脳卒中リハビリテーションマニュアル
脳卒中リハに携わるスタッフ必携! 臨床能力の向上はこの1冊で
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脳卒中はリハスタッフが最も多く携わる疾患であり、急性期から維持期(生活期)までの長期間にわたり患者と接するため、多岐にわたる知識が要求される。本書では、リスク管理やゴール設定、リハプログラムを計画するうえで最低限抑えておくべき脳卒中および関連する併存疾患の医学的知識を整理。また、臨床現場で必要とされる画像や検査値の見かた、障害の評価や治療手技、社会資源の活用方法などのポイントをまとめた。
編集 | 宮越 浩一 |
---|---|
発行 | 2014年05月判型:B6変頁:368 |
ISBN | 978-4-260-01924-8 |
定価 | 3,520円 (本体3,200円+税) |
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- 序文
- 目次
- 書評
序文
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序
脳卒中は生命予後に影響を与える重大な疾患であり,急性期では生命予後の改善を目的とした全身管理が主な治療となる.しかし生命の危機を乗り越えた後は脳卒中により生じたさまざまな障害が治療の対象となる.脳卒中による問題は麻痺や失語症などの機能障害だけではなく,併存疾患や社会的問題などを含めて多様である.そしてこれらはお互いに影響し合い, 患者の社会復帰を困難なものにする.
リハビリテーション(以下リハ)はこれらの問題を改善する目的で実施されるが,急性期から回復期,維持期(生活期)にわたる長期間,これらの多様な問題を対象に治療を提供するものである.特に近年では機能改善や合併症の予防を目的として全身状態の安定していない急性期症例もリハの対象となることが多くなっており,合併症管理のための医学的知識も必要とされている.
このため必要とされる知識は,脳卒中および関連する併存疾患に関する医学的問題,障害の評価と治療手技,社会資源の活用方法など幅広い.そしてこの知識を生かすためには臨床現場で患者の情報を収集し,それを適切に整理する判断能力が必要である.そのうえでこれらの情報を統合してリハプログラムに反映し,それを実行する応用能力が求められる.また,脳卒中による複雑な問題を解決するために関わる医療従事者は多数であるため良好なチームワークも重要である.
さらに,本格的な超高齢社会を迎えたわが国では,脳卒中患者の大幅な増加とニーズの変化に対応するために,コ・メディカルスタッフの果たすべき役割はさらに拡大していくものと予想される.
このような背景から,コ・メディカルスタッフの自己学習のための参考書として本書を企画した.上述した理由より,本書では脳卒中に関連する医学的な知識についても多めに解説を加えることとしている.これらの知識を理解したうえで患者と接することにより,医学的な側面より患者の病態を理解し,臨床能力のより効率的な向上が期待できると考える.
本書の出版にあたり様々な協力を頂いた亀田総合病院のスタッフ一同と,企画から出版までを熱心に支援頂いた医学書院の北條立人氏にこの場を借りてお礼申し上げたい.本書が多くの脳卒中臨床に携わるコ・メディカルスタッフの学習の一助となり,脳卒中リハの質や安全性の向上につながれば幸いである.
2014年4月
宮越浩一
脳卒中は生命予後に影響を与える重大な疾患であり,急性期では生命予後の改善を目的とした全身管理が主な治療となる.しかし生命の危機を乗り越えた後は脳卒中により生じたさまざまな障害が治療の対象となる.脳卒中による問題は麻痺や失語症などの機能障害だけではなく,併存疾患や社会的問題などを含めて多様である.そしてこれらはお互いに影響し合い, 患者の社会復帰を困難なものにする.
リハビリテーション(以下リハ)はこれらの問題を改善する目的で実施されるが,急性期から回復期,維持期(生活期)にわたる長期間,これらの多様な問題を対象に治療を提供するものである.特に近年では機能改善や合併症の予防を目的として全身状態の安定していない急性期症例もリハの対象となることが多くなっており,合併症管理のための医学的知識も必要とされている.
このため必要とされる知識は,脳卒中および関連する併存疾患に関する医学的問題,障害の評価と治療手技,社会資源の活用方法など幅広い.そしてこの知識を生かすためには臨床現場で患者の情報を収集し,それを適切に整理する判断能力が必要である.そのうえでこれらの情報を統合してリハプログラムに反映し,それを実行する応用能力が求められる.また,脳卒中による複雑な問題を解決するために関わる医療従事者は多数であるため良好なチームワークも重要である.
