標準整形外科学 第16版
整形外科を学ぶうえでの定番テキスト。運動器疾患についての確かな知識、充実の改訂版
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整形外科診療にかかわる医療者に最も支持されているテキストの改訂第16版。豊富な写真やイラスト、平易な解説により、初学者が運動器疾患にかかわる知識を十分に理解することができる。今版では特に外傷(骨折・脱臼など)に関する解説や図表が、最新の知見もふくめアップデートされた。また身体検査や超音波検査(エコー)の動画、本書内の写真を集めたアトラスなどWeb付録もさらに充実した。まさに運動器疾患を学ぶ人には必携の1冊。
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序文
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第16版 序
このたび,『標準整形外科学 第16版』をお届けできることを,心より嬉しく思います.本書は1979年の初版以来,半世紀近くという長きにわたり,医学部学生,初期研修医,そして専門医を目指す後期研修医の羅針盤としてその道を照らし続けてきました.「本を読まずして医学を学ぶことは海図を持たずして航海に出るに等しい」とは,近代医学の父 William Osler(ウィリアム・オスラー)博士の言葉ですが,過去の知見を尊重し,そこから謙虚に学び,そのうえで実際の患者の治療にあたることの重要性を示したものです.『標準整形外科学』は,整形外科の歴史と伝統を継承し,次世代の医師たちを導く海図としての役割を,これからも変わらず担い続けていきたいと考えております.
この間,医学,特に整形外科の分野は目覚ましい進歩を遂げてきました.新たな手術手技やインプラントの開発,疾患に対する理解の深化はもちろんのこと,近年の人工知能(AI)技術の発展は,医療の現場にも大きな変革をもたらしつつあります.画像診断の精度向上,手術支援ロボットの開発,そして,個別化医療の実現に向けたデータ解析などの進歩は,整形外科の未来を大きく変える可能性を秘めています.このような急速な変化に対応するため,本書は常に最新の情報を取り入れ,知識のアップデートを繰り返してきました.
教科書の改訂は,学問の進歩にとって血液の循環のように不可欠なものです.淀んだ知識は,動脈硬化のごとく思考の柔軟性を損ない,創造性を阻害します.清新な知識という新鮮な血液を循環させることで,教科書は常に活性化し,読者に新たな視点と深い理解をもたらしてくれると信じております.杉田玄白は「昨日の非は悔恨すべからず.明日,これ念慮すべし」と説きました.過去の過ちを悔いるのではなく,そこから学び,未来に活かすことこそが肝要です.私たち編集者も常にこの言葉を胸に,自己研鑽を怠らず,読者の皆様からの貴重なご意見を真摯に受け止め,本書をより洗練された内容へと進化させていく所存です.
今改訂第16版では,第I編「整形外科の基礎科学」の一部内容を整理し,全9章から7章へと再構成いたしました.また,第IV編の34章「外傷総論」と36章「骨折・脱臼(各論)」では,内容のアップデートとともに多くの写真や図表を一新しております.
さて,長きにわたり本書の編集にご尽力いただきました井樋栄二先生,津村弘先生が,今回編集陣を勇退されることとなりました.井樋先生には第11版(2011年)から,津村先生には第12版(2014年)から,長年にわたり編集ならびに監修をご担当いただき,本書の発展に多大なご貢献を賜りました.お二人の先生方の卓越したご指導と,並々ならぬご尽力に,心より敬意を表するとともに,深甚なる感謝を申し上げます.今後とも,変わらぬご支援を賜りますよう,よろしくお願い申し上げます.
第16版では前版に引き続き髙木理彰先生,松田秀一先生に編集を担当いただいております.また,今回から新たに谷口昇先生,今釜史郎先生が編集に加わってくださいました.執筆陣では,井樋栄二先生,山下敏彦先生,湏藤啓広先生,土屋弘行先生,稲垣克記先生,帖佐悦男先生,田中康仁先生,中村博亮先生の8名が退かれ,新たに池内昌彦先生,川島寛之先生,吉井俊貴先生,坂井孝司先生,寺本篤史先生,野田知之先生,筑田博隆先生,緒方徹先生の8名に加わっていただきました.それぞれの専門性と斬新な視点をおもちの先生方にご参画いただいたことで,本書はさらに多角的な視点と,より深い洞察を得ることができたと確信しております.
