公衆衛生看護学概論 第7版

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  • 本巻は、保健師国家試験出題基準(令和5年版)の公衆衛生看護学概論、公衆衛生看護方法論Ⅰ、公衆衛生看護方法論Ⅱ、健康危機管理、公衆衛生看護管理論に対応しています。
  • 公衆衛生看護活動の基礎となる公衆衛生看護の理念および概念、活動の対象・場および背景・環境などについて、わかりやすく解説しています。
  • 公衆衛生看護活動の展開に関しては、その基盤となる理論や方法および、地域アセスメント(地域診断)に基づく活動の計画・実践・評価について、理解を深められるように編集しています。
  • 公衆衛生看護活動の実践において重要な公衆衛生看護管理および健康危機管理の基本についてわかりやすく解説しています。また、公衆衛生看護の歴史についても制度の変遷を把握できるよう記述しています。
  • 「標準保健師講座」は株式会社医学書院の登録商標です。

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  • 序文
  • 目次

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はしがき

標準保健師講座の特色
 少子高齢社会のなか,保健師活動では予防の重要性が強くうたわれ,健康な地域づくりが重要な課題となっています。さらに,在宅看護の需要の拡大から療養支援には生活の視点が重要になっています。公衆衛生看護学は,保健師だけでなく看護師にとっても必要不可欠なものです。多くの看護職が公衆衛生看護の志向をもつことが求められています。
 いま保健師教育の場は,これまでの3年制の看護学に1年制の保健師教育を付加する養成所や短期大学専攻科における養成に加え,看護学に統合された4年制大学および大学院修士課程など多様化しつつあります。なかでも多くの4年制大学では,公衆衛生看護学について限られた時間内で講義や臨地実習をしており,教員が信頼して学生に読ませることのできるテキストが必要とされています。また,看護師と保健師の2つの国家試験を受験する大学生には,保健師国家試験にむけて短時間で効率よく,自己学習できるテキストが求められています。
 本講座は,教員や学生のニーズに応え標準的な保健師教育のための教科書として,保健師に求められる基本的な知識と技術を修得することを目ざし企画されました。
 本講座の特色は,保健師国家試験出題基準の項目をすべて網羅したかたちで,保健師として押さえておくべきことをコンパクトにまとめたことです。
 本来,保健師の仕事は,応用が必要で創造的なものですが,基本がおろそかでは,応用的な課題に対応できないといえます。そこで「理念や理論を押さえたうえでの基本の理解と,実践能力豊かな専門職の教育」を本講座のねらいとしました。

 本講座は,『公衆衛生看護学概論』『公衆衛生看護技術』『対象別公衆衛生看護活動』と『疫学・保健統計学』『保健医療福祉行政論』の全5巻からなる構成です。
 本講座の執筆者は保健師として現場経験豊富な看護大学教員や,地域保健に詳しい公衆衛生医師らで構成しました。

本書の概要
 本巻は,保健師国家試験出題基準(令和5年版)の次の内容に対応しています。

  • 公衆衛生看護学概論(1.公衆衛生看護の基本,2.人々の健康に影響する背景・要因と健康課題,3.公衆衛生看護における活動指針と倫理,4.公衆衛生看護の対象,5.公衆衛生看護活動の特性)
  • 公衆衛生看護方法論I(1.対象の理解とアセスメントに基づく支援)
  • 公衆衛生看護方法論II(1.地域保健活動の基本,2.地域アセスメント〔地域診断〕,4.地区・小地域活動,5.事業化,6.施策化と地域ケアシステムの構築)
  • 健康危機管理
  • 公衆衛生看護管理論

 本書は,公衆衛生看護学の基礎となる理念・概念および活動展開について学べるように編集しました。すなわち本書では,公衆衛生看護の理念・対象,公衆衛生看護を実践するさまざまな場,健康に影響を及ぼす社会環境,公衆衛生看護の活動展開の概要,地域アセスメント(地域診断)に基づいた公衆衛生看護活動の計画・実践・評価,計画策定と施策化,公衆衛生看護管理,公衆衛生看護に関連する法令,研究,健康危機管理および日本・米英における公衆衛生看護の歴史について解説します。とくに地域アセスメント(地域診断)の展開については,具体的な解説と事例を用いた誌上演習により実践的な学習ができるように編集しました。

