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がん薬物療法のひきだし 第2版
腫瘍薬学の基本から応用まで

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若手薬剤師や薬学生に向けてがん薬物療法に必須の基礎知識を整理・解説した教科書。日常で直面する疑問点を解決するための「ひきだし」(=応用力)もしっかり身に付く。初版の内容をアップデートし、さらなる使いやすさを目指してブラッシュアップ! 目次は「1. 総論」「2. 抗がん薬各論」「3. がん薬物療法」「4. 支持療法」「5. 緩和ケア」で、各章の情報・解説が相互につながって理解が深まるように工夫した。

編集 松尾 宏一 / 緒方 憲太郎 / 林 稔展
発行 2024年05月判型:B5頁:568
ISBN 978-4-260-05356-3
定価 5,830円 (本体5,300円+税)

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第2版の序

 本書『がん薬物療法のひきだし』は,薬剤師の臨床業務のうち,腫瘍薬学に関する様々な疑問や課題を解決するための基本から応用を網羅した書籍を目指して,2020年4月に初版が刊行されました。それから既に4年の歳月が流れ,これまでがん薬物療法に興味がある多くの方々に本書を手に取っていただくことができました。ご好評を受けて,このたび第2版を発刊できたことに深く感謝申し上げます。

 ご存じのように,がん薬物療法で用いる薬剤は,古くから使用されている殺細胞性抗がん薬やホルモン療法薬,さらに2000年代以降に登場した分子標的治療薬にとどまらず,近年は免疫チェックポイント阻害薬へと広がりを見せています。特に初版刊行以降の4年間では,免疫チェックポイント阻害薬ががん薬物療法における新たな地位を確立し,従来の単独での施行のみならず,殺細胞性抗がん薬などとの併用および免疫チェックポイント阻害薬同士の併用療法へと進歩しています。しかし治療の進歩はこれまで以上に副作用の複雑化をまねき,かつ長期間の施行後管理が必要となる要因となりました。それに伴って,医師だけでがん薬物療法の管理を行うことは難しくなり,薬剤師ががん薬物療法に貢献する必要性が増しています。合わせて医療チームにおける薬剤師の立ち位置が明確になり,その役割も必然的に重要になっています。

 このような現状で,安全で安心ながん薬物療法を施行するには,薬剤師が「がんとはどのような疾患か」および「各種の抗がん薬」を熟知し,合わせて「各がん種に対して実施される薬物治療」およびそれらの薬剤が原因となる「副作用への対策」,さらにがんとは切り離せない「緩和医療」に関する知識が必須です。それらの知識を駆使しながら,薬剤師にしかできない適切な薬学的管理を担っていくことが,がん薬物療法の施行下での患者の生活の質を上げ,治療効果を確実なものにすることに寄与するはずです。

 それらを加味して,この第2版も初版と同じく5つのセクション(いわゆる「部」に相当,タイトルの「ひきだし」にちなんで「段目」と名付けた)で構成されています。1段目「総論」は新たに「わが国のがん対策」を加えた8章で,2段目「抗がん薬各論」は5章,3段目「がん薬物療法」は13章で構成されています。さらに4段目「支持療法」は臨床推論を学ぶ意味で「副作用の見方・考え方」および最近注目されている「がん悪液質」の2章を新たに加えた18章で,5段目「緩和ケア」は「鎮痛補助薬」に関する項目を加えました。また第2版では,各項目において初版より詳しい解説,多くの図説,さらに治療ガイドラインに基づく薬物療法アルゴリズムを可能な限り掲載するようにしました。

 本書が安全で安心ながん薬物療法を提供し,患者さんのために役立ちたいと願う多くの薬剤師のための指南書となれば,編者としてこれ以上の喜びはありません。

 2024年3月
 初桜を心待ちにして日々を過ごす時節に
 編者を代表して 松尾宏一

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1段目 総論
 1 がんの疫学と病因
   1 疫学
   2 病因
 2 がんとは
  A がんの特徴
   1 がんの種類
   2 がん細胞
   3 がんと免疫の関係
  B がんの病期
   1 固形がんの病期(TNM分類)
   2 造血器腫瘍の分類と病期
 3 がん診断と効果判定
   1 診断のアプローチと考え方
   2 画像診断
   3 内視鏡診断
   4 腫瘍マーカー
   5 病理診断
   6 遺伝子・染色体診断
   7 治療効果判定
 4 わが国のがん対策
   1 がん対策基本計画に掲げられた内容とその推移
   2 がん医療における薬剤師の役割
   3 AYA世代の医療
 5 がん治療の考え方
   1 がん治療の考え方
   2 がん医療チームのスタッフの役割
   3 集学的治療
   4 外科手術
   5 内視鏡治療
   6 放射線療法
 6 レジメン管理
   1 レジメンとは
   2 レジメンの作成と記載内容
   3 レジメン申請・審査・登録
   4 レジメン評価と更新
 7 投与管理・調製
   1 抗がん薬調製・調剤前の処方・レジメンチェック
   2 併用支持薬の処方チェック
   3 抗がん薬の調剤
   4 抗がん薬投与中の注意
 8 曝露対策
   1 HD(Hazardous drugs)とは
   2 HDリストと危険性の分類
   3 職業性曝露
   4 曝露予防対策
   5 抗がん薬調製
   6 汚染時の対応

