運動器理学療法の「なぜ?」がわかる臨床アルゴリズム
「次に何を見る? これでいいの?」評価・治療選択に自信がもてないセラピストへ
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進化した「なぜ?」シリーズ最新作。圧痛、荷重時痛、ROM制限に神経伸張テスト、これらの理学療法検査をどう評価して、徒手療法、ストレッチング、モビライゼーションをどう組み立てていくのか? さらにはハイドロリリースや体外衝撃波治療の導入をどのタイミングで医師に相談するのか? 本書は、運動器理学療法の複雑なプロセスをアルゴリズムに集約。「なぜ、そう考えるか?」が見えてくる。暗黙知を形式知に、そして実践知へ。
| 編集 | 工藤 慎太郎 |
|---|---|
| 発行 | 2026年11月判型:B5頁:320 |
| ISBN | 978-4-260-06602-0 |
| 定価 | 5,500円 (本体5,000円+税) |
- 11月9日発売予定
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序
2026年,理学療法士は20万人を超え,毎年1万人が理学療法士になる時代になっている.理学療法士になって20年以上が経過し,私自身のキャリアも折り返し地点に近づいているかもしれない.気がつけば,学会でも自分より若い世代が圧倒的に増えてきた.
この業界に急速な若返りの波が押し寄せている.これまで教員として,多くの理学療法士を送り出してきた.理学療法を生業とすることの魅力を感じながら,楽しく理学療法士人生を謳歌してくれたら嬉しい.
では,理学療法を生業とすることの魅力とはなんだろうか?
症状がよくなった患者と喜びを共有するとき,
悩み,迷い,勉強した時間がすべて宝物に変わる.
患者の症状の問題点を探りながら最適な治療を見出し,丁寧に治療を行い,よくなって喜んでもらうことが醍醐味であるのはもちろんだが,そこに至るには,患者と出会う前から積み上げている知識と技術がある.理学療法士として常に研鑽している時間があるからこそ,結果として患者を最適な治療に導けるのである.
これを経験すると,理学療法は単に生活のためにお金を稼ぐ仕事ではなく,人生の一部としての生業になっていく.理学療法を「仕事」ではなく「生業」にするには,成功体験が多く必要になる.
評価・治療の選択肢が増えると,何を選択するかによって,生じる結果がまったく変わる.一昔前と比べても,運動器領域では行える治療は格段に増え,これからも進歩するであろう.そのため,医師をはじめとした多職種の専門家との連携が必須になってきている.そのような時代に,理学療法士の評価や思考過程は従来どおりで本当にいいのだろうか? 観察と手指の感覚が,理学療法の核心であることは疑いようのない事実である.しかし,これらに依存することで,理学療法の思考過程は他者に伝わらないブラックボックスになっていないだろうか? 相互の連携ではなく,分断と分業を進めてはいないだろうか?
「ブラックボックスを少しでも透明化したい」という思いで『運動機能障害の「なぜ?」がわかる評価戦略』(2017)を執筆し,幸いにも多くの読者の共感を得られた.一方で,理学療法の適応になることの多い疾患においては,一定のパターンや“型”があることが臨床での暗黙知として認識できた.
理学療法領域では,「型」どおりの治療を過度に嫌う傾向がないだろうか? 症例は一例一例異なる.確かにそのどおりだが,共通する普遍性を紐解くことが「科学」である.理学療法が「科学」であるならば,ある程度の“型”が存在するはずである.“型”があるからこそ“型破り”になれるのであり,“型”がなければそれは単なる“型なし(形無し)”である.型を守り,型を破り,型を離れて新たな型を作っていくことで,学問も臨床も発展する.これが守破離である.
私は,動作分析や徒手的な評価と治療を,動作解析装置やエコー像を用いて可視化・定量化し,言語化する研究を生業にしてきた.本書は,理学療法士の「暗黙知」を言語化し,必要な研究結果を踏まえることで,アルゴリズムという「形式知」にまとめたものである.アルゴリズムに沿った理学療法を徹底することで,変形性膝関節症の理学療法では,臨床1年目のセラピストでも,10年目の理学療法士や先行研究の結果と遜色ない効果をもたらすことも確認できた.
