医学界新聞

 

未来の医療者,がん体験者と出会う

――東大五月祭で医学生が発表


 東大五月祭が5月29-30日,東京・本郷キャンパスで行われ,毎年恒例の医学部4年生による企画では「現代医療の羅針盤」と題し,「がん」「健康生活」「医療の質」の3つのテーマで発表。ジャーナリストや患者会への取材をもとに200ページに及ぶ冊子をまとめ,会場に足を運んだ市民と活発な議論を繰り広げた。

 発表者の1人,小林央さんは,「現在の医療は治療にばかり主眼が置かれ,退院後の生活や必要な情報についてのサポートが不足している」と考え,準備過程で3つの患者会に参加。当日は,患者会で学んだことを中心に,がんにおける心理・社会的な問題,医療コミュニケーションの重要性について報告した。

 取材を受けた患者会の1つ,「支えあう会α」の代表で看護師の土橋律子さんは,小林さんら東大医学部生の試みを高く評価。「何回も私たちのところに足を運んで,中には患者会に入会させてほしいという人もいた。未来の医師を心強く思った」と話し,講義だけでは得られない貴重な経験をした医学生に向け,エールを贈った。