人体の構造と機能[2]
生化学 第13版

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生化学の基礎的な知識を体系的に学べる構成となっています。 発展的な内容や、臨床的な内容を適宜コラムとして挿入し、興味を持ちながら学ペるように工夫しました。 図やチャートを多用し、複雑な反応や回路も視覚的に理解できるように紙面づくりに工夫を施しました。 第17章「代謝の異常」では、骨粗鬆症、糖尿病、脂質異常症、高尿酸血症・痛風を取り上げ、生化学的な知見を交えながら解説しました。 第6章「水と無機質」では、「酸塩基平衡」の項を設け、平易な解説を加えました。 消化・吸収後の各栄養素の代謝も視覚的にとらえられるよう構成し、栄養学の領域を受け、分子レベルでの物質の変化の流れがわかりやすく解説されています。
*「系統看護学講座」は2018年版より新デザインとなりました。
*「系統看護学講座/系看」は株式会社医学書院の登録商標です。
シリーズ 系統看護学講座
三輪 一智 / 中 恵一
発行 2014年01月判型:B5頁:328
ISBN 978-4-260-01836-4
定価 2,420円 (本体2,200円+税)
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はしがき

 私は薬学部で学び,現在は薬学部で「生化学」の講義を担当しているが,実は学生時代に最も不得手な科目は「生化学」であった。教えていただいた先生には申しわけないことであるが,好きになれなかったのである。その報いであろうか,いまだに「生化学」との付き合いが続いている。学生であった当時,「生化学」は薬学生にとって不要な科目ではなく,かなり大事らしいことがわかってはいても,たいして勉強もしないまま,試験を受けていた。そのせいもあって,私は学生に対して,「生化学」をきちんと勉強してほしいとは言えないし,また言ったこともない。

看護と生化学
 看護学生にとっても「生化学」は学ばざるをえない科目であることを,私がいまさら言いたてる必要などないが,責任上少しだけ述べさせていただこう。生体がどのような化合物でなりたっていて,それらの化合物がどのようにつくられ,こわされて,生体の恒常性が保たれているかということの基礎をきちんと示してくれる学問が,「生化学」である。だから,ある程度は「生化学」を学んでおかなくては,生体の正常なしくみ・機能の破綻した状態である病気を正しく理解することはできない。しかも,病気には特有の生化学的異常という側面のあることがふつうであり,その理解なくして本当の看護は行えない。

生化学の役割
 看護学全体を1台の自動車にたとえるならば,「生化学」のような基礎的な科目は,目につきにくい小さな部品にすぎない。しかし,小さな部品でも,それが機能を果たせなくなると,自動車が動かなくなったりすることがある。自動車全体のことをわかろうとすれば,部品の大小にかかわりなく,どのような部品でできているか,それらの部品がどのような役割を果たしているかを知らなければならない。大きな部品の役割はわかりやすいが,小さな部品はわかりにくいこともあり,軽視されがちである。しかし,小さな部品にも大切な役割がある。

改訂のポイント
 看護に進もうとしている学生のみなさんのお役にたてばと,本書第10版を書かせていただいてから,早くも13年が経過した。その間,多くの方々から貴重なご意見やご要望をいただいた。厚くお礼を申し上げたい。
 第11版では,全ページにカラー印刷を導入して,美しく,見やすい紙面とするとともに,生化学の学問内容をできるだけ模式化して図に示すように努めた。また,とかく細部に深入りしがちな部分についての大局的な理解が可能となるように,周辺との関連づけをはかり2つの章の新設を行った。
 第12版では,図・表を含むすべての記載の見直しや補足を行うとともに,「血液と尿」および「代謝の異常」を新たに章として立てた。第9版まではあった血液・尿に関する章を,その内容が『血液・造血器』,『腎・泌尿器』,および『解剖生理学』という教科でも詳細に扱われているという理由で第10版と第11版では割愛したが,意外にもその章の復活を望む声が多かった。例えば「血液」という同一のテーマであっても,『解剖生理学』,『血液・造血器』,『生化学』でそれぞれの立場から解説されれば,読者の理解はいっそう深まるはずである,という読者からの意見におこたえすることとなった。
 「代謝の異常」を加えたのは,専門基礎分野の教科においても臨床で活用可能な内容に取り込むことが必要とされてきているからである。ここでは,代表的な4つの疾患を取り上げて生化学的な視点で解説した。「代謝の異常」以外の章でも,疾患に関連した記述をつけ加えるように心がけた。
 今回の第13版では,構成は第12版を踏襲し,各章の記述内容を整理してよりわかりやすい本にすることをを目ざした。化学の基礎知識や,生化学の発展的内容については,側注やNOTEに記述することにより,学習すべきことを明確にした。図は,明るくシンプルな図にして,理解を深めやすく,また学習への興味や関心が高まるよう工夫した。疾患や臨床検査の話題については,看護を学習する動機づけとなるよう,Columnとして積極的に取り上げた。