初版の序文で謳われた「考える整形外科学の提供」という理念の重要性は現代でも変わることはありません.AIが進化を遂げ,医療現場に浸透していく現代においても,医師にはAIでは代替できない人間ならではの知識,経験,そして倫理観が求められます.本書を通じて,知識を習得するだけでなく,自ら考え,判断し,行動する力を養い,より質の高い医療を提供できる人材を育成することが,私たちの使命であると考えています.
この第16版の改訂を通じて,多様な考え方と専門的知識が融合し,本書が新たな世代の医療従事者たちにとって価値ある指針となることを願ってやみません.『標準整形外科学』が,整形外科を志すすべての人々にとって,信頼できる情報源であり続けることを祈りつつ,この序文を閉じさせていただきます.
本書がもつ知識と経験が,日本のみならず,世界中の整形外科分野の進歩に貢献し続けることを,心より願っております.あらためて,すべての関係者の皆様のご尽力に,深甚なる感謝を申し上げます.
2025年11月
田中 栄
目次
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序章 整形外科とは
第I編 整形外科の基礎科学
構成マップ
第1章 骨の構造,生理,生化学
第2章 骨の発生,成長,維持
第3章 骨の病態,病理
第4章 関節の構造,生理,生化学
第5章 関節の病態,病理
第6章 筋・神経の構造,生理,生化学
第7章 痛みの基礎科学と臨床
第II編 整形外科診断総論
構成マップ
第8章 診療の基本──プロフェッショナルな医師を目指す
第9章 診療の実際と主訴・主症状から想定すべき疾患
第10章 整形外科的現症の取り方
第11章 検査
第III編 整形外科治療総論
構成マップ
第12章 保存療法
第13章 手術療法
第IV編 整形外科疾患総論
構成マップ
第14章 軟部組織・骨・関節の感染症
第15章 関節リウマチとその類縁疾患
第16章 変形性関節症とその類縁疾患
第17章 四肢循環障害と阻血壊死性疾患
第18章 先天性骨系統疾患
第19章 先天異常症候群
第20章 代謝性骨疾患
第21章 骨腫瘍
第22章 軟部腫瘍
第23章 神経疾患,筋疾患
第24章 ロコモティブシンドローム
第V編 整形外科疾患各論
構成マップ
第25章 肩関節
第26章 肘関節
第27章 手関節と手
第28章 頚椎
第29章 胸郭
第30章 胸椎,腰椎
第31章 股関節
第32章 膝関節
第33章 足関節と足
第VI編 整形外科外傷学
構成マップ
第34章 外傷総論
第35章 軟部組織損傷
第36章 骨折・脱臼
第37章 脊椎・脊髄損傷
第38章 末梢神経損傷
第VII編 スポーツと整形外科
構成マップ
第39章 スポーツ損傷
第40章 パラスポーツ
第VIII編 リハビリテーション
構成マップ
第41章 運動器疾患のリハビリテーション医療
第42章 義肢
付録(資料1~4)
本書で用いた略語一覧
和文索引
欧文索引
別冊付録 [OSCE対応]運動器疾患の診察のポイント
1.運動器診察の実際
2.皮膚の観察
3.関節炎の診察
4.関節弛緩
5.身体計測
6.筋力の判定基準
7.関節運動の表現
8.皮膚感覚帯
9.反射
10.歩容の観察
11.関節可動域表示ならびに測定法
12.局所診察(肩関節/肘関節/手関節および手/頚椎,胸椎,腰椎/股関節/膝関節/足関節と足)
13.救急,外傷診療のキーワード
Web付録(動画/画像)





