医学界新聞

 

対談

ゲノム研究の新たなる挑戦<前編>
シドニー・ブレンナー博士と語る
Sydney Brenner氏
(2002年 ノーベル医学・生理学賞受賞者)
清水 信義氏
(慶應義塾大学医学部教授・分子生物学)


 シドニー・ブレンナー(Sydney Brenner)先生は,2002年に線虫(C.elegans)をモデルとした細胞分化と細胞死のプログラムに関する研究などで,ノーベル医学・生理学賞を受賞されました。1927年に南アフリカでお生まれになり,ヨハネスブルグのWitwatersrand大学で医科学を専攻後,1952年にオックスフォード大学でPhDの学位を取得されました。その後,当時革命的な生物学として台頭していた分子生物学,特にバクテリオファージを用いた分子遺伝学の分野に専念されました。そして,その新興分野のパイオニアとしてメッセンジャーRNAの発見や遺伝暗号がトリプレットであることを発見し,遺伝情報伝達における,いわゆるセントラルドグマの確立など多彩な貢献をされました。

 1956年からは英国MRCケンブリッジのキャベンディシュ研究所に在籍し,1979年から1987年まで所長として,さらに1987年から1992年までMRC分子生物学研究所の創立者,所長として,特にC.elegansの研究を推進して,今日のライフサイエンス研究の基盤の確立にも多大な貢献をされました。

 さらに,フグの極端に小さいゲノムに注目して始められたゲノム解読研究から「ゲノムに潜むジャンク」をいち早く提言されたことは,あまりにも有名であります。すべての生物に深い造詣と格別な愛着を持たれ,常に奇抜な発想で独創的な研究を展開される先生はまさに「知的好奇心の固まりだ」といつも憧れと畏敬の念をもってお付き合いさせていただいています。(清水信義)


■遺伝学によってDNAの暗号を読み解く

清水 まず最初に,これまでの発見について簡単にお話しいただきたいと思います。また,先生は現在も変わらず,科学的発見に多大なエネルギーと知的好奇心をお持ちなので,その若さと積極性,多くのことに挑戦し続ける秘訣についてもお伺いしたいと思います。

ブレンナー 最初からたくさんのご質問ですね(笑)。

 私は自分のことを遺伝学者(geneticist)と呼んでいます。生物が遺伝子の言語によってどのように記述されているのか,また,遺伝子の情報がどのように翻訳され,生物に変わっていくのかということに大変関心があります。特に,遺伝子の指令によって,複雑なヒトの脳がどのように形成されていくのか知りたいと思っています。これはとてつもなく大きな挑戦です。

 私が研究を始めた頃は,もちろんそのような研究テーマは存在していませんでした。

清水 遺伝学を研究しようと最初に決められたのは,いつ頃でしょうか。

ブレンナー 細胞遺伝学を志したのは1940年でしたから,今から60年以上前になります。1946年に最初の論文を書きました。

清水 私が生まれた数年後ですね。ところで,子どもの頃はファーブルのように野山で虫や蝶を追いかけていたのですか。

ブレンナー 蝶を追いかけたことはありませんでしたね。清水先生もご存じのように,私ははるか遠くの小さな国(南アフリカ連邦)で生まれました。

 南アフリカのような国で戦時中に育てば,学問とは無縁なのが普通でしょうが,私は大変幸運なことに奨学金を得ることができました。それで英国に,まだ確立されていない未知の学問をしようと出かけたわけです。

 英国では,ワトソンとクリックに出会いました。そしてDNAこそがすべての答えを担っていると実感し,DNAの研究をすることにしたのです。短期間,南アフリカに戻らなければなりませんでしたが,1956年に再び英国に行くことになり,その後長くケンブリッジの分子生物学研究所に勤めることになりました。

