循環器疾患
医学生が“はじめに手にする”内科学書
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序文
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Foreword
℗内科学の基礎になっているのは身体の動きの理屈,つまり病態生理です.この言葉は,英米の教科書でよく使われる「pathophysiology」の訳ですが,概念が戦後に導入されたこともあり,医学部教育ではこれまでそれほど使われてきませんでした.むしろ,看護学の教科書タイトルにあるように,「病態生理学」はコメディカルの講座名として定着しています.言い方を変えれば,医学部では「病態生理学」を臓器別に細切れにして講座をつくっているともいえます.
筆者は薬学部で病態生理学教室の主任として病態生理学全般(内科学だけでなく,産科・婦人科学,耳鼻科学,眼科学,精神科学,麻酔科学,救急医学も含みます)と薬物治療学の一部,そして臨床医学の歴史など年間100コマ以上講義しています.講義準備のために最近の医学生向け教科書をいくつか参照しましたが,筆者が医学生だった時代に比べて,内容が格段に詳しくなっている反面,「なぜそうなるのか?」「なぜそうするのか?」という理屈の説明が不十分であると感じました.また,「どれくらいの頻度か?」「どれくらいの割合か?」が定量的に記述されておらず,「多い」「少ない」とだけ記されている場合もあり,病気の症状や治療の具体的イメージを描くのが困難でした.図や表が主体の教科書では,どこに注目してよいのかわからず,講義で説明を聴きながらの学習には向いていても,自習は難しいと思われました.(注)理屈抜きでの丸暗記には限界がありますし,(注)参加型の授業でも自習による予習は欠かせません.
そこで,これらの点に留意しつつ,℗臓器別にポイントとなる事項を通読し,自習できる教材として内科学を病態生理の視点から分冊形式でまとめたのが「Navigateシリーズ」です.
本シリーズでは,℗記載をなるべく定量的(~%,何分の1など)にし,臨床現場での診断や治療にも活用できるように心がけました.また,「病態生理」が理解できるように,℗理屈や理由の部分に重点を置いて説明をしています.一方で,内科学を初めて学ぷ医学生の視点に立って,必要以上に詳しい説明は避け,臨床で見落としてはいけないことや確実に理解してほしい事項に緑の下線を,禁忌事項など特に注意を要する事項には黄や赤の下線を引いて,℗重要事項を視覚的に目立たせることにしました.下線部分を繰り返し学習・確認することで,内科の基礎が築け,薬学生や看護学生にも有益な内容になっています.
さらに,欄外の「One More Navi」のコーナーには,卒業後も役立ちそうな情報や先端的な内容,用語解説,歴史的挿話や興味深いエピソードなどを配置し,本文の流れを乱さず,しかし,当たり前のことしか書いてない教科書を超えるオリジナリティをもたせました.もちろん,欄外の余白に読者の皆さんが調べたことを書き込むこともできます.
℗文字情報だけでは理解が難しい内容については,イラストや表を積極的に挿入しました.また,℗病気の理解を助ける典型的な症例や検査データを医師国家試験から引用しましたので,テキストの下線の内容が試験対策にもなることを実感してもらえると思います.さらに,各項目にまたがる詳しい説明は「Assist Navi」「関連項目」のコーナーで説明しています.
℗循環器では生化学より生理学の基礎知識が重視されます.弁膜症や先天性心疾患の項目について,患者が減少しているにもかかわらず詳しくしたのはそのためです.血行動態の理解はその破綻を学ぶことによって深まります。℗理詰めで考えることこそが循環器の王道です.心音も心エコーと一緒に理解すれば楽ですし,心電図もイオンチャネルの機能を背景に理解すると応用がききます.℗循環器を制すれば臨床医学に自信がもてます.ぜひ通読して理解を深めてください.
2014年9月
石橋賢一
℗内科学の基礎になっているのは身体の動きの理屈,つまり病態生理です.この言葉は,英米の教科書でよく使われる「pathophysiology」の訳ですが,概念が戦後に導入されたこともあり,医学部教育ではこれまでそれほど使われてきませんでした.むしろ,看護学の教科書タイトルにあるように,「病態生理学」はコメディカルの講座名として定着しています.言い方を変えれば,医学部では「病態生理学」を臓器別に細切れにして講座をつくっているともいえます.
