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専門医のための消化器病学 第3版

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「病態の理解を軸に消化器疾患を総合的に捉える」というコンセプトはそのままに、内容を刷新。消化器専門医が知っておきたい最新知見を各領域のエキスパートが解説。上部・下部消化管、肝、胆、膵を網羅した内容は、専門医を志す若手医師はもちろん、消化器全般の知識のブラッシュアップを目指す読者にも最適。病態のメカニズム、臨床研究の動向から診断・治療上のポイントまで、一歩先を行く専門医に必携の書。

監修 下瀬川 徹 / 渡辺 守
編集 木下 芳一 / 金子 周一 / 樫田 博史 / 村上 和成 / 安藤 朗 / 糸井 隆夫
発行 2021年11月判型:B5頁:732
ISBN 978-4-260-04579-7
定価 16,500円 (本体15,000円+税)

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 『専門医のための消化器病学』は,消化器専門医や消化器専門医を目指す医師を主な対象とし,広範な消化器疾患を網羅しつつも,各疾患を一段深く掘り下げて解説したコンパクトな成書として親しまれてきました.疾患の病態・機序を重視し,基礎知識を背景に臨床をより深く理解しようとする基本姿勢は,2005年の初版から,2013年の第2版へと受け継がれて進化し,本書の大きな特徴となっています.また,年々加速,増大する消化器分野の知識,技能の中から,有用な最新情報を的確に選択し,解説する「トピックス」は,日常診療に繁忙な医師が消化器病学の進歩を実感するうえで貴重なツールとなっています.
 このたび,8年を経て待望の第3版が上梓されることになりました.この改訂版は191項目で構成され,そのうちトピックスが54項目(28.3%)を占めます.各疾患の第一人者に執筆を依頼しましたが,184名の執筆者のうち89名は今回新たに加わっていただいた方々であり,22名には前版と異なる項目を担当していただきました.したがって,第3版は「専門医のための消化器病学」の基本姿勢を維持しつつ内容を一新し,特に消化器病学の最新情報を十分取り入れた構成となっています.また,診断や治療の有効性にエビデンスが強く求められる現代の医療に対応するよう解説に心がけました.
 本書の編纂にあたっては,6名の編集委員の皆さんに企画を練っていただきました.新型コロナウイルス感染症が急速に拡大し,医療界にも深刻な影響を与えるなか,編纂にご尽力いただいた編集委員,執筆者,そして膨大な作業を辛抱強く遂行していただいた医学書院の関係諸氏に心より感謝申し上げます.
 本書がより高い専門性を求める消化器医の診療に役立ち,また,消化器専門医を目指す若い医師の進むべき指標となるよう期待します.

 2021年9月
 下瀬川 徹・渡辺 守

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初版の序

I 食道
 総論
 各論
  感染症
  炎症
  外傷
  運動・機能異常
  腫瘍性病変
  門脈圧亢進症に伴う疾患
  形成異常
  その他

II 胃・十二指腸
 総論
 各論
  感染症
  炎症
  機能異常
  腫瘍性病変
  その他

III 小腸・大腸
 総論
 各論
  感染症
  炎症
  運動・機能異常
  腫瘍性病変
  さまざまな原因による病態
  直腸・肛門疾患

IV 肝臓
 総論
 各論
  感染症
  代謝性疾患
  免疫疾患
  腫瘍性病変
  線維化
  さまざまな病態と治療

V 胆道
 総論
 各論
  胆石症
  感染症
  過形成疾患
  免疫異常
  腫瘍性病変
  機能異常
  形成異常

VI 膵臓
 総論
 各論
  炎症
  免疫異常
  囊胞性疾患
  腫瘍性病変
  形成異常
  さまざまな原因による病態

索引

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消化器病学論文の集大成
書評者:寺野 彰(学校法人獨協学園名誉理事長/獨協医大名誉学長)

 『専門医のための消化器病学 第3版』が,2021年11月に上梓された。8年ぶりの改訂である。2005年4月に,小俣政男教授,千葉勉教授によって編さんされた本書は,「専門医」を対象にしたものであったから,初めからかなり高度な内容をめざしていた。その初心は,第2版そして今回の第3版へと受け継がれ,いわば消化器病学論文の集大成とでもいうべき記述で構成されている。

 執筆者も若手消化器病学者を核として,われわれのようないわば高齢消化器病学者の名はほとんどみられず,新鮮な雰囲気を醸し出している。構成も,通常みられる全体としての総論,各論ではなく,いきなり食道疾患から入っている。そのいわば各論の中で,総論と各論を論じており,ある意味でわかりやすいと言える。内容も通常の記述に加えて,「Topics」や「専門医のポイント」などが挿入され,先に述べたような論文的な要素も加えてある。これらは本書の1つの特色ともいえる部分である。

 ただ次版で修正したほうがいいと思われる部分としては,これらの本書の特徴と思われる部分が必ずしも統一されていない点である。記述の一部に簡潔すぎる部分もあり,これらは本書を通して統一すべきではなかったかとも思われる。さらに付け加えると,文献が,和文ばかりの項目と英文ばかりの項目にはっきり分かれている感があり,この辺りも編集者として統一をめざすべきではなかったか。

 しかしながら,これだけの高度な内容を持つ本書は,高齢の評者もやや戸惑いながらも,残りの短い生涯,何とかマスターすることにチャレンジしてみようとの意欲を湧き立たせる。評者は,この書評を依頼されて,まず苦手な膵臓の項目から読み始めた。しかし,かなりハイレベルの内容であるから,そこに時間を費やしてしまい,残りの部分は丁寧に読めたとは言えない。この正月期間に,腰を据えて立ち向かってみようと思っている。学長職や理事長職などに時間を取られて,しばらく臨床から離れざるを得なかったわが身にとって,当座挑戦すべき対象ができたとCorona時代の老後の過ごし方に意義を見出したところである。

 若い消化器病専門医あるいはそれをめざしている諸君が,このレベルにおいて,消化器病学全体を修めれば,わが国の消化器病学の未来は明るいと評者には思われる。今後のわが国の専門医制度をどのように扱うかについては,評者もその成り立ちにおいて関与していたので,強い関心を持っている。ただ果たして,このままで素晴らしい専門医制度が構築されるのか,若干の危惧を持たざるを得ない。国際的に通じる専門医制度の確立を希望しているが,本書がその一遇において重要な役割を担うような気がしている。

 最後に,本書の図表,特に写真が別ページではなく本文の中に素晴らしい形,色彩で挿入されているところに,編集者は並大抵の苦労ではなかっただろうと推察する。

 胃潰瘍や肝炎がある意味で解決されようとしている今日,消化器病学の未来は決して容易なものではないが,医学は人を治すのが本来であるから,医学全体としての位置付けで消化器病学をみていく必要はあろう。

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