医学界新聞

 

未来の医療者

原聖吾さん(東京大学医学部5年・「鉄門だより」編集長)


 東大医学部同窓会紙「鉄門だより」の編集長。同紙の編集は毎年学生に任されており,原さんは昨春,編集長に立候補した。

 「例年どおり引き継ぐよりも,読者にインパクトを与えるものを作りたい」と考え,シリーズ「東大医学部に物申す」を企画。東大医学部に対して外部から意見を聞くという趣旨で,日野原重明氏(聖路加国際病院理事長),河合隼雄氏(文化庁長官),坂口力氏(厚生労働大臣・当時),宮内義彦氏(オリックス会長)など,各界著名人へのインタビューを重ねた。「外部の方から東大医学部に対する期待の声を聞いても,中から見ていると自分たちが医療を担っていくという自負は感じられない。そのギャップを検証したかった」と動機を話す。

 編集部には好意的な感想が寄せられる一方,コンセプトの甘さを指摘されることもあった。それでも,「読んでくれていることがわかってよかった」と前向きに受け止める。最終回では批判の声もあえて紹介し,編集部の考えを伝えた。

 編集長の任期は1年だが,昨年より東大5年生の1-3月はクリニカルクラークシップ期間となったため,現在はもっぱら実習に勤しむ。東大病院での実習も可能だったが,沖縄県立中部病院,米国ベス・イスラエル病院,オレゴン健康科学大学と,実習先も「外部」を選んだ。社会の第一線で活躍する受講者が集まる東大医療政策人材養成講座にも,学生でただ1人のスタッフとして参加している。「全然真面目に勉強していません」と言いつつ,こうした活動を淡々と語る。

 最近は患者と医療者の溝を埋めるべく,メディアのあり方に興味を持ちはじめた。「長いスパンで将来を考えて,いろんなものを見てみたい」。

「物申す」発案のもう1つの理由「実はこの機会に著名な人に会ってみたかった(笑)」(撮影=東大赤門前)