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数式不要! はめ込み統計学
EZRでできる保健医療統計これだけ

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保健医療の現場で実際に統計を「使える」ことを目指し,数式を使用せずに解説した実用統計書。運動習慣と糖尿病,喫煙と肺がんなどを題材にした練習問題を基に,無料統計ソフトEZRを操作しながら理解できる。名義変数の解析から,連続変数の解析,傾向・相関の解析,多変量解析,生存期間の比較までを解説。これから統計を使いたい方に最適の一冊。

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医学界新聞プラス カバー画像.jpg
加藤 丈夫
発行 2021年10月判型:B5頁:132
ISBN 978-4-260-04582-7
定価 2,860円 (本体2,600円+税)

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はじめに

 私は統計学の専門家ではありません。統計学の専門家でもないのに,本書を執筆した理由について述べたいと思います。
 私は長年,医学部の内科学講座で学生教育や大学院生の研究指導および自身の研究を行ってきました。また,医学部附属病院の内科で,多くの患者さんの診療にも携わってきました。これらの教育・研究活動や診療活動には,医学的知識はもちろん,統計学や疫学の最低限の知識が必要でした。それらを知っていることは特殊な能力ではなく,当たり前のことでした。
 山形市が2019(平成31)年4月に山形市保健所を開設したいとのことで,私は2017(平成29)年3月に医学部を退職し,山形市役所の保健医療監に就任し,保健所開設の準備に当たりました。その間,市役所の保健・健康行政に携わる職員(保健師,薬剤師,栄養士など)を対象に医学・医療の勉強会を隔週で開催しました。そこで強く感じたのは,「ほとんどの人は,統計や疫学の知識がない」ということでした。彼らの多くは,住民の健康に関するデータを取り扱い,平均値を算出し,棒グラフなどを作成していますが,疫学や統計学の知識・技術がないため,それらのデータが十分に生かされていませんでした。
 この現状は,彼ら個人の責任というより,むしろ,彼らに十分な教育の機会を与えなかった指導者層にも責任があると思います。しかし,視野を山形市役所の外部に向けてみると,同じような状況が県内のみならず,県外の自治体にも認められることが分かりました。
 保健師,薬剤師,栄養士などの保健医療職の方は,学生時代に統計学の授業を受けたはずです。しかし,彼らが異口同音に訴えることは,「難しい数式が出てきた途端,授業が別世界のように感じられ,それ以降,全く理解できなくなった」ということです。したがって,現在の学生が受ける授業にも問題があるように感じています。
 自治体や保健所は,住民の健診データを集計・解析・評価し,それに基づいて住民の健康対策や健康行政の指針を立てることがきわめて重要です。この住民の健診データを集計・解析・評価する過程は,疫学・統計学そのものと言っても過言ではありません。今後,その重要性がますます大きくなっていくことは間違いありません。
 以上のような現状を少しでも改善したいと考え,自身の浅学を顧みず,本書を執筆した次第です。本書は,統計解析法の全体像を網羅するものではありません。あくまで,初心者を念頭に,地域の保健統計や医療統計で必要な最低限の項目を厳選し,「保健行政や医療の現場で,実際に統計解析ができる」ことに重点を置きました。したがって,数式は一切使用せずに解説しました。本書を読み終わるころには,あなたは統計ソフトを使って統計解析を行っていると思います。その姿を想像してみてください。きっと,うれしいと思います。私も読者のそのような姿を拝見したいと切望しています。
 本書での統計解析は無料の統計ソフトEZR(Easy R:イージーアール)を用いて解説しています。この素晴らしい統計ソフトを開発された自治医科大学教授の神田善伸先生に敬意と感謝の意を表します。最後になりましたが,本書は月刊誌「保健師ジャーナル」(医学書院)の連載「数式不要! はめ込み統計学」(2019年1月号から2020年1月号までの全13回)の内容を基に作成しました。保健師ジャーナルの連載および本書の執筆に際して,的確なご助言・ご指導をいただきました医学書院の長原光宏氏にこの場を借りて感謝申し上げます。

