を引き出す-フォーマル・インフォーマルサポートの協働
末期がんの元ホームレス・ヨシオさんの退院支援
デイサービス,ヘルパー,訪問看護と訪問診療
頑なな態度を変えたのは,デイサービス仲間との交流
困難ケースも,それぞれの力を引き出す交流がささえに
軽費老人ホームでの20人の共同生活が新たな地縁に
迷惑をかけつつも,愛される存在として逝く
地域に種を蒔く人になろう
人を好まず気難しいオサムさん
公園での保育園児との交流が笑顔のリハビリ
大好きなあんぱんを話題に
「あれから5年経ちました」という手紙
日々の訪問が,地域を耕し種を蒔く
心身がどんな状態でも,尊重されて暮らしていける地域を
既存の資源を活かすアプローチを
認知症になっても,尊重されて暮らしていけるまちをつくりたい
対談 地域でともに老い,看取る-まるごとケアを花戸貴司医師と語り合う
きっかけは最初の在宅看取り
「老衰」をどうみていくか
不可逆性の判断は困難だが,医療は本人の希望に沿って
家族だって確信がもてない
「ごはんが食べられなくなったらどうしますか?」
医療者としての意識転換
医療を「何もしない」ことは「ケアに集中」の積極的な選択
「何かする」ほうが医療者は楽
家族と向き合う
元気なときと比べて変化を伝える
自分や家族で抱え込まずに地域全体で
まず医療者が「地域の人」になる
「専門職にしかできないこと」と「地域の誰かにやってもらえること」がある
都市でも地方でも「看取れるコミュニティ」はつくれる
人は看取り看取られ
エピローグ-つながる・ささえる・つくりだす
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著者プロフィール
書評
開く
誰もがケアに関わり,支え合う存在となる“地域包括ケア”の具体像(雑誌『看護管理』より)
書評者: 勝原 裕美子 (オフィスKATSUHARA 代表)
“地域包括ケア”という言葉を聞くようになって久しい。いくつになっても,また,どのような健康状態であっても,人々が住み慣れた地域で暮らしていけるように,ようやく人や施設がつながり始めた。それでも,まだ手探りの市町村は多い。
著者の秋山正子さんは,訪問看護や介護の現場に長く身を置きながら,ケアを必要とする人の暮らしの場づくりを支えてきた。その豊富な経験と実績から,地域包括ケアというのはこういうことなんですよと,具体的な姿を示してくれたのが本書である。
◆「つながる・ささえる・つくりだす」ことで実現される永続的なケア
“病院”には,大きく分けて2種類の人がいる。「患者さん」と「職員」。そこには,構造的にも機能的にも,そして心理的にも明確な区別がある。両者は明らかに異なる者として互いを認識し,それぞれの社会的役割を演じている。
しかし,本書が示す“地域”では,そのような区別はあまり意味をなさない。もちろん,プロとしてケアに関わる人と,ケアを受ける人という対比は可能だ。しかし,暮らしの保健室のような「つながる・ささえる・つくりだす」という機能が発揮されれば,全てが包括された中で必要な役割が自在に変化し,人々を守り,生かすことになる。細切れの時空にいるバラバラな人や点在する施設ではないのだ。
だから,ケアを受ける人だけが特別な存在ではなくなる。誰もがケアに関わり,支え合える存在になる。その継承性,永続性が,秋山さんの言うaging in place(医療や介護を上手に使いながら,できるだけ穏やかに最期まで暮らすこと)となっていく。
本書に登場するトオルさんもタケルさんも,細切れの支援ではaging in placeはかなわなかった。暮らしの保健室の関わりによって,約5年もの間,個人の尊厳,家族との暮らし,地域社会における存在を大事にできたのだと思う。
それらは,たくさんある中での,とてもうまくいった事例なのかもしれない。でも,私は,それらを理想的だとは言いたくない。暮らしの保健室のようなところがあれば,誰もが,このようなケアを授け,受けることができると思えるからだ。
実際,秋山さんの活動は全国に波及している。暮らしの保健室という名称は誰が使ってもかまわないという考えが,それを後押ししている。そして,秋山さん自身は,マギーズ東京という,がんになった人とその家族や友人がとまどい孤独なとき,自分自身の力を取り戻すための場(マギーズ東京ホームページより)をも展開し始めた。本書には,そのオープニングに至るまでの経緯が記されている。
◆現場で悩む人の背中を押してくれる
