医学界新聞

 

クリティカルケアの専門性構築へ

第1回日本クリティカルケア看護学会学術集会開催


 2004年10月に日本クリティカルケア看護学会(理事長=東医歯大・井上智子氏)が設立され,ICU・CCU,急性期,周手術期,救急などクリティカルケア看護における専門性構築をめざす運びとなった。

 さる7月2日には,同学会の第1回学術集会が,深谷智惠子会長(慈恵医大)のもとタワーホール船堀(東京都江戸川区)において開催された。「進歩する医療の中でこれからのクリティカルケア看護に求められるもの」と題した今回は,住吉蝶子氏(慈恵会総合医学研究センター)による教育講演「クリティカルケア領域における看護師のアドボケイト役割」のほか,患者の権利擁護,人工呼吸管理,心電図,抑制などをテーマにシンポジウム,セミナーが企画され,400人を超える参加者が集まった。


専門看護師育成へ 30年の歴史を検証

 会長講演「私の見てきたクリティカルケア看護――過去から未来への架け橋として」では,深谷氏自身の臨床経験も交えながら,日本におけるクリティカルケア看護の歴史が語られた。日本初のICU誕生は1964年,順大付属病院に設置。重症患者の観察と対応は24時間患者のベッドサイドにいる看護師に期待されるため,ICU開設当初から看護師教育の必要性が指摘されたが,「その頃は患者をみることよりも,医師による機械の扱いに関する教育が多かった」と分析した。

 70年代に入ると専門看護師育成の気運が高まり,日本看護協会や神奈川県立看護教育大学校でICU・CCU教育が始まった。氏はその頃からCCU開設に関わり,海外研修(米UCLAメディカルセンター)にも参加。日本と比較し「自分の判断で仕事を行う姿に,大きなカルチャーショックを受けた」と,日本の遅れを実感した当時を振り返った。

 やがて97年に救急看護の,99年には重症集中ケアの認定看護師が誕生。2004年にクリティカルケア看護学会とクリティカルケア専門看護師が誕生するに至るが,専門看護教育の始まりから実に30年近く経過したことになる。「この学会がクリティカルケア看護を志す看護師の自己研鑽の場となってほしい」と,クリティカルケア看護の確立に期待の言葉を述べて,講演を閉じた。