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医療福祉総合ガイドブック 2021年度版

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医療福祉サービスを利用者の生活場面に沿って解説したガイドブックの2021年度版。最新情報のフォロー、解説の見直しによりさらに理解しやすい内容に! 医療保険、生活保護、年金保険、介護保険、障害者総合支援法、子どものいる家庭への支援、自然災害に対応する支援等、全国共通で利用頻度の高い制度から地域によって異なるサービスまで幅広く網羅。コロナ禍で利用できるサービスも解説! 医療福祉関係者必携の1冊。

編集 NPO法人 日本医療ソーシャルワーク研究会
発行 2021年04月判型:A4頁:324
ISBN 978-4-260-04629-9
定価 3,630円 (本体3,300円+税)

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はじめに

 『医療福祉総合ガイドブック2021年度版』を今年も無事に発行できたことに安堵しています。
 今回の編集作業は新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け,編集方法を変更せざるを得なくなり,不安を感じながらスタートをきりました。例年であれば,執筆者たちが全国各地から集まり,日頃からの経験や情報を議論,共有したうえで内容を構成していく工程でした。それが,今年は,三密を避ける,都道府県をまたぐ移動を自粛するなどの観点から,会議はオンラインとなり,各章を手分けして編集を行うという形になりました。例年より,より綿密な意思疎通を要しました。

 コロナ禍の変化で最も深刻な打撃を受けているのは,今までも不安定な立場にいた人々,パートやアルバイトなど非正規雇用の人々,障害者,要介護高齢者など社会的弱者の人々です。加えて,経済活動の制限で受けた打撃は職種を問わず広範囲に及んでいます。国は緊急に「コロナ特例」としてさまざまな対応策を打ち出しています。今まで社会保障制度の活用に無縁だった人々でもインターネット上を検索すれば,制度利用を難なくこなせる人もいることでしょう。しかし,そうした流れについていけない人々も多くいると実感しています。支援を必要とする人が,必要な支援につながらず孤立してしまう,「自分でなんとかしなければ」と助けを求めず,自殺に追い込まれたり,DV被害に遭うなど,さまざまな不幸を防ぎ,避けたいと考えています。「自助のみ」で解決しようとせず,「公助」である社会保障の制度や人による支援を活用して苦難を切り抜けてほしいという願いが私たちのコンセプトです。
 そこで『2021年度版』では大きな改訂点として,次のことに取り組みました。VII章「自然災害等にあった人のために」の中に「新型コロナウイルス感染症に伴う生活支援」を新設しています。感染の終息が見えない中,特例措置の動向がつかめず,発行直前まで関係省庁からの情報収集に努めました。
 また,コロナ禍の経済的逼迫に対して,厚生労働省のホームページにも「生活保護の申請は国民の権利です。生活保護を必要とする可能性はどなたにもあるものですので,ためらわずにご相談ください」とあるようにセーフティネットの生活保護は殊に大切です。III章「生活(費)としごと」の生活保護の項目をブラッシュアップして,「相談」で終わらず「どのようにすれば申請にこぎつけられるか」を詳しく記述しました。
 とかく,制度解説はとっつきにくく難解な部分もあります。活用の具体例をイメージしていただくために,物語風の「ミニ事例」も加えてみました。

 『医療福祉総合ガイドブック』の2006年の初版発行から今年で16年。年度版として,毎年内容を更新しています。本書を発行してきた16年という長きにわたる思いの軸は,「必要な情報」を「正確にわかりやすく」お届けすること。何か利用できる制度はないか,どこに相談すればよいか…。そうした時,この『医療福祉総合ガイドブック』が身近な1冊として,つながりのツールとしてお役に立てば幸いです。

