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私たちは何を「意識」と呼んできたのか
目覚める・出合う・続いている

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古代ギリシアから現代脳科学まで、「意識」の時空を全速力で滑走する!昏睡、せん妄、解離、アリストテレス、ヤスパース、アンリ・エイ、リポウスキー、ジャネ、フロイト、デカルト、ダマジオ、意識科学ルネサンス──。医学・哲学・脳科学を行き来しながら、多様な「意識」に出合い、その姿をさまざまな角度から見渡す。読み終えたあと、「意識とは何か」という問いは、以前とは別の響きをもつだろう。

著 兼本 浩祐
発行 2026年11月判型:A5頁:592
ISBN 978-4-260-06675-4
定価 9,350円 (本体8,500円+税)

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 「予断」は,意見の一致のためには充分に強固なものである。なぜならば,かりに人々が同じ仕方で一斉に気が狂ったとしても,彼らは充分よくお互いに合致しうるからである。

 それどころか,同意に迫るためには,「解明」よりも「予断」のほうがはるかに有効である。何となれば,少数の,それももっぱら身の廻りに起こるものから集められた予断は,直ちに知性に触れて想像で一杯にする,これに対して,極めて多様で著しく隔たった事物から,あちこち集められた「解明」は,知性をすばやく動かすことはできない。したがって一般の見解では(中略)異様で調子外れと見られることも必然である。

 フランシス・ベーコン『ノヴム・オルガヌム』27~28節
 [桂寿一(訳),岩波書店,1978]

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はじめに

第一章 横たわって動かない
 I 昏睡
 II 昏迷
 III 無動無言症
 IV 植物状態,遷延性植物状態,最小意識状態
 V 閉じ込め症候群
 VI あきらめ症候群
 VII カタトニア
 VIII 状態像1の見取り図

第二章 目を開けて動いているが意識がない
 I せん妄
 II 錯乱
 III もうろう状態
 IV 夢幻症
 V 夢幻様症
 VI 夢状態,夢様状態
 VII アメンチア
 VIII 不穏
 IX 状態像2の見取り図
 X 精神鑑定における意識障害

第三章 介入をしないと分からない
 I せん妄[リ]の「診断」あるいはスクリーニング検査
 II 注意機能の生理学
 III 短時間の意識減損を主要な症状とするてんかん発作
 IV 局在睡眠
 V 注意障害を必ずしも伴わない状態像3の記述用語

第四章 統一的意識障害概念の成立とヤスパース
 I 統一的意識障害の成立
 II 『精神病理学原論』(1913-1959)における意識論
 III ゲシュタルト形成と行為的統合
 IV フッサールにおける知覚直観
 V ドイツ意識障害論の頂点としての行為的統合・ゲシュタルト形成

第五章 アンリ・エイと精神科的意識障害
 I 意識解体の3層構造
 II 意識解体の第1段階──躁うつエピソードあるいは歴史性からの脱抑制
 III 意識解体の第2段階──夢幻様状態あるいは体験空間の変容
 IV 意識解体の第3段階──錯乱夢幻状態
 V 20世紀の精神医学に対するエイの立ち位置
 VI 意識障害の解剖学的基盤についてのエイの考え
 VII 意識とは何ではないのか,では意識とは何なのか
 VIII 意識の対立軸としての人格とは何か

第六章 リポウスキーとDSM
 I リポウスキーと意識障害の汎せん妄化
 II 20世紀以降の統計的せん妄[リ]データ
 III せん妄[リ]の亜型
 IV DSMにおけるせん妄
 本章のまとめ:DSMにおけるせん妄の変遷

第七章 解離と意識障害,ジャネとフロイト
 I 催眠と解離に相関する神経基盤
 II ピエール・ジャネと意識野の狭窄
 III ジークムント・フロイトと抑圧
 IV 現在の解離理論とフロイト,ジャネの意識
 V ジャネとフロイト
 VI 心因性非てんかん性発作
 VII 柴山による解離性の意識障害の症候論的類型
 VIII 解離性の意識障害とは何か

第八章 意識の複数性と意識の自然科学化
 I 3つ(ないしは4つ)の補助線
 II 覚醒性(生物意識)
 III 他動詞的意識
 IV 状態意識
 V ルンバ,カラス,掃除をする人間の意識の違い
 VI 通時的意識(通時的自己意識)

第九章 意識概念の歴史的展望
 I 古代ギリシア
 II プロティノス
 III スコラ哲学
 IV デカルト
 V 17世紀のデカルト主義者によるデカルトの意識の補足
 VI 意識(consciousness)という用語の起源
 VII スピノザ
 VIII ライプニッツ
 IX 志向性,再帰性,現前性(透明性)の歴史的展望
 X 分析哲学と意識の問題

第十章 意識とは何か,何ではないか

おわりに
索引

コラム一覧
 1 進撃の巨人の解剖学
 2 軽い昏睡は昏睡か
 3 開眼は上行覚醒系を賦活する
 4 「春の海ひねもすのたりのたりかな」は発動性の低下ではない
 5 21世紀に流行する「あひる理論」
 6 注意は原因か結果か
 7 皮質下の注意ネットワーク
 8 ヤスパースの劇場とダウンのテレビの走査線(あるいはPCの画素数)
 9 マイヤー=グロスの錯綜した意識類型論
 10 ミラーニューロンと現象学
 11 ハイデガーと全体主義
 12 ベルクソン的な時間
 13 発生的了解と静的了解
 14 アウェアネスの分かりにくさ
 15 ψaとベルクソンの動的図式
 16 スプリッティングとジャネ,フロイト,対象関係論
 17 事後性„Nachträglichkeit“
 18 観念,表象,ゲシュタルト
 19 もし一人称的意識というものがあるのであれば,数理的にはそれはどのような条件を満たさなければならないか──統合情報理論
 20 確率的な行動は人においては狂気である
 21 真理の対応説,整合説,一致説
 22 共可能性,シュナイステーシス,表象
 23 福田平八郎とライプニッツの折り返し(repli)
 24 ウィトゲンシュタインの感覚日記と感覚E
 25 規準と基準

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