医学界新聞

 

「2006医学系共用試験」始まる


 さる10月1日,東京医科歯科大学医学部にて,(社)医療系大学間共用試験実施評価機構(以下,共用試験実施機構)による第4回共用試験医学系OSCE評価者認定講習会が行われた。

 臨床実習前の医学部学生を対象に,今年から正式実施される「2006医学系共用試験」は,CBT(Computer Based Testing)とOSCE(Objective Structured Clinical Examination:客観的臨床能力試験)の2種類からなる。OSCEでは,各大学の教員が他大学の試験に外部評価者として参加することが予定されており,本講習会はこの外部評価者の資格を認定するためのものである。

外部評価者制度の実施方法と 注意点を解説

 全体講習では,まず「OSCEの意義と正式実施の概要」と題して北村聖氏(東大医学教育国際協力研究センター)による説明がなされた。OSCEでは,参加大学を約10校ずつ計8グループに分け,そのグループ内で外部評価者を派遣し合うことになっており,1校につき原則6名の外部評価者の参加が義務付けられる。

 また,試験結果を進級判定にどのように利用するかについては統一した基準は設けず,各大学の判断に委ねられるとのことだった。追試・再試についても各大学で対応することになる。

 そのほか,正式実施における学習・評価項目,および課題等の取り扱いと評価方法,外部評価者制度の実施方法に加え,外部評価者として派遣された際の注意点などが,担当の講師から説明され,初めての正式実施を前に活発な議論が交わされた。

学内評価に共通認識を

 OSCEの正式実施は,医療面接,頭頸部,胸部,腹部,神経,外科・救急(選択)の6ステーションで行われる。全体講習の後は各ステーションに分かれての講習が行われた。ここでは評価項目や課題に関する具体的な説明と討議がなされた。外科ステーションでは寺嶋吉保氏(徳島大統合医療教育開発センター)が,昨年度までのトライアルで判明した問題点やその修正案,注意点などを実技の映像が収録されたDVDを上映しながら説明した。このDVDは共用試験実施機構が作製し各大学に配布するもので,さまざまな解答例の動画が収められており,評価者はこれを見ながら評価を練習することができる。当日の講習では,上映された解答例に対して会場からさまざまな問題点が指摘され,各大学が学内で評価に関する共通認識を持つ必要性が強く指摘された。

 また,手洗いの課題について,蛍光クリームを塗ってから手を洗い,蛍光塗料を光らせる機械に手をかざして洗い残しをチェックする「手洗いチェッカー」の活用が提案された。手洗いについては目視での評価が困難であること,臨床現場に入る学生に感染管理の意識を培う必要があることなどから高い関心があり,講習終了後には会場に用意された手洗いチェッカーを試す参加者の姿も見られた。

 「2006医学系共用試験」は,臨床実習前の学生を対象に,前期(2005年12月1日-2006年3月31日),後期(2006年6月1日-9月30日)に行われ,共用試験実施機構のアンケート結果によると,約70校の大学が前期に実施する予定である。