■本書の工夫
 本書では,より読みやすく,利用しやすいように以下の点に留意しています。

本書の編集は,「もし,自分が利用するならば……」と自問しながら,進めています。
1)法律や役所から示されている説明文を載せるのではなく,すべての解説を利用者にわかりやすく言い換えました。
2)制度をひとことで説明する見出しをつけました。
3)「内容」「利用できる人」「利用者負担」「利用の方法」「コメント」など見出しをつけて,各項目はできる限り箇条書きで表記しました。
4)医療ソーシャルワーカーが相談に用いる図,表,イラストをふんだんに使いました。
5)医療ソーシャルワーカーの視点から全体を構成して,「column」「ミニ事例」「ミニ知識」などを通じて医療・福祉を総合的に補足しています。

 現場で実践しながら,本書の出版を継続させるため長きにわたり情報を収集し続け,わかりやすく伝えるために創意工夫しながら執筆に携わっているソーシャルワーカーの仲間たちの存在を心強く思います。そして,本書の発行に向け,私たち執筆者とともに編集制作作業を続けてくださっている,医学書院の吉田拓也さん,加藤寛之さんに深謝いたします。
 執筆者らの心の底に流れる「利用者のために意を尽くそう」という思いをくみ取っていただければ大きな喜びです。

 なお,本書編集の「NPO法人日本医療ソーシャルワーク研究会」では,本書の印税を医療福祉の広報,普及活動や医療ソーシャルワーカーの研修に役立てておりますことをご報告しておきます。

 2021年3月
 執筆者一同

 本書は2021年2月末日までに把握できた情報をもとに構成しております。本書の発行後にも法律の改正や制度の変更が行われる場合があるため,あらかじめご了承ください。

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I 社会保障のしくみ
 社会保障のしくみ
  ①権利としての社会保障
  ②社会保障制度の概要
  ③社会保険と民間保険
  ④社会保障の背景――拡大・深刻化する生活問題
  ⑤社会保障とメンタルヘルス
  ⑥社会保障と新型コロナウイルス感染症
 地域包括ケアシステムに向けた地域共生社会の実現
  ①「地域共生社会」の実現〜「地域包括ケア」概念を含む包括的な支援体制
   A 生活保障の機能低下〜「地域共生社会の実現」の背景
   B 「地域生活課題」の位置づけと「地域づくり」〜市町村と地域住民に求められる役割
   C 市町村の包括的支援体制の構築〜「重層的支援体制」
  ②相談支援体制の変遷
   A 支援の中心が都道府県から市町村へ,民間委託可能な機関へ移行
   B 相談支援体制の多様化――課題別の対応と専門化
  ③社会保障の後退,地域が肩代わりしないために
 サービス利用の窓口・支援する人

II 医療サービス
 医療提供のしくみ――適切な医療を受けるために
  ①医療機関の構成
   A 医療対策・医療関連各法による区分(拠点病院)
  ②病棟・病床の種類
   A 病棟・病床の機能・特徴(診療報酬上の病棟・病床区分)
  ③在宅生活を支える地域資源
  ④精神科における医療サービス
   A 精神科の相談,受診
   B 入院形態
   C 退院請求・処遇改善請求
   D 病棟・病床の機能
   E 退院に向けて
   F 地域生活
 医療に関する諸制度
  ①医療保険制度や諸制度
  ②医療費自己負担を軽くするために
   A 高額療養費制度
   B 医療費軽減制度
   C 自治体によって異なる医療費補助
   D 被害者救済医療
   E 税制上の軽減制度

III 生活(費)としごと
 生活と生活費
  ①公的扶助
  ②生活困窮者自立支援制度
  ③住居確保困難者の支援
  ④刑余者への支援
  ⑤さまざまな相談支援の窓口
  ⑥資金貸付制度
  ⑦年金保険制度
   A 国民年金
   B 厚生年金(老齢厚生年金)
   C 障害年金
   D さまざまな年金
  ⑧公共料金等の減免・割引
 しごと
  ①最低賃金制度
  ②雇用保険制度
  ③労働者災害補償保険制度
  ④就職支援
  ⑤労働法

IV 高齢者サービス
 高齢者サービスのガイド
  ①介護保険のしくみと手続き
  ②相談するところ
 高齢者サービスの実際
  ①介護保険サービスの費用
  ②サービス提供事業所
 住まい
 暮らすところで利用するサービス
 出向いて利用するサービス
 介護しながら働く人のために
 税制上の軽減制度
 高齢者の権利擁護

