疾病のなりたちと回復の促進[3]
薬理学 第15版

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・第1部「薬理学総論」では、臨床における薬物治療と看護師の役割、薬力学、薬物動態学をコンパクトにまとめました。今版では、オーファンドラッグや抗体医薬などについて概説を加えました。
・第2部「薬理学各論」では、疾患・病態の概略、薬物の作用機序、代表薬について、豊富な図表でわかりやすく説明し、成人看護学につながる知識を定着します。
・各分野の薬物は、本文で主作用、副作用、投与経路などを整理して説明し、本文を読み進めるうちに自然に知識が定着するように工夫しています。
・薬理作用以外にも「投与時の看護のポイント」として、臨床の場で看護師がとくに注意すべき事項をまとめています。
・索引も充実させ、気になる薬物についてすぐに調べられるようにしています。
・新たに動画を収載し、イメージしながら学習ができるようにしています。

*「系統看護学講座/系看」は株式会社医学書院の登録商標です。
シリーズ 系統看護学講座-専門基礎分野
著者代表 吉岡 充弘
発行 2022年01月判型:B5頁:376
ISBN 978-4-260-04716-6
定価 2,530円 (本体2,300円+税)

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はしがき

 医療の高度化に伴ってチーム医療はますます重要となり,薬物治療においても,看護師・医師・薬剤師をはじめとする多職種連携が深化している。患者に接する時間・機会が最も多い看護師には,薬物の特徴を十分に理解し,薬物治療の効果を十分に引き出すとともに,おこりうる副作用への対応や,事故防止に寄与することが求められている。
 このことは,2020年の「保健師助産師看護師学校養成所指定規則」の改正にもあらわれており,専門基礎分野において,薬理学を含む「疾病の成り立ちと回復の促進」と「人体の構造と機能」とを合わせて単位数の増加がなされた。
 薬理学は薬物治療の基盤となる重要な学問分野である。しかし,看護師になるために必要な薬理学の知識は膨大であり,カタカナ用語が多いという特徴もある。そのため,限られた講義時間だけで必要な知識を完全に理解することはむずかしく,苦手に感じる学生も多い。
 本書は,看護師養成課程において,薬理学の講義で使用されることを前提とした教科書である。教科書として第1に求められる性質は,必要な内容がコンパクトにまとまっていることであり,1968年の初版発行以来,改訂を重ねるごとに内容を深化させてきた。
 さらに,本書は読者の自学自習を重視しており,1人でも通読しやすいように工夫を重ねてきた。たとえば,薬物の一般名だけでなく代表的な商品名を必ず併記していることや,薬物の特徴を可能な限り本文で記述していること,豊富な図表,節末・章末のふり返り問題などは,本書で工夫され,受け継がれてきた特徴である。
 これらの特徴によって,講義のあとも,読者が本文を読み進めていくことによって必要な知識が自然と身につくようになっている。このことは,中井健五・大鹿英世をはじめとする歴代の執筆者の尽力による本書のよき伝統といえよう。
 第15版への改訂においても,講義でより使いやすく,読者の理解がより深まるように,内容・構成のアップデートを心がけた。それぞれの項目では,専門家が記述内容をあらためて検討し,最新の知見を含む十分な情報をまとめたほか,図表の追加・更新などを適宜行った。また,発展的・臨床的な内容についても内容を検討し,「コラム」や「投与時の看護のポイント」として各所に配した。
 第1部「薬理学総論」では,学習の導入や,薬物一般に共通する知識の学習を目的として,内容・構成をアップデートした。第2章には「物質としての薬物の分類」と題した節を新たに設け,近年開発が盛んな生物学的製剤・抗体医薬・高分子医薬といった用語について整理し,概説した。
 第2部「薬理学各論」では,各章で疾患・治療の概要を最新の知見に更新した。それに伴い,具体的な個々の薬物についても,記載すべき薬物や,その使用目的,作用,有害作用,禁忌などの記述を見直した。おもな改訂内容については以下のとおりである。
 第3章「抗感染症薬」では,本文・図表を整理するともに抗真菌薬・抗ウイルス薬の説明を増やした。また,新興感染症の項目にCOVID-19についての記述を加えた。
 第4章「抗がん薬」では,近年,進歩の著しい分子標的薬について内容を刷新した。
 第5章「免疫治療薬」では,mRNA ワクチンやウイルスベクターワクチンなどの遺伝子ワクチンについての記述を追加した。
 第6章「抗アレルギー薬・抗炎症薬」では,関節リウマチ治療薬について最新の治療ガイドラインにそうように記述を改めた。
 第9章「循環器系に作用する薬物」では,近年,進歩の著しい血液悪性腫瘍治療薬の項目について内容を刷新した。
 第10章「呼吸器・消化器・泌尿器・生殖器系に作用する薬物」では気管支喘息治療薬について,第11章「物質代謝に作用する薬物」では糖尿病治療薬について,それぞれ最新の治療ガイドラインにそうように記述を改めた。
 そのほか,読者のスムーズな読書体験を意図して,紙面デザインを変更した。紙面の右側のスペースには,新たにNOTE という欄を設け,用語の補足説明などを盛り込んだ。また,新しい試みとして,動画の付録を盛り込み,薬物作用について読者がより直感的にイメージできるようにした。
 薬物に関する知識は,基礎教育の間だけでなく,臨床に出たあとも医療従事者である限り,学びつづける必要がある。読者には臨床に出たのちも折にふれて本書をひもとき,ふり返り学習や発展学習に役だててほしい。本書は,とかくむずかしくとらえられがちな薬理学を,少しでも親しみやすく感じられるように心がけたつもりであるが,著者の力の及ばない部分については,忌憚のない意見をいただければ幸いである。

