標準脳神経外科学 第16版

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構造的にも機能的にも複雑で奥深い、脳神経外科学領域の決定版テキスト。今版も医学生に必要なトピックを精選・強化して掲載している。豊富なイラストや画像と詳細な項目立てにより、脳神経外科学の基本がわかりやすく理解できる。進歩の著しい領域の最新知見もNOTEやColumnでキャッチアップ。フルカラーのシェーマが美しい定番書、堂々の第16版!


 

『標準医学シリーズ 医学書院eテキスト版』は「基礎セット」「臨床セット」「基礎+臨床セット」のいずれかをお選びいただくセット商品です。
各セットは、該当する領域のタイトルをセットにしたもので、すべての標準シリーズがセットになっているわけではございません。
シリーズ 標準医学
監修 冨永 悌二
編集 齊藤 延人 / 三國 信啓 / 吉本 幸司
発行 2024年02月判型:B5頁:456
ISBN 978-4-260-05328-0
定価 7,920円 (本体7,200円+税)

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第16版序

 このたび,『標準脳神経外科学』第16版を刊行する運びとなりました.執筆に携わっていただいた諸先生に深く感謝申し上げます.
 竹内一夫先生の監修により,本書の初版が刊行されたのは1979(昭和54)年であり,それから版を重ねて40年を超える年月が過ぎたことになります.この間に脳神経外科学は目覚ましい発展を遂げました.例えば1975(昭和50)年にわが国に初めて第1号機が設置されたCT(computed tomography)は,頭部外傷の診断に威力を発揮し1980年代初頭には全国の病院に広く普及しました.
 さらにその後の機器の機能進化を経て,現在では脳神経外科診療において欠かせない診断法となっています.すなわち,本書の初版が刊行された1979年の時点ではCTは最先端の技術でしたが,いまやそれは学生にとっても修得すべき基本的な画像診断となっているわけです.
 医学生が知っておくべき基本的な知識と,脳神経外科学の最先端の知見は時代とともに変遷するため,本書では現時点で医学生にとって必須の「標準」的な事項をしっかりと述べ,より詳細な情報や最先端の知見は,「NOTE」や「Column」で紹介する方針としています.日進月歩の医学・医療では,関連する情報量も増大していますが,そのなかで医学生が必要とする基本的な知識と最先端の情報とのバランスをとり,本書を「標準」的な内容にすることに歴代の編集者は腐心してきたといえます.今回の第16版においても同様の方針で改訂しました.
 わが国における医療は,人口構造や疾患構造の変化,健康格差,医師偏在,増大する医療費,あるいは新興・再興感染症や災害リスクなどの問題に直面しています.さらに医療の高度化や人工知能など革新的技術の導入により,医療分野で扱う情報は日々増大しています.これらの状況に対応して医学教育も変わりつつあり,2022(令和4)年に改訂された医学教育モデル・コア・カリキュラムでは,「未来の社会や地域を見据え,多様な場や人をつなぎ活躍できる医療人の養成」がキャッチフレーズとして掲げられました.すなわち医学・医療を幅広くとらえ,時代の変化に柔軟に対応できる医療人が求められているといえます.
 脳神経外科は,患者さんやその家族の生活に大きな影響を及ぼす疾患が多く,社会との関わりも深い領域です.揺るぎない知識と技術をもとに柔軟で信頼される医師を目指してほしいと思います.本書は脳神経外科学を学ぶ医学生はもちろん,臨床現場で忙しく働く医師にも,必要にして過不足ない知識を常に与えてくれるでしょう.座右の書として本書が活用されることを切に祈念しています.
 最後に,本書の改訂版出版にあたり,並々ならぬ情熱と真摯な態度を積み重ねてこられた医学書院の関係者に深甚なる謝意を表します.

