医学界新聞

「脳科学総合研究センター」の開所式と記念シンポ開催


 理化学研究所(理事長=有馬朗人氏)の中に建設されていた「脳科学総合研究センター」(所長=理化学研究所国際フロンティア研究システム長 伊藤正男氏)の東・西研究棟が完成し,その開所式がさる11月10日,同センターにおいて行なわれ,これを記念したシンポジウム「脳科学の未来と展望」が,翌11日,東京プリンスホテルで開催された。
 開所記念シンポジムのセッションⅠ「脳科学の未来」では,有馬理事長の挨拶の後,伊藤所長,F. E. Bloom氏(サイエンス誌編集長),利根川進氏(マサチューセッツ工科大教授)が講演。伊藤所長は,「脳科学の未来-脳科学研究に期待するもの」と題する講演の中で,「(1)脳科学研究は基礎研究推進の先駆になる,(2)脳科学研究の発展は,脳神経系の疾患や麻薬中毒の克服につながり,特に脳の老化の蔓延による高齢社会の破局から救う唯一の道になる,(3)脳のように働くコンピュータを搭載して人間のように振る舞うことができるロボットが実用化されれば,情報化社会に大きなインパクトを与える」と脳科学研究への期待を述べ,理化学研究所の80年にわたる伝統と10年におよぶ国際フロンティア研究システムの貴重な経験を受け継ぐとともに,同センターがめざす新たな伝統の創造を示唆した。また利根川進氏は,「Combined Molecular Genetic,Physiological,and Behavioral Approach to Cognition」と題して,氏が現在研究を進めているテーマを概説。午後からは,「脳を知る」,「脳を守る」,「脳を創る」の3つのセッションに分かれ,各国のトップサイエンティストが講演を行なった。