医学界新聞

 

「患者中心の医療」に向けて

第28回日本POS医療学会開催


 さる3月18-19日,第28回日本POS医療学会が福井次矢大会長(聖路加国際病院)のもと六本木アカデミーヒルズ(東京都港区)にて開催された。開会の挨拶で福井大会長は,「POS=Problem Oriented Systemが患者中心のPatient Oriented Systemとなるためにも,医療従事者は変革が求められている」と述べ,大会テーマである「医療変革時代のPOS」を考える機会にしたいと語った。

 特別講演では李啓充氏(医師・作家)が,現在の医療制度改革について欧・米内科学会が起草した「新ミレニアムにおける医療憲章」をもとに,医療の質と患者の権利について論じたほか,日野原重明氏(聖路加国際病院名誉院長)の会頭講演「患者中心のPOS」,シンポジウム「電子カルテ時代における記録のアウトカム評価」などが行われた。

 また水流聡子氏(東大)の教育講演では,PCAPS(Patient Condition Adaptive Path System:患者状態適応型パス)を紹介。PCAPSは「診療プロセス質保証システムの確立」を目的に,プロセス管理・標準化に焦点をあて開発。患者の状態を基軸に置いているため,患者への説明時に使用でき,起こりうる危険性などフローチャートを用いて視覚的に捉えることができるのが特徴。そしてデータを積み重ねることにより,入院日数や患者の状態変化,治療の傾向が把握可能となり,効率的な医療の提供に向けた取り組みにも応用可能なシステムが組まれている。