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がん薬物療法副作用管理マニュアル 第2版

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副作用の早期発見、重症度評価、原因薬剤の中止や減量、支持療法の情報をコンパクトにまとめた。原因薬および発現割合、好発時期、リスク因子の他、irAEの情報も充実。抗がん薬の副作用が疑われた症例と抗がん薬以外の原因が疑われた症例も提示。第2版では、総論に「患者のみかたと捉えかた」「副作用の考えかたと伝えかた」「副作用のDIとRMPの活用」の他、各論3項目を新規追加。

監修 吉村 知哲 / 田村 和夫
編集 川上 和宜 / 松尾 宏一 / 林 稔展 / 大橋 養賢 / 小笠原 信敬
発行 2021年03月判型:B6変頁:368
ISBN 978-4-260-04478-3
定価 4,180円 (本体3,800円+税)

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第2版 監修の序

・本書『がん薬物療法副作用管理マニュアル」は,2018年3月に初版を発刊してから3年の歳月が流れ,このたび,第2版が発刊されることになりました.第2版が発刊できたのも,がん薬物療法に携わる多くの方々に初版を手に取って活用していただけたおかげだと深く感謝申し上げます.

・がん薬物療法は,従来の殺細胞性抗がん薬に加え,分子標的治療薬や免疫チェックポイント阻害薬(ICI)の登場により治療成績が向上していますが,その薬剤が適切に使用され,継続できて初めて効果を発揮します.抗がん薬の中には,QOLを低下させ治療を断念せざるを得ない副作用を引き起こすものがあります.治療を継続させるには,副作用の早期発見,重症度評価,原因薬剤の中止や減量,支持療法などの適切な対応が重要になってきます.

・本書では,抗がん薬投与後に発現する主な副作用を取り上げ,副作用の原因となる抗がん薬および副作用の発現割合・好発時期・リスク因子・特徴をまとめました.また,評価のポイントとして,症状・検査値,問診,重症度,抗がん薬以外の原因を考慮すべき疾患や病態,対策(解決への道標)を記載し,さらに,症例として抗がん薬の副作用が疑われた症例と抗がん薬以外の原因が疑われた症例を提示しました.

・第2版では,新たに総論に3項目を追加しました.そのうち,2章「患者のみかたと捉えかた」では,腫瘍内科医の立場から問診・視診・打診・触診・聴診の重要性や副作用の評価方法,副作用を疑った際の医療者間での情報共有についてご執筆いただきました.さらに,3章「副作用の考えかたと伝えかた」と4章「副作用のDIとRMPの活用」では,臨床推論の観点から副作用の考え方や抗がん薬の副作用情報の収集と加工,副作用報告,RMPの活用について新たに解説していただきました.

・各論には,新たに9章「味覚障害」,26章「不妊(性機能障害)」,31章「栄養障害」の3項目を追加した全26項目を掲載し,免疫関連有害事象(irAE)について,各項目で注意を促しました.さらに,筆者が業務中に心がけていることや臨床上でのアドバイスを“Clinical Pitfalls & Pearls”として取り上げています.

・各論の筆者は初版と同様,臨床現場でがん医療に携わっているがん専門薬剤師にお願いしましたが,第2版では新たな筆者にも加わっていただき,担当を一新しました.各筆者には新規に担当した項目を,初版の内容を継承しつつ新たな切り口で執筆していただいたので,初版をお持ちの方にもきっと新しい気付きがあるはずです.

・執筆をお願いした2020年は新型コロナウイルス感染症が拡大し,予定されていた東京オリンピックも開催されませんでした.医療現場においても患者対応,感染対策などでかなりの負担が強いられています.このような状況下において,本書の執筆にご尽力をいただいた筆者の方々に厚く御礼申し上げます.

・本書が,がん薬物療法に携わるみなさんにとって,臨床現場における積極的な患者支援の一助になれば幸いです.

