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多発性硬化症・視神経脊髄炎スペクトラム障害診療ガイドライン2023

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疾患概念の変化や診断基準の改訂、新薬の開発が日進月歩で進んでいくMS・NMOSD領域。前版発行からこれまでに生じた多くの変化を丁寧に整理し、わかりやすく解説する。第Ⅰ章は各疾患の特徴や診断アルゴリズム、治療薬を1つずつ取り上げ解説する総論的な内容。第Ⅱ章は専門医の中でも対応が分かれる「重要臨床課題」をCQ形式で取り上げる。第Ⅲ章はエキスパートの間では一定の了解が得られる事項をQ&A形式で紹介する。

シリーズ 日本神経学会監修ガイドラインシリーズ
監修 日本神経学会
編集 「多発性硬化症・視神経脊髄炎スペクトラム 障害診療ガイドライン」作成委員会
発行 2023年09月判型:B5頁:324
ISBN 978-4-260-05353-2
定価 6,160円 (本体5,600円+税)

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    2024.01.11

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神経疾患診療ガイドラインの発行にあたって/序

神経疾患診療ガイドラインの発行にあたって

 日本神経学会では,2001年に柳澤信夫理事長の提唱に基づき,理事会で主要な神経疾患について治療ガイドラインを作成することが決定され,2002年に「慢性頭痛」「パーキンソン病」「てんかん」「筋萎縮性側索硬化症」「痴呆性疾患」「脳血管障害」の6疾患についての「治療ガイドライン2002」を発行しました。
 その後,日本神経学会では「治療ガイドライン2002」の発行から時間が経過し,新しい知見も著しく増加したため,2008年の理事会で改訂を行うことを決定し,さらにそれ以降も関連学会と協力してガイドラインごとに作成委員会を設置して順次改訂や新規作成に取り組んできました。現在では18のガイドラインを書籍やウェブサイトで公表しています。ガイドラインは,当初「治療ガイドライン」として作成されていましたが,2010~2011年に改訂版として公表した「てんかん」「認知症疾患」「多発性硬化症」「パーキンソン病」のガイドラインからは,検査・診断を含めた「診療ガイドライン」として作成されるようになりました。
 多発性硬化症や視神経脊髄炎に関するガイドラインとしては,これまで,『多発性硬化症治療ガイドライン2010』,次いで『多発性硬化症・視神経脊髄炎診療ガイドライン2017』が作成・公表されてきました。2017年版の大きな改訂点は,治療のみならず診断も含めた点,タイトルが示すとおり「視神経脊髄炎」が多発性硬化症とは別疾患として取り上げられた点などがありました。2017年版の公開から5年以上が経過し,多発性硬化症も視神経脊髄炎スペクトラム障害もその診療環境は大きく変わりつつあります。さらに,MOG抗体関連疾患という概念も確立されました。そこで,日本神経学会監修のもと,日本神経免疫学会,日本神経治療学会,厚生労働科学研究「神経免疫疾患のエビデンスに基づく診断基準・重症度分類・ガイドラインの妥当性と患者QOLの検証」班の協力をいただきガイドライン作成委員会を組織して作業を進め,『多発性硬化症・視神経脊髄炎スペクトラム障害診療ガイドライン2023』として公表するに至った次第です。
 「多発性硬化症・視神経脊髄炎スペクトラム障害診療ガイドライン」作成委員会の委員,システマティックレビュー委員,外部委員,研究協力者,評価・調整委員には,毎年日本神経学会代表理事に利益相反自己申告書を提出し,日本神経学会利益相反委員会が審査し,重大な利益相反が生じないようマネジメントを行うとともに,その申告状況については本書巻末資料で公表しています。
 本ガイドラインの改訂・作成は従来同様,根拠に基づく医療(evidence-based medicine:EBM)の考え方に従い,日本医療機能評価機構による『Minds診療ガイドライン作成マニュアル2020ver.3.0』に準拠して行われました。

