• HOME
  • 書籍
  • がん化学療法レジメン管理マニュアル 第4版


がん化学療法レジメン管理マニュアル 第4版

もっと見る

がん化学療法で役立つ情報を凝縮したマニュアル、大好評の第4版! 使用頻度の高いレジメンを111本掲載し、それぞれの臨床上のポイントをしっかり解説しました。「支持療法薬を含む投与スケジュール」(医師・薬剤師・看護師がすべきこと)と「副作用の発現時期」(患者に起こること)が1つの表で一目瞭然、概要の把握に便利です。エビデンスに基づく減量・中止規定、具体的な介入事例(症例)の情報もさらに充実しました。

監修 濱 敏弘
編集 青山 剛 / 池末 裕明 / 内田 まやこ / 佐藤 淳也 / 高田 慎也 / 土屋 雅美
発行 2023年02月判型:B6変頁:928
ISBN 978-4-260-05028-9
定価 4,950円 (本体4,500円+税)

お近くの取り扱い書店を探す

  • 正誤表を掲載しました。

    2023.03.24

  • 序文
  • 目次
  • 書評
  • 正誤表

開く

第4版 監修の序

 本書『がん化学療法レジメン管理マニュアル』は,その時代の代表的な治療レジメンを選択し,①支持療法を含む投与スケジュール,②投与前の患者選択基準,投与・減量・中止基準,処方監査項目,③調剤および投与時の注意点,④投与後の副作用マネジメントのポイントについて解説するとともに,⑤臨床の第一線で活躍している執筆者が経験した薬学的ケアの実践例を紹介する構成で,がん薬物療法に携わる薬剤師業務の一助になることを目指してきました.類書も多い中,薬剤師だけでなく,がん薬物療法に携わる他の医療職種の方々にも支持され,第4版を発刊することができました.第4版では,2022年現在のエビデンスや診療ガイドラインに基づき,また,がん種とステージを考慮して,これまでで最も多い111種のレジメンを収載しました.

 初版から約10年が経ち,がん薬物療法の進化とともにレジメンの概念,あるいはレジメンに求める内容が変わってきたと感じます.
 2000年代初頭,日本各地で発生した抗がん薬の誤投与や過量投与の原因の1つに,治療スケジュールが治療に関わる医師,薬剤師,看護師間で共有されていないことが挙げられました.医療事故のない安心・安全ながん医療を実施するためには,医師を中心として多職種の専門性を活かしたチーム医療の推進が必要であると,「がん医療水準均てん化の推進に関する検討会報告書(2005年)」において提言されました.そして,誤投与を防止するための情報をチームで共有するためのツールとして,レジメンの整備(見える化)が薬剤師を中心として進みました.そしてそこに,処方オーダリングシステムや電子カルテの普及という要素が重なり,2000年代初頭に発生していた誤投与は大きく減少しました.またこの時の提言に基づいて,本書の執筆陣を占めるがん専門薬剤師の制度も誕生しました.今では,がん専門薬剤師は,安全ながん薬物療法を実施するチーム医療の一員として欠かせない存在となり,他職種からも高く評価されるようになりました.
 多くの抗がん薬やがん免疫療法薬の登場およびゲノム解析の進歩により,標準治療から個別化治療の時代になってきました.このような治療の進化とともに,レジメンも進化していると感じます.レジメンは,「誤投与を防止するための治療計画書」から,「効果的で,安心・安全ながん薬物療法を適切に実施するための治療計画書」に変わってきました.リスク管理を図るための情報共有ツールというレジメンの本質は変わりませんが,安心・安全の目標値が変わり,その時代が求める安心・安全のレベルに合わせて,レジメンとして共有される情報が変わってきました.そのため,本書では,版を重ねてもいくつか同じレジメンを収載しています.本書はその時代の新しいレジメンを紹介するだけでなく,よく知られよく使われるレジメンでもその時代が求める安心・安全のレベルを示してきました.