 2021年1月
 監修者を代表して
 大垣市民病院 薬剤部長
 吉村 知哲

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抗がん薬の副作用

患者のみかたと捉えかた

副作用の考えかたと伝えかた

副作用のDIとRMPの活用

症例──有害事象から副作用への判断手順

悪心・嘔吐・食欲不振

下痢

口内炎(口腔粘膜炎)

味覚障害

発熱

疲労・倦怠感

発疹

浮腫

関節痛・筋肉痛

過敏症

手足症候群

末梢神経障害

視覚異常・流涙

心機能障害

高血圧

間質性肺炎

肝障害

腎障害

蛋白尿

出血性膀胱炎

不妊(性機能障害)

甲状腺機能障害

電解質異常

高血糖

血小板減少

栄養障害

索引

資料
 1 代表的な副作用と参考になるガイドライン
 2 代表的な抗がん薬と副作用
 3 血小板数による休薬,投与開始(再開)基準

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デキる人になりたい全ての職種にお薦めの一冊
書評者:柴田 伸弘(関西医大病院がんセンター診療講師)

 がん診療のチームにおいて薬剤師の存在感は非常に大きなものとなっている。有能な薬剤師がいると診療は非常にスムーズになり,より高いレベルでのチーム医療が可能となる。われわれ腫瘍内科医の立場からすると薬剤師は医師と患者の架け橋のような存在であり,がん診療チームの要といっても過言ではない。本書の編集・執筆には現場で活躍する経験豊富な薬剤師,中でもエキスパートであるがん専門薬剤師が多く携わっており,非常に実戦的で読み応えのある内容になっている。

 本書の各論は主に症状・徴候から,原因となり得る薬剤と有害事象の頻度や好発時期・特徴,評価のポイント,対策のまとめが続く。各章の最初に「初期対応のポイント」,所々に「ひとことメモ」「Clinical Pitfalls & Pearls」があるのがうれしい。また,CTCAE以外のスケール,なかなか手元にないがん以外のガイドラインに関する記載は現場で役に立つことは間違いない。

 また,各章の最後には「症例」の提示がなされており,典型的な副作用の症例ももちろんだが,現場でよくある「副作用以外によく起こり得る事象」がピックアップされている。がんの診療で遭遇する事象に対して,抗がん薬以外の原因について一考するのは重要である。これらは副作用と鑑別すべきポイントである。一方で免疫関連有害事象(irAE)のようにまれであるが非常に重要な症例もあり,これら全てを本書で疑似的に経験できるのは非常にありがたい。読みながら「あるある!」とうなずくような症例が多く提示されているのは,現場感覚が生かされている本書のお勧めポイントなので,参考にしていただきたい。

 今回は第2版の出版であるが,初版と比較しても細かなエビデンスやirAE関連のアップデートがなされているので,すでに初版を購入済みの方にもお勧めできる内容となっている。何より臓器横断的な副作用対策について非常にコンパクトにまとめられている点は他書と比較しても秀逸である。ちゃんと有害事象評価をしたい人,困ったときにペラペラとめくって利用したい人にもやさしい構成となっているので,ぜひ手元に置いていただきたい。

 本書はがん診療の現場における知識と経験を凝縮した,非常に魅力的な仕上がりになっている。専門領域を問わず,がん薬物療法の習得をめざす医師・薬剤師・看護師,デキる人になりたい全ての職種に自信を持ってお薦めできる一冊である。


「がん患者を総合的に診る(看る)力」を養うチームの必携書
書評者:渡邊 知映(昭和大教授・成人看護学)

 がん薬物療法においては,作用機序の異なる新規薬剤が次々と承認され,それに伴い有害事象も多様で複雑なものが出現し,患者や家族を苦しめる。これに対して,一般的な治療開始前のオリエンテーションや有害事象のマネジメントだけでは,到底太刀打ちできない。

 本書は,抗がん薬投与後に発現する主な副作用を取り上げ,その発現率,好発時期,リスク因子,評価方法をまとめている。第2版では新たに「味覚障害」「不妊(性機能障害)」「栄養障害」といった特定の患者にニーズの高い副作用について追加された。

