連続スライスで学ぶ レジデントのための急性腹症のCT[Web付録付]
CTから、緊急処置・手術が必要な症例を見極める!
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外科医が伝える急性腹症診察のポイント。緊急の処置・手術が必要な症例を見極めるため、CT診断の要諦をレクチャーする。診断の決め手となる画像だけでなく、連続したCT像を多数提示。病歴とCT像から診断を試みることができる構成。さらに、紙面に掲載できなかった連続画像をウェブ上のビューワで確認できる。必修の症例、難易度、頻度等が示され、効率よく学べる構成。救急外来で慌てない実力を付ける“使える”1冊。
編集 | 三浦 晋 |
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発行 | 2023年03月判型:B5頁:280 |
ISBN | 978-4-260-05092-0 |
定価 | 4,950円 (本体4,500円+税) |
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- 目次
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序文
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はじめに
救急外来で急性腹症の診療をしているレジデントの先生方は全国に多数おられると思います.急性腹症の診療において腹部CTは緊急性の高い疾患を診断,または除外できる切り札となる検査です.しかし,腹腔内は臓器の数が多く,腹痛の原因となる疾患も多岐にわたるため,腹部CTの読影を苦手とするレジデントの先生方は多いのではないでしょうか? 本書は腹部が専門ではないレジデントの先生方を対象に「手術や処置などの緊急対応が必要な急性腹症の,典型的なCT画像を見逃さないようにする」というコンセプトで作成しました.
本書では特に緊急性の高い急性腹症の各疾患について簡潔に解説した後に,数例の症例提示をしています.腹部CTの読影では連続スライスを見ながら,腹腔内の状況を頭の中で立体的にイメージすることが大切ですので,症例提示では診断のキーとなるスライスだけではなく,紙面の許すかぎり前後の関連するスライスを掲載するようにしました.さらに,Web付録で各症例の腹部CTを連続スライスで見ることができます.
忙しいレジデントの先生方でも「急性腹症における腹部CTの読影」を一通りマスターできるように様々な工夫をしておきました.アトラスのように,興味のあるページをパラパラと眺めるように読んでもらえればと思っています.このテキストが,救急外来で急性腹症の診療をしているレジデントの先生方と患者さまの一助となれば幸いです.
2023年3月
三浦 晋
目次
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Part I おさえておきたい急性腹症の診療のポイント
1 緊急手術や処置が必要な急性腹症
2 急性腹症における初期対応
3 急性腹症の問診のポイント
4 急性腹症の腹部診察のポイント
5 急性腹症の検査のポイント
6 急性腹症の画像検査のポイント
Column 急性腹症の鑑別疾患としての下壁心筋梗塞
Part II 緊急対応が必要な急性腹症の各疾患と画像診断のコツ
A 消化器外科領域の急性腹症I
1 虫垂炎
症例1~3
2 憩室炎
症例4,5
3 胆囊炎
症例6,7
B 消化器外科領域の急性腹症II
1 消化管穿孔
症例8~12
2 腸管壊死
症例13,14
C 消化器外科領域の急性腹症III
1 小腸閉塞
症例15~17
2 ヘルニア嵌頓
症例18~20
3 大腸閉塞
症例21~23
D 消化器内科領域の急性腹症
1 急性胆管炎
症例24,25
2 急性膵炎
症例26~28
E 血管外科領域の急性腹症
1 腹部大動脈瘤破裂
症例29,30
Column 産婦人科領域の急性腹症
Part III 実践! 病歴と身体所見,CT画像から考える12症例
問題1~12
付録1 腹部CTにおける各臓器のスクリーニング
虫垂
胆囊
胃と十二指腸(噴門から空腸起始部まで)
大腸(Bauhin弁から直腸まで)
付録2 実践形式の診断トレーニング
索引
書評
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腹部臓器の立体構造がイメージできる実践的症例
書評者:上田 剛士(洛和会丸太町病院救急・総合診療科部長)
『連続スライスで学ぶ レジデントのための急性腹症のCT[Web付録付]』は,急性腹症の診療において緊急性の高い疾患を診断・除外できる力を身につけるための実用的な書籍です。腹部が専門ではないレジデントでも安心して取り組める内容であり,効率よく学べる構成が魅力的です。救急外来で慌てない実力を身につけたいと考える全てのレジデントにお薦めできる一冊です。
