第1回日本質的心理学会開催
さる9月11日,第1回日本質的心理学会が,京都大学(京都市)において開催された。当初予定の数倍の500名を超える参加者が来場,同学会への期待の高さが感じられた。
研究手法とフィードバックの「語法」を議論

斉藤氏は数百年にわたる科学史を概観し,医学研究がこれまできわめて限定的な自然科学の方法論をもとに発展してきたことを指摘した。また,西村氏は臨床研究における方法論の選択について,「まず方法論ありき」ではなく,追求したい現象があってはじめて,適切な方法論を模索することができるのではないかと述べた。
同シンポジウムはその後,2人の指定討論者の発議を受けてのディスカッションとなった。1人目の指定討論者である川野健治氏(国立精神・神経センター精神保健研究所)は,研究方法を精緻化していくことと,使いやすい理論を作るということは次元が違う問題であると述べ,むしろ現場にフィードバックしていく際にどのような書き方を選択するかが質的研究における大きな課題ではないかと述べた。
また,2人目の西條剛央氏(国立精神・神経センター精神保健研究所)は,質的研究では,さまざまな理論が同時に並び立つ「多元性」が確保されることが重要であり,そのためには,それらの理論が成立している条件を開示していくことが必要ではないかと提起した。今後の学術集会開催予定等はホームページ参照のこと。
●日本質的心理学会ホームページ
URL:http://quality.kinjo-u.ac.jp/
<第1回質的心理学会プログラム>
大会シンポジウム「質的研究の方法論-KJ法とグラウンデッド・セオリー」
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