 2021年9月
 山形市保健所初代所長
 加藤丈夫

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はじめに
《本編に入る前に》統計解析の流れを「見て理解」――基本の3つの検定法
《本編に入る前に》EZR操作一覧――検定法の場所と解説ページを一覧

第1章 統計解析で何が分かるの?
 誰でも統計を活用できるチャンスがある
  “原理”は理解していなくても“実践”はできる
  信頼性の高い統計ソフトが容易に入手できる時代
 統計解析で何が分かるの?
 p値って何?
   コラム1 帰無仮説と対立仮説
 変数って何?
  具体例で考えよう
  「連続変数」と「カテゴリー変数」
  「変数」の種類を学習することがなぜ重要?
  「連続変数」の具体例
  「カテゴリー変数」の具体例
  「連続変数」は「カテゴリー変数」に変換が可能
  問題を解いて「変数」を理解しよう

第2章 名義変数の解析
 名義変数の解析
  検定法 2群(名義変数) フィッシャーの正確検定
   コラム2 「EZR」をインストールしよう
   コラム3 後ろ向き調査(研究)と前向き調査(研究)
 EZRにインポートして解析
   コラム4 知っておきたいExcel基礎知識
 EZRにインポートして解析――連続変数をカテゴリー変数に変換

第3章 連続変数の解析
 連続変数で解析した方が有意差の検出感度が高い
 検定法選択の分かれ道――比較群が独立するか,対応するか
  「独立した」2群の解析
 検定法選択の分かれ道――比較群が正規分布するか
  平均値
  中央値
  正規分布とは?
  正規性を検定する方法
   コラム5 平均値or中央値――データの実態を映すのはどっち?
 「独立する」2群間の解析
  検定法 2群(独立・連続変数・正規分布) ステューデントのt検定
  検定法 2群(独立・連続変数・非正規分布/順序変数) マン・ホイットニーのU検定
   コラム6 連続変数の解析の前に正規性を確認
 「対応する」2群間の解析
  検定法 2群(対応・連続変数・正規分布) paired t検定
   コラム7 対応する2群間比較における正規性の検定
  検定法 2群(対応・連続変数・非正規分布/順序変数) ウィルコクソンの符号付順位和検定
   コラム8 いくら努力しても改善なし!?――年齢調整をしていますか?

第4章 傾向と相関の解析
 傾向の解析
  検定法 傾向(二値の名義変数と順序変数) コクラン・アーミテージ検定
  コクラン・アーミテージ検定をやってみよう!
 相関の解析
  検定法 相関(連続変数・正規分布) ピアソンの積率相関係数
   コラム9 正規性の検定のおさらい
  検定法 相関(連続変数・非正規分布) スピアマンの順位相関係数

第5章 3群以上の比較
 「2群間の比較」ができれば「3群間以上の比較」もカンタン
  検定法 3群以上 ANOVA,反復測定分散分析,クラスカル・ウォリス検定,フリードマン検定
  コクラン・アーミテージ検定と何が違うか
   コラム10 多重比較およびp値の補正

第6章 多変量解析
 多因子が関わる健康影響評価には多変量解析が必要
 多変量解析を行ってみよう
  検定法 多変量解析(名義変数) ロジスティック回帰分析
   コラム11 多変量解析を行う上での注意点――目的変数が正規分布していない場合
   コラム12 交絡因子
   コラム13 オッズ,オッズ比,リスク,リスク比
  検定法 多変量解析(連続変数・正規分布) 重回帰分析
  説明変数は何個まで回帰式に入れることが可能か?

第7章 生存期間の比較
  検定法 2群(生存期間) ログランク検定

疫学の豆知識 感度・特異度・陽性反応的中率・陰性反応的中率を学ぶ

おわりに
索引

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むずかしいことをやさしく,やさしいことをふかく
書評者:石澤 賢一(山形大大学院教授・血液・細胞治療内科学)