筆者は薬学部で病態生理学教室の主任として病態生理学全般(内科学だけでなく,産科・婦人科学,耳鼻科学,眼科学,精神科学,麻酔科学,救急医学も含みます)と薬物治療学の一部,そして臨床医学の歴史など年間100コマ以上講義しています.講義準備のために最近の医学生向け教科書をいくつか参照しましたが,筆者が医学生だった時代に比べて,内容が格段に詳しくなっている反面,「なぜそうなるのか?」「なぜそうするのか?」という理屈の説明が不十分であると感じました.また,「どれくらいの頻度か?」「どれくらいの割合か?」が定量的に記述されておらず,「多い」「少ない」とだけ記されている場合もあり,病気の症状や治療の具体的イメージを描くのが困難でした.図や表が主体の教科書では,どこに注目してよいのかわからず,講義で説明を聴きながらの学習には向いていても,自習は難しいと思われました.(注)理屈抜きでの丸暗記には限界がありますし,(注)参加型の授業でも自習による予習は欠かせません.
そこで,これらの点に留意しつつ,℗臓器別にポイントとなる事項を通読し,自習できる教材として内科学を病態生理の視点から分冊形式でまとめたのが「Navigateシリーズ」です.
本シリーズでは,℗記載をなるべく定量的(~%,何分の1など)にし,臨床現場での診断や治療にも活用できるように心がけました.また,「病態生理」が理解できるように,℗理屈や理由の部分に重点を置いて説明をしています.一方で,内科学を初めて学ぷ医学生の視点に立って,必要以上に詳しい説明は避け,臨床で見落としてはいけないことや確実に理解してほしい事項に緑の下線を,禁忌事項など特に注意を要する事項には黄や赤の下線を引いて,℗重要事項を視覚的に目立たせることにしました.下線部分を繰り返し学習・確認することで,内科の基礎が築け,薬学生や看護学生にも有益な内容になっています.
さらに,欄外の「One More Navi」のコーナーには,卒業後も役立ちそうな情報や先端的な内容,用語解説,歴史的挿話や興味深いエピソードなどを配置し,本文の流れを乱さず,しかし,当たり前のことしか書いてない教科書を超えるオリジナリティをもたせました.もちろん,欄外の余白に読者の皆さんが調べたことを書き込むこともできます.
℗文字情報だけでは理解が難しい内容については,イラストや表を積極的に挿入しました.また,℗病気の理解を助ける典型的な症例や検査データを医師国家試験から引用しましたので,テキストの下線の内容が試験対策にもなることを実感してもらえると思います.さらに,各項目にまたがる詳しい説明は「Assist Navi」「関連項目」のコーナーで説明しています.
℗循環器では生化学より生理学の基礎知識が重視されます.弁膜症や先天性心疾患の項目について,患者が減少しているにもかかわらず詳しくしたのはそのためです.血行動態の理解はその破綻を学ぶことによって深まります。℗理詰めで考えることこそが循環器の王道です.心音も心エコーと一緒に理解すれば楽ですし,心電図もイオンチャネルの機能を背景に理解すると応用がききます.℗循環器を制すれば臨床医学に自信がもてます.ぜひ通読して理解を深めてください.
2014年9月
石橋賢一
目次
開く
A 循環器の解剖
B 心機能と循環の調節
C 循環器疾患の徴候
D 循環器疾患の身体所見
E 心機能の評価
F 心不全
G 不整脈
H 虚血性心疾患
I 心膜疾患
J 心筋疾患
K 弁膜疾患
L 先天性心疾患
M 動脈疾患
N 静脈・リンパ系疾患
O 高血圧症
文献一覧
Index
B 心機能と循環の調節
C 循環器疾患の徴候
D 循環器疾患の身体所見
E 心機能の評価
F 心不全
G 不整脈
H 虚血性心疾患
I 心膜疾患
J 心筋疾患
K 弁膜疾患
L 先天性心疾患
M 動脈疾患
N 静脈・リンパ系疾患
O 高血圧症
文献一覧
Index