2段目 抗がん薬各論
 9 殺細胞性抗がん薬
   1 アルキル化薬
   2 代謝拮抗薬
   3 抗腫瘍性抗生物質
   4 プラチナ製剤
   5 微小管阻害薬
   6 トポイソメラーゼ阻害薬
   7 その他
 10 分子標的治療薬
  A 低分子薬・遺伝子組換え融合蛋白質製剤
   1 キナーゼ阻害薬
   2 mTOR阻害薬
   3 CDK4/6阻害薬
   4 プロテアソーム阻害薬
   5 PARP阻害薬
   6 HDAC阻害薬
   7 EZH2阻害薬
   8 BCL-2蛋白阻害薬
   9 VEGF阻害薬(遺伝子組換え融合蛋白質製剤)
  B 抗体薬
   1 抗VEGF抗体
   2 抗EGFR抗体
   3 抗HER2抗体
   4 膜状分化抗原標的薬
 11 ホルモン療法薬
   1 LH-RHアゴニスト
   2 LH-RHアンタゴニスト
   3 抗エストロゲン薬
   4 アロマターゼ阻害薬
   5 黄体ホルモン薬
   6 CYP17阻害薬
   7 抗アンドロゲン薬
   8 卵胞ホルモン薬
 12 免疫チェックポイント阻害薬
   1 総論
   2 抗CTLA-4抗体
   3 抗PD-1/L1抗体
 13 免疫調節薬(IMiDs)

3段目 がん薬物療法
 14 がん薬物療法総論
   1 がん薬物療法とは
   2 臓器障害等のハイリスク患者におけるがん薬物療法
   3 薬剤耐性のメカニズム
 15 乳がん
   1 乳がんとは / 2 治療法 / 3 代表的なレジメン / 4 副作用管理
 16 肺がん
   1 肺がんとは
  A 小細胞肺がん
   2 治療法 / 3 代表的なレジメン / 4 副作用管理
  B 非小細胞肺がん
   2 治療法 / 3 代表的なレジメン / 4 副作用管理(小細胞がん,非小細胞がん)
 17 食道がん
   1 食道がんとは / 2 治療法 / 3 代表的なレジメン / 4 副作用管理
 18 胃がん
   1 胃がんとは / 2 治療法 / 3 代表的なレジメン / 4 副作用管理
 19 大腸がん
   1 大腸がんとは / 2 治療法 / 3 代表的なレジメン / 4 副作用管理
 20 肝・胆・膵がん
  A 肝臓がん
   1 肝臓がんとは / 2 治療法 / 3 代表的なレジメン / 4 副作用管理
  B 胆道がん
   1 胆道がんとは / 2 治療法 / 3 代表的なレジメン / 4 副作用管理
  C 膵がん
   1 膵がんとは / 2 治療法 / 3 代表的なレジメン / 4 副作用管理
 21 婦人科がん
  A 子宮頸がん
   1 子宮頸がんとは / 2 治療法 / 3 代表的なレジメン / 4 副作用管理
  B 子宮体がん
   1 子宮体がんとは / 2 治療法 / 3 代表的なレジメン / 4 副作用管理
  C 卵巣がん
   1 卵巣がんとは / 2 治療法 / 3 代表的なレジメン / 4 副作用管理(子宮頸がん,子宮体がん,卵巣がん)
 22 泌尿器がん
  A 腎細胞がん
   1 腎細胞がんとは / 2 治療法 / 3 代表的なレジメン / 4 副作用管理
  B 膀胱がん
   1 膀胱がんとは / 2 治療法 / 3 代表的なレジメン / 4 副作用管理
  C 前立腺がん
   1 前立腺がんとは / 2 治療法 / 3 代表的なレジメン / 4 副作用管理
 23 頭頸部がん,甲状腺がん
   1 頭頸部がん,甲状腺がんとは
  A 頭頸部がん
   2 治療法 / 3 代表的なレジメン / 4 副作用管理
  B 甲状腺がん
   2 治療法 / 3 代表的なレジメン / 4 副作用管理(頭頸部がん,甲状腺がん)
 24 悪性リンパ腫
   1 悪性リンパ腫とは / 2 治療法 / 3 代表的なレジメン / 4 副作用管理
 25 白血病
   1 白血病とは
  A 急性骨髄性白血病(AML)
   2 治療法 / 3 代表的なレジメン / 4 副作用管理
  B 急性リンパ性白血病(ALL)
   2 治療法 / 3 代表的なレジメン / 4 副作用管理
  C 慢性骨髄性白血病(CML)
   2 治療法 / 3 代表的なレジメン / 4 副作用管理
  D 慢性リンパ性白血病(CLL)
   2 治療法 / 3 代表的なレジメン / 4 副作用管理(AML,ALL,CML,CLL)
 26 多発性骨髄腫
   1 多発性骨髄腫とは / 2 治療法 / 3 代表的なレジメン / 4 副作用管理

