ロイ適応モデルにもとづく
看護アセスメントツール
ロイ適応モデルのエッセンスがわかる
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本書は,ロイの適応モデルを用いて,どのようにアセスメントしていくのかを簡潔に示している。『ザ・ロイ適応看護モデル』の参考資料として活用でき,適応モデルのエッセンスを会得する際の一助となる。
著 | Joan M. Seo-Cho |
---|---|
訳 | 野呂 レナルド / 柴田 理恵 |
発行 | 2002年07月判型:B5頁:112 |
ISBN | 978-4-260-33215-6 |
定価 | 1,760円 (本体1,600円+税) |
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開く
看護アセスメントの目的-その哲学
看護過程の6つの段階
アセスメントの枠組み
生理的様式のアセスメント
心理・社会的適応様式のアセスメント
自己概念様式のアセスメント
役割機能様式のアセスメント
相互依存様式のアセスメント
看護ケアプランの自己評価
看護過程の6つの段階
アセスメントの枠組み
生理的様式のアセスメント
心理・社会的適応様式のアセスメント
自己概念様式のアセスメント
役割機能様式のアセスメント
相互依存様式のアセスメント
看護ケアプランの自己評価
書評
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ロイ適応モデルのエッセンスがわかる
書評者: 大島 弓子 (山梨県立看護大教授)
◆進むロイモデルの研究,広がる実践への広がり
この書にふれて,少なからず驚愕を覚えた。なぜならば,私も,ロイモデルを基盤にしたアセスメントツールを作成し,現在,学生や看護師の教育に活用しているからである。したがって,なるほどと納得のいく箇所も多く,また,「あれ?」とやや疑問に思う箇所もあり,多様な思いや考察を加えながら,そして内容を身近に感じつつ1頁1頁を読み進めた。
私は,今年3月にボストンカレッジのロイ先生のところで研修をさせていただいたが,その折に,ロイモデルの研究がさらに進み,かつ,実践への幅が広がっていることを実感した。しかし,看護モデルを実際に活用するには,それに対応した具体的な手段を携える必要があることも常に感じている。つまり,ロイモデルの看護過程を展開するのにアセスメントツールを開発することは,このモデル実践のための手段となり得るわけである。
Seo―Cho先生のこの書は,初学者である学生に向けて,ロイモデルを成人看護の領域で活用できるアセスメントツールにとの意図で開発されている。実践的に看護教育に取り組んでいるSeo―Cho先生の熱意を本書から感じ,同様な悩み,迷いを抱きながら教育にあたっている私は共感を覚えた。機会があれば先生から,どのような点が看護過程展開に難しいか,どのようにアセスメントツールを活用するとよいか,このツールの開発はどのように継続していくのか等々うかがえればとも感じた。
◆ロイモデルの4つの適応様式にそってアセスメントツールが展開
本書は,ロイモデルの4つの適応様式にそってアセスメントツールが示されており,前半は生理的機能様式で,後半は心理社会的な適応様式である自己概念・役割機能・相互依存様式である。この前半と後半はともに,ロイモデルの看護過程の特徴である第1段階アセスメント,第2段階アセスメントの2つのアセスメントに対し,それぞれ行動と刺激を示し,看護診断へとつながっている。看護診断はロイモデルの適応問題および,NANDAの看護診断の使用もしている。しかし,前半の第1段階アセスメントにある1つ1つの行動に対する規範は,後半では十分に記されていないなどスタイルが多少相違している。これらについて,私もツールを作成する上で同様な思いがあったため,なるほどと改めて考えさせられた。心理社会的適応様式においてもアセスメントツールにするならば,何らかの規範あるいはモデルを示すことが必要だろうと私は考えてはいる。しかし,それには適応を示す具体的な行動を広く研究する必要があるため,現段階ではツールとして明言できないでいる。Seo―Cho先生はこの点,どうとらえていらしゃるのかもうかがってみたいことである。
本書に限らず,アセスメントツールは看護実践をするには具体的で有効であるが,時にはそのツールに縛られてしまうこともある。つまり,そのツールにとらわれ,そこに示されている情報を網羅することに追われたり,他の情報を排除してしまったりすることがあるからである。また,ツールにそって情報収集したとしても,その次にある分析・統合・判断をするためのクリティカルシンキングが十分にできなければ,結果として適切な看護診断,看護介入へとは向かわない。
