金原一郎記念医学医療振興財団
第40回認定証(第21回基礎医学医療研究助成金)贈呈式開催 |
金原一郎記念医学医療振興財団(理事長=理化研脳科学総合研究センター特別顧問・伊藤正男氏)は,このほど「第21回基礎医学医療研究助成金」の交付対象者として35名(助成総額1515万円)を選出し,さる10月20日,東京都文京区の医学書院本社において第40回認定証贈呈式を開催した(助成対象者および研究内容)。
同財団は医学書院創業者金原一郎氏の遺志を継ぎ,基礎医学の振興を目的として1986年に設立。今年で20周年を迎え,助成金の累計額も6億6000万円を超えた。助成事業として(1)基礎医学医療研究助成金,(2)研究交流助成金,(3)留学生受入助成金,(4)研究出版助成金の4種目を行っている。
開会に際して,挨拶に立った金原優同財団常任理事(医学書院代表取締役社長)は,「医学において基礎は非常に重要。医学の礎としての基礎医学を研究されている先生方に,ささやかではあるが,医書出版として日ごろお世話になっている万分の一でもお返しできれば」と述べ,「本日の受賞を機に,さらにいい研究を続けていただきたい」と激励した。
認定証の贈呈の後に,同財団理事で選考委員長の野々村禎昭氏(東大名誉教授・(財)微生物化学研究会理事長)は,詳細な講評の後,「受賞された方は,激論の末に難関を突破して選出された方々であり,この賞は非常に価値がある。今をときめく教授になっている方たちも,講師や助教授時代に受賞されている方が多い。今回受賞された方にも非常に期待をしている。いっそう研究に励んでいただきたい」と祝辞を述べた。
続いて,「抗糖尿病転写因子TFE3による脂質代謝異常改善メカニズムの解明」を助成対象として受賞した中川嘉氏(筑波大)が受賞者を代表して挨拶に立ち,選考委員ならびに財団関係者に謝意を述べ,「このような名誉ある研究助成の対象者に選ばれたことは,大変光栄であるとともに,その責任の重さを感じ,身が引き締まる思いです」と述べるととともに,「今後もさらに研究を進め,医学研究の進歩と日本国民の健康に少しでも貢献していきたい」と抱負を述べた。
●金原一郎記念医学医療振興財団
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No. | 氏名 | 所属機関 (略称) |
助成対象 |
1 | 淺沼克彦 | 順大 腎臓内 |
糸球体上皮細胞障害とアポトーシスにおけるデンドリンの役割 |
2 | 安西尚彦 | 杏林大 薬理 |
ヒト肝細胞キメラマウスを用いたインスリン抵抗性に伴う高尿酸血症の解析:腎尿酸トランスポーターの関与 |
3 | 石井直人 | 東北大 免疫 |
炎症性腸疾患感受性遺伝子IBDXの機能解析 |
4 | 石井秀始 | 自治医大 分子病態研 |
ベンゼン類による白血病発がんの分子機構の解明 |
5 | 入江康至 | 阪大 神経薬理 |
小児白血病発生に関わる新規抑制遺伝子産物Amidaの機能解析 |
6 | 大石健太郎 | 浜松医大 光環境 |
網膜において鉄により発現制御を受ける遺伝子の網羅的クローニング-加齢黄斑変性症発症機序の解明に向けて |
7 | 大島正伸 | 金沢大 腫瘍遺伝 |
腸管腫瘍発生における組織マクロファージの役割 |
8 | 大塚文男 | 岡山大 腎・免疫・内分泌代謝 |
BMPによる生殖内分泌調節の分子メカニズムの探求とその臨床応用を目指して |
9 | 大西浩史 | 群馬大 生体研 バイオシグナル |
神経細胞間相互作用シグナルによる脳内ストレス応答機構の解析 |
10 | 小田義直 | 九大 形態機能病理 |