 当時の大きな研究課題は,遺伝暗号とは何か,DNAに含まれている言語・情報とは何なのかということでした。当時,DNAの塩基配列などは知られていませんでしたから,私は遺伝学で証明しようとしました。そして1960年に,メッセンジャーRNAと呼ばれる特殊なRNAが,遺伝情報をタンパク質に伝えているということを明らかにすることができました。もちろん,遺伝暗号についても遺伝学によって徹底的に研究し,遺伝暗号がトリプレット(3文字の組み合わせ)になっていることを証明しました。これは私にとって,最もエレガントな仕事だったと思います。

清水 遺伝学による証明というのは,突然変異や変異体を活用したということですか。

ブレンナー はい,私たちは突然変異のシステムを用いて,遺伝子の欠損や挿入変異を導入し,それによって遺伝暗号が3文字を単位にして突然変異を起こすことを証明したのです。バクテリオファージの増殖を観察するだけで,生物のきわめて奥深い部分が解明できたことは非常な驚きでした。

 ご存じのように分子生物学は急速に発展しました。ワトソンとクリックの発見から10年足らずの間に,ほとんどすべての基礎が解明されたのです。私は遺伝暗号を解明した時点で,同じ遺伝学的アプローチをより複雑な現象の解明のために応用しなければならないと考えました。それで,C. elegansの研究を始めたのです。

C. elegansを用いた新しい研究

清水 先生が,C. elegansを実験に使おうと思われたのは,どのような理由からでしたか。

ブレンナー 遺伝子がどのようにして複雑な生物を創り上げていくのかを解明するためには,できるだけ細胞数の少ない生物を見つけ,それを対象にすればよいと考えたのです。

 細胞の数が極端に少なく,しかも消化管,筋肉,脳神経など一通りの組織・器官を持っている生物が必要でした。

清水 1つの生物を選択するにはお考えがあったわけですね。C. elegansと似たような生物で,C. elegansより適切なものはなかったのでしょうか。

ブレンナー いろいろと考えましたが,生殖サイクルが複雑であるなどの理由で,不適格でした。結局,C. elegansに落ち着いたのです。今,私たちが当時扱ったいろんな動物を思い出しますね。

清水 C. elegansについては当時,誰も教えてくれなかったでしょうね。

ブレンナー はい。自分で勉強するしかありませんでしたので,本を調べました。皆からは「クレイジー」と言われました。何もないところから,まったく新しい生物についての研究を始めたのですから。

清水 お1人で,現在これほど重要になっている生物を選び出したわけでしょうか。

ブレンナー その時は「多くの本のどれかから,特別な生物を見つけることができる」と思っていました。しかし,これはいささか大げさでした。

 それで,ストックホルムの(ノーベル賞受賞)講演では「Nature's Gift to Science(自然からの科学への贈り物)」と題して,生物学者は,書物の知識だけではだめで,あらゆる可能性を秘めた自然から多くのことを学ぶのです,と話しました。

清水 ところで,C. elegansという美しい名前は誰がつけたのでしょうか。

ブレンナー フランスの科学者,確かモン・ピエールが,日付まで覚えていませんが,1920年にこの名前をつけました。C. elegansの動きがとても優雅(elegant)で美しい動きだったので気に入ってelegansという名前をつけたそうです。

■生物の行動をどこまで予測できるか

ブレンナー C. elegansを用いて行われたアポトーシスの研究は,ホロヴィッツ先生が行われました(写真1)。

写真1:C. elegansを用いたアポトーシスの研究
左下の写真において矢印で示された細胞が,右下の写真ではアポトーシスを起こしている(1977年ホロヴィッツ,サルストンらによる:Cold Spring Harbor Laboratory Press『DNAサイエンス第2版』医学書院近刊より)。

清水 そうでしたね。ホロヴィッツ先生,サルストン先生と3人ご一緒にノーベル賞を受賞されていました。

ブレンナー 基本的には,私たちがC. elegansをモデルシステムとして確立させたことによって,アポトーシスを含む多くの問題が解決されたわけです。私たちがC. elegansの発生過程を明らかにした後,C. elegansに対する関心が高まり,多くの研究者が研究に参加するようになりました。