V 障害者・障害児サービス
 障害者・障害児サービスのガイド
  ①身体障害者手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳
  ②手帳で利用できる制度
 障害者・障害児サービスの実際
  ①相談するところ
  ②サービスのしくみ
   A サービス利用の流れ
   B 障害支援区分の認定調査時のポイント
  ③サービス・事業の種類
   A 自立支援給付
   B 障害児に対するサービス
   C 地域生活支援事業
  ④障害者・障害児の費用負担
   A 障害者の費用負担
   B 障害児の費用負担
   C 費用負担の軽減措置
  ⑤障害福祉サービスと介護保険
 住まい
  ①共同生活するところ
  ②居住サポート
  ③公営住宅への入居
  ④住宅の改造
 暮らすところで利用するサービス
  ①介護サービス
  ②暮らしを豊かにする用具
  ③活動支援のサービス
 外出するときに利用するサービス
  ①介護サービス
  ②のりもの
  ③自動車に関する制度
 子どもが利用するサービス
  ①障害児通所支援
  ②障害児入所支援
 難病患者への支援
 しごと
 障害者雇用
 手当
 自助グループ(セルフヘルプグループ)
 障害者の権利擁護

VI 子ども・家庭のために
 子ども・家庭のために
  ①子どもの手当
  ②医療費自己負担の軽減
  ③妊娠・出産する女性のための制度
  ④母親・子どもの保護と育成
   A 相談するところ
   B 入所施設
   C 社会的扶養等
  ⑤子育てサポート
  ⑥ひとり親家庭支援
   A 子育て・生活支援
   B 経済支援
   C しごと
  ⑦就学のための支援
  ⑧児童虐待への対応と支援
   A 児童虐待防止法
   B 相談するところ
  ⑨配偶者などからの暴力(DV)への対応と支援
   A 配偶者暴力防止法
   B 被害者のおかれている状況
   C 相談するところと支援の内容

VII 自然災害等にあった人のために
 自然災害等にあった人のために
  ①大規模自然災害等の保障
  ②医療サービス
  ③生活と住まい・しごと
   A 生活
   B 住まい
   C しごと
  ④高齢者サービス
  ⑤母子・父子(ひとり親),乳幼児,児童のために
  ⑥その他の支援
 原子力災害にあった人のために
  ①医療サービス
  ②住まい
  ③その他の支援
 新型コロナウイルス感染症に伴う生活支援
  ①生活費や事業資金
   A 生活費
   B 子育て世代への支援
   C 社会保険料等の猶予
   D 公共料金等の猶予
  ②住まいの支援
  ③新型コロナウイルスへの感染等により仕事を休むとき
  ④相談窓口

資料編
索引

column
 重層的支援体制整備事業の課題
 コロナ禍のソーシャルワーク支援を考える
 必要な治療を終えて,安心して回復期リハビリテーション病棟でのリハビリテーションを
 外国人家族の健康保険加入に居住地の要件が追加されました
 無料低額診療事業を活用しましょう
 被保護者健康管理支援事業
 初診日が大事です
 定年が70歳になる!
 パートの厚生年金加入要件の改正
 介護保険制度ができて20年を振り返って
 コロナ禍による変化――入所者面会のかたち
 新型コロナウイルス感染症拡大がもたらす影響
 共働きでも,産休・育休中に夫の扶養に入ることができることをご存知ですか?
 ビーズ・オブ・カレッジ――小児がん・重い病気と闘う子どもたちと家族への支援