 また近年,がん薬物療法を取り巻く新たな問題が2つ発生しています.1つは,新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の蔓延の長期化による診療体制への影響と,患者の受診行動の変容に伴うレジメン変更です.そしてもう1つは,薬物治療に欠かせないエッセンシャルドラッグやキードラッグの供給不足のため,レジメンや処方変更が余儀なくされる状況です.
 このような状況の中,薬剤師が最適ながん薬物療法を望む患者さんの期待に応え,本書がその業務を支える1冊となることを,執筆および編集に携わっていただいたすべての関係者と一緒に願っています.

 2023年1月
 がん研究会有明病院薬剤部シニア・アドバイザー
 濱 敏弘

開く

第1章 乳がん
  1 AC(ドキソルビシン+シクロホスファミド)
  2 FEC100(フルオロウラシル+エピルビシン+シクロホスファミド)
  3 TC(ドセタキセル+シクロホスファミド)
  4 TAC(ドセタキセル+ドキソルビシン+シクロホスファミド)+Peg-G-CSF
  5 パクリタキセル(タキソール®
  6 パクリタキセル+ベバシズマブ
  7 トラスツズマブ(ハーセプチン®
  8 ペルツズマブ+トラスツズマブ
  9 カペシタビン(ゼローダ®
  10 トラスツズマブ エムタンシン(カドサイラ®
  11 エリブリン(ハラヴェン®
  12 エキセメスタン+エベロリムス
  13 パルボシクリブ+レトロゾール
  14 フルベストラント(フェソロデックス®
  15 ドセタキセル(タキソテール®
  16 nab-パクリタキセル(アブラキサン®
  17 アテゾリズマブ+nab-パクリタキセル
  18 アベマシクリブ(ベージニオ®
  19 トラスツズマブ デルクステカン(エンハーツ®
  20 ビノレルビン(ナベルビン®
  21 トラスツズマブ+ラパチニブ
  22 TCH(ドセタキセル+カルボプラチン+トラスツズマブ)
  23 GT(パクリタキセル+ゲムシタビン)

第2章 肺がん
 I.小細胞肺がん
  24 エトポシド+シスプラチン
  25 イリノテカン+シスプラチン
  26 アテゾリズマブ+エトポシド+カルボプラチン
  27 アムルビシン(カルセド®
 II.非小細胞肺がん
  28 シスプラチン+ビノレルビン
  29 ゲフィチニブ(イレッサ®
  30 エルロチニブ(タルセバ®
  31 アファチニブ(ジオトリフ®
  32 オシメルチニブ(タグリッソ®
  33 アレクチニブ(アレセンサ®
  34 ペメトレキセド+カルボプラチン+ベバシズマブ
  35 ペメトレキセド維持療法
  36 カルボプラチン+nab-パクリタキセル
  37 ラムシルマブ+ドセタキセル
  38 ニボルマブ(オプジーボ®
  39 ペムブロリズマブ(キイトルーダ®
  40 アテゾリズマブ(テセントリク®
  41 アテゾリズマブ+ベバシズマブ+nab-パクリタキセル+カルボプラチン
  42 シスプラチン+ペメトレキセド+ペムブロリズマブ

第3章 大腸がん
  43 FOLFOX±Cmab±Pmab(フルオロウラシル+レボホリナート+オキサリプラチン±セツキシマブ±パニツムマブ)
  44 FOLFIRI±RAM(フルオロウラシル+レボホリナート+イリノテカン±ラムシルマブ)
  45 FOLFIRI±AFL(フルオロウラシル+レボホリナート+イリノテカン±アフリベルセプト)
  46 CapeOX(術後)(カペシタビン+オキサリプラチン)
  47 CapeOX±Bev(カペシタビン+オキサリプラチン±ベバシズマブ)
  48 レゴラフェニブ(スチバーガ®
  49 セツキシマブ+エンコラフェニブ±ビニメチニブ
  50 ニボルマブ+イピリムマブMSI
  51 FOLFOXIRI±Bev(イリノテカン+オキサリプラチン+フルオロウラシル±ベバシズマブ)

第4章 胃がん
  52 トラスツズマブ+シスプラチン+カペシタビン
  53 SOX(S-1+オキサリプラチン)
  54 DS(ドセタキセル+S-1)
  55 RAM+PTX or nab-PTX(ラムシルマブ+パクリタキセル or nab-パクリタキセル)
  56 トリフルリジン・チピラシル(ロンサーフ®

