金原一郎記念医学医療振興財団
第37回認定証贈呈式開催
さる3月4日,東京都文京区の医学書院本社において,金原一郎記念医学医療振興財団(理事長=理研脳科学総合研究センター特別顧問・伊藤正男氏)による「第19回研究交流助成金」および「第19回留学生受入助成金」の認定証贈呈式(第37回)が開催された。
同財団では基礎医学の振興を目的として,(1)基礎医学医療研究助成,(2)研究交流助成,(3)留学生受入助成,(4)研究出版助成を行っている。今回は研究交流助成17名,留学生受入助成4名が選出された(下記に一覧を掲載)。
開会に際して,金原優同財団常任理事(医学書院代表取締役社長)は「海外に出て研究の幅を広げ,また外国の研究者との交流を深めることは,日本の基礎医学の底辺を広げることにつながる。今回の受賞を励みとし,さらによい研究に結びつけていただきたい」と祝辞を述べた。
認定証の贈呈に続いて,同財団理事で選考委員長を務める野々村禎昭氏(東大名誉教授/微生物化学研究会理事長)が,選考過程について説明。「昔,われわれが海外に行く時は教室員全員が空港に見送りに来てくれて,行く以上はよい仕事をしなければならないという緊張感に包まれて行った時代だった」と振り返り,「海外に出て実際に国際学会の雰囲気を味わい,日本を見直してみることは非常に価値がある。ぜひ有意義なものにしてほしい」と激励した。
これを受けて,受賞者を代表して挨拶に立った佐々木貴史氏(慶大)は謝辞を述べるとともに「私は清水信義教授の下,ヒトゲノム計画の初期から主要チームの一員としてかかわってきた。現在は遺伝子を欠損させた多くの疾患モデルが作成されているメダカに注目し,メダカを利用したヒト遺伝子の大量機能解析系の確立をめざしている」と自身の研究内容を紹介。今回,これらの成果を米国のコールドスプリングハーバー研究所で行われるミーティング「ゲノムの生物学」で発表するとともに「世界のゲノム研究の動向を知り,最先端の研究者との情報交換を行って今後の研究に役に立てるよう,より一層の努力をしていきたい」と抱負を述べた。
■第19回研究交流助成金・留学生受入助成金交付対象者とその助成対象(出席会議または研究題目)【研究交流助成】(1)王 英正(京大病院/探索医療センター):国際幹細胞研究学会(2)大谷顕史(佐賀大/消化器内):米国消化器病関連学会週間2005年 (3)岡田 太(山形大/生体分子機能):第96回米国癌学会 (4)海田賢一(防衛医大/3内):国際末梢神経学会隔年会議 (5)河野 寛(山梨大/1内):第56回アメリカ肝臓学会 (6)佐々木貴史(慶大/分子生物):ゲノムの生物学 (7)澤口 朗(宮崎大/解剖):第10回国際プロトン輸送研究会議 (8)杉山 篤(山梨大医工/薬理):第4回安全薬理学会 (9)杉山朋美(国立栄研/食品表示分析・規格):第96回アメリカ癌学会 (10)田中謙二(生理研/分子神経生理):2005年北米神経科学会 (11)田中稔之(阪大/ポストゲノム疾患解析):キーストンシンポジウム2005「白血球トラフィッキング:その細胞・分子レベルのメカニズム」 (12)日比野浩(阪大/情報薬理):第35回国際生理科学会 (13)廣岡良隆(九大/循環器内):第4回国際自律神経科学学会 (14)廣山眞巳(成育セ研/薬剤治療・実験薬理):American Society for Biochemistry and Molecular Biology Meeting(ASBMB) (15)松原 央(京大病院/小児):第96回米国癌学会 (16)村木 靖(山形大/発達生体防御):第13回国際ウイルス学会議 (17)李 氷(新大腎研/機能制御):第3回世界腎臓学会 【留学生受入助成】(1)Widodo(筑大/人間総合):Selective Killing Mechanism in Cancer Cell to Discovery Drug of Cancer(2)権 仲基(精神神経センター/疾病4):ユビキチンC末端水解酵素,UHC-L1及びL3の神経細胞における機能解析 (3)Zheng Xu(山口大/生体シグナル解析):Biological Significance of Loss of CD19 Molecules in Human Myeloma Cells (4)李 全(阪市大/分子病態):Cu,Zn-SODの細胞内局在性変化による活性酸素産生とアポトーシス |