医学界新聞

 

ひとこと

読者フォーラム


夜間が危ない

 当院では年間550件のお産がありますが,産科入院においては1日平均患者数15名,平均在院日数4.5日であるため,産科病棟としての独立はできず,混合病棟化しています。計画出産を行わないため夜間の入院・出産が多く,3人夜勤(1名は助産師,2名の看護師が新生児室と混合患者を看る)体制で,最大5名の陣発妊婦の入院対応や,お産介助,一般救急入院,緊急帝王切開に移行した患者ケアなど大きなリスクを抱えながら臨んでいる状況です。

 助産師が2名の分娩対応をしている間に,待機者が急速に分娩進行し,分娩室に搬入する機会を失い,ベッド上で出産するといった状況も経験し,夜間の(特に助産師)要員確保に頭を悩ませています。さらに新生児室では,新生児に対する要員配置の基準がなく,夜間20対1になることもあります。

 安全な看護提供のために,座談会の中でも問題点が指摘されていた病床数による人員配置ではなく,看護必要度に見合った人員配置が整備される必要性を日々感じています。

(匿名希望・看護師長)

重大事故の予兆にも管理者の介入なし,そしてついに……

 私は以前,某大学病院に勤務していました。当時,看護職員配置は2対1でしたが経験年数が少ないスタッフが多く,夜勤はかなり危険でした。夜だからといって重症度や業務量は変わりません。事故も多かったのですが「スタッフの能力の問題」と怒られるだけで,スタッフの人数や業務量が問題にされることはありませんでした。「人が足りない」と主張しても婦長から「2対1はMAX値」と言われるだけで,自分たちの努力でどうにかするしかなかったのです。精神的にも追い詰められ,余裕のなさが事故を呼ぶという悪循環になりました。

 そして,重大な医療事故が起きました。事故当時も当事者への批判はありましたが,管理者への批判はほとんどなく人手不足も問題になりませんでした。

 勤務当時,管理者が積極的に介入してくれれば重大な事故につながらなかったと思います。スタッフも人間ですし限界があります。何年たっても看護そのものが抱えている問題が何も変わっていないのは非常に残念です。

(匿名希望,看護師)

早朝は戦場,看護師の職務内容確立が必要

 座談会の内容は,現在脳外科に勤務する私にとって非常に切実なものでした。私の勤める脳外科では,病棟によっては,28人の患者を夜勤2人の看護師で看ています。

 早朝はまさに戦場です。ナースコールに応じながらの体位交換,排泄,着替え,洗面,車椅子移乗,食事の介助。その合間に検温と採血を行い,呼吸器の警報に対応し,16時間勤務の最後の力を振り絞る。ドスンと鈍い音が聞こえ訪室すると,そこにはてんかん発作を起こした患者が口から泡を噴いて倒れている。もう1人の看護師は,どこにいるのかすらもわからない。

 患者の安全を守れない状況の中で,看護師も疲れ果てています。安全管理が一層強く求められる現在,環境とシステムの改善は必須で,その1つが夜間の人員確保と言えるでしょう。ただし,座談会にもあったように,適正人員配置のツール開発以前に,看護師の職務内容を吟味し確立することの方が先決であろうと思います。

(匿名希望・看護師)


弊紙2618号(1月24日発行,医学書院HPにも掲載)では,「安全な看護と人員配置」と題する座談会を行いました。読者の方々の,本座談会へのご感想・ご意見を紹介します。