さらに,本格的な超高齢社会を迎えたわが国では,脳卒中患者の大幅な増加とニーズの変化に対応するために,コ・メディカルスタッフの果たすべき役割はさらに拡大していくものと予想される.
このような背景から,コ・メディカルスタッフの自己学習のための参考書として本書を企画した.上述した理由より,本書では脳卒中に関連する医学的な知識についても多めに解説を加えることとしている.これらの知識を理解したうえで患者と接することにより,医学的な側面より患者の病態を理解し,臨床能力のより効率的な向上が期待できると考える.
本書の出版にあたり様々な協力を頂いた亀田総合病院のスタッフ一同と,企画から出版までを熱心に支援頂いた医学書院の北條立人氏にこの場を借りてお礼申し上げたい.本書が多くの脳卒中臨床に携わるコ・メディカルスタッフの学習の一助となり,脳卒中リハの質や安全性の向上につながれば幸いである.
2014年4月
宮越浩一
目次
開く
脳卒中のリハビリテーション 俯瞰図
序説 脳卒中のリハビリテーションを行う力量とは
I 脳卒中の基礎知識
1 脳卒中の基礎知識
1 脳卒中概論
2 脳の機能解剖と画像所見
3 脳梗塞
4 脳出血
5 くも膜下出血
6 重症度評価
7 代表的な薬物治療
8 意識障害と神経症状
9 術後管理
10 併存疾患の管理
11 脳卒中下肢装具
2 リスク管理
1 合併症への対応
2 急性期の離床基準
3 誤嚥と窒息
3 予後予測
4 カルテ記載の方法
II 急性期から回復期での対応
1 評価と治療
1 機能障害の評価
2 ADL評価
3 精神機能と高次脳機能評価
4 失語症,構音障害の評価
5 嚥下機能の評価
6 各種麻痺回復運動の特徴
7 日常生活動作指導
2 チーム医療
1 入院前生活
2 入院環境の調整方法
3 院内の多職種連携
4 院外の多職種連携
5 家族指導
6 ホームエバリュエーション
7 社会復帰のための準備
8 自動車運転
III 維持期・在宅での対応
1 退院後の生活
1 維持期(生活期)のリハビリテーション
2 介護資源の活用とケアプラン検討
3 長期的にADLを維持するために
4 体調不良時の対応
5 主治医とのコミュニケーション
付録
1 職務記述書とスキルチェックシート
2 医科点数表の理解
3 略語集
索引
序説 脳卒中のリハビリテーションを行う力量とは
I 脳卒中の基礎知識
1 脳卒中の基礎知識
1 脳卒中概論
2 脳の機能解剖と画像所見
3 脳梗塞
4 脳出血
5 くも膜下出血
6 重症度評価
7 代表的な薬物治療
8 意識障害と神経症状
9 術後管理
10 併存疾患の管理
11 脳卒中下肢装具
2 リスク管理
1 合併症への対応
2 急性期の離床基準
3 誤嚥と窒息
3 予後予測
4 カルテ記載の方法
II 急性期から回復期での対応
1 評価と治療
1 機能障害の評価
2 ADL評価
3 精神機能と高次脳機能評価
4 失語症,構音障害の評価
5 嚥下機能の評価
6 各種麻痺回復運動の特徴
7 日常生活動作指導
2 チーム医療
1 入院前生活
2 入院環境の調整方法
3 院内の多職種連携
4 院外の多職種連携
5 家族指導
6 ホームエバリュエーション
7 社会復帰のための準備
8 自動車運転
III 維持期・在宅での対応
1 退院後の生活
1 維持期(生活期)のリハビリテーション
2 介護資源の活用とケアプラン検討
3 長期的にADLを維持するために
4 体調不良時の対応
5 主治医とのコミュニケーション
付録
1 職務記述書とスキルチェックシート
2 医科点数表の理解
3 略語集
索引
書評
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正確な情報がぎゅっと詰まった脳卒中リハの必携書
書評者: 千田 益生 (岡山大教授/岡山大病院総合リハビリテーション部長)
亀田総合病院は,千葉県南部の基幹病院であり,33診療科,病床数865床を有しており,リハビリテーション科医師は7名,コ・メディカルスタッフ約170名という,急性期から維持期までの充実したリハビリテーションを実践している病院です。千葉県南部の医療の中心を担っており,数多くの症例が経験できるということで,研修病院としても非常に人気が高い病院です。高い臨床レベルの治療を行うと同時に,常に若い医師やコ・メディカルスタッフが真剣に研修している場でもあるといえます。