この書籍の大きな強みの一つは,ウェブ上のビューワで確認できる連続画像です。誌面に掲載されている一枚一枚の写真を見るだけでは伝わりにくい腸管などの構造物の連続性が,ウェブビューワを使うことでより明確に理解できます。このウェブビューワを活用することで,腹部CTの読影において立体的なイメージを形成しやすく,正確な診断につながります。言うならば静止画と動画との情報量の違いと言えばわかりやすいでしょうか。
また,忙しいレジデントでも「急性腹症における腹部CTの読影」を一通りマスターできるよう,さまざまな工夫が凝らされています。アトラスのように興味のあるページをパラパラと眺めるだけでも,多くの知識が得られることでしょう。このテキストが救急外来で急性腹症の診療を行うレジデントや患者さんの助けとなることは間違いありません。
総じて,『連続スライスで学ぶ レジデントのための急性腹症のCT[Web付録付]』は,腹部CTの読影スキルを向上させるための効果的なアプローチを提供しています。ウェブビューワを活用した連続画像の閲覧が,レジデントの学習をより深いものにしてくれることでしょう。内容も緊急手術や処置が必要な急性腹症を網羅し,各疾患の簡潔な解説や症例提示を通じて,実践的な知識を身につけることができます。
書籍の構成も見やすく,まずPart Iでは急性腹症の診療のポイントを学び,次にPart IIでは各疾患の画像診断のコツを解説しています。最後にPart IIIでは,病歴と身体所見,CT画像から考える実践的な症例を提示しています。これにより,学んだ知識をすぐに実践に生かすことができます。
この書籍は,レジデントだけでなく,臨床経験を積んだ医師にも有益な情報が詰まっており,急性腹症の診療において幅広い知識とスキルを身につけたい医療従事者にお薦めできます。ウェブビューワを活用した連続画像のアプローチは,従来の教材にはない新たな価値を提供し,診断力の向上に大きく貢献することでしょう。この書籍を手に取り,実践的な知識と技術を身につけて,救急外来で自信を持って急性腹症の診療に臨むことができるようになりましょう。
異常所見が頭に入る「ありそうでなかった」教科書
書評者:山本 健人(田附興風会医学研究所北野病院消化器外科)
私が初期研修医のころ,救急外来で最も苦戦したのが腹部CTの読影である。かつて私が勤務したのは,日夜問わずひっきりなしに救急搬送が続く三次救急病院だ。
救急外来では何度も腹部CTを撮影し,その都度読影し,必要に応じて専門診療科にコンサルトしなければならない。特に急性腹症の患者は多くの場合,腹部CTの結果によって手術適応が決まる。
レジデントにとって腹部CTが厄介なのは,撮像範囲が広いこと,それ故扱う臓器の数が極めて多いことである。肝臓,胆道,胃,十二指腸,小腸,大腸,膵臓,脾臓,子宮,卵巣,膀胱,各種の動静脈……。カバーする臓器名を羅列するだけでもかなりの数になる。さらに,それぞれの臓器に無数の異常所見があり,これを逐一覚えていなければならない。
腹部CTの「正常所見」が頭に入っていないビギナーのころは,当然「異常所見」を認識できない。適切な診断,アセスメントができず,当直中の外科医に叱られたことは何度となくある。
その上,腹部CTは撮影件数がとにかく多い。一晩に何件も腹部CTを撮影し,一人ひとり異なる腹部の画像を繰り返し見て,モニターの前で何度も頭を抱えることになる。
当時,急性腹症のCTを学ぶコンテンツはあまりなく,オン・ザ・ジョブ・トレーニングのごとく現場で先輩の指導を受けながら学ぶ他なかった。その時の心理的なストレスは,今思い出すだけで胃が痛くなるほどだ。
こうした苦労を覚えている私としては,この「レジデントのための急性腹症のCT」というテーマがいかに貴重で,いかに有用かがよくわかる。まさに「急性腹症のCT」で困っているレジデントは,全国に数え切れないほどいるはずだからである。
本書『連続スライスで学ぶ レジデントのための急性腹症のCT[Web付録付]』では,消化器外科領域,消化器内科領域,血管外科領域,そして婦人科領域にわたり,急性腹症に至る各疾患のCT画像がふんだんに盛り込まれ,実際の症例を基に学ぶことができる。病歴と連続スライスのCT画像を見て診断を試みた後,次のページでアノテーション付きの同じ画像を見て答え合わせをする,というフローのため,異常所見が頭に入りやすいはずだ。
また読影のみならず,各種疾患に関する疫学的な背景知識,症状,腹部所見,治療方針まで,豊富なエビデンスと共に解説されており,画像診断を軸として疾患全体を学ぶことができるのも長所である。まさに「ありそうでなかった」「かゆいところに手がとどく」タイプの教科書と言える。
さらに,この本のWeb付録を使えば,実際に電子カルテで見るのと同様に,連続スライスでCTを閲覧できる。かつて私が救急外来で脂汗をかきながら先輩に教わったことが,自宅にいながらにしてできるというのだ。
こんな素晴らしい教科書が簡単に手に入るのだから,本当に今のレジデントはうらやましい限りである。
付録・特典
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本書のPart II およびPart III に掲載されている症例のCT画像をご覧いただけます。
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