• HOME
  • 書籍
  • 解剖学カラーアトラス 第9版


解剖学カラーアトラス 第9版

もっと見る

剖出写真の圧倒的な精緻さと美しさで追随を許さない解剖学アトラスの元祖であり、永遠の定番書。剖出写真から人体の構造を把握するために、イラストやレイアウトを工夫。X線像などの画像写真も豊富になり、理解を助ける。第9版では新たに「学習ボード」を収載し、自学自習に活用できる。

J. W. Rohen / 横地 千仭 / E. Lütjen-Drecoll
発行 2023年02月判型:A4頁:632
ISBN 978-4-260-05048-7
定価 13,200円 (本体12,000円+税)

お近くの取り扱い書店を探す

  • 更新情報はありません。
    お気に入り商品に追加すると、この商品の更新情報や関連情報などをマイページでお知らせいたします。

  • 序文
  • 目次
  • 書評

開く

第9版 序

 人体の構造に関する深い知識は,医師のみならず,人間の病気の診断と治療に携わるすべての医療従事者にとって非常に重要なものである.この知識は結局のところ,人体解剖によってのみ獲得できるものである.今日参照できる解剖学アトラスの大部分は,シェーマによって構成されたものとなっている.これらは,人体の実際を限られた範囲でしか示すことができず,多くの場合,3次元的な空間の表現が欠落している.一方,解剖標本の写真には2つの決定的な利点がある.第一に,標本は被写体のリアリティを再現し,そのプロポーションと空間を表現する.それはこれまでのアトラスの単純化された「美しい」グラフィックよりも,はるかに正確かつ現実的に対象を再現している.第二に,これらの写真は医学生が実際に解剖実習室で見るものと一致しているということである.それゆえ,医学生は解剖実習中にわれわれの写真アトラスを直接みることで,その実習の方向づけをすることができる.第9版からの章の新しい順番は,解剖実習で習う順番に準じており,ほとんどの解剖学の教科書と対応している.
 今日の臨床診断においては画像を用いることが主流となっているが,医師にはいまでも解剖学的標本で培った経験が必要である.本アトラスに掲載された高品質の解剖標本の準備には多くの時間が必要であったが,それだけではなく,解剖学の知識も必要であった.そこでわれわれは,解剖学や外科学のさまざまな専門家の協力を得た.Erlangen大学の解剖学教室で長らくともに働いた日本の長島聖司教授,岡本圭史教授,高橋睦子博士に深く感謝したい.同様に,G. Lindner-Funk博士(Nuremberg),M. Rexer博士(Neumarkt病院),R. M. McDonnell氏(Dallas),J. Bryant氏(Erlangen大学)にも感謝したい.