 “むずかしいことをやさしく,やさしいことをふかく,ふかいことをゆかいに,ゆかいなことをまじめに書くこと”(井上ひさし,1989)。

 山形県出身の劇作家,小説家の名言を彷彿させるような保健医療統計の書籍が出版されました。

 保健行政や医療の現場では統計学や疫学が必須であることは万人が認めるところです。今でも現場では,膨大なさまざまなタイプのデータと日々格闘していることでしょう。私の本棚にも統計関係の本が数冊あります。何年かごとに統計学を勉強する必要に迫られて教科書を購入するのですが,その都度挫折していました。私の本棚の統計学の本は,私の挫折の歴史を示す「化石」といっても過言ではありません。あらためてその「化石」を分析してみると,最初の数ページは優しげな言葉のみで読み進められるのですが,すぐにきらびやかな数式とギリシャ文字(最近はSARS-CoV-2の変異株で少し目にするようになりましたが)のオンパレードとなり,その場で挫折の繰り返しでした。この私の「化石収集」に終止符を打ってくれたのが本書です。

 第1章の「統計解析で何が分かるの?」は特に秀逸です。著者の加藤丈夫先生は,電卓やパソコンを例に挙げて“‘原理’は理解していなくても‘実践’はできる”と喝破してくれました。「数式がよくわかっていないので統計ソフトを使うのは少し後ろめたい」といった思いが一掃されて,胸を張って統計ソフトを使えることになるでしょう。また,「p値って何?」「変数って何?」は,まさに医療統計の「キモ」であり,「コラム」「ひとこと」と合わせて医療統計のエッセンスが凝縮された内容になっています。実際に解析に携わらない方々にも,ぜひ第1章だけは読んでいただきたいと思います。医療データ,そしてその解析結果の見方,考え方が大きく変わるでしょう。

 第2章以降は無料統計ソフトEZRを使用した解析の実際です。「名義変数の解析」「連続変数の解析」「傾向と相関の解析」「3群以上の比較」「多変量解析」「生存期間の比較」から構成されていて,現場で必要な事項が簡潔にかつわかりやすく網羅されています。「使う人の立場に立って」とはよく聞く言葉ですが,それを実行するのは難しいものです。保健行政の現場で保健師さん,薬剤師さん,栄養士さんと一緒に仕事をしてきた加藤先生ならではの,「使う人の立場に立った」記載が続きます。EZRの実際の画面を使用して解説しているため,パソコンでEZRを開いて本書を片手に,必要な解析は難なくできるようになるでしょう。

 巻末の「おわりに」もぜひご一読ください。帯,本書中のイラストそのままの加藤先生のお人柄がにじみ出ています。

 まだまだ続く困難な状況の中で,医療現場の最前線で奮闘している皆さまに本書を強く推薦します。


知識や予算がなくても大丈夫 誰でも今から始められる統計解析(雑誌『保健師ジャーナル』より)
評者:髙橋 勇太(横浜市役所/NPO法人PolicyGarage/横浜市行動デザインチーム)

 「高額な統計ソフトを購入し,難しい数式を理解しなければ,統計解析はできない」と,思っている人も多いのではないだろうか。

 この現状に一石を投じたのが本書である。統計解析は,「電卓の原理を知らなくても,活用できるのと同じだ」と著者は言う。著者は,山形市役所の保健医療監の経験から,現場で統計解析がなかなか実践されていない光景を目の当たりにし,その現状を少しでも改善したい思いから本書を書いた。職員向け研修や実践での経験を踏まえ,とことん現場目線で統計解析のプロセスを解説しているところが,本書の最大の強みである。

無料統計ソフト「EZR」を使用
 はじめに,本書で活用する統計ソフトEZRを紹介したい。EZRは,誰でもインターネット上から「無料でダウンロード」できる,世界的に信頼された統計ソフトである。私も職場のパソコンに導入し,事業の効果検証をしたり,時には学会発表や論文を書いてきた。同僚も活用していたが,統計の基礎知識やそれなりの経験がないと実際の活用は難しい。そのため,私が付きっきりで一緒に分析を行うしかなかった。しかし,本書があれば,その必要がなかったかもしれない。

保健師に身近な事例から学べる
 本編では,「運動習慣と糖尿病の関連を見るための分析」や「減塩指導による血圧の変化を見るための分析」,「認知機能と関連する因子の分析」など,汎用性の高い事例を用いながら,できるだけやさしく分析方法について紹介している。やや専門的になるが,名義変数解析から傾向・相関,多変量解析,生存期間分析まで幅広くカバーしている。