秋山さんは,本物の社会起業家だ。在宅現場で働く人たちも,在宅とつながる医療機関の人たちも,市町村の担当者の方々も,本当はここが足りないとか,こうだったらいいのにと気づいていてもまだできていないことがあるだろう。本書は,そういう人たちが,一歩進む後押しをしてくれるような,そんな強さと温かさを与えてくれる。
(『看護管理』2017年11月号掲載)
書評(雑誌『訪問看護と介護』より)
書評者: 上野 幸子 (佐賀市在宅医療・介護連携支援センター)
2008年、第9回国際がん看護セミナーでのこと。スコットランドのエジンバラにある「マギーズキャンサーケアリングセンター」の紹介を受け、熱心に質問をする秋山正子さんの姿を今でもはっきり覚えています。マギーズの活動こそご自身が求めていた形であると語り、運営方法やファンドはどうしているのか、この日本でもできないだろうかと尋ねていました。
それから2年後、「暮らしの保健室」の開設に始まり、2016年10月「マギーズ東京」オープンまでの夢を形にする秋山さんの実践力を、私は1人の訪問看護師として身近に感じながらも仰ぎ見てきました。この本では、その実践力の成果を「つなげる・ささえる・つくりだす」というキーワードでまとめ、「地域包括ケア」を形づくる方法が描かれています。
◆秋山さんの実践が勇気をくれた
訪問看護認定看護師教育課程に通っていたころ、私は、「在宅看取り率・訪問看護利用率ワースト1位」だった地元・佐賀県の人たちにも在宅ケアの魅力を知ってほしい、在宅看取りが市民権を得られるようにしたいと願っていました。そんなとき実習先の白十字訪問看護ステーションで秋山さんに出会い、純粋な感性を軸に、人と人がつながることをなんとストレートにサポートできる人なのだろうと思いました。
この幸運な出会いと、間近に見た秋山さんの実践は、私に1つの勇気をくれました。それは「人は最後まで自分らしく生ききることができる。その手助けをするために在宅ケアがある」という信念となり、「看護の言語化というけれど、どう表現し、伝えればいいのだろう」と模索していた私の支えになってくれました。
さらに実習を終えて佐賀県に戻り、訪問看護師として日常業務をこなしながら、看護小規模多機能型居宅介護「ケアステーション野の花」を立ち上げるときのヒントと原動力にもなり、地域の人のニーズに応えられる看護の力を発揮するモチベーションや、看護実践のベースになったと言っても過言ではありません。やがて在宅ケアに協力的な医師との連携が始まり、時を同じくして地域の多職種連携ネットワークをつくり出すきっかけをもらい、いまでは市民公開講座を定期的に開催できるまでになりました。
◆地域に根差した言葉で語る「地域包括ケア」
この本では、「地域包括ケア」というなんだかよくわからない言葉の意味するところが、秋山さんご自身の地域に根差した活動を通して、手に取るように伝わってきます。どの事例でもとてもあたたかで丁寧な関わりがなされ、人と人がつながって紡ぎ出される持続可能な支援とその結果が、とてもやさしく、身近に感じられる文章で綴られています。
この本を読めば、私たちが地域に根差した活動を続けることこそが、地域包括ケアになるのだとわかります。皆さんもかつての私と同じように、勇気をもらうことができるはずです。
(『訪問看護と介護』2017年9月号掲載)
書評者: 勝原 裕美子 (オフィスKATSUHARA 代表)
“地域包括ケア”という言葉を聞くようになって久しい。いくつになっても,また,どのような健康状態であっても,人々が住み慣れた地域で暮らしていけるように,ようやく人や施設がつながり始めた。それでも,まだ手探りの市町村は多い。
著者の秋山正子さんは,訪問看護や介護の現場に長く身を置きながら,ケアを必要とする人の暮らしの場づくりを支えてきた。その豊富な経験と実績から,地域包括ケアというのはこういうことなんですよと,具体的な姿を示してくれたのが本書である。
◆「つながる・ささえる・つくりだす」ことで実現される永続的なケア
“病院”には,大きく分けて2種類の人がいる。「患者さん」と「職員」。そこには,構造的にも機能的にも,そして心理的にも明確な区別がある。両者は明らかに異なる者として互いを認識し,それぞれの社会的役割を演じている。
しかし,本書が示す“地域”では,そのような区別はあまり意味をなさない。もちろん,プロとしてケアに関わる人と,ケアを受ける人という対比は可能だ。しかし,暮らしの保健室のような「つながる・ささえる・つくりだす」という機能が発揮されれば,全てが包括された中で必要な役割が自在に変化し,人々を守り,生かすことになる。細切れの時空にいるバラバラな人や点在する施設ではないのだ。