 新しい筋と肝臓の標本はBremer教授(Erlangen大学)の指導のもと,学生のKhann Nguyen,Ramona Witt,Anne Jacobsen,Alexander Mockerが作成した.マクロ写真のための多くの素晴らしい骨格標本はH. Sommer氏(SOMSO社,Coburg)によって提供されたものであり,われわれは彼に多大なる感謝の意を示したいと思う.第9版から新たに掲載された標本写真についても,長らく偉大なる技術を提供してくれる写真家のM. Gößwein氏によるものであり,彼にも深謝したい.また,この第9版においても,解剖写真に対応する多くの新しいシェーマが古いものと置き替えられた.カラー化および3次元化されたシェーマは解剖学実習向けに最適化されているが,これも長らく仕事をともにしてきた同僚のJ. Pekarsky氏によるものであり,われわれは深く感謝している.新たに加わった「学習ボード」のシェーマはA. Gack氏によって描かれたものであり,彼女にも感謝したいと思う.「学習ボード」は,医学生が多種多様な解剖学的構造と位置関係を体系的に学習して理解することが容易になるように意図したものであり,本アトラスで重要な役割を担っている.この理由から,今回の改訂においても個々の構造を局所解剖図としてそれぞれの部位で表現するという原則を踏襲した.
 個々の構造と部位間の関係性の知識は,臨床における画像診断を行う際にも必要とされる.本書に掲載したMRI,CT画像はM. Uder教授(Erlangen大学病院放射線科),A. Heuck教授(Munich-Pasing大学放射線科),G. Wieners博士(Charité Berlin),H. Rupprecht教授(Neumarkt病院),A. Herrlinger教授(Fürth病院)によって提供されたものであり,彼らに甚大なる感謝の意を表する.網膜の臨床画像はMardin教授(Erlangen大学病院眼科)によるものであり,感謝する.M. Uder教授とそのスタッフには以下の点でも改めて感謝したいと思う.すなわち,今回の第9版のために新しいMRI画像を作成したのみならず,標本写真とMRI画像の断面がほぼ一致するようにしてくれたことで,解剖学的構造のみならず,この写真アトラスの臨床的な価値も格段に向上した.
 われわれの心からの感謝を,本アトラスの新たな版元となったThieme Verlagのスタッフにも向けたいと思う.とくにS. Bartl氏にはこの改訂版のテキストと図版の編集に慎重かつ献身的に取り組んでいただいた.彼女のたゆまぬ努力なしには,この高品質なアトラスが提供されることはなかったと思う.また,このたびの改訂の進行にあたり,数多くのサポートを温かくとりまとめていただいたJ. Neuberger博士にも心より感謝したい.さらに第9版の制作に協力をいただいたL. Diemand氏にも御礼を申し上げる.多くの内容を編集し,誌面のデザインやレイアウトも一新された.これはデザイナーのStephanie GayとBert Sender(Bremen)にとっても大きな挑戦だったが,見事に達成してくれた.
 最後にわれわれは,すべての科学者,学生,スタッフや協力者に改めて御礼申し上げたい.同様に,出版にあたり多大なるご支援をいただいた医学書院(東京)とWolters Kluwer(USA)のスタッフの方々にも感謝する.

 2020年8月
 Johannes W. Rohen
 Chihiro Yokochi
 Elke Lütjen-Drecoll

開く

解剖学総論と筋骨格系
 1 総論
   内臓,触診点,定位線の位置/体の面と方向/骨/関節/筋/
   循環系の構成/リンパ系の構成/神経系の構成

 2 体幹
   骨格/頭蓋と頸椎/頭蓋と脊柱/椎骨/椎間関節/胸郭と脊柱:骨格/
   脊柱:靱帯/肋椎関節/肋椎関節と肋間筋/胸腹壁/鼡径部/体幹の断面/
   背部/腰部の脊髄と脊柱の断面/項部/頸部と脊柱の断面

 3 上肢
   上肢帯と胸郭/肩甲骨と鎖骨/上肢帯と上腕骨/上腕骨/
   前腕の骨:橈骨と尺骨/前腕と手の骨/手の骨/肩の関節と靱帯/
   肘の関節と靱帯/手と手根の関節と靱帯/肩と上腕の筋/上腕の筋/
   前腕と手の筋/手の筋と腱/上肢の動脈/上肢の静脈/上肢の神経/
   上肢の体表解剖と皮静脈/肩と上腕の後部/肩と上腕の前部/上腕の後面/
   腋窩部/腕神経叢/肩と上腕の断面解剖/前腕と手の断面解剖/
   上腕:神経・血管系,局所解剖/肘部/肘部の断面解剖/
   前腕と手の後部:浅層/前腕の後部:浅層と深層/前腕と手の前部/
   手の背側部:浅層と深層/手根と手掌/手掌/手の断面解剖

 4 下肢
   下肢帯と下肢の骨格/骨盤:男性と女性/仙骨と骨盤腔/寛骨と尾骨/
   股関節:骨格/股関節:骨格/大腿骨/脛骨と腓骨/膝関節:骨格/
   足部:骨格/骨盤と股関節:靱帯/膝関節:靱帯/距腿関節の断面/
   足部:靱帯/大腿の筋群/下腿の屈筋群/下腿と膝窩の筋/下腿と足背の筋/
   下腿の屈筋群(深層)/下腿と足底の屈筋群/下腿と足背の伸筋群/
   足底の筋/下肢の動脈/下肢の静脈/下肢の神経/下肢の体表解剖/
   大腿の前面/殿部/大腿の後面/骨盤と大腿の断面/大腿と下腿の断面/
   膝と膝窩/下腿後内側部/下腿前内側部と足背:浅層/下腿外側部と足部/
   足部と距腿関節の断面/足背/足底/足底の断面/足部と距腿関節の断面

