医学界新聞

 

投稿

Sigma Theta Tau International
日本支部設立に寄せて

東 玲子(Tau Nu Chapter会長,山口大学医学部保健学科教授)


世界で2番目に大きな看護組織

 このたび,2005年11月に行われたSigma Theta Tau International(以下,STTI)米国本部の会議で,山口大学医学部保健学科が日本で最初の支部として認可され,筆者が会長に任命されました。STTIは,1922年に米国インディアナ大学で創設され,インディアナポリスに本部を置く世界の看護界で2番目に大きい組織です。

 STTIは,看護の科学的基礎を高め世界中の人々の健康を促進することなどを使命とし,臨床・教育・研究においてリーダーシップが発揮できる看護の人材の育成を行っています。その理念に基づき,『Journal of Nursing Scholarship』や『Worldviews on Evidence-Based Nursing』の学術誌の刊行,看護理論家ヴァージニア・ヘンダーソン氏が調印した電子図書館「Virginia Henderson International Nursing Library」を通して看護学の知識の普及に努めています。また,研究や教育に年間65万米ドル以上の助成を行うとともに,個々の看護師のキャリア・デザインを計画し発展させるために,学会や討論会などのプログラムやオンライン・サービスを提供しています。

支部設立記念式典を開催

 今回の日本支部設立を記念して,さる2006年3月8日,山口大において,米国STTI本部からCarol Picard会長とNancy C. Sharts-Hopko会計役員が来学し支部設立記念式典が開催され,併せて2つの講演が行われました。Picard博士は,「Collaboration: A Strategy for Nursing Practice, Education and Research」と題して,看護の科学・実践・教育を高めるためには,ヘルスケアチームに限らず,患者さんやそのご家族とも協働することを強調されました。患者さんの心理をポエムとして長年されているバレエを通して表現され,とても感銘を受けました。また,Sharts-Hopko博士は,「Global Healthcare Trends: Nursing Priorities」と題して,日本,バングラデシュなどで働かれた経験を通して世界の健康や保健の実情を説明されました。健康の促進や疾病予防,健康に対するケアや患者に対する安全の質など,看護師が知識を蓄積しながら地球規模で共通理解を持ち,それぞれの地域・文化的背景の下に実践していくこととのバランスが必要であることを講演されました。

STTIの現在

 現在,STTIは,米国,オーストラリア,ブラジル,カナダ,香港,韓国,メキシコをはじめ,世界中の国々から515校の看護系大学に430を越える支部を持っています。世界で36万人の看護師が入会し活動しています。

 STTI支部への会員としての入会は,書類提出後に審査が必要で,会員資格は以下の通りです。

・看護師としての国家資格を持っている
・学士号を取得していること,もしくは看護の分野においてそれと同等の業績を持っている
・看護の分野においてナース・リーダーとして活躍している

 STTI山口大学支部である「Tau Nu Chapter」は,現在2005年度の卒業生18人を加えた109人の会員で構成されています。山口大支部およびSTTIの活動についての詳細は,下記までお問い合わせください。

Sigma Theta Tau International
 Tau Nu Chapter
 〒755-8505 山口県宇部市南小串1-1-1 山口大学医学部保健学科内
 E-mail:sigmajpn@yamaguchi-u.ac.jp
Sigma Theta Tau International
 URL=http://www.nursingsociety.org