 単に,CTCAEやPRO-CTCAEを用いて,症状の重症度を把握することに留まるのではなく,臨床推論力の基盤となる問診の仕方やその根拠が丁寧に解説されている点が,目の前にいる患者の症状の特徴を適切に捉えるためにとても役に立つ。このように,根拠に基づいた患者との意図的なコミュニケーションは,状況を的確に把握し判断につなげていくという臨床実践のプロセスにおいてとても重要であるが,初学者には難しい点でもある。

 さらに,薬物別の頻度や抗がん薬以外の原因を考慮するべき病態が挙げられていることで,因果関係についてより複合的な視点から鑑別することを可能にするだろう。これらは特に併存疾患を有する高齢患者や長期的な治療経過の中でさまざまな症状が蓄積している患者に対して,適切な介入を行うためにとても重要となる。さらに,各副作用管理の対策が「解決への道標」と表現されていて,事例を用いて解説されている点も具体的な介入のイメージがつきやすい。

 本書は,がん薬物療法の第一線を支える薬剤師の先生方が著者に名を連ね,日々のがん薬物療法を担うものとしてチーム医療の質保証に貢献する使命感が伝わってくる充実した内容である。「がん患者指導管理料ハ」が算定されるようになり,がん薬物療法の副作用マネジメントにおける薬剤師の役割は拡大する一方である。がん患者を総合的に診るチーム力を向上するためには,薬剤師が得意とする根拠に基づいた処方や副作用マネジメントの提案が必須となっている。

 がん薬物療法に関わる多職種がそれぞれの専門性を生かし,患者を総合的に診る力をチームで向上させるために全ての医療職にお薦めできる一冊である。電子カルテのそばや白衣のポケットにいつも忍ばせて,患者へのケアにつなげていきたい。


手元に置きたい,実践に強い本
書評者:岩本 卓也(三重大病院教授・薬剤部長)

 「いかに副作用を軽減して治療を継続するか」。われわれががん薬物治療を開始する時に必ず考えることである。いくら最新のがん治療,エビデンスの高い治療であっても,実際に治療に耐えることができなければその恩恵を得ることはできない。また,がん治療に前向きな患者ばかりではなく,副作用への心配から自ら治療の道を閉ざしてしまう方もおり,そのような患者に対しては一層丁寧な説明が必要になる。このような時,実践に強い参考書,副作用について素早く整理できる本が手元にあると心強い。本書は,好評を博した初版の刊行から3年を経て,さらに内容を充実させた第2版であり,医療従事者に求められる副作用管理のポイント,経験に基づくアドバイスが随所に挿入された実践向けの本である。もちろん,患者に要所を押さえた説明をする際にも最適である。

 本書は,抗がん薬投与後に発現する主な副作用を取り上げ,その発現率,好発時期,リスク因子,評価方法をまとめている。また,典型的な症例提示もあり,副作用アセスメントの進め方をイメージできる。そして,第2版では,「患者のみかたと捉えかた」を新設し,腫瘍内科医が身体所見,検査,副作用の評価方法を記載しており,診療の進め方を理解するのに役立つ。また,各論では「味覚障害」「不妊(性機能障害)」「栄養障害」が新たに追加され,「免疫関連有害事象(irAE)」の項目も充実している。

 評者ならこの本を次のように活用する。担当患者に新たにがん薬物治療が適用されるとき,抗がん薬による副作用をpp.8-10の一覧表(代表的な抗がん薬と副作用)で大まかに確認する。そして,特に太字の副作用(例えば,血液毒性)については,各論の副作用項目(例えば,発熱,血小板減少など)を参考に,症状,リスク因子,支持療法を確認し,評価項目・方法についてプランを立てる。一方,副作用が出現している場合には,各論から原因となりそうな抗がん薬を推定していく。

 本書の多くは,診療に従事しているがん専門薬剤師により執筆されており,いわば,がん専門薬剤師の知を結集した本である。若手の薬剤師は本書を読めばきっと,自信を持って処方提案ができるようになるはずだ。また,副作用対策についてこれほどコンパクトにまとめられた書籍は他に見当たらず,全ての医療職種にお薦めできる一冊である。ぜひ,手元に置いて活用してほしい。

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