医学界新聞

 

研修会「古武術に学ぶ介護術」を企画して

佐藤 さゆり(鶴岡市立荘内看護専門学校)


 さる7月15日,当校の臨地実習指導者研修会に岡田慎一郎先生をお招きし,「古武術に学ぶ介護術――筋力に頼らない身体運用を介護技術に活かす」をテーマに講習を行っていただきました。

 看護臨地実習指導者・学生・教員が参加し,時に驚きの声を発しながら,会場狭しと体験を通しながら楽しく,和やかな雰囲気で興味深く学ぶことができました。参加した全員から「参加してよかった」「今後に活かせそう」という感想が聞かれ,企画側として,大きな満足感と充実感を得ています。

 岡田先生には遠路はるばる鶴岡の地までお越しいただきましたが,大雨災害により羽越本線不通の事態発生で前日は大慌てしました。本当に研修会は開催できるのか……と落着かぬ心境で先生をお待ちし,お会いできたときは本当に安堵,無事予定通りに開催することができました。

「目から鱗」の研修会

 研修会は90分と限られておりましたが,講習内容はとても濃く,あっという間の時間でした。1つひとつのお話と動作に頷きながらも感心し,体験した参加者から「お~」と喚声が上がる場面も多く,非常に盛り上がりました。岡田先生と参加者が一体となり,力のかけ方や効率的な動きなど,さまざまな身体操作を教えていただき,あらためて“筋力に頼らない動き”を考えさせられた研修会でした。

 いかに今まで小手先だけ,力任せに動かそうとしていたのか,自分の身体に負担をかける移動動作を行っていたのか……と,これまでの看護技術を振り返ることができたと思います。岡田先生が,自分よりも体重がある参加者をスーッと持ち上げる姿は,魔術か手品かと一瞬目を疑う感じさえしました。まさに「目から鱗が落ちる」研修会となりました。個人的には特に,肩甲骨を広げる,ナンバ歩きの実演が印象に残っています。

 岡田先生の軽快な動きと参加者を引き込む雰囲気づくりから,岡田先生の人間的な魅力を感じました。全員参加型でそれぞれが得るものを感じた研修会は,大成功で終えることができたと確信しております。岡田先生には本当に感謝の気持ちでいっぱいです。これからも自己研鑽を重ね,安全で安楽な看護技術にぜひ活用していきたいと思います。