本書を通じて,自信をもって患者に向き合う若い理学療法士が増え,彼らがつまずいた時には,どこでつまずいているのかを確認できる医師や先輩理学療法士が増え,質の高い理学療法を安心して受けられる患者が増えることを期待している.また,このアルゴリズムですべての患者が救われるわけではない.救えなかった患者の特徴を明らかにして,新たなアルゴリズムを創出する仲間が増え,理学療法を「生業」にする仲間が多くの患者を救うことを切に願っている.
本書はこれまでの数々の研究の蓄積が基盤となっており,日々苦楽を共にしてきた森ノ宮医療大学 運動器未来共創研究室(PREVENTS Lab)のメンバー全員の成果にほかならない.また,難解になりがちなアルゴリズムを読者に寄り添う構成へと昇華させてくださった,医学書院の金井真由子氏の尽力と的確なアドバイスに深くお礼申し上げる.
最後に,理学療法を「生業」とする私の多忙を理解し,寂しさを抱えながらも見守ってくれた息子の圭一郎と蒼士,そして2人と格闘しながら家庭を守り,私を支え続けてくれた妻 美知に,最大の感謝を込めて本書を捧げる.
2026年9月
工藤慎太郎
目次
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第1章 変形性頸椎症
変形性頸椎症の臨床アルゴリズム
1 変形性頸椎症の痛みの原因を見極める
1) 上肢由来の痛み
2) 頸部由来の痛み
2 変形性頸椎症 理学療法の Key Pointは何か?
1) 医師に確認する Key Point
2) 画像評価の Key Point
3) 理学療法評価の Key Point
3 なぜ,その治療を選択するのか?
1) 正中神経のモビライゼーション・徒手療法・円回内筋のリラクセーション
2) 頭部前方位(FHP)に対するアプローチ
3) 神経根周囲の斜角筋筋膜のリラクセーション
4) 椎間関節に対する物理療法と徒手療法
5) 後頭下筋群のリラクセーション・頸部屈曲筋力のトレーニング(チン・インエクササイズ)
第1章のまとめ
[Case Study] アルゴリズムでたどる症例
1.変形性頸椎症にダブルクラッシュ症候群を併発した症例
第2章 凍結肩
凍結肩の理学療法アルゴリズム
結帯動作制限の臨床アルゴリズム
1 凍結肩の可動域制限の原因を見極める
1) 上方組織由来の可動域制限
2) 下方組織由来の可動域制限
2 凍結肩 理学療法の Key Pointは何か?
1) 医師に確認する Key Point
2) 画像評価の Key Point
3) 理学療法評価の Key Point
3 なぜ,その治療を選択するのか?
1) 烏口上腕靱帯周囲のモビライゼーションと物理療法
2) 肩甲切痕部の肩甲上神経に対するモビライゼーション
3) 棘窩切痕部の肩甲上神経に対するモビライゼーション
4) 腋窩神経前枝のモビライゼーション
5) 上腕筋のモビライゼーション
6) 斜角筋のモビライゼーション
7) 胸背神経と長胸神経のモビライゼーション
8) 上腕三頭筋複合体のモビライゼーション
9) 肩挙上位の腱板複合トレーニング
第2章のまとめ
[Case Study] アルゴリズムでたどる症例
1.凍結肩の拘縮期で結帯動作制限を訴える症例
2.凍結肩治療中に上腕後面痛を訴える症例
第3章 内側型野球肘
内側型野球肘の臨床アルゴリズム
1 内側型野球肘の痛みの原因を見極める
1) 不安定性を見極める:肘内側側副靱帯損傷
2) 前腕屈筋群由来の疼痛
3) 尺骨神経由来の疼痛
4) 胸郭出口症候群
5) 関節内由来の疼痛
2 内側型野球肘 理学療法の Key Pointは何か?
