人体の構造と機能[2]
生化学 第12版
本書の特長
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●解説の正確さに関しては定評のある本書ですが、第12版ではさらに新たな章の追加などを行い、内容の充実を図りました。
●“代謝”に代表される生化学の関連領域として「血液と尿」、および「代謝の異常」の2つの章を新たに設けました。
●第17章「代謝の異常」では、骨粗鬆症、糖尿病、脂質異常症、高尿酸血症・痛風を取り上げ、生化学的な知見を交えながら解説しました。
●第6章「水と無機質」では「酸塩基平衡」の項を新たにおき、平易な解説を加えました。
●第11版では視覚的に反応の流れが理解できるような紙面づくりと解説の工夫を行いました。この点は第12版でも踏襲されています。
●消化・吸収後の各栄養素の代謝も視覚的にとらえられるよう構成し、栄養学の領域を受け、分子レベルでの物質の変化の流れがわかりやすく解説されています。
*2011年版より表紙が新しくなりました。
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- 序文
- 目次
序文
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はしがき
私は薬学部で学び,現在は薬学部で「生化学」の講義を担当しているが,実は学生時代に最も不得手な科目は「生化学」であった。教えていただいた先生には申しわけないことであるが,好きになれなかったのである。その報いであろうか,いまだに「生化学」との付き合いが続いている。学生であった当時,「生化学」は薬学生にとって不要な科目ではなく,かなり大事らしいことがわかってはいても,たいして勉強もしないまま,試験を受けていた。そのせいもあって,私は学生に対して,「生化学」をきちんと勉強してほしいとは言えないし,また言ったこともない。
看護と生化学
看護学生にとっても「生化学」は学ばざるをえない科目であることを,私がいまさら言い立てる必要などないが,責任上少しだけ述べさせていただこう。生体がどのような化合物で成り立っていて,それらの化合物がどのようにつくられ,こわされて,生体の恒常性が保たれているかということの基礎をきちんと示してくれる学問が,「生化学」である。だから,ある程度は「生化学」を学んでおかなくては,生体の正常なしくみ・機能の破綻した状態である病気を正しく理解することはできない。しかも,病気には特有の生化学的異常という側面のあることが普通であり,その理解なくして本当の看護は行えない。
生化学の役割
看護学全体を1台の自動車にたとえるならば,「生化学」のような基礎的な科目は,目につきにくい小さな部品にすぎない。しかし,小さな部品でも,それが機能を果たせなくなると,自動車が動かなくなったりすることがある。自動車全体のことをわかろうとすれば,部品の大小にかかわりなく,どのような部品でできているか,それらの部品がどのような役割を果たしているかを知らなければならない。大きな部品の役割はわかりやすいが,小さな部品はわかりにくいこともあり,軽視されがちである。しかし,小さな部品にも大切な役割がある。
改訂のポイント
看護に進もうとしている学生のみなさんのお役に立てばと,本書第10版を書かせていただいてから,早くも8年が経過した。その間,多くの方々から貴重なご意見やご要望をいただいた。厚くお礼を申し上げたい。
第11版では,全ページにカラー印刷を導入して,美しく,見やすい紙面とするとともに,生化学の学問内容をできるだけ模式化して図に示すように努めた。また,とかく細部に深入りしがちな部分についての大局的な理解が可能となるように,周辺との関連づけをはかり2つの章の新設を行った。
今回の第12版では,図・表を含むすべての記載の見直しや補足を行うとともに,「血液と尿」および「代謝の異常」を新たに章として立てた。第9版まではあった血液・尿に関する章を,その内容が『血液・造血器』,『腎・泌尿器』,および『解剖生理学』という教科でも詳細に扱われているという理由で第10版と第11版では割愛したが,意外にもその章の復活を望む声が多かった。例えば「血液」という同一のテーマであっても,『解剖生理学』,『血液・造血器』,『生化学』でそれぞれの立場から解説されれば,読者の理解はいっそう深まるはずである,という読者からの意見にお応えすることとなった。
「代謝の異常」を加えたのは,2009年度から実施される新カリキュラムにおいて,専門基礎分野の教科にも臨床で活用可能な内容を取り込むことになったのに対応したものである。そこでは,代表的な4つの疾患を取り上げて生化学的な視点で解説した。「代謝の異常」以外の章でも,疾患に関連した記述を付け加えるように心がけた。
この教科書が,生化学という学問の理解を通して,将来における看護の実践に少しでも役立つことを願っている。