 この教科書が,生化学という学問の理解を通して,将来における看護の実践に少しでも役だつことを願っている。

 2013年11月
 著者を代表して 三輪一智

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第1部 生体を構成する物質
 第1章 生化学を学ぶための基礎知識 (中恵一・三輪一智)
  A 生化学の歩みと役割
  B 化学の基礎知識
  C 細胞の構造と機能
 第2章 糖質 (中恵一・三輪一智)
  A 糖質とは
  B 糖質の種類
  C 単糖の構造と性質
  D 二糖の構造と性質
  E 多糖の構造と性質
 第3章 脂質 (中恵一・三輪一智)
  A 脂質とは
  B 脂質の種類
  C 脂質の役割
  D 脂質各論
  E リポタンパク質
 第4章 タンパク質 (三輪一智)
  A タンパク質とは
  B アミノ酸
  C タンパク質の構造
  D タンパク質の分類
 第5章 核酸 (三輪一智)
  A 核酸とは
  B 塩基
  C ヌクレオシドとヌクレオチド
  D DNAとRNAの構造
 第6章 水と無機質 (三輪一智)
  A 水とは
  B 水の出入り
  C 酸塩基平衡
  D 無機質とは
 第7章 血液と尿 (三輪一智)
  A 血液
  B 尿
 第8章 ホルモンと生理活性物質 (三輪一智)
  A ホルモンとは
  B ホルモンの種類と作用機序
  C ホルモン各論
  D 内分泌疾患
  E サイトカイン

第2部 生体内の物質代謝
 第9章 代謝のあらまし (中恵一・三輪一智)
  A 代謝とは
  B 消化・吸収された栄養素の体内での代謝
 第10章 酵素 (三輪一智)
  A 酵素についての基礎知識
  B 酵素反応
  C 酵素反応の阻害
  D 酵素の分類
  E 酵素の応用
 第11章 ビタミンと補酵素 (三輪一智)
  A ビタミンとは
  B ビタミンの種類と生理作用
 第12章 糖質代謝 (三輪一智・中恵一)
  A 糖質代謝のあらまし
  B グルコースの分解
  C 糖新生
  D ペントースリン酸回路
  E グリコーゲンの代謝
  F ガラクトース,フルクトース,マンノースの代謝
 第13章 脂質代謝 (三輪一智・中恵一)
  A 脂質の消化と吸収
  B 脂肪酸の分解
  C ケトン体の産生と利用
  D 脂肪酸の生合成
  E トリグリセリドの生合成
  F コレステロールの生合成と利用
  G エイコサノイドの生合成
 第14章 タンパク質代謝 (三輪一智)
  A タンパク質代謝のあらまし
  B タンパク質の消化と吸収
  C α-ケト酸を経由するアミノ酸の利用
  D アミノ酸からの含窒素化合物の合成
  E アミノ酸からほかのアミノ酸の合成
 第15章 核酸代謝 (三輪一智)
  A 核酸の合成と分解
  B ヌクレオチドの合成
  C ヌクレオチドの分解
 第16章 ポルフィリン代謝 (三輪一智)
  A ポルフィリンとは
  B ヘムの生合成
  C ヘムの分解
  D ビリルビンの代謝
 第17章 代謝の異常 (三輪一智・中恵一)
  A 骨粗鬆症〈骨代謝異常〉
  B 糖尿病〈グルコース代謝異常〉
  C 脂質異常症〈脂質代謝異常〉
  D 高尿酸血症・痛風〈核酸代謝異常〉

第3部 遺伝情報とその発現
 第18章 遺伝情報 (三輪一智)
  A 遺伝情報とは
  B 複製
  C 転写
  D 翻訳
  E 翻訳後のタンパク質のプロセシングと細胞内移行
  F DNAの損傷と修復
 第19章 先天性代謝異常症 (三輪一智)
  A 先天性代謝異常症とは
  B 先天性代謝異常症各論

参考文献
索引

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本書の記述の正確性につきましては最善の努力を払っておりますが、この度弊社の責任におきまして、下記のような誤りがございました。お詫び申し上げますとともに訂正させていただきます。

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