内臓
 5 胸部内臓
   胸部内臓の位置/呼吸器系/心臓/局所解剖/横隔膜/胸部の前頭断面/
   胸部の水平断面/乳腺

 6 腹部内臓
   腹部内臓の位置/前腹壁/胃/膵臓および胆管/肝臓/脾臓/
   上腹部臓器の血管と小腸/腹腔内臓の門脈循環/腸間膜動・静脈/
   腹膜後器官の血管/局所解剖/腸間膜根および腹膜陥凹/腹部の水平断面/
   腹部の正中断面

 7 尿生殖器系
   尿生殖器系の位置/腎臓の構造と区域/腎臓/腹膜後器官/
   男性の尿生殖器系/男性の外生殖器/骨盤底筋群/男性の尿生殖部と肛門部/
   女性の尿生殖器系/女性の内生殖器/女性の外生殖器と鼡径部/
   女性の骨盤腔の断面/女性の尿生殖部と肛門部/
   女性の生殖器:陰部神経,陰部動・静脈の走行

頭部,頸部,脳
 8 頭頸部
   頭蓋骨/分解した頭蓋(I)/内頭蓋底/新生児の頭蓋/外頭蓋底/
   頭蓋の正中断面/分解した頭蓋(II)/顎関節の靱帯/顎関節と咀嚼筋/
   口腔・鼻腔:概観/口腔:舌骨と筋/舌骨上筋と舌骨下筋/顔面筋/
   顎動脈/三叉神経,顔面神経,舌咽神経,舌下神経/頭部/口腔:唾液腺/
   頭部の前頭断面/頸部:概観/頭頸部の正中断面/頸部の筋/喉頭/
   頭頸部の動脈/頭頸部の動脈と静脈/頭頸部の静脈/
   頭頸部のリンパ管とリンパ節/前頸部/後頸部/側頸部/頸部の水平断面

 9 脳と感覚器
   脳と脳神経/頭蓋神経の神経支配領域I/鼻腔の水平断面/鼻腔の前頭断面/
   頭蓋神経の神経支配領域II:眼窩/視覚器/視覚伝導路/
   眼と脳神経:視(II),動眼(III),滑車(IV),三叉神経(V)と外転神経(VI)/
   三叉神経(V)/顔面神経(VII)/脳幹と動眼神経(III)との結合/
   聴覚器および前庭器官と内耳神経(VIII)/聴覚器と平衡感覚器/
   聴覚伝導路と聴覚野/
   滑車(IV),顔面(VII),内耳(VIII),舌咽(IX),迷走(X),副神経(Ⅺ)と舌下神経(Ⅻ)/
   脳と髄膜:概観/頭皮と髄膜/髄膜/脳と髄膜の断面/脳/脳の断面

学習ボード
   体幹/上肢/下肢/頭頸部

索引(欧文索引,和文索引)
付録 解剖学用語の語源

開く

「実物に勝るものはない」を実感できるアトラス
書評者:大塚 愛二(環太平洋大特任教授・体育学部健康科学科/メディカルセンター長)

 「ローエン&横地」の愛称で親しまれる『解剖学カラーアトラス』が7年ぶりに改訂され,第9版が出版された。これまでも解剖実習室でよく使われてきた人体解剖アトラスである。このアトラスの最大の特長は,初版以来変わらず,精密に解剖された人体解剖標本を極めてクリアに撮影した写真にある。ここまで精緻に剖出するためには,高度な技術に裏付けられた多大な労力と時間を費やしているはずで,写真による解剖アトラスとして他の追随を許さない。

 通常の解剖アトラスは,伝統的な手描きの解剖図または近年主流となったコンピュータグラフィックス(CG)である。これらは理解しやすく,立体感のあるものも多い。基本的に著者の意図に沿って描かれていて,一般的な教科書の記載とマッチしていてわかりやすい。しかしながら,時に小さいものや細いものも多少強調されて大きく太く描かれている場合がある。これは,理解するためにはよいのだが,解剖実習でどのようなものを目印にして剖出すればいいのかを見当づけるためには,時として混乱を招くこともある。一方,写真は著者の意図とは無関係に,そこに存在するものをそのままのサイズ感で写し出す。細い神経は細く,太いものは太く写る。学習者は,解剖実習のときにどの程度の大きさのものをどこで探せばよいのかをあらかじめイメージできる。