したがって,Seo―Cho先生が長年,苦労されて開発されたアセスメントツールの本書を有効に活用するために,ツール全体が意味する内容,たとえば生理的様式の「酸素化」であればどういう状態が「酸素化」で適応しているというのか,「相互依存様式」ではどのような人間関係であることが適応しているのか,など理解しておくことは必要なことであろう。また,クリティカルシンキングを十分活用することも,本書のもつ有用さを増せるものと考える。具体的なツールが示されている本書は,学生のみならず臨床や在宅でケアを行なっている看護師にも,アセスメントの手助けになるものであり活用できるものである。ぜひ,有用に活用していただきたいと思う。
私はこの書を読んでいて訳者の方々のロイモデルへの思い,Seo―Cho先生への親しみが随所に感じられ,3月にお会いしたロイ先生の笑顔とファイトとが重なって思い起こされた。Seo―Cho先生の開発された本書を活用しながら,日本でのツールづくりを,さらに見直し検討しようとあらためて考えさせられている。
書評者: 大島 弓子 (山梨県立看護大教授)
◆進むロイモデルの研究,広がる実践への広がり
この書にふれて,少なからず驚愕を覚えた。なぜならば,私も,ロイモデルを基盤にしたアセスメントツールを作成し,現在,学生や看護師の教育に活用しているからである。したがって,なるほどと納得のいく箇所も多く,また,「あれ?」とやや疑問に思う箇所もあり,多様な思いや考察を加えながら,そして内容を身近に感じつつ1頁1頁を読み進めた。
私は,今年3月にボストンカレッジのロイ先生のところで研修をさせていただいたが,その折に,ロイモデルの研究がさらに進み,かつ,実践への幅が広がっていることを実感した。しかし,看護モデルを実際に活用するには,それに対応した具体的な手段を携える必要があることも常に感じている。つまり,ロイモデルの看護過程を展開するのにアセスメントツールを開発することは,このモデル実践のための手段となり得るわけである。
Seo―Cho先生のこの書は,初学者である学生に向けて,ロイモデルを成人看護の領域で活用できるアセスメントツールにとの意図で開発されている。実践的に看護教育に取り組んでいるSeo―Cho先生の熱意を本書から感じ,同様な悩み,迷いを抱きながら教育にあたっている私は共感を覚えた。機会があれば先生から,どのような点が看護過程展開に難しいか,どのようにアセスメントツールを活用するとよいか,このツールの開発はどのように継続していくのか等々うかがえればとも感じた。
◆ロイモデルの4つの適応様式にそってアセスメントツールが展開
本書は,ロイモデルの4つの適応様式にそってアセスメントツールが示されており,前半は生理的機能様式で,後半は心理社会的な適応様式である自己概念・役割機能・相互依存様式である。この前半と後半はともに,ロイモデルの看護過程の特徴である第1段階アセスメント,第2段階アセスメントの2つのアセスメントに対し,それぞれ行動と刺激を示し,看護診断へとつながっている。看護診断はロイモデルの適応問題および,NANDAの看護診断の使用もしている。しかし,前半の第1段階アセスメントにある1つ1つの行動に対する規範は,後半では十分に記されていないなどスタイルが多少相違している。これらについて,私もツールを作成する上で同様な思いがあったため,なるほどと改めて考えさせられた。心理社会的適応様式においてもアセスメントツールにするならば,何らかの規範あるいはモデルを示すことが必要だろうと私は考えてはいる。しかし,それには適応を示す具体的な行動を広く研究する必要があるため,現段階ではツールとして明言できないでいる。Seo―Cho先生はこの点,どうとらえていらしゃるのかもうかがってみたいことである。
本書に限らず,アセスメントツールは看護実践をするには具体的で有効であるが,時にはそのツールに縛られてしまうこともある。つまり,そのツールにとらわれ,そこに示されている情報を網羅することに追われたり,他の情報を排除してしまったりすることがあるからである。また,ツールにそって情報収集したとしても,その次にある分析・統合・判断をするためのクリティカルシンキングが十分にできなければ,結果として適切な看護診断,看護介入へとは向かわない。
したがって,Seo―Cho先生が長年,苦労されて開発されたアセスメントツールの本書を有効に活用するために,ツール全体が意味する内容,たとえば生理的様式の「酸素化」であればどういう状態が「酸素化」で適応しているというのか,「相互依存様式」ではどのような人間関係であることが適応しているのか,など理解しておくことは必要なことであろう。また,クリティカルシンキングを十分活用することも,本書のもつ有用さを増せるものと考える。具体的なツールが示されている本書は,学生のみならず臨床や在宅でケアを行なっている看護師にも,アセスメントの手助けになるものであり活用できるものである。ぜひ,有用に活用していただきたいと思う。
私はこの書を読んでいて訳者の方々のロイモデルへの思い,Seo―Cho先生への親しみが随所に感じられ,3月にお会いしたロイ先生の笑顔とファイトとが重なって思い起こされた。Seo―Cho先生の開発された本書を活用しながら,日本でのツールづくりを,さらに見直し検討しようとあらためて考えさせられている。
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