 診療ガイドラインは,臨床医が適切かつ妥当な診療を行うための臨床的判断を支援する目的で,現時点の医学的知見に基づいて作成されたものです。個々の患者の診療はすべての臨床データをもとに,主治医によって個別の決定がなされるべきものであり,診療ガイドラインは医師の裁量を拘束するものではありません。診療ガイドラインはすべての患者に適応される性質のものではなく,患者の状態を正確に把握した上で,それぞれの治療の現場で参考にとなるように作成されたものです。
 多発性硬化症および視神経脊髄炎スペクトラム障害の治療は日進月歩で発展しており,今後も本ガイドラインの定期的な改訂が必要となります。本ガイドラインを各関係学会員の皆様に活用していただき,さらには学会員の皆様からのフィードバックをいただくことにより,診療ガイドラインの内容は今後よりよいものになっていきます。本ガイドラインが,皆様の日常診療の一助になることを期待しますとともに,次なる改訂に向けて,ご意見とご評価をお待ちしております。

 2023年7月
 日本神経学会
 代表理事 西山和利
 前代表理事 戸田達史
 ガイドライン統括委員会 委員長 小野寺理
 前ガイドライン統括委員会 委員長 青木正志


 『多発性硬化症・視神経脊髄炎診療ガイドライン2017』公開後,多発性硬化症(multiple sclerosis:MS)や視神経脊髄炎スペクトラム障害(neuromyelitis optica spectrum disorders:NMOSD)の診療環境は大きく変化している。具体的には,MSにおける診断基準の改訂(McDonald, 2017),それをもとにした本邦厚生労働省の診断基準の改訂,新たな疾患修飾薬(disease-modifying drug:DMD)であるフマル酸ジメチル,シポニモド,オファツムマブの上市,NMOSDでは,〔アクアポリン4(aquaporinn-4:AQP4)抗体陽性〕視神経炎に対する急性期治療として免疫グロブリン大量静注療法(intravenous immunoglobulin:IVIg)の認可,再発予防の生物学的製剤として,エクリズマブ,サトラリズマブ,イネビリズマブ,リツキシマブの認可,さらに疾患としてMOG抗体関連疾患(MOG antibody-associated disease:MOGAD)の概念の確立と診断基準の公開などである。一方,本邦においてこれらの疾患の有病率は必ずしも高くなく,1人の医師や1つの医療機関で診療する患者数はそれほど多くない。そのため,MSやNMOSDを専門としない医師や医療スタッフがこれらの患者に関わることも多く,診療において十分な経験を積めず,判断に迷うことも多々あるのではないかと想像する。このような状況でどのような診療を行えばよいのか,この疑問に答えるべくMS,NMOSDを専門とする医師が集結してこれまでのエビデンスに基づいて検討し,日本神経学会監修のもと,『多発性硬化症・視神経脊髄炎スペクトラム障害診療ガイドライン2023』を作成した。
 今回の改訂にあたっては,脳神経内科医のみではなく,MSやNMOSDに詳しい眼科や小児科の専門医に協力者として加わってもらい,さらには,患者の方々にも参画をお願いした。『Minds診療ガイドライン作成マニュアル2020 ver.3.0』では,患者もパネル会議に参加し投票することが推奨されているが,今回初めての参画となることもあり,作成過程におけるディスカッションなどへの参画を依頼した。議論に参画したのは,本ガイドライン作成委員の推挙を受けた,葛城孝哉氏,鈴木美江子氏,田中 萌氏,中田郷子氏,野田誠子氏,樋口太郎氏,林 耀君氏(五十音順)の7名である。この場を借りて,改めてお礼申し上げる。
 ところで,作成委員会では,本ガイドラインの記載にあたって,保険適用の有無や薬剤の添付文書記載は考慮せずにあくまでこれまでの報告などを踏まえて判断することを確認し,保険適用がない場合には,該当箇所においてその旨記載するようにした。
 本ガイドラインで扱う疾患の治療選択肢は,新薬の登場によりますます複雑になっている。中には,実臨床で参考になるエビデンスと呼べるほどのデータが少ないものもあり,どのように使用するか臨床現場では判断に迷う場合がある。そのため,本ガイドライン作成開始時点までに得られている情報を収集・整理し,それらのデータをもとに,作成委員会としての意見をまとめた。
 本ガイドラインの推奨や回答は強制されるものではなく,診療行為の選択肢を示す1つの参考資料であることに十分注意する必要がある。患者1人1人の異なる状況を勘案し,それぞれの患者やその家族の状況・価値観・希望なども加味して,患者と医療者が協働して柔軟に対応すべきことは,本ガイドラインを活用する上で重要な点である。
 本ガイドラインは概ね5年ごとに改訂が予定されている。次回改訂までには多くの新たなデータが報告されるはずである。診療にあたる医師,および医療スタッフには常に新しい情報を収集しながら,本ガイドラインを活用されることを期待する。