 2024年1月
 監修・編集を代表して 冨永悌二

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総論
 第1章 緒論
  A 脳神経外科学の歴史
  B 脳神経外科とは
  C 脳の臓器特殊性
  D 脳神経外科学の将来
 第2章 臨床解剖
  A 頭蓋
  B 髄膜
  C 大脳
  D 脳幹
  E 小脳
  F 脳動脈
  G 脳静脈と硬膜静脈洞
  H 脳室およびくも膜下腔
  I 脊柱
  J 脊髄
 第3章 神経学的検査法
  A 患者の診察にあたって
  B 神経所見のとりかた
  C 脳神経の診かた
  D 大脳の局在機能の診かた
  E 脳幹の局在機能の診かた
  F 小脳の局在機能の診かた
  G 脊髄の局在機能の診かた
 第4章 補助診断法
  A 頭部単純X線撮影
  B コンピュータ断層撮影
  C 磁気共鳴画像法
  D 脳血管撮影・デジタル血管撮影
  E 核医学検査
  F 脊椎・脊髄の検査
  G 神経超音波検査
  H 脳波
  I 誘発電位
  J 腰椎穿刺
 第5章 脳に特異な症候と病態
  A 頭痛
  B 精神症状と認知症
  C けいれん(痙攣)
  D 意識障害
  E 運動麻痺
  F 頭蓋内圧亢進
  G 脳ヘルニア
  H 血液脳関門と脳浮腫
  I 脳循環代謝異常

各論
 第6章 脳腫瘍
  A 脳腫瘍とは
  B 脳腫瘍の診断
  C 脳腫瘍の鑑別診断
  D 脳腫瘍の治療
  E 神経上皮性腫瘍
  F 髄膜腫
  G 下垂体神経内分泌腫瘍〔PitNET(下垂体腺腫)〕
  H 神経鞘腫
  I 頭蓋咽頭腫
  J 胚細胞腫瘍
  K 脊索腫
  L 血管系腫瘍
  M 原発性中枢神経系悪性リンパ腫
  N 転移性脳腫瘍
  O 頭蓋腫瘍と鑑別を要する疾患
 第7章 脳血管障害
  A 脳血管障害とは
  B くも膜下出血
  C 脳動脈瘤
  D 脳動静脈奇形,その他の血管奇形
  E 硬膜動静脈瘻
  F 脳出血
  G 虚血性脳疾患(脳梗塞,一過性脳虚血発作)
  H もやもや病
  I 血管性認知症
  J 脳卒中の医療連携およびリハビリテーション
 第8章 頭部外傷
  A 頭部外傷の臨床
  B 頭皮の損傷
  C 頭蓋骨の損傷
  D 脳の損傷
  E 重症頭部外傷の治療
  F スポーツ頭部外傷
  G 急性頭蓋内血腫(急性硬膜外血腫,急性硬膜下血腫)
  H 慢性硬膜下血腫
  I 脳神経の損傷
  J 頭部外傷後の感染症
  K 小児頭部外傷
  L 頭部外傷による脳血管障害
 第9章 先天奇形
  A 先天奇形とは
  B 神経管閉鎖障害によって発生する先天奇形
  C 大脳の奇形
  D 小脳・後頭蓋窩の奇形
  E くも膜囊胞
  F 頭蓋骨・頚椎の奇形
  G 神経皮膚症候群
 第10章 水頭症
  A 水頭症とは
  B 小児の水頭症
  C 胎児水頭症
  D 硬膜下液体貯留
  E 正常圧水頭症(成人)
 第11章 機能的脳神経外科
  A 機能的脳神経外科とは
  B 慢性疼痛
  C 不随意運動症
  D てんかん
  E 片側顔面けいれん
  F 三叉神経痛
 第12章 脊髄・脊椎疾患
  A 頚椎変性疾患(変形性頚椎症,頚椎椎間板ヘルニア)
  B 脊柱靱帯骨化[症]
  C 腰椎椎間板ヘルニア
  D 腰部脊柱管狭窄[症]
  E 脊髄腫瘍
  F 脊髄硬膜外膿瘍
  G 脊髄動静脈奇形
  H 脊髄空洞症
  I 脊椎・脊髄の外傷
 第13章 末梢神経の外科
  A 末梢神経障害の診断
  B 末梢神経の外傷
  C 絞扼性末梢神経障害
  D 末梢神経の腫瘍
 第14章 炎症性疾患
  A 中枢神経系感染症とは
  B 細菌性髄膜炎
  C その他の髄膜炎
  D ウイルス性脳炎
  E その他のウイルス性脳炎・脳症
  F 脳膿瘍
  G 硬膜下膿瘍
  H 脳寄生虫症
 第15章 臨床医学の実習・研修の手引き
  A 脳神経外科における実習・研修の心構え
  B 医療技術の習得について
  C おさえておきたい知識

和文索引
欧文索引

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