第5章 肝胆膵がん
 I.肝臓がん
  57 レンバチニブ(レンビマ®
  58 アテゾリズマブ+ベバシズマブ
 II.胆道がん
  59 GC(ゲムシタビン+シスプラチン)
  60 ペミガチニブ(ペマジール®
 III.膵臓がん
  61 FOLFIRINOX(オキサリプラチン+レボホリナート+イリノテカン+フルオロウラシル)
  62 nab-パクリタキセル+ゲムシタビン
  63 イリノテカンリポソーム製剤(オニバイド®

第6章 婦人科がん
 I.卵巣がん
  64 TC+Bev(パクリタキセル+カルボプラチン+ベバシズマブ)
  65 dose-dense TC(パクリタキセル+カルボプラチン)
  66 ドキソルビシン塩酸塩リポソーム製剤(ドキシル®
  67 オラパリブ(リムパーザ®
  68 ニラパリブ(ゼジューラ®
 II.子宮頸がん
  69 RT+シスプラチン
 III.子宮体がん
  70 AP(ドキソルビシン+シスプラチン)
 IV.胚細胞腫瘍
  71 BEP(エトポシド+シスプラチン+ブレオマイシン)

第7章 泌尿器がん
 I.腎臓がん
  72 スニチニブ(スーテント®
  73 ソラフェニブ(ネクサバール®
  74 アキシチニブ(インライタ®
  75 エベロリムス(アフィニトール®
  76 テムシロリムス(トーリセル®
  77 パゾパニブ(ヴォトリエント®
  78 カボザンチニブ(カボメティクス®
  79 アキシチニブ+アベルマブ
  80 アキシチニブ+ペムブロリズマブ
 II.前立腺がん
  81 カバジタキセル(ジェブタナ®
  82 エンザルタミド(イクスタンジ®
  83 アビラテロン(ザイティガ®
  84 アパルタミド(アーリーダ®
  85 ダロルタミド(ニュベクオ®
 III.膀胱がん
  86 GC(ゲムシタビン+シスプラチン)
  87 アベルマブ(バベンチオ®

第8章 頭頸部がん
  88 RT+シスプラチン
  89 セツキシマブ+パクリタキセル

第9章 造血器腫瘍
 I.非ホジキンリンパ腫
  90 R-CHOP(リツキシマブ+シクロホスファミド+ドキソルビシン+ビンクリスチン+プレドニゾロン)
  91 GB(オビヌツズマブ+ベンダムスチン)
 II.ホジキンリンパ腫
  92 ABVD(d)(ドキソルビシン+ブレオマイシン+ビンブラスチン+ダカルバジン)
  93 BV併用AVD(ドキソルビシン+ビンブラスチン+ダカルバジン+ブレンツキシマブ ベドチン)
 III.多発性骨髄腫
  94 パノビノスタット+ボルテゾミブ+デキサメタゾン
  95 KRd(カルフィルゾミブ+デキサメタゾン+レナリドミド)
  96 IRd(イキサゾミブ+デキサメタゾン+レナリドミド)
  97 ERd(デキサメタゾン+エロツズマブ+レナリドミド)
  98 DLd(ダラツムマブ+レナリドミド+デキサメタゾン)
  99 DBd(ダラツムマブ+ボルテゾミブ+デキサメタゾン)
  100 DCd(ダラツムマブ+カルフィルゾミブ+デキサメタゾン)
  101 IsaPd(イサツキシマブ+ポマリドミド+デキサメタゾン)
 IV.慢性骨髄性白血病(CML)
  102 イマチニブ(グリベック®
  103 ニロチニブ(タシグナ®
  104 ダサチニブ(スプリセル®
  105 ボスチニブ(ボシュリフ®
  106 ポナチニブ(アイクルシグ®

第10章 その他のがん
  107 ゾレドロン酸(ゾメタ®
  108 デノスマブ(ランマーク®
  109 ラスブリカーゼ(ラスリテック®
  110 ペグフィルグラスチム(ジーラスタ®
  111 デクスラゾキサン(サビーン®

付録1 抗がん薬の希釈後の安定性
付録2 JCOG共用基準範囲一覧(CTCAE v5.0対応版)