1) 医師に確認する Key Point
2) 画像評価の Key Point
3) 理学療法評価の Key Point
3 なぜ,その治療を選択するのか?
1) 尺骨神経のモビライゼーションとエコーガイド下徒手療法
2) 正中神経のモビライゼーション
3) 肘前面筋群への徒手療法
4) 肘筋へのアプローチ
5) 前腕屈筋群へのアプローチ
6) 肩甲胸郭関節へのアプローチ
第3章のまとめ
[Case Study] アルゴリズムでたどる症例
1.尺骨神経障害に対して運動療法とハイドロリリースを併用した症例
2.肘内側側副靱帯遠位部損傷により手術に至った症例
第4章 外側上顆炎
外側上顆炎の臨床アルゴリズム
1 外側上顆炎の痛みの原因を見極める
1) 関節内症状か関節外症状かを見極める
2) 橈骨神経症状の有無を見極める
3) 伸筋腱由来の症状が陽性の場合に何を考える?
2 外側上顆炎 理学療法の Key Pointは何か?
1) 医師に確認する Key Point
2) 画像評価の Key Point
3) 理学療法評価の Key Point
3 なぜ,その治療を選択するのか?
1) 橈骨神経のモビライゼーション
2) 上腕筋周囲に対する徒手療法
3) 上橈尺関節のモビライゼーション
4) 手根骨のモビライゼーション
5) 手関節のテーピング
6) 肩甲骨周囲群と肩甲胸郭関節のトレーニング
7) 前腕伸筋群の筋力トレーニング
第4章のまとめ
[Case Study] アルゴリズムでたどる症例
1.滑膜炎と腱の変性が強く経皮的超音波腱切離術により改善した症例
2.橈骨神経障害に対してハイドロリリースと運動療法により改善した症例
3.腱障害に対してPRPの併用により改善した症例
第5章 腰痛
腰痛の臨床アルゴリズム
1 腰痛の原因を見極める
1) 腰部外側型
2) 腰部内側型
3) 殿部外側型
4) 殿部内側型
2 腰痛 理学療法の Key Pointは何か?
1) 医師に確認する Key Point
2) 画像評価の Key Point
3) 理学療法評価の Key Point
3 なぜ,その治療を選択するのか?
1) 固有背筋・胸腰筋膜へのアプローチ
2) 椎間関節へのアプローチ
3) LIFTへのアプローチ
4) 多裂筋へのアプローチ
5) Spine 3
6) 坐骨神経へのアプローチ
7) 筋活動の再学習アプローチ
第5章のまとめ
[Case Study] アルゴリズムでたどる症例
1.中腰での腰痛発症から5か月が経過し,下肢に疼痛が生じた症例
第6章 変形性股関節症
変形性股関節症の臨床アルゴリズム
1 変形性股関節症の痛みの原因を見極める
1) 関節内の痛みを見極める
2) 機能的インピンジメントを見極める
3) 軟部組織のインピンジメントを見極める
4) 股関節伸展不足の原因を見極める
2 変形性股関節症 理学療法の Key Pointは何か?
1) 医師に確認する Key Point
2) 画像評価の Key Point
3) 理学療法評価のポイント
3 なぜ,その治療を選択するのか?
1) 股関節の前方部痛に対するアプローチ
2) 股関節の外側部痛に対するアプローチ
3) 大腿骨頸部軸のエクササイズ
4) 動的安定化機構の遠心性収縮エクササイズ
第6章のまとめ
[Case Study] アルゴリズムでたどる症例
1.骨盤後傾可動性の向上で股関節痛が改善した症例
2.関節内症状が残存しPRPに至った症例
第7章 大腿骨近位部骨折
大腿骨近位部骨折の臨床アルゴリズム
1 大腿骨近位部骨折術後の疼痛の原因を見極める
1) 大腿骨近位部骨折術後の急性期に生じる創部痛
2) 大腿骨近位部骨折術後の回復期に生じる荷重時痛
2 大腿骨近位部骨折 理学療法の Key Pointは何か?