 2023年7月
 「多発性硬化症・視神経脊髄炎スペクトラム障害診療ガイドライン」作成委員会
 委員長 新野正明

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目次

執筆者一覧
神経疾患診療ガイドラインの発行にあたって

『多発性硬化症・視神経脊髄炎スペクトラム障害診療ガイドライン2023』の概要
略語一覧

第I章 中枢神経系炎症性脱髄疾患診療における基本情報
  1.中枢神経系炎症性脱髄疾患概要
   A 本ガイドラインが扱う疾患
   B 多発性硬化症(MS)
   C 視神経脊髄炎スペクトラム障害(NMOSD)
   D MOG抗体関連疾患(MOGAD)
   E 急性散在性脳脊髄炎(ADEM)
   F バロー同心円硬化症(BCS)
  2.診断基準の概説と中枢神経系炎症性脱髄疾患診断アルゴリズム
   A MSの診断基準
   B 小児MSの診断基準
   C NMOSDの診断基準
   D MOGADの診断基準
   E ADEMの診断基準
   F 中枢神経系炎症性脱髄疾患診断のアルゴリズム
   G 小児中枢神経系炎症性脱髄疾患診断のアルゴリズム
  3.各治療概要
   A 副腎皮質ステロイド薬
   B 血漿浄化療法
   C IVIg
   D IFNβ
   E グラチラマー酢酸塩(GA)
   F フィンゴリモド
   G フマル酸ジメチル(DMF)
   H ナタリズマブ
   I オファツムマブ
   J シポニモド
   K 免疫抑制薬
   L エクリズマブ
   M サトラリズマブ
   N イネビリズマブ
   O リツキシマブ
   資料 日本で使用可能なMSに対するDMD
   資料 日本で使用可能なNMOSDに対する生物学的製剤
  4.医療経済学的側面および社会資源の活用
   A 検査・治療などの保険適用
   B 利用可能な福祉制度や社会資源
   C 療養・就労両立支援

第II章 中枢神経系炎症性脱髄疾患診療におけるCQと推奨
   CQおよび推奨の作成過程
    [CQ1] RRMS患者の診断早期にナタリズマブないしオファツムマブで治療を開始するのは推奨されるか?
    [CQ2] 高齢MS患者において,DMDを中止することは推奨されるか?
    [CQ3] SPMS患者に,オファツムマブとシポニモドのいずれが推奨されるか?
    [CQ4] AQP4抗体陽性NMOSD患者の再発予防を生物学的製剤で開始することは推奨されるか?
    [CQ5] MOGAD患者に,再発予防治療は推奨されるか?
    資料 各CQのシステマティックレビューレポート
    [CQ1] [CQ2] [CQ3] [CQ4] [CQ5]

