医学界新聞

 

《シリーズ》
腫瘍内科
-がんをトータルに診る時代

【最終回】
〈 対談 〉

日本のがん医療の方向性を問う

勝俣範之
国立がんセンター中央病院
第二通院治療センター医長
本シリーズ監修
上野直人
テキサス大学
M.D.アンダーソンがんセンター
准教授


2645号よりつづく

 本シリーズでは,がん医療における腫瘍内科の役割を紹介するとともに,その教育および普及への課題について取り上げてきました。

 最終回の今回は,監修の勝俣範之氏と米国腫瘍内科医の上野直人氏に,日本のがん医療の現状を見直し,米国の実情にも触れながら,今後の方向性についてお話しいただきました。


スクリーニングもする 米国の内科医

勝俣 上野先生がメディカル・オンコロジーのフェローをめざそうと思ったきっかけはなんでしょうか。

上野 ピッツバーグ大学で内科研修をしている時にオンコロジーのローテーションを経験して,一般内科の特性を活かしながら,トータルに患者さんをケアできることに非常に魅力を感じました。がんはどこにでも起こるので,1つの臓器に特化しないところも魅力的だったのかもしれません。

勝俣 内科の研修にオンコロジーのローテーションもあったのですか。

上野 正確には別個でした。私たちの病院はレジデンシーの2-3年目にサブスペシャリティのローテーションを組めるようになっています。そこでオンコロジーを選択して初めて,がんについて勉強できます。とはいえ,がんの専門教育というよりは,一般内科医として最低限知っていなければいけないがんの常識ですね。患者さんが来た場合のスクリーニングは何を最低限しなければいけないのか,ということなどです。

勝俣 一般内科でオンコロジーを診るのは大切なことですよね。

 日本では内科が診るがんの患者さんはターミナルばかりです。化学療法は外科や他の臓器別の医師がやっていて,内科医が診ることはほとんどありません。

上野 それは日本のがん診療をどう定義するかだと思いますよ。例えば乳腺専門医が乳がんのスクリーニングをすることは,システムとしてはよいのかもしれません。しかし,公衆衛生の観点からすれば,近所の一般内科医の先生が最初に乳腺のしこりを見つける方がメリットがあると思います。

 私が受けた内科の研修は,直腸診や乳房触診も行いました。こうしたスクリーニングは,外科や産婦人科の医師だけでなく,内科医がやってもいいのです。米国ではスクリーニングはすべて一般内科が行い,その上に腫瘍内科が存在しています。

 日本の場合,患者さんは直腸診なら外科,乳房触診なら乳腺専門医と,それぞれの専門医を探しに行かなければいけませんよね。こうしたことをこの先も続けるのであれば,最低限,患者さんにわかりやすく「しこりがあれば,ここに行くんですよ」という情報提供のシステムを,病院や国が責任を持って作るべきです。

 米国のように内科医が第一線ですべての患者さんをトリアージするか,あるいは既存のシステムを維持しつつ,患者さんにわかりやすく情報提供するか。そこをきちんとしない限り,患者中心のがん医療とは言えません。

勝俣 米国ではオンコロジーも,プライマリ・ケアの中に入るというわけですね。

 ただ日本では,例えば乳がんの見落としが多くて社会問題になったりしたので,しこりがあったら最初から乳腺の専門医に行くべきだという話になっているのです。

上野 日本の専門医の先生方は優秀だと思いますよ。外科手術もして,病理も化学療法も行います。私は腫瘍内科医として乳がんが専門で,化学療法や全身療法は正確に理解していますが,例えばセンチネル療法のテクニックについて,よくわかっていない部分があります。

 でも,患者さんの立場からすると,はたして優秀な専門医の先生に必ず出会えるのかと。東京など大都市に一極化するのではないでしょうか。

勝俣 そうです。実際,乳がん専門医という先生のところは患者があふれていて,1日100人診ている先生もいます。有名な先生ほど,患者さんとほとんど会話ができないぐらい忙しくなってしまっている。これでは満足な治療ができません。日本のがん医療の問題だと思います。