清水 現在,C. elegansを研究している人は何人ぐらいいると思いますか。

ブレンナー おそらく2000人近くでしょう。

清水 1人の科学者から始まった研究が,今では2000人もですか。

ブレンナー そうです。2000人と言っても,細胞当たり2人の科学者ではありませんよ(注:C. elegansは959個の細胞からできている)。

 私のひ孫のような若い研究者たちに会う度に,彼らが素晴らしい才能の持ち主ばかりだと知って驚きますが,これはとても喜ばしいことです。また,研究の成果・情報はすべて共有し,秘密にしないという線虫研究グループの方針を誇りに思っています。すべてがオープンです。トップクラスの仕事をする大きな協同体なのです。

清水 ということは,2000人もの先生のお弟子さんたちが,C. elegansの研究を続けているわけですね。今現在,C. elegansの研究において先生が最も重要と考える挑戦は何でしょうか。

ブレンナー C. elegansの研究は効率的に進められ,たくさんの成果が上がりましたが,以前よりも増して興味のあることが広がっています。重要なのは,どこまで理解できたのか,ということです。「理解できた」とはどういうことなのか。私は,理解とは結果を予測できるようになることであると考えています。ですから,私が最も知りたいことは,C. elegansの行動を,そのすべての構成成分から予測できるようにすることです。

 生物学全体の一般的な関心事は,配線図と呼んでもいいような情報から,生物の行動を予測できるかということだと思います。私たちは神経系の存在や細胞の相互作用などについて知っていますが,これらがどのように働いているのかに関して,私たちの理解はまだまだ不十分です。

 この問題については,意見が2つに分かれます。ある人たちは,C. elegansは単純な生物であり,行動も非常に単純なので,簡単すぎると考えています。それよりもむしろ,人間の感情がシンフォニー音楽をどのように享受しているのかという課題により強い関心をもっています。

 一方,別の人たちは,C. elegansのプログラムですら学ぶべきことがたくさんあり,依然として解明は至難の業と考えています。もちろん私もその1人で,科学における「前向きプログラミング」と呼び,とても関心を持っています。この問題はそのうち解決できるでしょうが,これまではやり方が間違っていたと思います。

DNA塩基配列から 遺伝子を発見する

ブレンナー さらに先の課題として,ゲノムの塩基配列から生物を創造することができるだろうかということがあります。これはかなり難しい課題です。塩基配列によってウマはウマ,ウシはウシ,イヌはイヌと特定される以上,何らかの方法で可能であるべきですが,とても難しいでしょうし,できないかもしれません。ケンブリッジの同僚フレッド・サンガーがDNAの塩基配列決定技術を開発した時,この技術は遺伝学に革命を興すだろうと語り合いました。今皆が,遺伝学の革命に邁進していますが,これはとても重要なことです。なぜなら,DNAの塩基配列は遺伝学のあり方を完全に変えつつあり,動物飼育室を持つ必要もなくなったほどです。特に,ヒトの遺伝学に大きな変革をもたらしています。

清水 先生はDNA塩基配列の重要性を強調されていますが,DNAの塩基配列という情報に基づいて,何ができるから重要なのでしょうか。

ブレンナー 私たちが革命を起こすことができるからです。これまで,遺伝学者は突然変異を認めた時しか,遺伝子の存在を知りえませんでした。しかし現在は,遺伝子を塩基配列から発見できます。これこそ,これから達成されるべき研究です。

 ヒトゲノムが話題になり始めた頃,あまりにも膨大な塩基配列であり,大変な仕事だと皆が言いました。私はこの問題は所得税のように取り扱うべきではないかと思いました。仮に所得税が30億塩基対だったとします。脱税すれば問題ですが,合法的に節税することはできます。つまり,無駄な塩基配列をどのように避けるかということです。ゲノムの塩基配列の多くはまったく意味のない「ジャンク」ですから。ここで,ジャンク(junk)と単なるゴミ(garbage)の違いを説明しなければなりませんね。