ミニ知識
 診療契約
 知っておきたい医療法のしくみ
 リハビリテーションの機会を逃さないために
 感染症法に基づく指定感染症とは
 包括払いと出来高払い
 メンタルヘルスと相談支援の窓口
 国民健康保険法第44条――一部負担金減免制度
 退職後の健康保険には3つの選択肢があります
 労災保険のメリット制
 犯罪被害者給付制度
 生活保護の相談・開始・適用に関する厚生労働省通知
 生活保護手帳と別冊問答集
 不服申立て(審査請求)
 生活保護の内容で知っておきたいこと
 子ども食堂
 民生委員
 保護司
 同性パートナーシップ宣誓制度
 悲しみのなかでも必要な各種手続き
 「初診日」と「初診日を証明する書類」に注意してください
 障害認定日以降に症状が重くなった場合にも請求できます
 労働条件通知書の様式
 103万円で働く理由(所得控除・基礎控除が2020年改正)
 未婚のひとり親に所得控除の朗報
 アルコール依存症の人がたどるプロセス
 特別児童扶養手当等の給付(生活保護受給家庭の場合)
 円ブリオ基金
 子の看護休暇
 配偶者暴力防止法の改正および関連通知

ミニ事例
 退職後の傷病手当金
 医療費の軽減のために
 生活困窮者自立支援制度の活用
 安定した生活を送るために
 コロナ禍で生活が一変,生活困窮状態に

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MSWの手による,利用者視点のガイドブック
書評者:伊原 和人(厚労省政策統括官)

 3年前,評者は,鹿児島で開催された日本医療ソーシャルワーク学会に参加し,バイタリティあふれる医療ソーシャルワーカー(MSW)の面々と出会った。医療職が中心の現場にあって,医療と福祉の橋渡し役としての自負を持って,その存在を示そうとする意気込みに打たれた。「地域包括ケア」や「地域共生社会」がテーマとなる中で,「私たちは『地域』に出たいのです」という言葉にも圧倒された。

 本書は,こうしたMSWの方々が中心となって,2001年初版の『介護保険時代の医療福祉総合ガイドブック』以来,20年にわたり,ほぼ毎年改訂が行われ,最新の医療・福祉情報を届けてきた。
 この手のガイドブックは,医療や福祉を専門とする大学教授や制度づくりを担当する行政官が執筆するのが常であるが,本書は,MSWが日々の実践を通じて必要と感じた制度や給付を取り上げ,患者・家族の方々が理解できるように,わかりやすい言葉と図表をフル活用し,解説している点に最大の特色がある。

 本書が生まれたきっかけは,地域の勉強会に参加した民生委員の「この情報をもっと早く知っていれば,困っていた人をあれほど苦しめずに済んだのに」という一言だったそうだ。そうであるがゆえに,役所が発行する制度説明などとは趣を異にし,利用者の視点に立ち,「読みやすさ」「わかりやすさ」「具体性」にこだわった内容となっている。

新型コロナ対応も,ばっちりカバー
 残念ながら医療や福祉の制度は,毎年のようにクルクル変わる。よって,現場での使用に耐え得るガイドブックとするためには頻繁な改訂が必須となる。例年ならば,執筆者が全国各地から集まり,日頃の経験や情報を共有した上で内容を検討するそうだが,今年度版は,新型コロナウイルス感染症対策のためにかなわず,オンライン会議を経て,各章を手分けして編集を行う形となったそうだ。

 そんな逆境にもめげず,最新情報をばっちり盛り込み,コロナ禍で深刻な影響を受けている人々が必要とする支援策などが,わかりやすく解説されている。特に,今回の新型コロナウイルス感染症対応として実施された各種の特例措置については,東日本大震災を受けて『2012年度版』から設けられたVII章の「自然災害等にあった人のために」の中に「新型コロナウイルス感染症に伴う生活支援」が新設され,詳しく説明されている。

 また,近年,キーワードとなっている「地域共生社会」の実現に向けた取り組みを書籍冒頭に取り上げ,2021年4月からスタートした市町村における包括的相談支援体制の強化などに向けた「重層的支援体制整備事業」などについても詳述されている。

 「利用者のために意を尽くそう」との執筆者の思いの詰まったガイドブックである。机上に飾っておくのではなく,現場で使い尽くされてこそ,その思いが生きる。徹底的に活用されることを期待したい。

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