医学界新聞

 

臨床研修修了後の進路は?

厚労省が初の全国調査。大学病院勤務48.6%,
市中病院38.2%。診療科別では小児科が人気。


 厚労省は5月23日,2005年度「臨床研修に関する調査」の中間報告を発表した(本紙6面に関連記事「臨床研修医在籍状況」を掲載)。同調査は,新医師臨床研修制度の効果等を検証・分析するため,臨床研修病院・大学病院849施設,および研修医1万4870人に対して今年3月に実施された。

 今回の中間報告では,「研修2年次生の進路」に関して取りまとめたもの。2年間の臨床研修後の進路,いわゆる「後期研修」に関しては,各学会や全国医学部長病院長会議によって入局者数の調査などが行われてきた。ただ,入局者数が減るなかで全体の把握が難しく,厚労省の初めての全国調査として注目された。

 中間報告の時点では2年次研修医2500人(34.0%)から回収した。研修修了後の進路に関して尋ねたところ,大学病院で勤務・研修を行う者48.6%に対して,市中病院で勤務・研修を行う者は38.2%。中でも,臨床研修病院で研修を行った者の進路をみると,28.9%が大学病院で,57.7%が市中病院で勤務・研修を行うと答えた。

 後期研修先を選択した理由に関しては,「専門医取得につながる」「優れた指導医がいる」や「出身地である」「実家に近い」などが上位を占め,「給料・処遇がよい」「医学博士号が取れる」「大都市である」などの回答は比較的少なかった。「給料のよい都市部に研修医が集中する」との懸念もあったが,今回の調査では,専門医取得やプログラムの充実など,他の要因が研修先選びのポイントとなっていることが明らかとなった。

 また,専門としたい診療科では,小児科が182人(8.4%)で,内科,外科に続いて3番目の人気となった。臨床研修制度開始前の調査「20代医療施設従事医師診療科別割合」(2002年)と比較すると,小児科・麻酔科は志望者が増え,産婦人科は微増となった。医師不足のなかで光明といえるが,産婦人科志望者の71.8%が女性となるなど,女性医師の増加への対応も課題となりそうだ。なお,臨床研修の前後で進みたい診療科を変えた者は35.8%,変えた理由として「研修して興味がわいた」という回答が71.4%あった。

 中間報告の詳細は,厚労省「新たな医師臨床研修制度のホームページ」で閲覧できる。調査票は現在も回収中で,「研修の満足度」や「知識,技術等の修得状況」なども加えた最終報告が今夏にもまとまる予定だ。