清水 そうですね。

ブレンナー どの言語でも「屑」を指す言葉には2種類あります。1つは捨てるもの,英語では“garbage”で,日日本語では「ゴミ」です。もう1つは,取っておくもので,英語では“junk”,日本語では「ガラクタ」です。つまり取っておくべき「屑」があるのです。

清水 再利用可能ということですね。

ブレンナー そうです。ヒトゲノムの「ガラクタ」はすぐには再利用できません。一部はできるかもしれませんが,使おうと計画することはできません。しかし,ヒトゲノムは「ガラクタ」を何らかの目的で持っているのです。

清水 それはきわめて興味深いご発言ですね。

■フグ研究の醍醐味

清水 ところで先生は,研究対象をC. elegansからフグに変えられましたよね。いつ頃だったでしょうか?

ブレンナー はっきり覚えていませんが,1960年代だったと思います。細胞当たりのDNAの量について大がかりな研究結果が発表されました。フグやその仲間の魚の遺伝子は特に小さいことを以前から知っていましたので,そのうちフグを研究したいとは思っていたのです。実際にフグのプロジェクトを開始したのは1987-88年のことでした。それで,フグを入手するために鹿児島に行きました。

清水 下関ではなかったのですか。

ブレンナー 下関にも行きましたが,鹿児島にとてもよい人がいて,素晴らしいフグをくれました。それを凍結させ,アイスチェストに入れて持ち帰ったのです。今でも時々そうしています。

 そして多くの人に,このプロジェクトに関心を持ってもらおうとしましたが,当時は誰も関心を示してくれませんでしたね。それで私たちだけで,シンガポールのラボで研究しました。そしてその後,米国エネルギー省の塩基配列決定グループと共同研究をする機会に恵まれた一方で,一緒に仕事をする人たちに給料を支払うための資金集めもしました。

清水 そうして,フグの研究が進められていったわけですね。

ブレンナー そうです。そして予想通り,フグの遺伝子は実際に小さいことがわかりました。私たちは「ディスカウント・ゲノム」と呼んでいます。フグゲノムはジャンクがほとんどなく,ゲノムの大きさがヒトのおよそ12%足らずでしたので,「9割引でシーケンシングしますよ」と言っていました。このことは今ではよく知られた事実となり,フグは研究対象として大変な人気者になりました。

清水 このフグ研究も1人で始められたわけですね。今ではどのくらいの規模になっているのでしょうか。

ブレンナー この研究については,日本にも優れた研究グループがあり,共同研究しました。今ではおよそ200人が研究しています。

ヒトへつながるフグゲノム

ブレンナー 大変素晴らしいことですが,清水先生が最近メダカの研究でお示しになったように,フグは多くの魚のプロトタイプになりうるのです。したがって,フグを基盤にさまざまな研究ができます。これはとても重要なことです。現在もフグの研究を続けていますが,フグほどではないものの,やはり遺伝子が小さいサメを見つけ,その研究もしています。サメはすべての魚類,そしてすべての動物の祖先にあたりますので,とても興味深い研究対象なのです。

清水 フグが魚のプロトタイプとおっしゃいましたが,多くの人々は,フグを研究してヒトに役立つ情報が得られるのかどうかを知りたがっていると思います。その点はいかがでしょうか。

ブレンナー 人間に役立つことは疑う余地がありません。まず,膨大なヒトゲノムの塩基配列を解析することに比べて,フグゲノムにはジャンクがないので,とても明快にすべての遺伝子を見出すことができます。それらと対応させて,ヒト遺伝子を見つけることができるわけです。

 現在,ゲノムの多くの部分はあまり変化していないことがわかっていますので,同じような塩基配列をヒトで見つけることができるでしょう。ですから,ヒトのゲノム塩基配列を解釈するうえで,フグはよいガイドになると思います。もちろん,未だ機能がわかっていない多くの塩基配列がありますので,それらは将来,大いに役立つと思っています。