本書『脳卒中リハビリテーションマニュアル』は,リハビリテーション科部長である宮越浩一先生が「コ・メディカルスタッフの自己学習ための参考書」として企画・作成されました。亀田総合病院のスタッフが執筆されており,叡智が結集された形になっています。
本書を読ませていただいて,まず感じたことは,「コ・メディカルスタッフの自己学習ための参考書」をはるかに超えた,充実した内容であるということです。脳卒中の急性期から維持期までという長期間のリハビリテーションにおけるゴール設定,リハビリテーションプログラムの作成,またリスク管理を行う上で,必要とされる知識を網羅しています。脳卒中を担当する医師や医学生にも十分参考になる内容です。画像の説明や検査値の読み方が丁寧に記載されており,図・表あるいはフローチャートが効果的に配置されて理解しやすいよう工夫されています。重要な箇所は“ここがポイント”として強調されており,重要な事柄を箇条書きに,そして具体的に記載されているところが助かります。“脳卒中治療ガイドライン2009”に記載されている内容は,青い色で囲んで強調されており,ガイドラインにはどのように記載されているかがすぐにわかるようになっています。また,CI療法や川平法など,比較的新しい内容についても触れられています。説明文も,長文ではなく短く区切って読みやすくなっており,本自体の大きさも白衣のポケットに入れて携帯できるサイズですので便利です。“困ったときにちょっと拝見”ということが可能です。“ネットですぐに調べられるさ”という方がいるかもしれませんが,正しい情報というのは信頼できる本から得られるものです。また,略語集を付けてくれていることも役立つと思います。
全体のボリュームも368ページと分厚くなく適当であり,値段も3,200円とコ・メディカルスタッフや学生でも求めやすい値段に設定されています。脳卒中治療に関係する方々には,ぜひ手元に置いていただき,携帯して利用していただきたい一冊です。
書評者: 千田 益生 (岡山大教授/岡山大病院総合リハビリテーション部長)
亀田総合病院は,千葉県南部の基幹病院であり,33診療科,病床数865床を有しており,リハビリテーション科医師は7名,コ・メディカルスタッフ約170名という,急性期から維持期までの充実したリハビリテーションを実践している病院です。千葉県南部の医療の中心を担っており,数多くの症例が経験できるということで,研修病院としても非常に人気が高い病院です。高い臨床レベルの治療を行うと同時に,常に若い医師やコ・メディカルスタッフが真剣に研修している場でもあるといえます。
本書『脳卒中リハビリテーションマニュアル』は,リハビリテーション科部長である宮越浩一先生が「コ・メディカルスタッフの自己学習ための参考書」として企画・作成されました。亀田総合病院のスタッフが執筆されており,叡智が結集された形になっています。
本書を読ませていただいて,まず感じたことは,「コ・メディカルスタッフの自己学習ための参考書」をはるかに超えた,充実した内容であるということです。脳卒中の急性期から維持期までという長期間のリハビリテーションにおけるゴール設定,リハビリテーションプログラムの作成,またリスク管理を行う上で,必要とされる知識を網羅しています。脳卒中を担当する医師や医学生にも十分参考になる内容です。画像の説明や検査値の読み方が丁寧に記載されており,図・表あるいはフローチャートが効果的に配置されて理解しやすいよう工夫されています。重要な箇所は“ここがポイント”として強調されており,重要な事柄を箇条書きに,そして具体的に記載されているところが助かります。“脳卒中治療ガイドライン2009”に記載されている内容は,青い色で囲んで強調されており,ガイドラインにはどのように記載されているかがすぐにわかるようになっています。また,CI療法や川平法など,比較的新しい内容についても触れられています。説明文も,長文ではなく短く区切って読みやすくなっており,本自体の大きさも白衣のポケットに入れて携帯できるサイズですので便利です。“困ったときにちょっと拝見”ということが可能です。“ネットですぐに調べられるさ”という方がいるかもしれませんが,正しい情報というのは信頼できる本から得られるものです。また,略語集を付けてくれていることも役立つと思います。
全体のボリュームも368ページと分厚くなく適当であり,値段も3,200円とコ・メディカルスタッフや学生でも求めやすい値段に設定されています。脳卒中治療に関係する方々には,ぜひ手元に置いていただき,携帯して利用していただきたい一冊です。