2008年11月
著者を代表して 三輪一智
私は薬学部で学び,現在は薬学部で「生化学」の講義を担当しているが,実は学生時代に最も不得手な科目は「生化学」であった。教えていただいた先生には申しわけないことであるが,好きになれなかったのである。その報いであろうか,いまだに「生化学」との付き合いが続いている。学生であった当時,「生化学」は薬学生にとって不要な科目ではなく,かなり大事らしいことがわかってはいても,たいして勉強もしないまま,試験を受けていた。そのせいもあって,私は学生に対して,「生化学」をきちんと勉強してほしいとは言えないし,また言ったこともない。
看護と生化学
看護学生にとっても「生化学」は学ばざるをえない科目であることを,私がいまさら言い立てる必要などないが,責任上少しだけ述べさせていただこう。生体がどのような化合物で成り立っていて,それらの化合物がどのようにつくられ,こわされて,生体の恒常性が保たれているかということの基礎をきちんと示してくれる学問が,「生化学」である。だから,ある程度は「生化学」を学んでおかなくては,生体の正常なしくみ・機能の破綻した状態である病気を正しく理解することはできない。しかも,病気には特有の生化学的異常という側面のあることが普通であり,その理解なくして本当の看護は行えない。
生化学の役割
看護学全体を1台の自動車にたとえるならば,「生化学」のような基礎的な科目は,目につきにくい小さな部品にすぎない。しかし,小さな部品でも,それが機能を果たせなくなると,自動車が動かなくなったりすることがある。自動車全体のことをわかろうとすれば,部品の大小にかかわりなく,どのような部品でできているか,それらの部品がどのような役割を果たしているかを知らなければならない。大きな部品の役割はわかりやすいが,小さな部品はわかりにくいこともあり,軽視されがちである。しかし,小さな部品にも大切な役割がある。
改訂のポイント
看護に進もうとしている学生のみなさんのお役に立てばと,本書第10版を書かせていただいてから,早くも8年が経過した。その間,多くの方々から貴重なご意見やご要望をいただいた。厚くお礼を申し上げたい。
第11版では,全ページにカラー印刷を導入して,美しく,見やすい紙面とするとともに,生化学の学問内容をできるだけ模式化して図に示すように努めた。また,とかく細部に深入りしがちな部分についての大局的な理解が可能となるように,周辺との関連づけをはかり2つの章の新設を行った。
今回の第12版では,図・表を含むすべての記載の見直しや補足を行うとともに,「血液と尿」および「代謝の異常」を新たに章として立てた。第9版まではあった血液・尿に関する章を,その内容が『血液・造血器』,『腎・泌尿器』,および『解剖生理学』という教科でも詳細に扱われているという理由で第10版と第11版では割愛したが,意外にもその章の復活を望む声が多かった。例えば「血液」という同一のテーマであっても,『解剖生理学』,『血液・造血器』,『生化学』でそれぞれの立場から解説されれば,読者の理解はいっそう深まるはずである,という読者からの意見にお応えすることとなった。
「代謝の異常」を加えたのは,2009年度から実施される新カリキュラムにおいて,専門基礎分野の教科にも臨床で活用可能な内容を取り込むことになったのに対応したものである。そこでは,代表的な4つの疾患を取り上げて生化学的な視点で解説した。「代謝の異常」以外の章でも,疾患に関連した記述を付け加えるように心がけた。
この教科書が,生化学という学問の理解を通して,将来における看護の実践に少しでも役立つことを願っている。
2008年11月
著者を代表して 三輪一智
目次
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第1部 生体を構成する物質
第1章 生化学を学ぶための基礎知識 (中恵一・三輪一智)
A 生化学の歩みと役割
B 生化学を学ぶにあたって
C 化学の基礎知識
D 細胞の構造と機能
第2章 糖質 (中恵一・三輪一智)
A 糖質とは
B 糖質の種類
C 単糖の構造と性質
D 二糖の構造と性質
E 多糖の構造と性質
第3章 脂質 (中恵一・三輪一智)
A 脂質とは
B 脂質の種類
C 脂質の役割
D 脂質各論
E リポタンパク質
第4章 タンパク質 (三輪一智)
A タンパク質とは
B アミノ酸
C タンパク質の構造
D タンパク質の分類
第5章 核酸 (三輪一智)
A 核酸とは
B 塩基
C ヌクレオシドとヌクレオチド
D DNAとRNAの構造
第6章 水と無機質 (三輪一智)
A 水とは
B 水の出入り
C 酸塩基平衡
D 無機質とは
第7章 血液と尿 (三輪一智)
A 血液
B 尿
第8章 ホルモンと生理活性物質 (三輪一智)
A ホルモンとは
B ホルモンの種類と作用機序
C ホルモン各論
D 内分泌疾患
E サイトカイン
第2部 生体内の物質代謝
