CKD保存期ケアガイド

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慢性腎臓病(chronic kidney disease:CKD)において、透析導入をできるだけ遅らせることが重要視され、保存期ケアへの関心が高まっている。CKD患者の病状進展を予防する看護、効果的といわれているケアを明確にすることを目的に、セルフモニタリング、薬物療法、食事療法、運動療法、腎代替療法意思決定支援、他者からの支援等についてエビデンスを提示しながら解説する1冊。

監修 一般社団法人 日本腎不全看護学会
編集 CKD委員会保存期グループ
発行 2021年05月判型:B5頁:160
ISBN 978-4-260-04695-4
定価 3,300円 (本体3,000円+税)

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 わが国では毎年約4万人の腎不全患者に透析療法が導入され,2019年度末の透析患者数は34万4,640人と増加の一途を辿っています.また,糖尿病性腎症や腎硬化症など生活習慣病と関連する原疾患が増えており,循環器系疾患や高齢化に伴う合併症が大きなリスクとなり,患者のADLおよびQOLを阻害しています.私たち看護師は,患者が安定した透析を受けられるように,そして社会の一員としてその人らしく生を全うできるように支援しています.しかし,患者が透析療法を導入するに至ることなく,自由な生活を送れるに越したことはありません.
 国内の慢性腎臓病(chronic kidney disease:CKD)患者数は約1,330万人と推計されています.2007年に厚生労働省ではCKD重症化を予防し,透析患者数を減少に導くために腎臓病対策についての検討が行われました.それから10年後の2017年から始まった腎疾患対策検討会では「自覚症状に乏しい慢性腎臓病(CKD)を早期に発見・診断し,良質で適切な治療を早期から実施・継続することにより,CKD重症化予防を徹底するとともに,CKD患者(透析患者および腎移植患者を含む)のQOLの維持向上を図る」ことを目標として,①普及啓発,②地域における医療提供体制の整備,③診療水準の向上,④人材育成,⑤研究開発の推進の5項目をまとめました.そして,2028年までに年間新規透析導入患者数を3万5,000人以下に減少させる目標を設定しました.
 日本腎不全看護学会では,それまで透析療法を受けている患者の看護を中心に力を注いで参りましたが,保存期の患者へとその対象を広げ対応を始めています.末期腎不全に至ることがないように保存期の患者に看護介入する看護師も増えてきています.
 私たちは透析患者への自己管理指導に培ってきた知識やかかわりを生かし,CKD悪化予防に向けて治療的側面だけではなく,社会的側面をも考慮し,生活者としての患者の健康維持に今後もさらに専門性を高め,悪化予防の効果を上げることが社会から期待されています.
 このたび,日本腎不全看護学会から『CKD保存期ケアガイド』を発刊するに至りました.これは腎疾患対策に関連して新たに生まれた当学会CKD委員会が中心となり編集,執筆されたものです.
 本書は,患者自身が腎臓病を理解し,悪化予防のための行動を選択し実行していくことの意義とそのための支援についてエビデンスを中心に解説したものです.特に,CKD指導において必要とされている内容に関して,できるだけ最近の知見や効果が取り上げられており,これからのCKD患者の対応の参考にしていただければと思います.そして,腎臓病患者の悪化予防だけではなくQOL向上に貢献する一助になれば幸いです.

 2021年5月吉日
 一般社団法人 日本腎不全看護学会
 理事長 中原宣子


本書を発行するにあたり

 CKDは,糖尿病や高血圧などの生活習慣病が背景因子となることが多く,早期に対処すれば重症化を抑制でき,治癒を望むことも可能です.2018年,厚生労働省は腎疾患対策のさらなる推進を目指し,「CKD重症化予防を徹底するとともに,CKD患者(透析患者及び腎移植患者を含む)のQOLの維持向上を図る」という目標を示しました.このようななか,私たちは,CKD保存期看護のスタンダードが示されていない現状に気づきました.日本腎不全看護学会は,わが国唯一の腎不全領域の看護学会として,現在展開されている効果的なCKD保存期看護を明確に示すことに挑むこととし,『CKD保存期ケアガイド』出版のための活動を開始しました.
 作成にあたり,まずは診療ガイドラインについて学び,科学的エビデンスの重要性を理解する一方,人を対象とした看護を表現するうえでは科学へ偏重することに注意する必要があると考えました.EBM(evidence-based medicine)とは,最良の「根拠」を思慮深く活用する医療のことですが,単に研究結果やデータだけを頼りにするのではなく,「最善の根拠」と「医療者の経験」「患者の価値観」を統合し,患者にとってよりよい医療を目指そうとするものです.そこで,本書ではCKD保存期における根拠に基づく看護実践を明らかにすることを目指し,エビデンスを示すことを重視しつつもScience だけではなく,患者の価値観や暮らしなどHumanity/Human caring の重要性をも表現したいと考えました.
 CKD保存期の患者や家族の,人としての気がかりや暮らしに焦点をあてた看護らしいテキストを作れたと思っています.
 本書はCKD保存期看護に携わる,経験の浅い看護師からベテランの看護師までを対象として作成しました.多くの皆様に手に取っていただければ幸いです.
 また,医師をはじめとする他職種の皆様には,本書を通して,人を対象とする看護へのいっそうのご理解をいただけることを祈念いたします.

