言語発達障害学

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言語機能の成立、発達の阻害要因や障害の種類を概説したうえで、検査・評価とそのまとめ方を解説。各種の発達障害の解説では、障害特性に応じた支援方法とその実際を示し、代表的な支援方法については理論的な背景の説明に加え、事例を通した支援の実際も紹介。障害の早期発見から、成人期までのフォローという長期的な視点から、ライフステージに応じた支援についても解説。言語発達障害を学ぶ学生に最適の1冊。
シリーズ 標準言語聴覚障害学
シリーズ監修 藤田 郁代
編集 玉井 ふみ / 深浦 順一
発行 2010年03月判型:B5頁:312
ISBN 978-4-260-00897-6
定価 5,500円 (本体5,000円+税)
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 私たちは,いつの間にかことばを身につけ,ことばを使って他者とコミュニケーションをとったり,考えたりしている.しかし,いつ,どのようにして言語を獲得するのかはいまだ十分には解明されていない.ゆっくりしたペースで発達する子どもたちやコミュニケーションがうまくいかない子どもたちとのかかわりを通して,言語発達とは何か,コミュニケーションとは何かについて考える手がかりを与えられることも多い.
 子どもが自分の思いを表現して周りの人たちとのコミュニケーションを楽しめるように,1人ひとりの状況とニーズを知り,その子に合った支援を行うことが,子どもにかかわる言語聴覚士の仕事である.しかし,何の手がかりもなく,試行錯誤的に支援するのでは,子どもたちにとって迷惑千万である.典型的な言語発達の順序や獲得過程を理解し,言語発達に関連する障害の特徴を学ぶことで,子どもの全体像を正確に理解し,適切な支援のありかたを考えることができる.本書には,このような視点から,科学的に検証され系統だった知識の枠組みと,豊かな臨床経験に基づく知見に裏付けられた考えるヒントがちりばめられている.
 第1章は,言語発達障害の初学者が全体を俯瞰するための,いわば道案内の章となっている.第2章では,評価・診断,情報収集とそのまとめ方を解説し,続く第3章では典型的な言語発達について解説するとともに,各段階における発達指標に基づいた評価と支援のポイントを概説した.第4章では関連する主要な障害を取り上げ,障害特性とそれに応じた支援方法を解説した.正確な評価に基づいて子どもを理解することが適切な支援に結びつくという考えに重きを置き,第3章と第4章において評価と支援を関連付けて解説している点が,本書の大きな特徴の1つとなっている.第5章では,代表的な支援方法について,理論的背景とその実際を解説した.さらに,障害の発見から成人期に至るまでの長期的な視点に立ち,第6章において各ライフステージにおける支援の方法と言語聴覚士の役割を解説した.全体を通読することで,言語発達障害に関する基礎知識を学べるよう構成されているが,さらに,言語聴覚士が臨床の現場においてどのような支援を行えばよいかについて考える際の手引きとしても活用できるようになっている.
 「言語発達障害学」は,医学,言語学,発達心理学,教育学,行動科学,特に最近の脳科学の発展とともに,学際的な研究・臨床領域として今後発展が期待される分野である.本書が,この分野の一層の発展と,子どもたちが生き生きと充実した生活を送ることに寄与することを願うものである.
 執筆は,各領域で臨床・研究の第一人者として活躍している言語聴覚士の方々である.言語発達障害に関する基礎的な知識から最新の知見までわかりやすく解説していただいた.言語聴覚士を志して学ぶ学生をはじめとして,医療,保健,福祉,保育,教育などの分野で子どもにかかわる方々に言語発達障害学の入門書として活用していただければ幸いである.
 最後に,熱意をこめてご執筆くださった方々に心から感謝します.また,本書の出版にあたり,忍耐強い励ましとご尽力いただいた医学書院の皆様に深謝申しあげます.

 2010年2月
 編集
 玉井ふみ
 深浦順一

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第1章 言語発達障害とは
第2章 言語発達障害の評価・診断
 1 情報収集
 2 検査
 3 検査結果のまとめと評価
第3章 言語発達の評価と支援
 1 前言語期
 2 語彙獲得期
 3 幼児期
 4 学童期
第4章 関連する障害の特性と支援
 1 自閉症スペクトラム
 2 知的障害
 3 特異的言語発達障害
 4 学習障害
 5 注意欠陥/多動性障害
 6 脳性麻痺・重複障害
第5章 言語発達障害の支援方法と実際
 1 〈S-S法〉
 2 語用論的アプローチ
 3 拡大・代替コミュニケーション(AAC)
 4 TEACCHプログラム
 5 発達障害のコミュニケーション支援-学童期のグループ指導-
第6章 言語発達障害の療育・支援
 1 乳幼児期における支援
 2 学童期における支援

 参考図書
 索引

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