理学療法ジャーナル Vol.60 No.1
2026年 01月号

ISSN 0915-0552
定価 2,090円 (本体1,900円+税)

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変形性膝関節症──最新ガイドラインでADL・QOL向上をめざす

 変形性膝関節症における最新の診療ガイドラインに基づく治療のエビデンスと実践的指針を整理した.手術療法,薬物療法,装具療法,保存療法に加え,人工膝関節全置換術(totalkneearthroplasty:TKA),人工膝関節単顆置換術(unicompartmentalkneearthro-plasty:UKA)の術前・術後入院・術後外来,骨切り・半月板縫合の術後入院における理学療法の役割とQOL向上への工夫,さらには患者教育やホームプログラムを含む包括的アプローチを提示し,臨床現場での実践に直結する情報を網羅している.さらに,多職種連携や患者立脚型アウトカムの重要性も強調されている.本特集の内容をぜひ,臨床に活用し,日々の理学療法の実践に役立てていただきたい.

変形性膝関節症とは何か 内尾祐司
 変形性膝関節症は変形性関節症のなかで最も罹患者が多い.ロコモティブシンドロームの代表的疾患であって,心血管障害や腎障害,糖尿病などの死亡リスクを上げることが報告されている.その病態は関節軟骨変性だけでなく関節全体に影響を及ぼすもので,膝痛や関節可動域制限などの臨床症状を呈する.診断には単純X線像が有用である.しかし,症状との乖離がある場合には治療方針を決定するうえで軟骨・半月板・滑膜・骨髄病変について magnetic resonance imaging(MRI)などで評価しなければならない場合がある.

変形性膝関節症に対する手術療法 近藤真史,他
 変形性膝関節症に対する手術療法として,膝周囲骨切り術(around knee osteotomy:AKO),人工膝関節置換術が広く行われている.いずれの術式も長期的な除痛効果および機能改善効果,ロコモ改善効果に優れており,有用な治療法である.患者満足度をさらに向上させる目的で,AKOでは骨切りや内固定法を工夫した術式が派生し,人工関節置換術ではpersonalizedalign-mentの概念や手術支援ロボットの導入が進んでいる.また,周術期管理においては,疼痛管理法として局所浸潤鎮痛や末梢神経ブロックにエビデンスがあり,周術期リハビリテーションとしては,従来法に加えて高強度または特殊な機器,運動による術後リハビリテーション,そして術前リハビリテーションの有用性が報告されている.

変形性膝関節症に対する薬物療法 金 栄智,他
 変形性膝関節症の薬物療法は,病態把握と各薬剤の作用機序および特性そして副作用の確認が重要である.対象患者は高齢者が多く,併存疾患も把握することが大切であり,適切な治療薬を選択し投与量や投与期間を定めていく.そして治療による症状の変化を把握し,その状態や程度に合わせて治療薬の種類や量を修正していくことも医療現場では重要となる.また,理学療法との併用療法については,今後の課題である.

変形性膝関節症に対する装具療法 岡本卓也,他
 変形性膝関節症に対する保存療法の一つに装具療法がある.本稿では装具療法に関する国内外の最新ガイドラインを紹介し,その効果やエビデンスおよび課題や注意点について解説する.また外側楔状型足底板(ラテラルウェッジインソール)に関する臨床研究の結果を報告し,作用機序や適応について解説する.

変形性膝関節症に対する理学療法──保存療法 南條恵悟
 複数のガイドラインにおいて,変形性膝関節症の保存療法として運動療法,患者教育の実施が推奨されている.病態理解と現実的目標の共有は治療満足度向上に不可欠であり,活動量や疼痛記録による自己管理支援が有効である.重度変形例では症状消失は困難で,重症度や障害像に応
じた目標設定と個別化介入が求められる.歩行・関節機能の改善や下肢筋力強化,心理社会的要因の評価を含む包括的アプローチが重要である.

変形性膝関節症に対する理学療法──TKA,UKA術前外来 羽田清貴,他
 本邦の人工膝関節置換術の施行件数は増加している.術後の疼痛や膝関節機能改善,歩行・ADL改善には術前外来理学療法の役割も大きい.筋力強化と柔軟性向上を目的とした術前運動プログラムに加え,術前教育で患者の不安や悩みの軽減を図ることが推奨されている.術後の歩行能力改善のために,術前からの積極的な理学療法が重要である.

