医学界新聞

 

第22回臨床研修研究会開催

研修医の忙しさが話題に


 さる4月17日,東京の都市センターホテルにて,第22回臨床研修研究会が開催された。聖路加国際病院(櫻井健司院長)が,当番病院を務めた今回は,「研修医の忙しさを考える」,「始まったマッチングシステム」の2題をテーマにシンポジウムが行なわれた他,日野原重明氏(聖路加国際病院理事長)とジョゼフ・ゴネラ氏(ジェファーソン大名誉学部長)による特別講演など,充実したプログラムが組まれた。

日米の研修環境に大きな差
 シンポジウム「研修医の忙しさを考える」では,まずそれぞれ卒後2年目と3年目を迎える現役研修医2人が,自らが経験した研修内容について報告。木村文昭氏(名寄市立病院)は,大学病院,市中病院にて外科系研修を行なった経験から,「忙しさはさまざまだが,複数の施設での研修から得るものがあった」と述べた。また,藤本大裕氏(市立敦賀病院)は,「向学心をしっかり持てば忙しさも自分の糧になる」と振り返った。

 一方,米国で臨床研修,フェロー研修を終え,現在は米国で小児感染症科のスタッフを務める齋藤昭彦氏(カリフォルニア大サンディエゴ校)は,「当直明けの研修医に対して早く帰宅できるような配慮がある」,「研修の忙しさを分散させるように,研修計画が立てられる」,「1週間に1日(24時間)の休暇が義務付けられている」など,米国における研修医の状況を報告し,「米国の研修医は,日本に比べ,時間的にも,身体的にも保護された環境で研修を行なっている」と指摘した。また,それを可能にする要因として,「確立された研修医の教育システム」,「研修医総数の違い」をあげた。

 藤崎和彦氏(岐阜大)は,齋藤氏の講演を受け,「日本の研修医の労働時間は米国より1日あたり2-3時間長いようだ」と述べ,長時間研修が研修教育に与える影響について考察。「研修医のストレス軽減を含めてサポートが必要だ」と現状を分析した。

主治医制からチーム制へ
 西野洋氏(亀田総合病院)は「アメリカで義務化された週80時間勤務体制」について,その内容を具体的に解説した。

 また,宮城征四郎氏(臨床研修病院群「群星沖縄」)は,「日本医療の最大の問題は医療従事者の絶対的不足」にあると指摘。さらに,宮城氏は,「労働時間を短縮するだけでは環境は改善しない」との認識を示し,現状を改善するには,「主治医制を廃し,チーム医療の実践と総合診療科中心の幅広い研修を行なうしかない。当直医が十分に対応できなければ,受け持ち医は安心して病院を離れることはできない」と強調した。