医学界新聞

 

【寄稿】

帰ってきたblue-dotters
メーリングリストを用いた医学生・研修医との情報・意見交換

市村 公一(昭和大学医学部精神医学教室)


大学の枠を超え会員2800名 college-medがあった頃

 college-medというメーリングリスト(以下ML)を聞いたことがあるでしょうか。「昔入っていた」という方も少なくないかもしれません。これは私が1999年に「共に医学を学ぶ医学生のML」という名称で開設したものです。当初は100名程度でスタートしたのですが,翌年この紙面で紹介させていただき,大学の枠を超えてネット上でケース・スタディなどを通じたディスカッションをするという内容が好評でした。医学生・研修医のみならず大学や病院の指導医クラスの先生方まで多数ご参加くださり,後に名称も「より良い医療を目指す医学生と医師のML」(通称:college-med)と改めて活発な議論のやりとりをしていました。

 私は卒後研修必修化を翌年に控えた2003年に全国の臨床研修指定病院をまわって研修の実態を調査し,『臨床研修の現在』(医学書院)という本にまとめたのですが,そんな活動に踏み切ったのもこのMLがきっかけでしたし,実際に調査したほとんどの病院にcollege-medの会員がいたことでずいぶん助けられました。

 最終的に2800名もの会員を集めたcollege-medでしたが,私の個人運営という限界もあり昨年閉鎖に至りました。しかし,現在も入会希望が後を絶たず,全国規模の情報・意見交換の場がやはり必要だとの認識のもと,ここに新たに「blue-dotters」を開設することになりました(blue-dottersの由来については黒川清先生のコメントをご参照ください)。

症例検討から分科会での討論,オフラインイベントまで

 今回のMLは,様々なしがらみなく自由に発言・議論できる場を提供することで若い人たちのオピニオンが医学界に刺激を与える,そんな場であることをめざし,MLと症例検討フォーラムを中心に,特定の話題(例えば臨床研修情報やチーフレジデントの意見交換)については逐次分科会を設けて議論を展開していく予定です。

 またcollege-medでは2回で終わってしまったオフラインのイベントも毎年開催し,オフラインでの交流も進めていく予定です。運営も私個人ではなくcollege-med OBを中心とする有志で進め,特定の個人に依拠しない集団自治的なコミュニティを継続的に運営していきます。不特定多数の参加者が集うMLでは時に問題発言の類も生じますが,ルールを明確にしてこうしたメールを排除し,気持ちよく参加できるコミュニティにしたいと思っています。

 きたる12月1日から運用を開始しますので,参加ご希望の方はホームページ(URL=http://www.blue-dotters.jp)から新規登録申請を行ってください。48時間以内に登録されます。多数のご参加をお待ちしています。


市村公一氏
1984年東大美術史学科卒。銀行員などを経て2002年東海大医学部卒。同大学病院研修医,東大先端科学技術研究センター特任講師などを経て,2005年より現職。著書に『臨床研修の現在』(医学書院),訳書に『Clinical Problem-Solving collectionII』(南江堂)がある。