学生セッションに多数の演題集まる
――第110回日本解剖学会の話題より
解剖学会初の学生セッション

これは会頭の大谷氏自らの「次世代の学会を担う今の学生たちに,自分の研究を学会で発表するというサイエンティフィックな楽しさを早いうちから体験してもらいたい」との発案によるもので,オーラルセッションに17題,パネルディスカッションに34題,あわせて51題もの演題が集まった。
演題の内容は,「右前腕屈側にみられた2か所の破格筋束」や「個人識別の決め手となった第8頚椎に伴う左頚助」といったものから,「ジャイアントパンダ(Ailuropoda memanoleuca, Carnivora, Mammalia)臼歯の組織構造について」「マウス筋紡錘にみられるGAD陽性細胞について」,さらには「映像メディアを通して解剖生理学を学ぶ-消化の仕組みに関するコンテンツの作成-」など多岐にわたった。
オーラルセッションの会場はほぼ満員。演者はパワーポイントを使って発表し,質疑にも落ち着いた様子で答えていた。なかでも植村健司さん(富山医薬大3年[発表当時])は“Quantitative analysis of arterial branches of the left ventricular free wall”(左心室自由壁における動脈枝の量的解析)という演題で,抄録を英語で執筆。発表でも堂々とした発音で注目を浴びた。以下に植村さんの感想を紹介する。
学生時代に知る研究の醍醐味

学生セッションに参加した松村譲兒氏(杏林大教授)の話では,「研究方法や発表・質疑応答のシミュレーションなど準備の過程で,学生がふだんの実習や講義では予想できないほど成長し,周りの学生にもよい刺激になった」とのこと。
学会では,さらに優秀課題5題を表彰した。今後,学会誌への論文掲載などを行うことにしており,このような試みをさらに推し進めていく計画である。