だから,ケアを受ける人だけが特別な存在ではなくなる。誰もがケアに関わり,支え合える存在になる。その継承性,永続性が,秋山さんの言うaging in place(医療や介護を上手に使いながら,できるだけ穏やかに最期まで暮らすこと)となっていく。
本書に登場するトオルさんもタケルさんも,細切れの支援ではaging in placeはかなわなかった。暮らしの保健室の関わりによって,約5年もの間,個人の尊厳,家族との暮らし,地域社会における存在を大事にできたのだと思う。
それらは,たくさんある中での,とてもうまくいった事例なのかもしれない。でも,私は,それらを理想的だとは言いたくない。暮らしの保健室のようなところがあれば,誰もが,このようなケアを授け,受けることができると思えるからだ。
実際,秋山さんの活動は全国に波及している。暮らしの保健室という名称は誰が使ってもかまわないという考えが,それを後押ししている。そして,秋山さん自身は,マギーズ東京という,がんになった人とその家族や友人がとまどい孤独なとき,自分自身の力を取り戻すための場(マギーズ東京ホームページより)をも展開し始めた。本書には,そのオープニングに至るまでの経緯が記されている。
◆現場で悩む人の背中を押してくれる
秋山さんは,本物の社会起業家だ。在宅現場で働く人たちも,在宅とつながる医療機関の人たちも,市町村の担当者の方々も,本当はここが足りないとか,こうだったらいいのにと気づいていてもまだできていないことがあるだろう。本書は,そういう人たちが,一歩進む後押しをしてくれるような,そんな強さと温かさを与えてくれる。
(『看護管理』2017年11月号掲載)
書評(雑誌『訪問看護と介護』より)
書評者: 上野 幸子 (佐賀市在宅医療・介護連携支援センター)
2008年、第9回国際がん看護セミナーでのこと。スコットランドのエジンバラにある「マギーズキャンサーケアリングセンター」の紹介を受け、熱心に質問をする秋山正子さんの姿を今でもはっきり覚えています。マギーズの活動こそご自身が求めていた形であると語り、運営方法やファンドはどうしているのか、この日本でもできないだろうかと尋ねていました。
それから2年後、「暮らしの保健室」の開設に始まり、2016年10月「マギーズ東京」オープンまでの夢を形にする秋山さんの実践力を、私は1人の訪問看護師として身近に感じながらも仰ぎ見てきました。この本では、その実践力の成果を「つなげる・ささえる・つくりだす」というキーワードでまとめ、「地域包括ケア」を形づくる方法が描かれています。
◆秋山さんの実践が勇気をくれた
訪問看護認定看護師教育課程に通っていたころ、私は、「在宅看取り率・訪問看護利用率ワースト1位」だった地元・佐賀県の人たちにも在宅ケアの魅力を知ってほしい、在宅看取りが市民権を得られるようにしたいと願っていました。そんなとき実習先の白十字訪問看護ステーションで秋山さんに出会い、純粋な感性を軸に、人と人がつながることをなんとストレートにサポートできる人なのだろうと思いました。
この幸運な出会いと、間近に見た秋山さんの実践は、私に1つの勇気をくれました。それは「人は最後まで自分らしく生ききることができる。その手助けをするために在宅ケアがある」という信念となり、「看護の言語化というけれど、どう表現し、伝えればいいのだろう」と模索していた私の支えになってくれました。
さらに実習を終えて佐賀県に戻り、訪問看護師として日常業務をこなしながら、看護小規模多機能型居宅介護「ケアステーション野の花」を立ち上げるときのヒントと原動力にもなり、地域の人のニーズに応えられる看護の力を発揮するモチベーションや、看護実践のベースになったと言っても過言ではありません。やがて在宅ケアに協力的な医師との連携が始まり、時を同じくして地域の多職種連携ネットワークをつくり出すきっかけをもらい、いまでは市民公開講座を定期的に開催できるまでになりました。
◆地域に根差した言葉で語る「地域包括ケア」
この本では、「地域包括ケア」というなんだかよくわからない言葉の意味するところが、秋山さんご自身の地域に根差した活動を通して、手に取るように伝わってきます。どの事例でもとてもあたたかで丁寧な関わりがなされ、人と人がつながって紡ぎ出される持続可能な支援とその結果が、とてもやさしく、身近に感じられる文章で綴られています。
この本を読めば、私たちが地域に根差した活動を続けることこそが、地域包括ケアになるのだとわかります。皆さんもかつての私と同じように、勇気をもらうことができるはずです。
(『訪問看護と介護』2017年9月号掲載)
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