4段目 支持療法
 27 副作用の見方・考え方
   1 有害事象と副作用
   2 有害事象の評価
   3 病歴
   4 因果関係を考察する
 28 がん薬物療法の副作用
   1 抗がん薬で起こる副作用
   2 副作用対策の重要性
   3 副作用評価の方法
   4 副作用マネジメント
   5 副作用症状の患者教育
 29 支持療法薬
   1 支持療法とは
   2 予防的支持療法薬と治療的支持療法薬のマネジメント
 30 貧血(赤血球減少症),血小板減少症
  A 貧血(赤血球減少症)
   1 定義 / 2 原因となりうる主な抗がん薬 / 3 アセスメント / 4 支持療法
  B 血小板減少症
   1 定義 / 2 原因となりうる主な抗がん薬 / 3 アセスメント / 4 支持療法
 31 好中球減少症と感染症(発熱性好中球減少症)
   1 定義 / 2 原因となりうる主な抗がん薬 / 3 アセスメント / 4 FNの治療(支持療法)
 32 消化器症状
  A 口内炎
   1 定義 / 2 原因となりうる主な抗がん薬 / 3 アセスメント / 4 支持療法
  B 悪心・嘔吐
   1 定義 / 2 原因となりうる主な抗がん薬 / 3 アセスメント / 4 支持療法
  C 下痢
   1 定義 / 2 原因となりうる主な抗がん薬 / 3 アセスメント / 4 支持療法
  D 便秘
   1 定義 / 2 原因となりうる主な抗がん薬 / 3 アセスメント / 4 支持療法
 33 皮膚障害
  A 血管外漏出
   1 定義 / 2 原因となりうる主な抗がん薬 / 3 アセスメント / 4 支持療法
  B 皮膚障害
   1 定義 / 2 原因となりうる主な抗がん薬 / 3 アセスメント / 4 支持療法
  C 脱毛
   1 定義 / 2 原因となりうる主な抗がん薬 / 3 アセスメント / 4 支持療法
 34 腎毒性
   1 定義 / 2 原因となりうる主な抗がん薬 / 3 アセスメント / 4 支持療法
 35 心毒性
   1 定義 / 2 原因となりうる主な抗がん薬 / 3 アセスメント / 4 支持療法
 36 肝障害
   1 定義 / 2 原因となりうる主な抗がん薬 / 3 アセスメント / 4 治療
 37 神経障害
   1 定義 / 2 原因となりうる主な抗がん薬 / 3 アセスメント / 4 支持療法
 38 味覚障害
   1 定義 / 2 原因となりうる主な抗がん薬 / 3 アセスメント / 4 支持療法
 39 過敏症
  A アレルギー反応
   1 定義 / 2 原因となりうる主な抗がん薬 / 3 アセスメント / 4 支持療法・治療
  B Infusion reaction
   1 定義 / 2 原因となりうる主な抗がん薬 / 3 アセスメント / 4 支持療法
 40 腫瘍崩壊症候群
   1 定義 / 2 原因となりうる主な抗がん薬 / 3 アセスメント / 4 支持療法
 41 間質性肺炎
   1 定義 / 2 原因となりうる主な抗がん薬 / 3 アセスメント / 4 治療
 42 高血圧
   1 定義 / 2 原因となりうる主な分子標的治療薬 / 3 アセスメント / 4 支持療法
 43 免疫関連有害事象(irAE)
   1 定義 / 2 原因となりうる主な薬剤 / 3 アセスメント / 4 支持療法
 44 がん悪液質
   1 定義 / 2 原因となりうる主な要因 / 3 アセスメント / 4 支持療法

5段目 緩和ケア
 45 疼痛緩和と鎮痛薬
   1 緩和ケアとは
   2 痛みの種類と評価
   3 鎮痛薬の種類と投与方法
   4 オピオイド鎮痛薬の使い方と注意点
   5 オピオイド鎮痛薬の副作用
   6 鎮痛補助薬の種類と投与方法

 付録 抗がん薬の略名一覧
 索引

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