索引

開く

看護師を含む多職種の医療者に薦めたい
書評者:矢ヶ崎 香(慶大教授・看護医療学)

 本書は安心・安全ながん化学療法をサポートすることを目的に,使用頻度の高いレジメンについて臨床上のポイントをまとめたマニュアルである。初版の刊行以来すでに10年以上の歴史を持ち,今回の第4版では111本のレジメンを取り上げている。

 本書の構成はとてもよく練られている。各レジメンの冒頭には,当該レジメンを適用する上で重要な「Point」が掲載され,限られた時間で読むにはとても親切な分量である。次の「抗がん薬の処方監査」の項には禁忌事項や投与量の制限など監査すべきことが解説され,ここに本書のオリジナリティーがよく出ている。支持療法を含む投与スケジュールと副作用対策や発現時期が1つの表にまとめられているので,看護師を含む多職種は自らが行うべきことを一目瞭然に理解できる。特に看護師や薬剤師には,患者に情報を説明・指導する際にこの表を活用することをぜひお勧めしたい。

 「抗がん薬の投与」の項では,投与基準と減量や中止基準,有害事象といった重要な情報とそれらの「副作用マネジメント」の情報も丁寧でわかりやすい。各章の最後には「薬学的ケア」として,薬学的な実践により副作用を予防・改善できた症例,もしくは治療が完遂できた症例が解説され,ケアすべきポイントが明解である。

 本書の監修,編集そして執筆者リストには,がん化学療法をエキスパートとする薬剤師の名前が連なっている。しかしだからといって,本書を薬剤師限定のマニュアルと思い込んで,看護師が手に取らないのはもったいない。本書には,がん化学療法にかかわる看護師を含む多職種が留意すべきこと,副作用や合併症の予防や対策の重要な要素が根拠に基づいて解説されている。一読すれば,本書ががん患者の日常診療やケアに役立つことを実感するだろう。

 この10年でがん化学療法とそれを取り巻く医療・社会環境は大きく変化し,発展した。がん患者や家族による多様で複雑なニーズに個別的に対応するには,多職種による最善の治療やケアが不可欠である。本書はこれらの変化を先駆的に柔軟に取り入れているので,今まさに必要な内容が凝縮されている。「安心,安全で効果的な治療をサポートする心強い相棒!」として本書をがん化学療法にかかわる全ての医療者にお薦めしたい。


がん薬物療法にかかわる薬剤師にお薦めの一冊
書評者:池田 龍二(宮崎大病院教授・薬剤部長)

 2040年の医療提供体制への展望の中でわが国は,「より質が高く安全で効率的な医療を,国民がどこに住んでいても最適な形で享受できる社会を構築する」ことを掲げた。そのビジョンを実現するため,医師・医療従事者のタスク・シフティング(シェアリング)などの働き方改革や医療DXを活用するとともに,患者参加型のチーム医療や地域医療連携を推進する潮流は一層大きなものになっている。

 2023(令和5)年3月28日には,がん対策推進基本計画(第4期)が閣議決定され,「誰一人取り残さないがん対策を推進し,全ての国民とがんの克服を目指す」ことが,わが国の目標となった。患者への適切な医療提供体制を拡充し,「がん生存率の向上」「がん死亡率の減少」「全てのがん患者及びその家族等の療養生活の質の向上」をめざすことが示されたのである。その際,がん治療(手術療法・放射線療法・化学療法)の柱の一つであるがん化学療法に精通した人材の育成が重要なことは論をまたない。また,薬剤師に引き付けていえば,多様化・複雑化するがん治療において,薬剤師の責務は治療中のレジメンや患者の副作用を適切にマネジメントして,有効で安全な薬物療法を実践していくことである。

 本書『がん化学療法レジメン管理マニュアル』は2012年の初版刊行以降,多くの読者の支持を得て改訂を重ねてきた書籍である。2023年刊行の第4版では,これまでの代表的なレジメンに加え,免疫チェックポイント阻害薬と低分子化合物やがん分子標的薬の併用レジメンも拡充した。章立ては,乳がん,肺がん,大腸がん,胃がん,肝胆膵がん,婦人科がん,泌尿器がん,頭頸部がん,造血器腫瘍,その他のがんで,刊行時点の最新のエビデンスや診療ガイドラインに基づいて,臨床で必要な111種のレジメンを解説している。