■米国チーム医療の原点とは

上野 よく日米の医療の違いがマスコミで騒がれていますが,日本に講演に来るようになって個人的に日本の先生方とお話しすると,むしろまったくレベルの差を感じないことのほうが多いです。

 ただ,知識や技術,器械や薬剤もあるけれど,ではどうやって患者さんのためによい医療をするかというコンセンサスを医療者間で作るのは,苦手な部分なのだと感じました。日本の先生はよく“阿吽の呼吸”みたいなことをおっしゃいます。でも,蓋を開けてみると,それは単なる思い込みで,実際はわかったつもりになっているだけかもしれません。

 では米国はチーム医療について積極的に教育しているのかというと,そんなことはありません。教育やカルチャーといったバックグラウンドが違うので,もともと「話し合わなければ合意は得られない」という感覚があるのです。

勝俣 非常に面白いですね。阿吽の呼吸とおっしゃいましたが,そもそも日本人はあまりディスカッションをしないのです。同じ患者さんを内科,外科,泌尿器科の先生が診ることがあっても,互いにディスカッションして1人の患者のケアを考えていこうというのは,医学の文化としてあまりなかったですね。

上野 そうですね。私も学生時代,日本で受けた教育では「この症状の鑑別診断はこれで,治療はこれ」というように,一方的に教えられた知識を皆が共有することで,阿吽の呼吸が形成されているところがありました。

 米国では,患者さんについてディスカッションする時,「僕が知っている限りではこうだけれど,ちょっと自信がないので…」と,自分の強く思っている部分と,自信のない弱い部分を織り交ぜながら,すべて率直に言ってしまうのです。

 日本の先生は,はっきりしているところはズバリと言ってくれるけれど,自信のないところは,引っ込めて見せないところがあります。でも,その弱い部分は,実は上手にコンセンサスを得れば,患者にとってよい結果を生む場合があるのです。

勝俣 日本でも,少しずつ変わりつつあると思いますよ。でも,まずは専門家同士が十分にディスカッションしなければ,よい医療ができるはずないですよね。

上野 そうです。よく誤解されるのは,M.D.アンダーソンや米国のチーム医療はみな,会議室に集まって話をしているのかと思われることです。確かにそういう場合もありますが,いちばん大切なのは,たとえ初期のがんで明らかに外科が手術すればよい場合でも,そこに全員の意見形成と納得があるかということです。そういったコミュニケーションのよさというのが,たぶんチーム医療の原点ではないかと考えています。

当たり前のことを吟味する

勝俣 つまり,グループ内でのコンセンサスを得ていることが重要なのですね。

上野 そうです。すごく小さいグループ単位でも,まずコンセンサスを得る努力をすることです。そして,それが医局になり,病院になり,最後には学会レベルのコンセンサスになります。

勝俣 学会レベルでのコンセンサスといえば,日本でもやっとEBMに基づいた標準治療やガイドラインが出てきています。米国はずいぶん前から,ガイドラインやマニュアルが,とてもたくさんありますね。

上野 そういうのを作るのが好きですから(笑)。

 でも,作ったものをもう一度,吟味しなければいけません。当然のことを再度,吟味するのです。これは若手の医師や新人の看護師,薬剤師さんたちにとって,とてもよい教育なのです。

 「これがうちの病院のパスだから勉強しろ」と,できたものを鵜呑みにさせるのはよくない。経験ある先生が目の前でパズルのように,上手にエビデンスを組み立ててみせることが,新しいエビデンスを作った時にさらにもう1回,そのパズルを組み立て直してみようという思考回路を若い人たちに与えるのです。

■「Tumor Board」で各科の連携を

勝俣 チーム医療に関して,私が考えているのが「Tumor Board」(腫瘍症例検討会)です。これはほぼ全米の,どこの病院でもやっているんですよね。

上野 いろいろな形がありますね。全員で患者さんを診に行ってからディスカッションして意見をまとめたり,すでに患者さんが受けた治療について,カルテを全部出してきて再吟味するという形もあります。まったく患者さんを入れないで,とにかく症例だけダーッと出していって,ディスカッションすることもあります。