 本書を活用された皆さんが,公衆衛生看護を担う保健師として活躍されることを願っています。

 2025年11月
 筆者ら

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1章 公衆衛生看護の基本理念
 A 公衆衛生看護と保健師の活動 (田口敦子)
  1.公衆衛生看護に求められるもの
  2.公衆衛生看護の基盤となるもの
  3.保健師の専門性を支えるしくみ──基礎教育と現任教育による質の担保
 B 公衆衛生の理念 (尾島俊之)
  1.公衆衛生とは
  2.健康の概念
  3.プライマリヘルスケア
  4.ヘルスプロモーション
  5.障害者の権利と平等社会の実現
 C 公衆衛生看護の基盤となる概念 (牛尾裕子)
  1.人々の価値・信念の尊重
  2.アドボカシー
  3.エンパワメント
  4.パートナーシップ
  5.公衆衛生看護の基盤となる概念を事例から学ぶ
 D 公衆衛生看護における倫理 (田口敦子)
  1.倫理とはなにか
  2.看護職の倫理綱領
  3.公衆衛生看護活動における倫理とは

2章 公衆衛生看護の対象
 A 公衆衛生看護の対象としての個人・家族 (有本梓)
  1.はじめに:公衆衛生看護の対象と特徴
  2.活動対象としての個人
  3.活動対象としての家族
 B 公衆衛生看護の対象としての集団・組織,地域 (白谷佳恵)
  1.活動対象としての集団・組織
  2.活動対象としての地域(コミュニティ)
  3.対象の相互関連性へのはたらきかけ

3章 公衆衛生看護の場
 A 行政機関 (臺有桂)
  1.行政機関
  2.保健所
  3.市町村保健センター
  4.福祉部門
  5.国(厚生労働省)
 B 職域 (中谷淳子)
  1.職域保健(産業保健)が行われる場の理解
  2.産業看護職の活動
 C 学校 (三森寧子)
  1.学校という場と学校保健
  2.学校保健活動と養護教諭の職務
  3.地域における学校保健の役割
 D 医療施設 (新井香奈子)
  1.医療施設の概要
  2.在宅医療
  3.医療の場と保健師
 E 福祉施設 (臺有桂)
  1.福祉施設の目的と保健師への期待
  2.児童相談所
  3.地域包括支援センター
  4.保育所
 F 国際 (近藤麻理)
  1.国際協力活動
  2.異文化と多様性への理解

4章 社会環境の変化と健康課題 (尾島俊之)
 A 人口および疾病構造の変化
  1.人口の変化と健康課題
  2.疾病構造の変化と健康課題
 B 社会構造・文化的背景の変化
  1.家族・近隣・労働の変化
  2.健康格差と健康の社会的決定要因
  3.健康課題解決のための資源
  4.生活・文化の多様化
 C 社会情勢,政治・経済・産業構造の変化
  1.社会保障制度改革,医療制度改革
  2.男女共同参画社会
  3.地方分権の推進
  4.科学技術の発展,医療の高度化・複雑化
  5.情報化,ICT(情報通信技術)の発展
 D 環境の変化と健康課題
  1.地球環境の変化
  2.環境汚染・公害
  3.生活環境の変化
  4.放射能による影響
  5.地域の健康危機

5章 公衆衛生看護活動の展開の基盤
 A 健康とその影響要因 (小澤涼子)
  1.公衆衛生看護活動における健康をとらえる視点
  2.健康の社会的決定要因と公衆衛生看護活動
 B 公衆衛生看護活動の基盤──理論および展開方法 (臺有桂)
  1.公衆衛生看護活動の基盤となる理論
  2.公衆衛生看護活動の展開方法および遂行方法