1) 医師に確認する Key Point
2) 画像評価の Key Point
3) 理学療法評価の Key Point
3 なぜ,その治療を選択するのか?
1) 術後急性期の疼痛に対するアプローチ
2) 回復期以降の疼痛部位別アプローチ
3) 疼痛消失後の歩行評価
第7章のまとめ
[Case Study] アルゴリズムでたどる症例
1.大腿骨転子部骨折後の大腿外側部痛により歩行速度が遅延した症例
2.大腿骨頸部骨折後の歩行時に大腿内側部痛が増強した症例
第8章 変形性膝関節症
変形性膝関節症の臨床アルゴリズム
1 変形性膝関節症の痛みの原因を見極める
1) 内側部痛を見極める
2) 前面部痛を見極める
2 変形性膝関節症 理学療法の Key Pointは何か?
1) 医師に確認する Key Point
2) 画像評価の Key Point
3) 理学療法評価の Key Point
3 なぜ,その治療を選択するのか?
1) 非荷重位での伸展制限
2) 歩行中の膝関節伸展制限
3) 鵞足構成筋と伏在神経,内側下膝神経
4) 内側側副靱帯
5) 膝蓋下脂肪体
6) 大腿前脂肪体と広筋群
第8章のまとめ
[Case Study] アルゴリズムでたどる症例
1.関節内症状が強くPRPに至った症例
2.内側側副靱帯に対する注射と徒手療法を併用した症例
3.ハイドロリリース後に徒手療法と運動療法を行った症例
第9章 足関節捻挫
足関節捻挫の臨床アルゴリズム
1 足関節捻挫の痛みの原因を見極める
1) 足関節外側側副靱帯損傷による炎症性の疼痛
2) 足根洞の疼痛
2 足関節捻挫 理学療法の Key Pointは何か?
1) 医師に確認する Key Point
2) 画像評価の Key Point
3) 理学療法評価の Key Point
3 なぜ,その治療を選択するのか?
1) 損傷程度と時期に応じた物理療法と可動域エクササイズ
2) 内側下腿皮枝に対する徒手療法 or ハイドロリリース
3) 腓腹神経のエコーガイド下リリース
4) 腓骨筋群と屈筋群のエクササイズ
5) 足部内在筋のエクササイズ
6) ヒラメ筋のトレーニング
7) 後脛骨筋,長趾屈筋,長母趾屈筋(FHL)のリラクセーションと超音波治療
8) 脛骨神経に対するスライダーテクニックと徒手療法
9) 腓腹筋のストレッチング
10) 長母趾屈筋(FHL)周囲の徒手療法
11) 足根洞の体外衝撃波治療・徒手療法
12) 深腓骨神経の徒手療法とスライダーテクニック
13) 腓骨筋のトレーニング
14) arch raise exercise
第9章のまとめ
[Case Study] アルゴリズムでたどる症例
1.急性期から亜急性期の足関節外側側副靱帯損傷例
2.足関節外側側副靱帯損傷の既往を有する変形性足関節症例
第10章 踵部痛
踵部痛の臨床アルゴリズム
1 踵部痛の原因を見極める
1) 脛骨神経由来の疼痛
2) 踵骨下脂肪体由来の疼痛
3) 足底腱膜由来の疼痛
4) 足関節の背屈制限
2 踵部痛 理学療法の Key Pointは何か?
1) 医師に確認する Key Point
2) 画像評価の Key Point
3) 理学療法評価の Key Point
3 なぜ,その治療を選択するのか?
1) 足底腱膜へのアプローチ
2) 踵骨下脂肪体へのアプローチ
3) 脛骨神経へのアプローチ
第10章のまとめ
[Case Study] アルゴリズムでたどる症例
1.拡散型圧力波治療と治療理学療法を併用した症例
2.脛骨神経にハイドロリリースを行った症例
索引