 ただ,私たちのところではTumor Boardにコメディカルを含めているのですが,たいていは医師が中心になって話し合いが行われているというのが実情だと思います。

勝俣 まだ日本では,コメディカルはもちろん,各専門医の間でも話し合いが行われていないのが現状です。

 ですから,まず病院のシステムとして,とりあえずTumor Boardのようなものを作ることができないかと思っています。とにかく今は,1人の患者さんについて放射線科医や外科医,内科医が互いにディスカッションする場がほとんどないのです。

上野 内科,外科の間だけでなく,それぞれの科の中でも,意見が分かれる可能性はあります。したがってTumor Boardをやったうえで,さらに医局内で自分たちのコンセンサスはどこにあるのか,議論できる雰囲気がないといけません。

 米国にもデパートメントといって医局があり,トップの教授はもちろん全体を引っ張ってはいるのですが,教授の一言で医局員がみな黙り込んでしまうかといったら,そういう雰囲気はまったくありません。せっかくTumor Boardがあっても,これでは台無しですから(笑)。

勝俣 そういうふうにフランクにディスカッションできる雰囲気作りがチーム医療では大事だと思います。チーム医療と言いつつ,誰か偉い人が真ん中に座っていて,その人がこうだと言えばパッと決まるような雰囲気は,実際に日本にはまだまだ残っていますから。そのへんから変えていかないといけませんね。

上野 Tumor Boardには幅広い定義づけがありますから,それぞれの病院のニーズに応じて,フレキシブルに変えていけばいいんじゃないですか。とにかく,もっとディスカッションできる雰囲気を作ることが大事です。

米国の問題に学ぶ

勝俣 米国のメディカル・オンコロジストの先生によくお会いするのですが,「あなた方は始まったばかりだ」とよく言われます。米国でも,30年前は外科医が化学療法をしていて,それがメディカル・オンコロジストの増加に伴って変わっていったのだと。

上野 当時の米国は楽だったと思います。70年代の抗がん剤の種類など限られていますからね。でも,先へいっているようで,米国は米国で問題を抱えているのです。

 まず,サージカルオンコロジー・フェローシップはあっても,外科の腫瘍専門医制度がない。外科腫瘍専門医を作ってしまうと,外科の先生から患者さんを奪ってしまうという恐れがあって,専門医制度を確立できなかったのです。

 もう1つは,産婦人科領域のがんに関して,基本的に腫瘍内科医との明瞭な区別ができていない。つまり産婦人科の先生は化学療法もするし,手術もするという,日本的パターンなのです。

勝俣 そのせいか,米国のガイネコロジカル・オンコロジーは,少し遅れていますよね。5割ぐらいしかガイドラインにのっとった治療をしていなかったというデータが報告されています(JCO 21:3488-94, 2003)。

上野 米国もすべてが完璧ではないということです。それだけに,日本でも真剣に話し合われなければいけません。手術も化学療法も両方するのは難しいということがきちんと認識されれば,どちらかを選ばざるを得なくなると思うのです。

■“がん難民”と“最良の医療”

勝俣 現在日本では,年間50万人もの人たちががんになっている一方で,がん医療に対する医療不信が問題になっています。実際にがん患者さんの声を聞いてみると,新薬承認の遅さや,がんの専門医が少ないことなどを訴えられています。

上野 いちばん大切なのは,患者さんが自分の受けている治療に満足しているかということだと思います。十分な説明や適切なタイミングでの専門医への紹介がなされていれば,がんの専門医による診療でなくても,患者さんは納得されるのではないでしょうか。

勝俣 病院間の紹介システムや連係システムは,日本ではまだうまくいっていません。

 今,「がん難民」という言葉があります。彼らの多くは再発した患者さんで,「うちでは治療ができない」と言われたりして,あちこち病院を探しているのです。3万人ぐらいいると聞いています。

上野 米国にもそういう人たちはいます。あまりにも医療不信になってしまって,自分でエビデンスをかき集めてM.D.アンダーソン,メモリアルスローンケタリング,ジョンズ・ホプキンスなどを回って,それでも納得することができないでいるのです。

