IVRマニュアル 第3版

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IVR手技を横断的、網羅的に解説した定番書の改訂第3版。今回の改訂では、新たなIVR手技を多く取り入れるとともに、肝細胞癌に対する肝動脈塞栓術や、緊急出血に対する動脈塞栓術といった基本的なIVR手技も最新の情報にアップデートした。IVRに携わる医師、診療放射線技師、看護師必携の1冊。

編集 山門 亨一郎 / 中塚 誠之 / 杉本 幸司 / 田中 利洋 / 山本 晃
発行 2024年04月判型:A5頁:448
ISBN 978-4-260-05039-5
定価 6,930円 (本体6,300円+税)

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第3版 編集の序

 本書『IVRマニュアル』は今回の改訂で第3版となる。初版は2002年に,第2版は2011年に発刊されており,実に13年ぶりの改訂である。
 この13年間に,本邦ではさらなる高齢化が進み,低侵襲で治療効果の高いIVRの重要性は大きく増した。この間,腎癌に対する凍結療法や,リンパ管塞栓術,関節症に対する塞栓術など,新たなIVRも台頭した。日本IVR学会は,新たなIVR手技の導入,発展を促すとともに,IVR手技の保険収載にも尽力してきた。保険収載前,肺RFAは当然,自費診療であった。当時,肺転移に対して複数回の肺RFAを行っていた十代の女の子の父親が,「お金が工面できないので,治療を諦めたい」と,泣きながら言ってきたことがあった。
 2022年9月には肺腫瘍や腎癌,類骨骨腫,骨盤内腫瘍,骨軟部腫瘍などへのRFAの適応拡大が認められた。国民の健康福祉に大いに貢献するであろう。現在(2024年3月),保険収載に向けて取り組んでいる椎体形成術も前述のごとく超高齢社会で大きな役割を果たすことは間違いない。第2版に比べて第3版では保険収載されたIVR手技が多くなっていることも注目すべき点である。
 私は1987年に医学部を卒業後,三重大学放射線科でIVRに没頭した。しかし,当時,三重大学での肝細胞癌に対する肝動脈塞栓術の5年生存率は3%と惨憺たるものだった。RFAの出現後,肝細胞癌は完治が期待できるようになり,三重大学でのRFA後の肝細胞癌患者の5年生存率は66%に向上した。まさに「隔世の感」である。
 上述のごとく,新たなIVR手技の出現は,時に治療のパラダイムシフトも起こしうる。今回の改訂では,新たなIVR手技も多く取り入れたが,肝細胞癌に対する肝動脈塞栓術や,緊急出血に対する動脈塞栓術など,基本的なIVR手技に対しても最新の情報にアップデートして紹介している。本書の伝統的な長所は,「シンプルで読みやすい」ことである。医師のみならず,診療放射線技師や看護師など,メディカル・スタッフにも手軽に理解できるものに仕上げられている。
 本書がIVRの発展を支え,日本国民の健康福祉に貢献し,多くのIVRに携わる医師やメディカル・スタッフに「隔世の感」を与え続けていけることを祈念している。

 2024年3月
 山門亨一郎

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I 総論
  1 IVR総論

II IVRの基本手技と術前準備
  2 非侵襲的画像診断(CT,MRI,超音波)
  3 血管造影
  4 非血管系IVRに関する基本事項
  5 術前準備とインフォームド・コンセント,リスクマネジメント