清水 なるほど。フグゲノムを基盤に,ヒトゲノムの研究がさらに進む可能性があるということですね。

ブレンナー 生物のゲノム塩基配列の解読はとても膨大な仕事で,当時,さらなる技術改良が求められていました。ですから,私は小さなフグゲノムから生物に本質的な発見ができたなら,きわめて重要な貢献になると考えました。しかし,実際には,ヒトゲノムプロジェクトがスタートし,悪いことに,それは独裁政治のように統制されたものでした。誰に資金が与えられ,誰が支援を受けるべきか,何をすべきかまで決められていました。

 実際,国際的なプロジェクトの「21番染色体」では,一部の研究チームの支援が打ち切られ,少数のラボに資金が集中されました。これは大きな間違いだったと思います。清水先生もその被害を被っていらっしゃると思いますが,とにかく大きな間違いです。

 ゲノム研究は民主的に開かれたものであるべきだと私は信じています。多くの人のものであるべきです。しかし,今日では特定のラボに巨額の資金が集中しています。私はそれを変えたいと思っています。もとの状態に戻すのです。小さなラボであっても興味深い研究がたくさんできるというのが私の持論です。

清水 それは,科学界の基盤を築くうえでも重要なことだと思います。

■生物の脳はどう創られたのか

清水 フグとの出会いについてお話がありましたが,なぜ日本独特の食材で,古くから日本人の間で格別の人気がある魚(写真2)なのに,その研究は日本人ではなく,外国人である先生から始まったのでしょうか。科学の分野ではよくあることですか。それともフグが珍しいケースですか。

写真2:フグは昔から日本人に親しまれてきた
左:下関市潮待貝塚で発見されたフグの歯(下関市立長府博物館蔵)
右:1712年(江戸中期)の百科事典『和漢三才図会 巻五十一』より

ブレンナー 日本人が考えていなかったとは思いません。フグの研究は,大げさに言えば,人間について語ってくれます。進化と連続性によって,魚は私たち人間が持っている多くのもの,私たちの身体と共通の仕組みを持っているからです。

 私の最近の興味は,これまでとはまったく違う方向に向かっています。自然はどうやって,生物の複雑な脳を創ってきたのかという問題です。それで今はタコにとても興味を持っています。タコには多くの哺乳類と同じように大きな脳があり,学習と問題解決の能力を持っています。これは最近わかってきたことですが,その一方で,タコは一体何個の遺伝子を持っているのかなどまったくわかっていません。タコと同じ軟体動物でも,あまり賢くないカタツムリと比較してみたいとも思っています。

清水 先生は単一細胞の大腸菌で増殖するバクテリオファージから始められ,多細胞生物であるC. elegans,さらに脊椎動物のフグに移られた。そして今度は軟体動物のタコへ。タコは骨がないのですが,タコの研究をヒトにどのように近づけるおつもりですか。

ブレンナー 私の仕事にはどれも理由があります。そして,その理由は階層構造になっています。私がC. elegansの研究を始めた時,C. elegansは細菌を食べることに気がつきました。それから魚の研究を始めましたが,魚は虫を食べます。そして,もちろんヒトは魚も,タコも食べます。それが決まり事で,みんな食べ合います。ヒトの次はどうしましょう。共食いをする動物の研究でもしましょうか(笑)。

清水 しかし,タコのゲノムはヒトよりも大きいと聞いていますが。

ブレンナー とても大きく,ヒトの1.5倍です。タコには私たちとはまったく違う構造の神経系があります。それがどうなっているのかということに,とても興味があるのです。神経系はあるプログラムに基づいて構築されているので,多くのことが学べると思います。タコはイカより利口ですからね。

清水 そうなのですか。タコの脚が8本に対して,イカは10本ですが(笑)。

ブレンナー それも面白いと思いますよ(笑)。

清水 秘密はゲノムに隠されているというわけですね。

ブレンナー ええ,秘密はゲノムに隠されていると思います。