 私は,「医療の真実」というものは常に医療者側にあると思っています。どういうことかと言うと,本当に高い知識レベルを要するエビデンスに関しては,患者さんが自分自身で判断するのは難しい。だから,患者さんは自分の社会的状況や希望を伝える。医療者側は,医療の真実を伝える。そのうえで,どこかで妥協しなければいけないのです。

勝俣 日本の患者さんはまだ,そこまでのレベルではなくて,きちんとした専門医の意見を聞きたいという人たちがほとんどだと思います。もちろん,最新・最良の医療を受けられる病院を一生懸命に探している方も多いのですが。

上野 最良の医療=最先端医療というイメージがありますが,やみくもに最先端医療を求めるよりも,世界的にエビデンスのある,きちんとしたスタンダードの医療を提供してくれる病院がベストだと思いますよ。

勝俣 そういう視点が患者さん側に欠けているのではないかと思います。

 米国の『ベストホスピタル』ってありますよね。あれを読んでいてとてもよいと思うのは,標準治療がしっかりできている,しかもティーチングホスピタルが選ばれていることです。あの評価はすばらしいと思います。日本にもあのように客観的で,信頼できる情報源があるとよいのですが。患者さんも医療者も,信頼できる情報をどこで得ればよいのかわからないでいますから。

■腫瘍内科のビジョンを示す

勝俣 日本の腫瘍内科の方向性についてですが,先生もご存じのように,血液がんについては血液内科がありますが,固形がんの化学療法については,その多くを外科医が行っています。これからジェネラルなメディカル・オンコロジストが育っていく一方で,外科医を中心とした化学療法を行う医師がいるわけです。

 現在,内科が行う化学療法でも,肺がんの化学療法はほとんど呼吸器内科医と,呼吸器外科医が行っています。消化器がんに関しては9割以上が外科医で,残る1割が消化器内科医です。

 われわれの病院は,内科のローテーションでほぼすべてのがん種を診られるようにしていますが,他の病院にはほとんどそういったシステムはありません。こうした中で,腫瘍内科医が日本の中のがん診療の中心になっていくかどうか。これについてはいかがですか?

上野 米国がメディカル・オンコロジストを確立できたのは,手術をする外科の先生が,基本的にシステミックセラピーには触らないという前提があるからです。

 まずその前提と,メディカル・オンコロジーとしてのデパートメントがきちんと存在すること。そして最大のポイントは,メディカル・オンコロジストが開業する時のファイナンシャル・インセンティブがきちんと存在する,つまり,すべてのがん種を診られることが,開業医にとってプラスとなる環境があるかということです。

 腫瘍内科医をめざして勉強するのはよいことです。でも,腫瘍内科医の日本における,ポリティカル,あるいはファイナンシャルのビジョンがきちんと定まっていないと,せっかく腫瘍内科医になっても,結局はどこかの病院で,あるがん種に特化しながらやっていかなければならないでしょうね。

勝俣 日本の場合,腫瘍内科医の導入は,セクショナリズムの強い大学病院よりも,むしろ一般病院のほうが早いのではないかと思います。

上野 そうでしょうね。例えばがん専門のセンターなどがない地方の病院で,ある先生ががん患者さんをすべて引き受けなければいけないという,そういった環境であればニーズが高いと思います。

腫瘍内科医である前に まずはよき内科医であること

上野 私は以前,患者さんが「日本の大学医学部で,がん教育を学生のうちにきちんとするべきだ」と言われるのを聞きました。それ自体はよいのですが,さらには「化学療法の勉強をするべきだ」という意見もあるそうです。これは大きな間違いだと思います。そんなことをしたら,プライマリ・ケアがますます崩れてしまう。

 もっとスクリーニングや鑑別診断をきちんと教えて,トータルに人間をどう診るかを学んでもらう。そのうえで,専門に特化した人たちがいるべきです。プライマリ・ケアがあっての専門家です。

勝俣 その通りです。私も先生の意見に大賛成です。やはり,メディカル・オンコロジーの母体は内科だと思うのです。内科の知識とトレーニングを十分に受けていないと,実際には化学療法はできないのではないかと思います。