横紋筋肉腫における多剤耐性遺伝子と転写因子YB-1の発現 |
11 | 桂林秀太郎 | 崇城大 薬理 |
神経伝達強化に関与するシナプス小胞動態の機能解析 |
12 | 木村一志 | 三重大 ゲノム再生 神経 |
シナプス形成におけるカリウムイオンチャネルの機能解析 |
13 | 桑江朝臣 | 北里大 生命研 細菌感染制御 |
ボルデテラ属細菌のタイプIIIエフェクターと宿主側因子の相互作用の解析 |
14 | 後藤英仁 | 愛知がん センター 発がん制御 |
Aurora-BとPlk1のシグナル伝達機構におけるクロストーク |
15 | 佐藤元彦 | 横市大 循環制御 |
虚血誘導性G蛋白活性性制御因子、Activator of G prptein Signaling 8(AGS8)と相互作用を有する蛋白の同定 |
16 | 篠原美都 | 京大 分子遺伝 |
精巣由来ES様多能性幹細胞を用いた遺伝子ノックアウト |
17 | 新藤隆行 | 信州大 臓器発生制御 |
アドレンノメデュリン受容体システムの解明と、メタボリックシンドローム治療への応用 |
18 | 菅波孝祥 | 東医歯大難治研 分子代謝 |
肥大化脂肪細胞におけるMKP-1の病態生理学的意義の解明 |
19 | 清野研一郎 | 聖マリアンナ 医大 難治研 分子治療 |
NKT細胞異常と神経原性筋萎縮を同時に発現する病態に関する研究 |
20 | 竹田潔 | 九大 生体研 発生工学 |
IκB分子による自然免疫系の活性制御機構の解析 |
21 | 中川嘉 | 筑波大 診断生化 |
抗糖尿病転写因子TFE3による脂質代謝異常改善メカニズムの解明 |
22 | 中島友紀 | 東医歯大 分子情報伝達 |
破骨細胞マスター転写因子NFATc1が制御する新規標的遺伝子の同定と代謝性骨疾患治療のための分子基盤の確立 |
23 | 西原広史 | 北大 分子細胞病理 |
リンパ球の遊走・浸潤能におけるCas-L, DOCK2及びRacの機能解明 |
24 | 秦野伸二 | 東海大 分子生命 |
エンドゾーム動態異常による神経細胞死の分子機構に関する研究 |
25 | 平岡義範 | 京大 分子病態 |
緑膿菌由来細菌毒力因子による炎症性サイトカインTNF-αのシェディング誘導機構の解明 |
26 | 平田多佳子 | 阪大 微生物研 |
ケモカインとその結合分子との相互作用による細胞外環境構築のメカニズム |
27 | 広常真治 | 阪市大 細胞機能抑制 |
神経細胞の遊走と染色体分離における微小管ネットワークとモータータンパク質の制御 |
28 | 星野真理 | 理化研 感染免疫 |
新規膜結合性E3ユビキチンリガーゼファミリーの免疫抑制システムの探索 |
29 | 松下健二 | 国立長寿医療 センター 口腔疾患 |
組織・細胞特異的なエキソサイトーシス制御システムの開発 |
30 | 松村隆之 | 東大医科研 分子発癌 |
骨粗鬆症の治療を目指したTRAF6複合体による破骨細胞分化誘導機構のプロテオーム解析 |
31 | 山崎英俊 | 三重大 ゲノム再生 再生統御 |
マウス胚性幹細胞から多分化神経堤細胞の分化誘導と神経幹細胞の性状解析 |
32 | 吉田優 | 神戸大 国際セ 難治疾患解析 |
ヘリコバクターピロリ感染胃癌マウスモデルを用いた宿主因子の解析 |
33 | ヨシダ カロリーナ |
長崎大 細胞生物 |
骨格の形成/代謝におけるGalnt3の機能 |
34 | 和栗聡 | 福島医大 解剖組織 |
哺乳類細胞におけるリソソーム酵素の効果的選別輸送機構 |
35 | 渡部文子 | 東大医科研 神経ネットワーク |
情動記憶の分子基盤 |