医学界新聞

 

看護基礎教育の改革に向け

日本看護協会がプレス懇談会を開催


 日看協による2006年度第1回プレス懇談会が,6月12日,同協会にて開かれた。久常節子氏による会長挨拶では,看護基礎教育の改革と,次年度に迫ったICN学術集会の準備を,今年度の重点課題として挙げた。新任役員の紹介に続いて,(1)看護師の基礎教育制度の改正,(2)診療報酬改定後の看護人員配置,(3)「お産」における助産師の活用の推進,の3点が報告された。本紙では(1)(2)の概要を紹介する。なおプレス懇談会資料は,日看協HPで入手できる。

(1)看護師の基礎教育制度の改正

 5月の同会通常総会で承認された,「看護師の基礎教育制度の改正に向けた活動方針(案)」の報告。基礎教育の年限を延長し,4年以上とすることが柱。なお,これは看護師養成3年課程(大学,短大,養成所)に関する方針であり,保健師養成課程・助産師養成課程・看護師養成2年課程等は,この方針との整合性も考慮してさらに検討を続ける。卒後研修の制度化促進に関しても,引き続き活動を継続する。なお,看護師の養成数は1学年定員5万2471人(2005年4月現在)であり,3年課程で3万5129人(67%)を占めている。

 近年,医師と歯科医師で臨床研修が義務化され,薬剤師と歯科衛生士で基礎教育年限が延長されたが,看護基礎教育の教育年限は60年近く変化がない。新卒看護職員の離職の背景として,基礎教育と看護現場で求められる能力のギャップが指摘されており,現状に見合った教育年限の必要性が強調された。

(2)診療報酬改定後の看護人員配置

 今年度診療報酬改定において,入院基本料の新たな区分「7対1」(患者7人に看護師1人の配置)が新設された。これを踏まえ,300床以上の一般病床を有する病院に対して,「7対1」算定状況を調査。まだ集計段階のため中間報告となったが,およそ1割の病院が「7対1」を算定した(回収率は7割程度)。なお,一部で看護師の引き抜きなどトラブルが発生し問題となったが,「看護職員対策の基本は,働き続けられる職場づくり」と久常氏は強調。子育て支援,キャリア開発など,ライフステージに応じた細やかな対策が必要であると分析した。同調査の最終報告は,近日中にも発表される見込みだ。