第9章 代謝のあらまし (中恵一・三輪一智)
A 代謝とは
B 消化・吸収された栄養素の体内での代謝
第10章 酵素 (三輪一智)
A 酵素に関する基礎知識
B 酵素反応
C 酵素反応の阻害
D 酵素の分類
E 酵素の応用
第11章 ビタミンと補酵素 (三輪一智)
A ビタミンとは
B ビタミンの種類と生理作用
第12章 糖質代謝 (三輪一智・中恵一)
A 糖質代謝のあらまし
B グルコースの分解
C 糖新生
D ペントースリン酸回路
E グリコーゲンの代謝
F ガラクトース,フルクトース,マンノースの代謝
第13章 脂質代謝 (三輪一智・中恵一)
A 脂質の消化と吸収
B 脂肪酸の分解
C ケトン体の産生と利用
D 脂肪酸の生合成
E トリグリセリドの生合成
F コレステロールの生合成と利用
G エイコサノイドの生合成
第14章 タンパク質代謝 (三輪一智)
A タンパク質代謝のあらまし
B タンパク質の消化と吸収
C α-ケト酸を経由するアミノ酸の利用
D アミノ酸からの含窒素化合物の合成
E アミノ酸からの他のアミノ酸の合成
第15章 核酸代謝 (三輪一智)
A 核酸の合成と分解
B ヌクレオチドの合成
C ヌクレオチドの分解
第16章 ポルフィリン代謝 (三輪一智)
A ポルフィリンとは
B ヘムの合成
C ヘムの分解
D ビリルビンの代謝
第17章 代謝の異常 (三輪一智・中恵一)
A 骨粗鬆症
B 糖尿病
C 脂質異常症
D 高尿酸血症・痛風
第3部 遺伝情報とその発現
第18章 遺伝情報 (三輪一智)
A 遺伝情報とは
B 複製
C 転写
D 翻訳(タンパク質の合成)
E 翻訳後のタンパク質のプロセシングと細胞内移行
F DNA の損傷と修復
第19章 先天性代謝異常 (三輪一智)
A 先天性代謝異常とは
B 先天性代謝異常各論
参考文献
索引
第1章 生化学を学ぶための基礎知識 (中恵一・三輪一智)
A 生化学の歩みと役割
B 生化学を学ぶにあたって
C 化学の基礎知識
D 細胞の構造と機能
第2章 糖質 (中恵一・三輪一智)
A 糖質とは
B 糖質の種類
C 単糖の構造と性質
D 二糖の構造と性質
E 多糖の構造と性質
第3章 脂質 (中恵一・三輪一智)
A 脂質とは
B 脂質の種類
C 脂質の役割
D 脂質各論
E リポタンパク質
第4章 タンパク質 (三輪一智)
A タンパク質とは
B アミノ酸
C タンパク質の構造
D タンパク質の分類
第5章 核酸 (三輪一智)
A 核酸とは
B 塩基
C ヌクレオシドとヌクレオチド
D DNAとRNAの構造
第6章 水と無機質 (三輪一智)
A 水とは
B 水の出入り
C 酸塩基平衡
D 無機質とは
第7章 血液と尿 (三輪一智)
A 血液
B 尿
第8章 ホルモンと生理活性物質 (三輪一智)
A ホルモンとは
B ホルモンの種類と作用機序
C ホルモン各論
D 内分泌疾患
E サイトカイン
第2部 生体内の物質代謝
第9章 代謝のあらまし (中恵一・三輪一智)
A 代謝とは
B 消化・吸収された栄養素の体内での代謝
第10章 酵素 (三輪一智)
A 酵素に関する基礎知識
B 酵素反応
C 酵素反応の阻害
D 酵素の分類
E 酵素の応用
第11章 ビタミンと補酵素 (三輪一智)
A ビタミンとは
B ビタミンの種類と生理作用
第12章 糖質代謝 (三輪一智・中恵一)
A 糖質代謝のあらまし
B グルコースの分解
C 糖新生
D ペントースリン酸回路
E グリコーゲンの代謝
F ガラクトース,フルクトース,マンノースの代謝
第13章 脂質代謝 (三輪一智・中恵一)
A 脂質の消化と吸収
B 脂肪酸の分解
C ケトン体の産生と利用
D 脂肪酸の生合成
E トリグリセリドの生合成
F コレステロールの生合成と利用
G エイコサノイドの生合成
第14章 タンパク質代謝 (三輪一智)
A タンパク質代謝のあらまし
B タンパク質の消化と吸収
C α-ケト酸を経由するアミノ酸の利用
D アミノ酸からの含窒素化合物の合成
E アミノ酸からの他のアミノ酸の合成
第15章 核酸代謝 (三輪一智)
A 核酸の合成と分解
B ヌクレオチドの合成
C ヌクレオチドの分解
第16章 ポルフィリン代謝 (三輪一智)
A ポルフィリンとは
B ヘムの合成
C ヘムの分解
D ビリルビンの代謝
第17章 代謝の異常 (三輪一智・中恵一)
A 骨粗鬆症
B 糖尿病
C 脂質異常症
D 高尿酸血症・痛風
第3部 遺伝情報とその発現
第18章 遺伝情報 (三輪一智)
A 遺伝情報とは
B 複製
C 転写
D 翻訳(タンパク質の合成)
E 翻訳後のタンパク質のプロセシングと細胞内移行
F DNA の損傷と修復
第19章 先天性代謝異常 (三輪一智)
A 先天性代謝異常とは
B 先天性代謝異常各論
参考文献
索引
更新情報
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