BRAIN and NERVE Vol.78 No.1
2026年 01月号

ISSN 1881-6096
定価 3,080円 (本体2,800円+税)

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パーキンソン病患者を長期間フォローすると,病期を通じて認知症や転倒,睡眠障害などの多様な症候に直面する。これらの症候には,ドパミン系をはじめとする神経伝達系の障害や脳内ネットワークの異常,さらには病理学的変化が複雑に関与している。本特集では,なぜこのような合併症があらわれるかをあらためて整理し,専門家がその症候をどのように理解し,いかに治療戦略へ結びつけているかを読者と共有する場としたい。臨床に活かすヒントとなれば幸いである。

レビー小体病スペクトラムにおける認知症 西尾 慶之
パーキンソン病における認知症発症のタイミングには大きな個人差がある。姿勢保持障害や歩行障害,レム睡眠行動障害,視空間認知障害などが早期認知症発症の予測因子である。パーキンソン病認知症の主たる神経病理学的背景は,大脳皮質のα-シヌクレイン病理およびアルツハイマー病理の併存である。アセチルコリン系の変性が症状の発現に重要な役割を果たしており,コリンエステラーゼ阻害薬が幻視や認知障害の改善に有効である。

パーキンソン病の精神症状を紐解く 竹中 宏幸 , 馬場 徹 , 武田 篤
パーキンソン病の精神症状は抑うつ・不安・アパシー・衝動制御障害や幻覚・妄想など多彩で,前駆期から晩期まで幅広く認められる。これらはドパミン系および複数の神経伝達系の障害や脳内ネットワーク異常と関連し,ドパミン補充療法の調整,非定型抗精神病薬およびコリンエステラーゼ阻害薬など病態に応じた個別の治療戦略が求められる。本論ではパーキンソン病の精神症状の疫学,病期ごとの特徴,病態生理および治療を概説する。

パーキンソン病の転倒リスクとその対応 波田野 琢 , 加茂 晃
パーキンソン病患者は通常の高齢者に比べ転倒リスクが高く,発症前から認められる症状の1つである。転倒は骨折やADL低下,認知機能障害を介し予後に影響する。歩行障害の要因として,すくみ足や体幹のバランス異常などの運動障害のみならず,起立性低血圧,認知障害など多岐にわたる。さらに家屋の配置や段差などの環境因子も関与する。そのため,多職種連携での評価と予防が重要である。

パーキンソン病と起立性低血圧 朝比奈 正人
パーキンソン病(PD)の診療において起立性低血圧(OH)は大きな問題であり,適切なマネージメントが求められる。一方,OHと他の非運動症状との関連を理解することは,PDの進展過程や臨床亜型を考えるうえで示唆を与える。本論では,血圧調節の生理学的機構とPDにおけるOHの病態とマネージメントについて解説するとともにOHと他の非運動症状,特に認知機能低下との関連についてα-シヌクレイン伝播仮説の検証を含めて考察する。

パーキンソン病における異常性欲 柏原 健一
パーキンソン病患者はしばしば性欲の異常を呈する。多くはドパミン補充療法薬が誘発する。異常性欲は患者自身,配偶者を苦しめ,QOLを劣化させる。頻度は3〜8%程度であり,若年男性患者に生じやすい。認知機能障害,うつ・病的賭博の既往,衝動的性格,新奇追求性格なども危険因子である。ドパミンアゴニストによって生じやすいがレボドパ製剤でも生じ得る。平均6.5年の服薬で生じる。治療にはドパミンアゴニストの減量,変更,中止を試みる。

パーキンソン病の睡眠覚醒障害 宮本 雅之
パーキンソン病(Parkinson's disease:PD)の非運動症状の1つに不眠があり,進行期においては80%の患者にみられる。PD進行期における不眠は,PDの運動症状を含め併存する病態/疾患,治療薬の副作用や合併症,原発性睡眠障害の併存など多様な原因があることを念頭に評価し治療を進める必要がある。治療の原則は,睡眠衛生指導とともに,持続ドパミン受容体刺激(CDS)を意識した抗PD薬の調整による夜間の運動症状のコントロール,睡眠を妨げる非運動症状への治療,睡眠を妨げる薬物の中止,原発性睡眠障害の治療がある。PDにおける不眠は,患者の生活の質のみならず,運動機能にも影響を及ぼし得るため,個別に適切な評価と対応が必要である。

パーキンソン病に伴う姿勢異常 向井 洋平
パーキンソン病に伴う姿勢異常には,腰曲がり(camptocormia),体幹側屈(Pisa症候群),首下がりなどがあり,いずれも多因子が関与して生じると考えられているが病態生理は不明な点が多い。薬剤調整,注射,リハビリテーション,脳深部刺激療法(DBS),脊柱矯正手術などさまざまな治療法が報告されている。近年,姿勢異常の評価法や診断基準を統一しようとする動きがみられ,疫学・病態解明・治療法開発などの研究に貢献すると思われる。

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特集 パーキンソン病の進行期合併症──病態生理とその対策

レビー小体病スペクトラムにおける認知症
西尾慶之

パーキンソン病の精神症状を紐解く
竹中宏幸,他

パーキンソン病の転倒リスクとその対応
波田野 琢,加茂 晃

パーキンソン病と起立性低血圧
朝比奈正人

パーキンソン病における異常性欲
柏原健一

パーキンソン病の睡眠覚醒障害
宮本雅之

パーキンソン病に伴う姿勢異常
向井洋平


■総説
オートファジーと神経疾患
清水崇紘,水島 昇


●日本人が貢献した認知症研究の足跡
第9回 失語の意味型──定型語義失語について
小森憲治郎

●原著・過去の論文から学ぶ
第19回 片頭痛の三叉神経血管説とMichael A Moskowitz先生
鈴木則宏

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