第III章 中枢神経系炎症性脱髄疾患診療におけるQ&A
  1.中枢神経系炎症性脱髄疾患の急性増悪期の治療のQ&A
    [Q1-1] MS,NMOSD,MOGAD,ADEMの急性増悪期(初発を含む)はどう治療するか?
    [Q1-2] 急性増悪期の治療はMSおよびNMOSDの長期予後に影響するか?
  2.MSの再発予防・進行抑制治療のQ&A
   2-1.再発予防・進行抑制治療開始
    [Q2-1-1] MS患者はいつDMDを開始すべきか?
    [Q2-1-2] MSのDMDはどのように開始すべきか?
    [Q2-1-3] SPMSの治療はどのように行うべきか?
    [Q2-1-4] PPMSの治療はどのように行うべきか?
   2-2.妊娠可能年齢の女性およびその男性パートナーの治療
    [Q2-2-1] 妊娠可能年齢の女性患者の再発予防はどのように行うべきか?
    [Q2-2-2] 妊娠・授乳期間中の再発予防はどのように行うか?
    [Q2-2-3] 妊娠可能年齢の女性パートナーがいる男性MS患者の治療で気を付けるべき点はあるか?
   2-3.JCV抗体陽性の患者の治療
    [Q2-3] JCV抗体陽性患者の治療はどのように行うべきか?
   2-4.膠原病・膠原病関連疾患合併MSの治療
    [Q2-4] 自己免疫疾患(神経系の自己免疫疾患を除く)を合併したMSはどのように治療を行うか?
   2-5.小児MSの治療
    [Q2-5] 小児MS患者の治療はどのように行うべきか?
   2-6.再発予防治療の切り替え
    [Q2-6-1] どのような場合に,DMDの切り替えを検討すべきか?
    [Q2-6-2] どのようにDMDの切り替えをすべきか?
    資料 CQおよびQ&AをもとにしたRRMSの治療アルゴリズム
  3.NMOSDの再発予防治療のQ&A
    [Q3] NMOSDの再発予防はどうすべきか?
    資料 CQおよびQ&AをもとにしたAQP4抗体陽性NMOSDの治療アルゴリズム
  4.再発性MOGADの治療のQ&A
    [Q4] 再発性MOGADの治療はどのように行うべきか?
  5.フォローアップのQ&A
    [Q5-1] CISの患者のフォローアップはどのように行うか?
    [Q5-2] MSの予後不良因子は何か?
    [Q5-3] 身体障害の程度およびQOLはどのように評価するか?
    [Q5-4] MRIはどのくらいの頻度で実施し、撮像法はどうすべきか?
    [Q5-5] 脳萎縮の評価はどのように行うか?
    [Q5-6] 認知機能の評価はどのように行うか?
    [Q5-7] 中枢神経系炎症性脱髄疾患患者の眼科的検査はどのように行うか?
    [Q5-8] 中枢神経系炎症性脱髄疾患における感染症の管理はどのように行うべきか?
    [Q5-9] 中枢神経系炎症性脱髄疾患に対するプレドニゾロンや免疫抑制薬による再発予防中の合併症をどのように予防すべきか?
    [Q5-10] 中枢神経系炎症性脱髄疾患患者の生活指導はどのように行うべきか?
    [Q5-11] 中枢神経系炎症性脱髄疾患においてワクチン接種はどうしたらよいか?
    [Q5-12] 中枢神経系炎症性脱髄疾患の神経生理学的検査はどのように行うか?
  6.対症療法のQ&A
    [Q6-1] 痙縮にはどのような治療法や対処のしかたがあるか?
    [Q6-2] 痛みやしびれにはどのような治療法や対処のしかたがあるか?
    [Q6-3] 排尿障害や排便障害にはどのような治療法や対処のしかたがあるか?
    [Q6-4] 性機能障害にはどのような治療法や対処のしかたがあるか?
    [Q6-5] 疲労や倦怠感にはどのような治療法や対処のしかたがあるか?
    [Q6-6] うつや他の精神症状にはどのような治療法や対処のしかたがあるか?
    [Q6-7] 認知機能障害にはどのような治療法や対処のしかたがあるか?
    [Q6-8] 視覚異常にはどのような治療法や対処のしかたがあるか?
  7.妊娠・出産,性ホルモンのQ&A
    [Q7-1] 妊娠・出産,授乳はMS,NMOSD,MOGADの症状や経過に影響するか?
    [Q7-2] 妊娠・授乳期間中に再発した場合,検査や治療はどうするか?
    [Q7-3] 出産後(産褥期を含む)のMS,NMOSD,MOGADの診療はどのように行うべきか?
    [Q7-4] 性ホルモン製剤は,症状や経過に影響するか?
  8.リハビリテーションのQ&A
    [Q8-1] リハビリテーションにはどのようなものがあり,どのように進めていくか?
    [Q8-2] 機能補助のための補助具・装具にはどのようなものがあるか?