 各レジメンの見出しは,レジメンと副作用対策,抗がん薬の処方監査,抗がん薬の調剤,抗がん薬の投与,副作用マネジメント,薬学的ケアから構成されており,いずれも丁寧な解説がうれしい。特に「副作用マネジメント」の項目では,エビデンスとともに,評価と観察のポイント,副作用対策のポイントが具体的に記載されており,これを実践すればがん患者への早期対応,QOL向上や治療の有効性・安全性の確保に寄与できるだろう。また「薬学的ケア」の項目では,症例提示とその解説が充実している。これは臨床能力を高めたい薬剤師には貴重な情報源となり,読者の知識がさらに深まることは間違いない。がん薬物療法の専門や認定資格の取得をめざす若手薬剤師のみならず,彼らを指導する立場で知識をアップデートしておきたい中堅以上の薬剤師にもお薦めの一冊である。


相性抜群の『がん診療レジデントマニュアル』との併用がお勧め
書評者:佐藤 温(弘前大教授・腫瘍内科学)

 第3版発刊より3年半を経て,『がん化学療法レジメン管理マニュアル』が第4版として発刊された。「がん化学療法で役立つ情報を凝縮したマニュアル(相棒)」が売り文句の本書は,がんエキスパートの薬剤師らが,がん化学療法に携わる薬剤師のために作成したマニュアルなのだが,この書評を書いているのは,腫瘍内科医師であるということにまず気が付いてほしい。薬剤師はもちろんのこと,がん化学療法に携わる全ての医療者にとって,実に便利かつ完成度の高いマニュアル(相棒)である。掲載されているレジメンは111本と増え,それぞれに支持療法を含む投与スケジュール,投与の注意点,減量・中止基準,副作用の発現率,発現時期,その評価観察と対策などのポイント,さらに薬剤調製,監査の他,ケアに関することまで,がん化学療法に必要なほぼ全ての情報が簡潔にわかりやすくまとめられている。

 お勧めの使い方は,仕事場の目につく所に,同じ医学書院から発刊されている『がん診療レジデントマニュアル 第9版』と一緒に並べておくことである。『レジデントマニュアル』で疾患の概要とエビデンスに基づいた治療方針を確認する。そして,化学療法が選択された場合は,引き続き本書で実際の投与スケジュール,副作用管理の方法などを確認できる。これは非常に便利である。両書籍ともに同じサイズで不必要に場所をとらず,類似のデザイン同じ紙質とビジュアル的にも映える。これ以上相性の良い本もないだろうと思う。もちろん,当科の病棟の電子カルテ端末の上および外来診察室にも2冊ずつ並んで置かれている。外来では各診察室に置くようにしてはいるものの,時々定位置から持ち去るやからがいるので,見栄えは悪いけれど,油性マジックで診察室の名称を表紙に書いている。これもお勧めである。本来であれば,白衣のポケットに入れていつでもどこでも使えるようにすべきなのだろうが,惜しむらくは,ポケット版にしては常にポケットに入れて持ち運ぶには少し重いし,厚みがかさばる。だからこそ,私的には,仕事場の複数箇所に置いておくことでうまく活用できている。

 本書編集者の一人である佐藤淳也氏が,「レジメン管理は,抗がん剤という素材を,支持療法というスパイスを混ぜて,いかに上手に完成させるかというレシピです。名シェフであるがん専門薬剤師がノウハウをふんだんに盛り込んで本書を完成させています」と教えてくれた。熱意が伝わる。料理では,レシピ通りに全てそのままに作れば,美味しい料理が作れる。医療では料理を食べる人が,治療を受ける患者であって,彼らはつらい治療であっても,治療の効果を切に願っている。その思いの大きさは計り知れない。そんな患者を思い描きながら作られたからこそなくてはならない書籍になったのだと思う。ちなみに,私は医学書院にCOIはない。

開く

本書の記述の正確性につきましては最善の努力を払っておりますが、この度弊社の責任におきまして、下記のような誤りがございました。お詫び申し上げますとともに訂正させていただきます。

正誤表はこちら

  • 正誤表を掲載しました。

    2023.03.24