医学界新聞

 

第12回『総合リハビリテーション』賞決定


 第12回『総合リハビリテーション』賞贈呈式が,さる9月22日,医学書院本社会議室で行われた。今回の受賞論文は永井将太氏・他による「The Full-time Integrated Treatment(FIT)programの効果」(総合リハ31巻2号,2003年)。

 本賞は,雑誌『総合リハビリテーション』編集顧問の上田敏氏が東大を退官する折(1993年)に,財団法人金原一郎記念医学医療振興財団に寄付した基金を原資として発足した。『総合リハビリテーション』に掲載された1年間の全投稿論文を対象に,最も優れた論文が表彰される。贈呈式当日は,上田氏より永井氏に賞状・盾・賞金が直接手渡された。

技術革新“FITプログラム”

 受賞論文は,2003年発行の『総合リハビリテーション』第31巻に掲載された投稿論文33篇の中から,編集同人による推薦を経て編集委員会で決定された。受賞論文のテーマは,(1)訓練室一体型病棟で,(2)週7日間,(3)日中はできるだけ部屋に戻らず生活する,(4)チームで対処する,など特徴を持った訓練プログラムの優位性を検証すること。FITプログラムは個別の手技の開発ではなく,チームで時間・空間の利用方法を工夫して効率を上げるというリハビリテーションの技術革新の1つである。永井氏らはFITプログラムの優位性を立証するために,対象症例の選択基準として,(1)一側性病変の脳卒中初回発作例,(2)発症後80日以内,(3)FIM運動項目合計点75点以下などを規定し,天井効果,時期による改善度の相違など結論を曖昧にする問題を排除した。

総力を傾けた“FITプログラム”

 編集委員を代表して千田富義氏(秋田県立リハビリテーションセンター長)は,「この研究あるいは研究方法は,今後,回復期リハビリテーション病棟のあり方などの検討や,その他効果研究に非常に役立つ。時宜を得た研究テーマを取り上げ,卓抜な研究手法を用いて導かれた結論は,これからのリハビリテーションにとって大きな参考となるであろう」と講評した。