医学界新聞

 

傾向と対策,合格体験記

合格体験記――マッチング後の国家試験

本根杏子(札幌医科大学卒/済生会中央病院研修医)


 臨床研修が必修化され,6年生は就職活動が必要になり,国家試験が1か月早まりました。そのため,勉強を早めに仕上げること,7-8月はマッチングの準備に時間を割かなければならず,のんびりしていられなくなりました。これら2つをなんとか終えた私の体験が,少しでも皆さんの参考になればいいなと思い,筆を執らせていただきたいと思います。

国家試験対策

 国家試験は,ご存じの通り,必修・一般・臨床問題で成り立っています。まずは,国家試験対策本の臨床問題から解いていくことをお勧めします。私は主にSTEP・アトラスなどを使いながら,個々の疾患の病態を知り,1つでも多くの検査法・症候・治療を頭に叩き込むことを目標にしました。

 なぜ,どのように各々の検査・治療をするのかなどをしっかりとつかむと,記憶することが頭の中にコンパクトにまとまっていきます。最近の必修問題は臨床に即した実践的な内容が多いので,Common diseaseの基本的な診察や診断方法を知るために,オスキーや全科のポリクリを疎かにしないことが重要です。一般問題は公衆衛生の他に基本的な解剖や症候から病気を選択するなど総論の要素が強いため,ある程度病気についての全体像を理解してから勉強しました。

 国家試験の勉強は5年生の9月に友達と始めました。マッチングが始まる前,臨床問題を2周,一般問題を1周しました。

 7-8月は各病院の試験対策のため勉強はせず,9月になってからマイナーと公衆衛生のQBを一通り解きました。10月は卒業試験の勉強,11-12月は模試や過去3回の国家試験,QBで自分の弱点をノートにまとめながら復習していきました。そして,1-2月にQBの必修問題を3冊解き,不得意分野の復習や細かい知識の暗記や模試の復習しました。

 最も大切なことは,国家試験に向けて体調も整えることです。風邪を引かないようにすることや夜型から朝型生活に変えること等,自己管理も試験の準備の1つです。

 また,試験が終わった直後に,友達とその日の問題について話すことをお勧めします。次の日も同じ疾患の問題が出ることがあるからです。

生涯の職業として

 国家試験の勉強は,基本的な事柄を1つひとつ自分のものにしていく積み重ねの作業です。それは,まだ医師として働きはじめて数週間ですが,医師の仕事となんらかわりがないように思います。そして,常に謙虚に広い視野を持つ努力をしながら物事に向き合い,少しずつ自分を成長させていければと思って取り組んでいけば,大変な量もそんなに辛くなくなるのではないかと思います。

 そして,マッチングに関して一言。大学時代に医師として最初の1-2年が,その後のその人の医師としての資質を決めると言われたことがあります。2年間の病院選びは,自分の5年後や10年後の自分を考え,それに必要な能力を身につけられ,自分が勉強しやすく働きやすい病院をきちんと吟味してほしいと思います。尊敬できる同僚や先輩,上司に囲まれて仕事ができて,わからないことや失敗だらけの毎日を前向きに楽しんでいます。

 最後になりましたが,学生生活を十分に楽しんでください。友達と語りあう,感動する映画をみる,外国に留学する,なんでもいいと思います。それらは自分の糧になり,人の気持ちを理解したり,失敗した時には次への希望を持つことにつながっていくのではないかと思います。それでは,来年の国家試験がんばってください。

第99回医師国家試験合格者発表
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