 また,現場職員への気遣いとして,分析する際に最低限必要となる「p値」や「変数」などの統計の基礎的な解説,EZRのインストール方法から本書は始まる。次に,データの種類(変数の種類)と目的に応じて分析方法が決まるため,その視点で章別に分かれており,具体的な事例を交えながら解説している。何より,分析する際に出てくる実際の画面のスクリーンショットを見せながら解説しているため,実際の操作について迷うことがないだろう。さらに,実践力を鍛えられるよう,練習用のExcelファイルまで用意されている。

 統計解析の必要性は日々感じているものの,職場に統計ソフトがなかったり,何から勉強したらいいか迷っているあなた。まずは,本書を片手にEZRをダウンロードするところから始めてはどうだろうか。

(『保健師ジャーナル』2022年2月号掲載)


看護学生に薦めたい無料統計ソフト「EZR」の解説書
評者:後藤順子(山形県立保健医療大学保健医療学部看護学科教授)

 本書を最初に手に取ったとき、保健医療統計学のテキストとして、また卒業研究の参考書として使えると感じました。

 学生時代に統計学の解析手法を身につけておくことは、卒業後の看護の評価やエビデンスの確保におおいに役立ちます。私は「保健統計学」の授業で、統計の基礎に加え、統計を今後の保健医療活動にどのように活用するかを教えていますが、市町村や医療の現場ではパソコンに統計ソフトがあるところは少ないため、Microsoft Excelでできる範囲のことを演習として取り入れてきました。Excelの演習では学生の技術的差が大きく、なかなか統計学を駆使した分析まで行きつきません。

 一方で、本書で紹介されている無料統計ソフトの「EZR」は、10年くらい前から医学部の教育で活用されていると聞いていましたが、看護教育で参考にできそうな書籍はほとんどなく、教育のなかに取り込めずにいました。本書を手に取り、EZRを操作したところ、数式を考えなくとも、簡単に統計的処理ができました。

 EZRをダウンロードしておけば、卒業後も職場や自宅でデータを分析することが可能です。卒業研究では、アンケート調査を実施する学生も多くいます。教員が使用している統計ソフトでアンケートを分析させると、すべての項目を変数に入れ、「有意差が出ました」と持ってきます。EZRでは、このようなレディネスの学生でも統計分析を行うことができ、非常に有用といえます。
また、医療機関の現場では新人に看護研究が課されることも多くあります。本書の記述に従って分析を進めれば、研究目的に沿った結果を導き出すことが可能です。記述統計から多変量解析、そして生存期間の分析に至るまで、より高度な解析ができます。

 保健師活動の現場では「高齢者の保健事業と介護予防の一体化」の事業が始まり、多方面からのデータの分析と地域の健康課題の抽出を医療の専門職(保健師)が担うことになりました。また、データヘルス関係の事業では、評価が求められています。評価の多くは受診率などのアウトプットの提示が多く、本来の事業の効果を判定するアウトカムの評価はほとんど出てきません。その理由は自治体の現場ですぐ活用できる統計ソフトがないこと、学生時代には学習したはずの保健医療統計学が活かされていないことだと感じます。

 本書は特に、保健師活動の現場で遭遇するような例題が多いので、分析の視点や方法が明確であり、使いやすいです。本書は、きっと現場の良き参考書になります。

(『看護教育』2022年2月号掲載)

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●ダウンロード用 Excel ファイル
本書では練習問題などを通じて、統計解析手法を学んでいきます。下記からダウンロードしてご利用ください。

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かとうたけお

国立病院機構山形病院 ALS 治療研究センター センター長/山形市保健所初代所長。1979 年山形大学医学部卒業,同附属病院第三内科に入局。1984〜1986 年米国モンテフィオーレ病院・アルバートアインシュタイン医科大学にて神経病理学の研修・研究に従事。1992 年米国ALSAssociation 研究所にてALS 研究に従事。1997 年山形大学医学部内科学第三講座主任教授に就任。2019 年山形市保健所長。2021 年10 月より現職。医学博士,神経内科専門医。

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