6章 公衆衛生看護活動の展開方法
 A 公衆衛生看護活動における地域セスメント (田口敦子)
  1.地域アセスメントの必要性と実施する場面
  2.地域アセスメントの過程
  3.地域アセスメントに活用できるモデル
 B 公衆衛生看護活動の計画・実践・評価 (中村裕美子・標美奈子・渡部月子)
  1.計画策定とは
  2.計画策定の具体的な流れ
  3.公衆衛生看護活動の計画策定・実施による波及効果
  4.公衆衛生看護活動の評価
 C [演習①]地域アセスメント(地域診断) (中村裕美子・渡部月子・山崎真帆・標美奈子)
  1.既存の資料や日常の保健活動から把握した情報
  2.アセスメントで抽出した問題の整理
  3.計画と評価の実際
 D [演習②]子育て支援についての地域アセスメント・計画立案・評価 (渡部月子・山崎真帆・中村裕美子・標美奈子)
  演習1 子育て支援活動の状況から問題点を整理しよう
  演習2 子育て支援に対する地域のニーズを整理しよう
  演習3 切れ目のない子育て支援活動を実現するための課題を検討しよう
  演習4 子育て支援活動の次年度の目標を考えてみよう
  演習5 課題に優先順位をつけて,各課題の目標と事業計画を立案しよう
  演習6 子育て支援活動の評価を考えてみよう

7章 保健医療福祉における施策化と事業化 (塩見美抄)
 A 保健医療福祉における施策化──保健計画の策定
  1.政策・施策・事業の体系
  2.施策としての保健計画策定過程
  3.施策の評価
  4.施策化への保健師の参画
 B 保健医療福祉における事業化──事業計画の立案
  1.事業化とは
  2.事業化の展開過程
  3.事業計画の策定
  4.事業化の体制づくり
  5.事業の評価
  6.事業化の具体例

8章 公衆衛生看護管理
 A 公衆衛生看護管理の基本 (吉岡京子)
  1.公衆衛生看護管理とは
  2.組織運営と管理
  3.人事管理
  4.人材育成
  5.予算管理
  6.情報管理
  7.業務管理
 B 公衆衛生看護に関する法令 (今野浩之)
  1.法令を学ぶ意義と公衆衛生看護活動の根拠
  2.公衆衛生看護活動に関する法令
 C 公衆衛生看護と研究 (田中美加)
  1.公衆衛生看護活動における研究的視点の重要性
  2.科学的根拠に基づく公衆衛生看護実践と研究
  3.公衆衛生看護活動の科学的な評価方法
  4.研究手法の習得のすすめ

9章 健康危機管理
 A 健康危機管理の基本 (牛尾裕子)
  1.健康危機管理の理念と目的
  2.健康危機の分野
  3.リスクマネジメント
 B 災害保健活動 (牛尾裕子)
  1.災害とは
  2.災害に対する社会的対応システム
  3.災害保健活動の基本
  4.災害発生時から災害復旧・復興対策期の保健活動
  5.平常時からの保健活動
 C 感染症集団発生への保健活動 (柳生文宏)
  1.感染症調査の基本
  2.事前対策,発生時の対応
  3.感染拡大防止

10章 公衆衛生看護の歴史 
 A 日本における公衆衛生看護の歴史 (近藤明代)
  1.日本における公衆衛生看護活動の創成期
  2.戦時体制下の公衆衛生看護活動
  3.占領下・復興期の公衆衛生看護活動
  4.大きな転換期を迎えた公衆衛生看護活動
  5.高齢化などの新たな問題への対応
  6.地域保健法の施行,さまざまな健康問題への対応
  7.21世紀の健康問題への取り組み
 B 諸外国の公衆衛生の発達と公衆衛生看護の歴史 (緒方彩乃)
  1.公衆衛生・公衆衛生看護活動の原点──イギリスとアメリカの歴史から
  2.近代・現代における欧米諸国のヘルスケアシステムと公衆衛生看護

索引

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