医学界新聞

 

視点

CNS・CENの活動支援を

柴田 清(東京都看護協会(認定看護師教育課程))


 8月19-20日,神戸で日本看護管理学会が開催され,インフォメーション・エクスチェンジ「CNS・CEN活動支援」では「看護管理者がCNS・CENをどのように支援するか」という発表と意見交換が行われた。筆者は以前から専門的な知識・技能を持つ専門看護師(CNS)・認定看護師(CEN)が十分に生かされていない場合が多いと感じており,看護管理者の考えを聞きたいと考え出席した。

 CNS・CENが活動するうえで大切なのは(1)組織上の立場,(2)管理者からの支援,そして(3)本人の問題,の3点であると考える立場から,看護管理学会で述べ切れなかった点についても述べてみたい。

 組織上の立場や組織のありようがCNS・CENの活動に及ぼす影響は大きい。従来のピラミッド型の組織の中では,CNS・CENの専門分野について指示は誰がするのか,難しい立場になる。無理やり組織ラインの中に入れた場合,上司は臨床経験が長くとも,専門分野での学びを深めた人たちの活動を理解できないこともあり,すべて上司の許可を得る状況では,CNS・CENの専門性の発揮を阻んでしまう場合も起こりうる。

 筆者自身が日本で初めて専任感染管理看護師として働いた施設では逆ピラミッドの組織概念図が管理者より示され,専門分野の看護師はすべての職員のリソースとなり支援する立場とされていた。管理上必要なことは管理者に報告するが,臨床での活動はその場の職員と自由に話し合って決めて活動することが認められ,専門分野の看護師はポジションにかかわりなく,のびのびと活動が行えていた。

 次に管理者の支援である。CNS・CENが看護ケアの質向上のための活動を続けるには,組織の中で“場”を与えることが重要である。管理者の立場でその工夫をすることが,CNS・CENへの支援になるのではないだろうか。

 本人の問題としては,場を与えられたCNS・CENは自らの活動に責任を持つのがは当然のことである。責任を持ってよいケアを提供することで働き甲斐を持てるならば,決して経済的に手当てを与えられることを望んではいないと考えるのは筆者だけではないと信じる。自分で計画し,活動し,自ら評価をすることが専門家であるCNS・CENとして求められるのは当然なことであるが,従来の,指示されたことを実施するだけの看護では責任を果たすことが難しいのではないかと考える。

 今回,感染管理認定看護師の教育に携わり,修了生を通して知ったCNS・CENへの看護管理者の一部の遇し方は,看護師数の不足を考慮しても,筆者の持つ経験とはかけ離れている。優秀なCNS・CENを患者のケアに生かしてほしいと考える思いを率直に述べさせていただいた。


略歴/国立久里浜病院付属看護学院卒。セイルカ・ルーズベルト病院(ニューヨーク)での感染管理研修などを経て,1994年より聖路加国際病院感染管理ナースマネジャー。2002年同病院退職。現在,東京都看護協会認定看護師教育課程「感染管理」主任教員。