III 血管系IVR
 A.動脈血管形成術(PTA)とステント留置
  6 血管形成術・ステント留置術:腸骨動脈
  7 血管形成術・ステント留置術:大腿動脈・膝窩動脈
  8 血管形成術・ステント留置術:膝下
  9 血管形成術・ステント留置術:鎖骨下動脈・腕頭動脈
  10 血管形成術・ステント留置術:腎動脈〔腎血管性高血圧手術(PTRA)〕
  11 頸動脈ステント
  12 大動脈ステントグラフト留置術:腹部大動脈
  13 大動脈ステントグラフト留置術:胸部大動脈
  14 腸骨動脈瘤(総腸骨動脈瘤,内腸骨動脈瘤)ステントグラフト留置術
  15 術後TypeIIエンドリークに対する塞栓術
  16 血管損傷に対するステントグラフト留置術
 B.血栓溶解療法・吸引療法
  17 下肢動脈(急性血栓性閉塞)
  18 下肢静脈(深部静脈血栓症)
  19 肺動脈(肺血栓塞栓症)
  20 上腸間膜動脈塞栓症および非閉塞性腸管虚血症
  21 脳血栓回収療法:中枢神経〔頭蓋内動脈塞栓症(内頸動脈または中大脳動脈M1塞栓症)〕
 C.静脈とリンパ系に対するIVR
  22 下大静脈フィルター留置・抜去術
  23 中心静脈カテーテル挿入,中心静脈ポート留置
  24 上/下大静脈症候群に対するステント留置術
  25 血管内異物除去
  26 透析シャントの血管形成術・血栓溶解吸引療法
  27 骨盤うっ血症候群と精索静脈瘤に対するIVR
  28 下肢静脈瘤のレーザー治療:血管内レーザー焼灼術(EVLA)
  29 リンパ系IVR:リンパ管造影
  30 リンパ系IVR:胸管と臓器
  31 副腎静脈サンプリング(AVS)
  32 その他サンプリング
 D.動脈塞栓物質
  33 塞栓物質
 E.腫瘍に対する動脈塞栓術と動注化学療法
  34 肝悪性腫瘍:肝細胞癌(HCC)に対するTACE
  35 肝悪性腫瘍:転移性肝癌の肝動脈ビーズ塞栓術(TAE)
  36 腎血管筋脂肪腫と多発性囊胞腎に対する腎動脈塞栓術
  37 骨軟部腫瘤に対する動脈塞栓術
  38 経皮的リザーバー埋め込み術
  39 肝悪性腫瘍に対する動注化学療法
  40 骨盤内悪性腫瘍に対する動注化学療法
  41 頭頸部癌に対する動注化学療法
 F.子宮筋腫と前立腺肥大症に対する塞栓術
  42 子宮動脈塞栓術(UAE)
  43 前立腺肥大症に対する塞栓術
 G.血管奇形に対する塞栓術
  44 脈管奇形:皮下・軟部組織
  45 血管奇形:中枢神経
  46 血管奇形:肺
  47 血管奇形:腎,その他
 H.動脈瘤に対する塞栓術
  48 脳動脈瘤(脳血管)
  49 腹部内臓動脈瘤
 I.出血,外傷に対する動脈塞栓術
  50 消化管動脈性出血
  51 外傷性出血:腹部外傷(肝・脾・腎実質臓器損傷)
  52 外傷性出血:骨盤外傷
  53 喀血
  54 産科危機的出血
 J.運動器疼痛に対する動脈塞栓術
  55 運動器疼痛に対する動脈塞栓術(肩関節周囲炎)
 K.門脈系に対するIVR
  56 経頸静脈的肝内門脈肝静脈短絡術(TIPS)
  57 バルーン閉塞下逆行性経静脈的塞栓術(BRTO)
  58 経皮経肝的静脈瘤塞栓術(PTO)
  59 部分脾動脈塞栓術(PSE)
  60 経皮経肝門脈塞栓術(PTPE)
  61 門脈閉塞に対するIVR
  62 先天性門脈体循環シャントに対するIVR
  63 デンバーシャント造設術(難治性腹水)

IV 非血管系IVR
 A.生検とドレナージ
  64 肺生検
  65 骨生検(CTガイド下生検)
  66 臓器その他の生検
  67 腫瘍マーカー留置(肺・肝・前立腺など)
  68 経皮経肝的胆道ドレナージ,胆道内瘻(内外瘻)化
  69 経皮経肝的胆道ステント留置術,胆道バルーン拡張術
  70 経皮経肝的胆囊ドレナージ(PTGBD)
  71 気胸・膿胸ドレナージ
  72 腹部膿瘍ドレナージ
 B.腫瘍に対するアブレーション
  73 経皮的エタノール注入療法(PEIT):肝
  74 経皮的マイクロ波凝固療法(MWA):肝
  75 ラジオ波焼灼療法(RFA):肺
  76 ラジオ波焼灼療法(RFA):肝
  77 ラジオ波焼灼療法(RFA):腎
  78 ラジオ波焼灼療法(RFA):骨軟部腫瘍
  79 ラジオ波焼灼療法(RFA):直腸癌局所再発・リンパ節転移
  80 ラジオ波焼灼療法(RFA):副腎腫瘍
  81 凍結療法:腎
  82 凍結療法:肺
  83 凍結療法:骨軟部
 C.硬化療法
  84 囊胞硬化療法:多発肝囊胞,多発腎囊胞
  85 静脈奇形に対する硬化療法
 D.消化管に対するIVR
  86 経皮経食道胃管挿入(PTEG)
  87 消化管ステント留置術
 E.尿路系,気管支,椎体,その他のIVR
  88 経皮的腎瘻造設術
  89 気管・気管支ステント留置術
  90 経皮的椎体形成術(PVP)
  91 神経ブロック(内臓神経ブロック)

V IVR看護
  92 IVR看護

VI 薬物と投与方法
  93 術中の鎮静・疼痛制御
  94 迷走神経反射,救急(ショック)時の対応

VII IVRにおける被曝と防護
  95 被曝と防護

VIII IVRに必要な解剖図譜
  96 頸部
  97 胸部
  98 腹部
  99 骨盤部
  100 四肢:上肢
  101 四肢:下肢

付録
 略語集

和文索引
欧文索引

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