巻末資料
 利益相反(COI)開示
 索引

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最新知見を網羅したMS・NMOSD診療のバイブル
書評者:楠 進(地域医療機能推進機構理事)

 多発性硬化症(multiple sclerosis:MS)は中枢神経障害を引き起こす代表的な自己免疫疾患であるが,その疾患概念は21世紀に入って大きく変化した。従来はMSの1つのサブタイプと考えられていた視神経脊髄炎(neuromyelitis optica:NMO)が,NMO-IgGすなわちアクアポリン4(aquaporin 4:AQP4)抗体が見いだされたことにより病態の異なる疾患と考えられるようになり,さらにAQP4抗体陽性症例の臨床像が多様であることから視神経脊髄炎スペクトラム障害(neuromyelitis optica spectrum disorders:NMOSD)という疾患概念が生まれた。また,中枢神経のミエリンを構成するミエリンオリゴデンドロサイト糖蛋白(myelin oligodendrocyte glycoprotein:MOG)に対する自己抗体の関連する疾患として,MOG抗体関連疾患(MOG antibody-associated disease:MOGAD)も類縁する疾患として確立されてきた。これらの中枢神経の炎症性疾患に対する治療も,従来のステロイド,血漿交換,免疫グロブリン製剤や免疫抑制薬に加えて各種の分子標的薬が導入されるようになっている。本書はこうしたMS,NMOSD,MOGADの最新情報を中心とし,それに加えて急性散在性脳脊髄炎(acute disseminated encephalomyelitis:ADEM)やバロー同心円硬化症(Baló concentric sclerosis:BCS)も対象として,日本神経学会が主体となって作成された診療ガイドラインであり,『多発性硬化症・視神経脊髄炎診療ガイドライン2017』の改訂版である。前の版の出版からこれまでの間に多くの進歩がみられたが,特に新規治療薬の導入は数多く,知識の整理が必要であり,今回の改訂はまさに時宜を得たものといえよう。

 本書は3つの章から成り立っている。第I章は,中枢神経系炎症性脱髄疾患診療における基本情報であり,それぞれの疾患の概要から診断,治療について詳細に記載されている。この第I章を通読するだけで,稀少疾患であるMS,NMOSD,MOGAD,ADEM,BCSについて,要領よく理解することができるであろう。また免疫性神経疾患の治療薬について,まとまった知識を得るにも最適の教材と考えられる。第I章の最後には,医療経済学的側面および社会資源の活用として,診療において重要な検査や治療の保険適用,法律や制度,療養や就労の支援などについて述べられていて,日常診療に役立つ内容となっている。

 第II章は診療における5件のCQ(clinical question)と推奨,第III章は多数のQ&Aとなっているが,第II章はやや専門的な内容であり,日常診療における疑問はほぼ第III章で解決できるであろう。したがって,一般の脳神経内科医や他科の医師,看護師やメディカルスタッフにとっては,第III章が大変役に立つと考えられる。

 MSおよび関連疾患は,前述のように進歩が著しい領域であるが,その進歩には,特にNMOSDやMOGADにおいてわが国の研究者の寄与も大きなものがある。本書は,わが国のエキスパートの知見の集大成といえるものであり,当該疾患の診療のバイブルとして活用されるものと思われる。

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本書の記述の正確性につきましては最善の努力を払っておりますが、この度弊社の責任におきまして、下記のような誤りがございました。お詫び申し上げますとともに訂正させていただきます。

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