 最後に,本書の校正中に,吉岡充弘先生の急逝という悲報があった。吉岡先生は,2001年発行の第10版から執筆に携わられ,2014年発行の第13版からは著者代表として本書に長らくかかわられてきた。本書および看護学生への薬理学教育にかける先生の思いは深く,その無念は察するに余りあるものである。
 吉岡先生のご遺稿は,北海道大学大学院の大村優氏,真崎雄一氏,東恒仁氏,政氏伸夫氏の協力をいただいて校正を進めた。なお,毎年行っている薬剤名の確認などは,今後は共著者が分担して行う予定である。
 今回の改訂では,吉岡先生のご遺志および,ご家族と校正協力の方々のご協力がなければ発行にまでたどり着くことはできなかった。ここにあらためて感謝を申しあげるとともに,先生のご冥福を心よりお祈り申しあげる。

 2021年11月
 著者ら

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第1部 薬理学総論
 第1章 薬理学を学ぶにあたって
  A 薬物治療と看護
  B 薬理学とはなにか
 第2章 薬理学の基礎知識
  A 薬が作用するしくみ(薬力学)
  B 薬の体内動態(薬物動態学)
  C 薬物相互作用
  D 薬効の個人差に影響する因子
  E 薬物使用の有益性と危険性
  F 薬と法律
  G 物質としての薬物の分類

第2部 薬理学各論
 第3章 抗感染症薬
  A 感染症治療に関する基礎事項
  B 抗菌薬
  C 抗真菌薬・抗ウイルス薬・抗寄生虫薬
  D 感染症の治療における問題点
 第4章 抗がん薬
  A がん治療に関する基礎事項
  B 抗がん薬の種類
 第5章 免疫治療薬
  A 免疫系の基礎知識
  B 免疫抑制薬
  C 免疫増強薬・予防接種薬
 第6章 アレルギー薬・抗炎症薬
  A 抗ヒスタミン薬と抗アレルギー薬
  B 抗炎症薬
  C 関節リウマチ治療薬
  D 痛風・高尿酸血症治療薬
 第7章 末梢での神経活動に作用する薬物
  A 神経系による情報伝達と薬物
  B 交感神経作用薬
  C 副交感神経作用薬
  D 筋弛緩薬・局所麻酔薬
 第8章 中枢神経系に作用する薬物
  A 中枢神経系のはたらきと薬物
  B 全身麻酔薬
  C 催眠薬・抗不安薬
  D 抗精神病薬
  E 抗うつ薬・気分安定薬
  F パーキンソン症候群治療薬
  G 抗てんかん薬
  H 麻薬性鎮痛薬
  I 片頭痛治療薬
 第9章 循環器系に作用する薬物
  A 降圧薬
  B 狭心症治療薬
  C 心不全治療薬
  D 抗不整脈薬
  E 利尿薬
  F 脂質異常症治療薬
  G 血液凝固系・線溶系に作用する薬物
  H 血液に作用する薬物
 第10章 呼吸器・消化器・生殖器・泌尿器系に作用する薬物
  A 呼吸器系に作用する薬物
  B 消化器系に作用する薬物
  C 生殖器・泌尿器系に作用する薬物
 第11章 物質代謝に作用する薬物
  A ホルモンとホルモン拮抗薬
  B 治療薬としてのビタミン
 第12章 皮膚科用薬・眼科用薬
  A 皮膚に使用する薬物
  B 眼科用薬
 第13章 救急の際に使用される薬物
  A 救急に用いられる薬物
  B 急性中毒に対する薬物
 第14章 漢方薬
  A 漢方医学の基礎知識
  B 漢方薬各論
 第15章 消毒薬
  A 消毒薬とは
  B 消毒薬の適用
 付章 輸液製剤・輸血剤
  A 輸液製剤
  B 輸血剤

巻末資料 看護業務に必要な薬の知識
参考文献
索引

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