 リアルな写真の解剖アトラスは,医学・歯学以外の医療専門職の学生など,実際の解剖実習に立ち会う機会の少ない学習者にとって,さらに価値あるものとなる。図や模型による理解は,概念的に理解するにはよいが,実際の構造をイメージするためには実際の解剖をするのが最も良いのである。しかし,実際の解剖の機会に恵まれない場合,本書のようなリアルな写真アトラスは,実際に解剖された人体の構造をイメージするのに役立つ。

 今版では,新たに「学習ボード」が加わった。体幹,上肢,下肢,頭頸部の脈管,神経,筋について,簡潔な図表を用いてまとめてある。うまくできているのは,本体の写真アトラスのページが参照されていることである。学習者は写真アトラスと学習ボードをうまく組み合わせて使うことによって知識を整理することができ,学習で得られた知見を反すうすることができるだろう。また,CT像やMR像もさらに充実してきた。これらは,実際の臨床場面で必要不可欠なもので,解剖学の知識を臨床に応用できるものへと深めてくれる。

 著者のお一人である横地千仭先生は,2018年に満百歳を迎えられ,今もお元気でいらっしゃるとのことである。その元気なエネルギーが伝わってくるような本書は,医療系の全ての学習者にとって,ヒトの生命の不思議を伝えてくれる一冊である。


理想的に剖出展開された解剖野を書籍上に再現した唯一無二のアトラス
書評者:弦本 敏行(長崎大教授・肉眼解剖学)

 定番の『解剖学カラーアトラス』が第9版に改訂されました。前回から実に7年の歳月を経ての待望の改訂です。初版は1985年に出版されていますが,本書がこれまで一貫して評価されてきたのは,理想的な状態に剖出展開された解剖野の再現を,最高品質の写真画像で追求した点です。本書を構成する数々の精密な写真は,美しいグラフィックと比較しても,はるかに正確かつリアルに対象を描出しています。模式図やイラストで構成される多くの類似書とは一線を画する貴重な解剖学アトラスです。これらのリアリティあふれる写真画像の提供を可能にしたのは,高い技術を持つ独日両国の熟練した解剖学研究者たちと,対象物を忠実に再現するプロカメラマンとの,高いレベルにおける共同作業でしょう。

 これらに加えて,この第9版では医学生の学習効率を高めるための多くの進化が確認されます。まず,目次を見て気付くのは,本書を構成する各章の順番が整理されていて,他の多くの解剖学の教科書との整合性が図られていることです。このことによって,実際の解剖学実習のための副読本としての利便性は一段と向上するでしょう。

 旧版と比較して40ページ以上増量したページをめくると,紙面のデザインやレイアウトが一新され,より洗練された印象に仕上がっていることがわかります。また,写真の理解を容易にするために工夫された多くの簡潔なイラストや説明文が効率よく配置されています。

 さらに,第9版の一番のアピールポイントは,医学生が多種多様な系統解剖学的構造と位置関係を容易に理解できるように工夫された「学習ボード」の採用でしょう。肉眼解剖学の学習において,系統解剖学と局所解剖学はいわば車の両輪です。このことは教科書や参考書においても同様ですが,それらを一冊のアトラスにまとめようとした試みは歓迎に値します。その学習上のメリットと完成度に関しては,ぜひ店頭で実物を手に取って確認していただきたいと思います。

 今回,新たに筋や肝臓,骨格標本の写真も加わったことで,説得力ある写真画像の連続性はこれまで以上に圧倒的です。加えて,新たに撮影されたMRI画像やCT画像と実際の解剖体横断画像とを並べて配置することで,臨床診療科目を学習する医学生にとっても頼れる参考書に仕上がっています。『解剖学カラーアトラス 第9版』は,これから医学を学習する初学者ばかりでなく,高学年の医学生に対しても最適な選択肢を提供してくれるでしょう。さらに,日々の診療に取り組む臨床医にとっては解剖学的知識を再確認するための有効なツールとなるでしょう。

  • 更新情報はありません。
    お気に入り商品に追加すると、この商品の更新情報や関連情報などをマイページでお知らせいたします。