進んでる? 遅れてる?
あなたの研修の進捗度を確かめてみよう
「臨床研修医到達度アセスメント」の使い方
臨床研修必修化から1年。まったく新しい制度のもとで研修を受ける研修医にとって,自分の受けている研修の相対的な質や進捗状況は気になるところ。臨床研修プログラム研究会(代表:箕輪良行氏 聖マリ医大臨床研修センター長・救急医学教授)が主催する「臨床研修医到達度アセスメント」(Web-based assessment of Resident Proficiency;以下,WARP)は,そうした研修医の声に答えるアセスメントの1つ。(株)スナッジ・ラボ社のホームページ(URL:http://www.snudge-lab.com/)から24時間アクセス可能で,所要時間20分程度の簡単な質問に答えることで,自身の研修の進捗度を客観的に知り,相対的なレベルを予測することができる。2005年5月現在,無料提供されており,研修医が自らの研修内容を振り返り,今後の指針を得る1つの手段として注目を集めている。本紙では,WARPを開発した箕輪良行氏にその特徴を聞くとともに,実際にアセスメントを受けた研修医からその感想を聞いた。
研修医のためのアセスメント

箕輪 WARPを作成するうえで一番留意したのは,「アクセスした時点での到達度を,その研修医本人に迅速にフィードバックすること」です。自分の研修の進捗状況は順調なのかということを客観的かつ相対的に知ることができますし,また,例えば半年ごとにアセスメントを受ければ,その期間の自身の成長も見えてきます。このように,アクセスしてくれた研修医本人にフィードバックすることを主目的とした,さまざまな工夫を試みています。
まず,WARPの評価指標は網羅的なものではなく,ベンチマークのみとなっています。例えば,「胸部の診察能力」をアセスメントする場合には,「心臓聴診で三音と四音の識別ができるか」といった具体的な質問に答えてもらうようにしました。
評価指標をベンチマーク化したことによって,質問数を大きく絞り込むことができました。質問数が少ないということは,それだけ短い時間でアセスメントを受けることができるということです。回答に必要な時間は約20分間ですから,忙しい研修医の方にも手軽にアクセスしていただけると考えています。
また,それぞれの項目の評価尺度についても,できる限り具体的なものにしました。「十分にできる」といった抽象的な尺度ではなく,「人に指導ができる」といった,具体的な尺度で評価するということです。
――現状での課題や,今後の展開について教えてください。
箕輪 評価の基準は,私どもが自治医科大学卒業生の協力を得て収拾した600人ほどの研修医のデータをベースとして作りました。新しい臨床研修プログラムをカバーしきれなかった領域があり,現在修正をしています。修正前のアセスメントでも新しい制度で研修を受ける研修医に十分貢献できると考えています。
臨床研修必修化の問題点の1つは,研修医が適切なフィードバックを研修期間中に常に受けられないことです。研修を受けていてどこが十分で,どこが十分でないのか。このアセスメントは,そのフィードバックには最適です。また,後期研修のあり方がまだ不透明であることも新制度の大きな問題点ですが,各地の病院の後期研修に応募する研修医にとっては,こうしたアセスメントシートを後期研修先へのアピールに用いることは可能ではないかと思います。特に,経時的に受けたものを提出すれば,研修の履歴として提出できると思います。後期研修医を採用する側からすれば,わかりやすい資料となるのではないでしょうか。
■「臨床研修医到達度アセスメント」アンケート匿名希望・研修1年目修了時にアクセス1.どうして臨床研修医到達度アセスメント「WARP」を受けようと考えましたか?他の多くの研修医と同様に,「自分の受けている研修は他の研修医,あるいは他の施設と比べてどうなのだろうか?」という疑問がありました。しかしそれに対する明解な答えはなく,「どうしたもんかな」と思いを抱きながら日々を送っていところ,WARPの話を聞き,取りあえず受けてみようかなという気軽な気持ちで申し込みました。 2.アセスメント結果は納得がいくものでしたか?
3.納得がいった項目,あるいは納得できなかった評価項目は何でしょうか?
4.アセスメント内容は,あなたの臨床研修にとって役立ちましたか?
5.WARPを知らない研修医,これから受ける研修医に一言。
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