 2021年5月
 日本腎不全看護学会 CKD委員会
 聖隷佐倉市民病院 内田明子


本書の活用の仕方

 本書は3段階構成で作成されています.まず第1章では慢性腎臓病患者の看護を行うための総論として,「CKD療養の基本事項」「CKD患者の自己管理」「CKD療養のアセスメント項目」を据えています.その後,第2章の各論としてセルフモニタリング,薬物療法,食事療法,運動療法,腎代替療法意思決定支援,他者からの支援,多職種連携についてクリニカルクエスチョン(clinical question:CQ)を設け,それぞれのCQについて国内外の論文をレビューし,臨床で根拠に基づく実践(evidence-based practice:EBP)を行えるように推奨文,臨床への示唆,レビュー結果(文章/表)を提示して構成しています.最後の第3章ではCKD看護を実践する際に使用できる理論について,実例も用いながら説明をしています.

 本書のメインとなる,各論(第2章)の構成の狙いについて解説します.
 まず,CQについて説明します.クリニカルクエスチョン=CQは臨床疑問と訳され,日々の実臨床において疑問を呈される疾患の検査や治療,看護における重要なトピックを端的に質問形式で示しています.本書では,実臨床において日常的に行われているさまざまな腎疾患看護が本当にエビデンスに基づいているのか? という視点から今一度,日常のケアを見つめなおし,自信をもってEBPが実践されるようになってほしいと考え,腎疾患看護のスペシャリストがCQについて検討し作成しています.
 推奨文では,CQに関する国内外の論文(主に介入研究)をレビューし,そのCQのエビデンスの有無,臨床への推奨度合を示しています.残念ながら,いまだエビデンスレベルが低いものもあるため,それについては今後の研究が必要である旨が記載されている場合もあります.
 臨床への示唆では,推奨文に基づき,EBPを具体的に展開するにあたり気をつける内容,知っておくべき知識などが示されています.各CQに対して,実臨床に近い内容が記載されているので,こちらを参考にしながら日々のCKD保存期ケアにあたっていただければと思います.
 レビュー結果では,腎疾患看護研究者がCQに関する国内外の文献レビューを行った結果,具体的内容が示されています.どのように推奨文,臨床への示唆が導き出されたのか,どのようなアウトカムに対して,どのような介入がなされたのかを明記しています.また,レビュー表をご覧いただけば,レビューに用いた論文の出版年,著者,参加者,アウトカム(成果),介入,結果・結論が一覧になっているため,原文に戻って確認していただくことも容易です.ぜひ,こちらも併せてご覧になっていただきご自身の知識として活用していただければと思います.
 第3章では,セルフマネジメント理論,成人教育(アンドラゴジー),アドバンス・ケア・プランニングについて説明しています.
 以上,皆さんが臨床で根拠と自信をもって展開していただけることを,執筆者一同祈念しております.

 2021年5月
 日本腎不全看護学会CKD 委員会知見集積担当委員
 東京工科大学医療保健学部看護学科 小坂志保

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第1章 総論
 CKD療養の基本事項
  CKDとは
  標準的な検査・診断・治療
  CKD保存期にかかわる看護師に必要と思われる事項
 CKD患者の自己管理
 CKD療養のアセスメント項目
  血液・尿検査データ(中村雅美)
  血圧
  体重
  食事療法
  薬物療法・服薬管理
  運動療法
  精神状況
  社会的背景(支援者,サポート状況)

第2章 各論
 セルフモニタリング(生活習慣・自己管理)
  解説
  CQ① CKD患者の血圧の自己測定は腎機能に影響するか
  CQ② 腎疾患自己管理指導は予後に効果があるか
  CQ③ 腎疾患自己管理指導は腎代替療法意思決定支援に効果があるか
  CQ④ CKD患者への教育目的入院は,腎不全の進展を遅延させるか
 薬物療法
  解説
  CQ① 多職種のかかわりがCKD患者の服薬管理を改善するか
  CQ② 服薬指導が適切な服薬行動を促進させるか
 食事療法
  解説
  CQ① CKD患者(家族・調理者)への食事指導は腎機能維持・改善に効果的か(例:塩分,蛋白,リン)
 運動療法
  解説
  CQ① CKD患者に対して年齢や身体機能に応じた運動療法を行うことでQOLは改善するのか
  CQ② 運動療法を行うことで腎予後が改善するか
 腎代替療法意思決定支援
  解説
  CQ① 腎代替療法意思決定支援によって選択する治療法が変化するか
  CQ② 効果的な腎代替療法意思決定支援方法は何か
 他者からの支援
  解説
  CQ① CKD患者・重要他者と医療者が疾患管理目標を共有することで患者のセルフケア能力が向上するか
  CQ② CKD患者と支援者となる者のアセスメントを行うことで患者に見合った療養行動を計画できるか
  CQ③ 社会資源を活用することでCKD患者の疾患管理行動を促進させるか
 多職種連携
  解説
  CQ① CKD患者に対して多職種によるかかわりを行うことによって,QOLの維持改善が期待できるか
  CQ② 地域における多職種連携・医療連携によって,CKD患者の受診中断,入院率,死亡率が減少するか

第3章 療養生活支援に用いる理論と活用事例
 総論
 セルフマネジメント
  キーポイント
  具体的な実践方法――セルフケアマネジメントを支援する理論,モデル
  行動変容のステージ理論の活用事例
 成人教育(アンドラゴジー)
  キーポイント
  アンドラゴジー・モデルの考え方とプロセス
  アンドラゴジー・モデルの活用事例
 アドバンス・ケア・プランニング(advance care planning:ACP)
  キーポイント
  ACPの考え方,進め方
  腎臓病外来におけるACPの活用事例

索引

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