 日本はこれまで,ジェネラルな医師を育てていない土壌で,サブスペシャリティの中のサブスペシャリティばかり作ってきました。そしてがん診療においても,乳がんだけの専門医,肺がんだけの専門医がいるわけです。これについてはどう思われますか。

上野 今のシステムにおいては,たぶん必要でしょう。ですが,これが患者さんにとって理想的なシステムかというと,微妙なところです。すでに存在する乳がん専門医と,今後できるがん治療の専門医との兼ね合いをどうするのか,そこも決めなくてはいけないですね。

 もし欧米型のシステムを取るなら,まずジェネラリストであるメディカル・オンコロジストになって,そのうえで乳がんや肺がんに特化する形にする必要があります。欧米型でいかないのであれば,どうするのかビジョンを示さなければいけません。このまま放っておけば,10年後,20年後に患者さんは混乱します。

 例えば,乳がんになった患者さんがいる。ある先生はメディカル・オンコロジストを標榜し,ある先生は乳がん専門医と標榜している。どちらがよいのだろうかと迷った時に,はっきり医療側が「こっちです」と言えるかということです。しかし,どちらがよいというようなことは避けたいですよね。そのためにも,ビジョンを示すことが大切なのです。

勝俣 そうですね。今,圧倒的に少ないのが消化器と乳がんの化学療法ができる腫瘍内科医ですので,まずはそこからではないかと思っています。肺がんを診る呼吸器内科医はけっこういますから。

 ただ,肺がんを専門とする呼吸器内科医のところに,肺に転移したがん患者さんが回ってくることがあります。肺転移がんは,原発臓器がんに対する化学療法を知らないと治療ができないわけですが,肺転移するがんがすべて予後不良なわけではなくて,中には,胚細胞性腫瘍の肺転移や縦隔原発胚細胞性腫瘍など,標準的な化学療法をきちんと行うことで治癒できるものもあります。しかし残念ながら,こうした胚細胞性腫瘍の化学療法がしっかりと行われることは多くはない,というのが現状です。

 呼吸器内科医には,原発の肺がんは診れても,オンコロジーのジェネラルな知識がないので,転移してきたものは診られないのです。これは非常に危ない状況ではないかと私は思っているのです。

人を生かせるシステムが課題

上野 でも,少し変わったら日本はとてもよい医療ができると思いますよ。米国に比べて日本の医師とコメディカルは,すごく真面目なんです。

勝俣 日本人はシステム作りが下手ですからね。でも,おっしゃるように個々の人たちは真面目で優秀ですから,システムさえきちんとよいものを作っておけば,あとはうまくいくかなと思います。

上野 日本は大学院があるでしょう。あれもよいと思うのです。基礎や他のものに対する興味を持っているので,医師として臨床以外の厚みがけっこうあるんですよね。米国は臨床中心に動いているので,臨床以外のことに関して弱いんです。研究をする土台に関しても,日本のほうがしっかりしているところがあると思います。でも,それを活かしきれていないという印象があります。

 システムをうまく作ることができれば,たぶん10年後,15年後に,世界的にも日本はがん医療をリードする立場になっていけると思います。

勝俣 日米両方の医療を経験されている上野先生には,米国医療から見た日本の医療のよい点,また改善点をぜひいろいろな方面にお話ししていただければと思います。本日はありがとうございました。


勝俣範之氏
1988年富山医薬大卒。大隅鹿屋病院および茅ヶ崎徳州会病院での研修を経て,92年国立がんセンター中央病院内科レジデント。その後,同センター専門修練医,第一領域外来部乳腺科を経て,2003年同薬物療法部薬物療法室医長。04年より第二通院治療センター医長。

上野直人氏
1989年和歌山医大卒。横須賀米海軍病院,ピッツバーグ大附属病院での研修を経て,米国一般内科専門医を93年に取得。96年テキサス大M.D.アンダーソンがんセンターフェローを修了。同年,米国腫瘍内科専門医を取得。その後,助教授を経て現職。乳がんの造血幹細胞移植プログラム長。