変形性膝関節症に対する理学療法──TKA術後入院 工藤 優,他
 人工膝関節全置換術後の入院期における理学療法は,腫脹・疼痛管理と離床促進により創傷治癒と機能回復の基盤を形成する重要な段階である.術前から外来期へと続く一連の理学療法のなかで,入院期は患者教育やアドヒアランス形成を通じて退院後の機能回復を支える“橋渡し”の役割を担う.これにより,最終的な機能改善とQOL向上につながることが期待される.

変形性膝関節症に対する理学療法──TKA術後外来の運動連鎖とアドヒアランスに着目した包括的理学療法 牛島 武,他
 人工膝関節全置換術後の理学療法は,「入院期間の短縮」と満足度に関連する「治療目標の個別化」という二つの大きな課題に直面しており,包括的な対応が求められている.医療の質を確保するためには,ガイドラインや科学的知見を活用した包括的理学療法の構築が重要である.本稿では,身体全体の運動連鎖や心理・社会的要因を踏まえた包括的外来理学療法の有効性について,症例を通じて検討する.

変形性膝関節症に対する理学療法──膝周囲骨切り術後入院 福田 航
 高位脛骨骨切り術後の患者満足度向上には,膝関節可動域(特に屈曲)の確保と疼痛の軽減が重要である.膝関節屈曲可動域の獲得は正座やしゃがみ込み動作など,生活満足度に直結する.疼痛軽減には術後早期の炎症管理,膝関節周囲筋・股関節外転筋の筋力強化が不可欠である.さらに,術前から術後にかけた計画的かつ継続的な患者教育は,疼痛軽減と心理的不安の緩和に有効である.本稿では術前準備から入院期までの理学療法戦略を整理し,満足度向上に直結する介入の要点を示す.

変形性膝関節症に対する理学療法──鏡視下半月板縫合術後入院 佐伯秀宣,他
 変形性膝関節症発症の危険因子として内側半月板後根損傷がある.半月板の構造的修復を整形外科医が担い,機能再獲得を担うのが理学療法士である.縫合された半月板機能の再獲得には至適負荷が重要となり,その至適負荷をかけるためには一定のルールに従い評価・再評価を実施することが必然である.

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特集 変形性膝関節症──最新ガイドラインでADL・QOL向上をめざす

変形性膝関節症とは何か
内尾祐司

変形性膝関節症に対する手術療法
近藤真史,他

変形性膝関節症に対する薬物療法
金 栄智,他

変形性膝関節症に対する装具療法
岡本卓也,他

変形性膝関節症に対する理学療法──保存療法
南條恵悟

変形性膝関節症に対する理学療法──TKA, UKA術前外来
羽田清貴,他

変形性膝関節症に対する理学療法──TKA術後入院
工藤 優,他

変形性膝関節症に対する理学療法──TKA術後外来の運動連鎖とアドヒアランスに着目した包括的理学療法
牛島 武,他

変形性膝関節症に対する理学療法──膝周囲骨切り術後入院
福田 航

変形性膝関節症に対する理学療法──鏡視下半月板縫合術後入院
佐伯秀宣,他


■60巻記念座談会
理学療法 次の60年へ向かって
加藤 浩,他


■Close-up 神経難病における病期ごとの患者・家族支援
発症初期──筋萎縮性側索硬化症患者の一例
加藤太郎

進行期──筋萎縮性側索硬化症患者を通して
芝﨑伸彦

終末期──筋萎縮性側索硬化症患者の倫理的課題
寄本恵輔


●とびら
Time of Wonder 理学療法ジャーナル60巻によせて
網本 和

●運動器疾患に対する超音波画像評価とエコーガイド下運動療法──EBPTに活かす!⑨
変形性膝関節症の超音波画像評価
工藤慎太郎,他

●COVID-19パンデミック後の変革④
医療現場におけるアップデート 回復期②
福元裕人,他

●臨床理学療法に活かす生理学 [新連載]
運動療法を安全・効果的に行うための循環生理学
河野裕治,他

●文献収集と管理⑬
ResearchRabbitTM,Connected Papers
森山英樹

●臨床実習サブノート 効果的かつ安全な起居動作へのアプローチ⑩
重度脳性麻痺
川原田里美


●追悼
奈良 勲先生
内山 靖

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